ぶれない台風と共に歩く   作:テフロン

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少年への問診、露見する真実

 少年は、真剣な表情で自分の病気のことについての会話を切り出した。

 

 

「さぁ、話を始めましょうか。私が答えられることならなんでも答えますよ。八意先生は、私の能力の弊害にしっかりと気付いていらっしゃるから気兼ねなく話すことができます」

 

 

 少年は、えらく永琳のことを信頼していた。

 永琳は、幻想郷における少年の理解者の一人である。

 病気にかかっているときに一番お世話になった人で、一番心の内を明かした人で、能力の弊害について理解しながらも―――付き合ってくれる人。

 それが、少年にとっての八意永琳という人物だった。

 

 

「随分と私は貴方に高く買われているのね」

 

 

 永琳は、少年から寄せられている全幅の信頼に複雑な表情を浮かべる。

 

 

「貴方の能力の問題に気付いたのだって、貴方が言ったからでしょう? 私だって言われなきゃ気付くことはできなかったわ」

 

 

 永琳が少年の能力の副作用に気付いたのは、少年が自ら疑問を告げたことがきっかけだった。

 そもそも、少年の病気は原因が不明であり対処の仕方が全く分からないもの。原因を探るためには、少年自身から話を聞くか、少年の仕草から問題を探す必要があった。

 永琳は、病気を患っている少年自身から手掛かりを探した。同様に紫もまた、少年から病気の原因を探っていた。

 結果として、紫と永琳は同じところに答えを導き出した。

 

 

「私が気付けたのはたまたまなのよ。それこそ、妖怪の賢者と同じ」

 

「それは、どっちでもいいんですよ。知っているか知っていないかが大事なだけです」

 

 

 紫と永琳の二人だけは、少年の今の状態をよく理解している。少年の能力が何を引き起こしているのかを知っている。

 しかし、その他の知り合いたちは、少年の病気が治っている。もしくは病気になったことさえも知らない、というのが現状である。

 だからこそ少年は、病気について、能力の弊害について把握していても普通に接してくれている紫と永琳に信頼を置いていた。

 

 

「先生は、知っていらっしゃる。それだけが大事なのです」

 

「私も貴方に引きつけられているのかもしれないわよ? 貴方の事が可哀そうだと同情してしまっているのかもしれないわ」

 

「知っていてそんなことを言えるのは、大丈夫な証ですよ。八意先生がそんな簡単に傾くような人ではないのは、よく知っています」

 

「…………」

 

 

 永琳が薄く笑みを浮かべながら少年を挑発すると、少年は永琳に同期するように不敵に笑った。

 鈴仙は、分かったように話しを進める二人の様子に疎外感を覚えていた。先程分かるように話すと言っていたのに。二人が話していることが何のことなのかさっぱり分からない。鈴仙は、話についていけない状況に苛立ちを募らせていく。

 だが、不満を口に出すほど愚かではない。先ほどの永琳の注意によって口を開くわけにもいかず、黙って二人の様子を見つめていた。

 

 

「私のことを随分と信頼しているようだから、気兼ねなく話を進めさせてもらうわ」

 

 

 永琳は、手始めにと言わんばかりに爆弾が爆発するようなどでかい衝撃を与える一言を投げつけた。

 

 

「まずは退院おめでとう。もう半年も経ってしまったけどね」

 

「ははっ……悪い冗談はやめてくださいよ」

 

「そうかしら、間違ってはいないわよ? ‘退院’はしたでしょう?」

 

「それは、そうですけど……」

 

 

 少年は、不敵な笑みを作る永琳の冗談に苦笑した。退院おめでとうという言葉が、皮肉以外の何にも聞こえなかった。

 二人は、軽快な足取りで会話を繰り広げる。鈴仙は、颯爽と会話している二人を羨ましそうな眼で見つめていた。

 二人の会話の間に入っていける隙間は見当たらない。話題が固定されている会話において、会話の中に参加するためには、会話のお題について知っていることがなければ不可能な話だった。

 けれども、黙っているだけなんてことを鈴仙の心は許さなかった。

 鈴仙は、ただただその場にいるために会話に入れて欲しいと懇願したわけではないのだから。

 

 

(これじゃあ……何をしに来たのか分からない。なんとか会話に入り込まないと)

 

 

 鈴仙は、何とかして会話に加わろうと口を挟みこんだ。

 

 

「あ、あの……師匠、退院おめでとうを言うには随分と遅くないですか? もう退院から半年も経っているのですよ?」

 

 

 鈴仙は、置いてきぼりをくらっている状況を何とか打開しようと必死に言葉を吐き出した。

 鈴仙がなんとか言葉にした内容は、正直どうでもよい内容である。半年も経って退院おめでとうは遅くないですか? という質問には、会話をとどめる程度の効果しかない。

 鈴仙の質問は、あまりに内容が無く、掘り下げる価値なんて無かった。言った自分がよく分かっていた。またしても黙れといわれるのだと、そう思っていた。

 そう思われたが―――意外なことにそこから話が広がりを見せた。

 

 

「いえ、本当なら退院おめでとうなんて言うべきじゃなかったのよ。貴方は、まだ退院すべきじゃなかったのだから」

 

「え?」

 

 

 予想だにしない永琳の言葉に、鈴仙の口から呆気ない声が漏れた。

 退院すべきじゃなかった、その言葉が頭の中をぐるぐると回転する。

 退院すべきじゃない―――それはつまり病気が完治していないことを意味している。鈴仙は、永琳の言葉が余りに衝撃的過ぎて頭が真っ白になり、思考が回らなくなった。

 鈴仙は、停止する思考の中で顔色を悪くする。

 

 

「師匠、それは、どういうことですか?」

 

 

 少年の病気がどれほどに酷いものであったのかは、看護をしていた鈴仙自身がその目で確認している。

 少年の病気がまだ治っていないというのは、今の少年からは微塵も感じられなかった。目の前の少年は、少なくとも日常を送っている。辛そうなそぶりも見せないし、血を吐き出すようなこともない。少年の今の状況を見れば、治っていないと断言できるだけの材料が無かった。

 

 

「ま、まさか……まさか、ですよね?」

 

「僕の病気は、完治していない」

 

「完治して、いなかったんですか……?」

 

 

 鈴仙は、声を発した少年へと視線を向けた。少年は、真剣な表情で鈴仙を見つめている。少年の瞳が、告げている言葉が嘘ではないと物語っていた。

 それに、完治していないかもしれないというような曖昧な可能性を示唆する発言ではなく、していないと断言をしている。原因不明の病気に対して、明確に発言している。

 それは―――少年の言葉が真実であることを指し示しているように思えた。

 鈴仙は、少年の病気に対する認識を改める。少年の病気は、本当に治っていない。

 しかし、理解するうえで疑問が生じてくる。少年の病気が完治をしていないのであれば、なぜ退院をしたのか、病気の症状が治まったのかの理由が説明できない。鈴仙は、答えを得ようと疑問を口にした。

 

 

「なら、どうして退院なんてしたんですか?」

 

 

 永琳は、目に見えて混乱している鈴仙に答えを与える。

 

 

「ある程度まで病気の進行が戻ったのよ。時を戻したように病気の進行を過去の状態とおおよそ同じ状態にしたの」

 

「病状が過去の状態になった……?」

 

「だから治ったとごまかして退院した。この事実を知っているのは私と妖怪の賢者だけよ」

 

「師匠と妖怪の賢者しか知らないのですか……」

 

 

 鈴仙は、永琳の言葉の意味を想像することができなかったが、病状が後退したという事実だけを理解した。少年の病状は、レベル4の状態からレベル1に戻ったようなものなのだとイメージした。

 そして、そのことを知っているのは―――少年の病気について知っているのは紫と永琳だけだと知った。

 鈴仙は、3人目に明かされたことに事の重大さを感じ取っていた。知っているのは、妖怪の賢者と師匠である永琳のみ。その中に自分が入った。名を連ねているものの存在の大きさに、責任の大きさを感じた。

 永琳は、そこまで鈴仙に説明すると少年に向けて病気についての質問を飛ばす。

 

 

「それで、どう? 病気の進行具合は」

 

「前よりは随分マシですかね。いきなり血が喉から湧きあがってくることはないです」

 

 

 少年は、永琳の質問に対して事実を淡々と述べた。病気の症状が抑えられている現状を示し、目に見えた変化がないことを伝える。

 だが、少年はそこまで話すと重苦しい雰囲気を醸し出した。

 

 

「でも……それだけです。症状は大分ましになりましたけど、病気の進行の速度は、おそらく前とあまり変わらないです。私に空いている穴は、埋められたわけではないので」

 

「まぁ、そうよね。変わっているわけ無いわよね」

 

 

 少年の発言は、永琳の予測通りの言葉だった。永琳は、自分を納得させるように何度も同じような言葉を口にする。

 

 

「何もしてないんだから変わっている方がおかしいわ。治っているんじゃないかなんて期待するだけ無駄ね」

 

「はい、期待はするだけ無駄です。むしろ期待されると私が疲れてしまうので、期待するのは止めて欲しいかなって思います」

 

 

 病気の原因に対して何のアクションもとっていないのによくなるはずがないのである。物事には必ず原因があり、結果は原因によって生まれるのだから。大元の原因がどうにかならなければ、結果は同じものが出てくる。

 それに、残念ながら少年の病気は、時間の経過がよくなる類の病気ではないのだから。

 鈴仙は、少年の言葉に耳を疑い唖然としていた。少年が決して言わないと思っていた言葉を口にしたことに驚きでいっぱいだった。

 

 

(笹原さんがあんなことを言うなんて)

 

 

 期待されると疲れる、入院していた時には一言も言わなかったことである。いつも笑顔で苦しいところを誰にも見せずに頑張っていた少年が、期待されて疲れると言っている。確かに常人であれば、過度な期待は重圧を生み、押しつぶされるような気持ちになるだろう。

 しかし、それが少年にまであてはまるとは思っていなかった。少年は、相手の期待を背負って何かをすることが好きなように思えたからである。

 永琳は、置いていかれつつある鈴仙をしり目に、建前を交えて少年との会話を再開する。

 

 

「私は、悪くなってからの貴方しか知らないのだから、期待も何もできないわ。比較ができなきゃよくなっているかどうかなんてわからないもの」

 

 

 普通の人間であれば、治っているものと期待するだろう。少年の頑張りを見ていれば、治っているのかもしれないという希望を持ちたくもなる。

 

 

「それでも、貴方の頑張りはよく知っているわ。それを考えると少しぐらい良くなっていてもいいとは、思うけれどね」

 

「はははっ、この世の中には頑張れば変わることと変わらないものの二つがあるんですよ。これは後者の方です」

 

 

 少年は、永琳の物言いに苦笑した。永琳も少年の表情につられるように、何とも表現しがたい表情を浮かべていた。

 何をしているのか。

 場の空気感が理解できない。

 鈴仙は、二人の淡白な会話に我慢できず、声を荒げた。

 

 

「な、なんでそんな呑気に話をしていられるのですかっ!? 病気がまだ治っていないというのなら今からでも対処するべきでしょう!?」

 

「それはまさしく正論ね」

 

「だったら! 今からでも行動に移るべきです!」

 

 

 鈴仙の言う通りである。病気が治っていないと言うのなら、症状の酷くないうちにできるだけの処置をとる方が賢明である。それこそ、今から処置を行えば治るのかもしれない。治療法が見つかるかもしれない。

 鈴仙は―――そんな淡い期待を持っていた。

 

 

「あの時みたいになったら、今度こそ笹原さんは死んでしまいます!」

 

 

 鈴仙の抱いている希望は僅かな希望であり、万に一つの僅かなものである。

 あの時何もできなかったというのに、今何ができるというのだろうか。

 あの時、最善を尽くして何もできなかったのに。

 今―――何ができるというのだろうか。

 でも―――やらないよりはやった方がマシに決まっている。

 しかし、酷くまともなことを言っているはずの鈴仙に向けられる二人からの視線は非常に冷たいものだった。

 

 

「でもウドンゲ、そうは言うけれどもどう対処するというの? あなたには、何かできるというのかしら?」

 

「そ、それは……」

 

 

 鈴仙は、永琳の言葉に固まり、途中で凍ってしまったように口が動かなくなった。反論の言葉が、次に繋がる言葉が全く出てこなかった。

 師匠である永琳が「どうするの?」という質問を投げかけるということは、病気に対して何一つ打つ手がないということを言っていることと同義だ。あるならすでにやっている、そう言っているように聞こえた。

 鈴仙の口が、永琳が分からないことを自分が思いつくわけがないという潜在意識も相まって完全に閉ざされる。

 永琳は、何も言いださない鈴仙を煽るようにはっきりと告げた。

 

 

「そうよ、貴方はあの時と何も変わっていないわ。あの時と同じように何一つできることは無い。ただ、見守っていることしかできないのよ」

 

「っっ……」

 

 

 鈴仙は、永琳の言葉に歯ぎしりする。

 永琳の言葉は、酷く鈴仙の心の奥に突き刺さった。昔の見ているだけの自分が思い出される。気持ちをこれでもかと揺さぶられる。苦しんでいる人を目の前にして、何もできなかった自分が想起される。

 それでも―――鈴仙は、永琳に向かって何も言い返えすことができない。視線を泳がせながらも視線を送ることしかできなかった。永琳の言葉が真実で―――事実であるため、何一つ反論できなかった。

 鈴仙は、そんな自分が嫌いになりそうだった。

 

 

「八意先生、言いすぎだよ」

 

「笹原は、何を言っているのかしら? 甘やかしても嘘をついても、現実は変わらないわ」

 

 

 永琳の瞳が少年の台詞によってさらに鋭くなる。少年の鈴仙をかばう行為が永琳の反感を買ったようだった。

 

 

「貴方が一番現実を知っているというのに、周りには虚実を並べて、寄りかからせて……」

 

 

 少年は、まくしたてる永琳の物言いに押し黙る。

 

 

「笹原、貴方のそういうところが周りを駄目にしているのよ」

 

「……その通りです。すみません。私が甘かったです」

 

 

 少年は、申し訳なさそうに永琳に向けて頭を下げ、素直に謝った。

 少年は、痛いほど自覚していた。自分の責任で周りに迷惑が掛かっている。悪い影響を与えている。

 それなのに、何もできていない。誰よりも状況を理解しているにもかかわらず、傷つけるからという理由で事実を告げることを後回しにしている。優しい嘘を並びたてて周りを守り、傷つくのはいつも自分で、周りはそれに頼っている。

 それが悪い流れを作り出している。

 周りは優しい少年により頼る、少年はそれに応えようとする。悪い流れは、止まらない。このまま悪い方向に向かってしまえば、あるのは両者共に崖から落ちる未来だけである。

 

 

「笹原には自覚が足りない。そして……」

 

 

 永琳の突き刺さるような鋭い言葉は、少年だけでなく鈴仙にも飛び出した。

 

 

「ウドンゲも来ない方がいいと言ったのに来たということは、このぐらい言われる覚悟があったということなのよ。ウドンゲ自身が事実を知りたいと言ったのだからね」

 

 

 鈴仙は、永琳から告げられた重い言葉に覚悟が足りなかったことを痛感していた。

 しかし―――少年の病気を治すことを諦めることと覚悟が足りないことは別の問題である。

 

 

「私が甘かったのは認めます。覚悟が足りなかったことも認めます。ですが、笹原さんの病気を治すことを諦めることとは話が違います」

 

「へぇ、言うようになったわね」

 

 

 鈴仙は、少年の病気を治すことについて諦めていなかった。

 永琳は、退かずに言い返してくる鈴仙に少し嬉しそうな表情を浮かべるが、すぐさま辛辣な言葉を送った。

 

 

「それでも、言うだけの存在であることに変わりはないわ。解決策の一つも出さずに誰もが分かっている問題を提起するだけの人間は、別に要らないのよ」

 

 

 問題が起こっていることに文句を言うのは、非常に簡単だ。悪いところを探して、問題提起するだけだったら誰にだってできる。戦争反対と、人間同士の殺し合いは悪いと、犯罪が起こるのはいけないと口に出すのは、誰にだってできる。

 

 

「解決策はない。それで結論は出たのよ。探した結果がありませんでした。色々模索して全部やった結果が、何の役にも立ちませんでしたというのが、事の結末なの」

 

 

 肝心なのは、問題を解決する方法だ。

 犯罪が起こっています、社会的な仕組みを変えていかなければなりませんね―――それでは話にならない。だったら、何をどうしたら無くなるのか意見を述べなければ、問題が起こっていることを伝えただけでしかない。

 解決策を持っていない人間が、何とかしなきゃ、それじゃだめだと文句を言うだけだったら、役に立っていないどころか、場の雰囲気を悪化させるだけで、場を混乱させるだけで、邪魔である。

 逆に、こうしたらいいのではないかと具体策を出した人間に対して文句を言うだけの人間は邪魔なだけで要らない。代案を持たずに反論する人間は、他人の邪魔をしているだけで、良くしようと思っていないと思われても仕方がないのである。

 文句を言って、だったらどうするのと言われ―――それをみんなで考えるんでしょ、なんて言ったら話し合いはもう終わりである。

 

 

「ウドンゲは、何か解決策を提示できるかしら? 私たちが思いつかないような解決策を見つけ出すことができる?」

 

「……今は思いつきませんが、今からでもみんなで考えれば、何か見つかるかもしれません」

 

「だったら話は終わりね。探しても見つからないわ。現状はあの時のままで何も変わっていないもの」

 

「本当に、本当に何もできないのですか?」

 

 

 永琳は、再三の鈴仙の問いかけに複雑な表情を作る。

 鈴仙の言葉は、しばらくして永琳ではなく少年に拾われる。少年から悟ったような顔でそっと告げられた。

 

 

「そう、何もできないんだよ。この病気は、どうしようもないんだ」

 

「どうしようもないって……」

 

 

 鈴仙は、少年の言葉に耳を疑った。少年が‘仕方がない’というような「諦めの言葉」を口にしている。普段の少年からは、考えられない言葉である。

 鈴仙は、少しながらではあるが少年の性格を知っている。諦めることなく、腐ることなく、懸命に闘っていた姿を見てきた。少年の心の中には、諦めの言葉というのがないのではないかというほどに努力をしている、そんなイメージがある。

 鈴仙は、そんな少年が諦めの言葉を口にしていることに驚きを禁じ得ず、再び問いかけた。

 

 

「笹原さんは諦めるんですか?」

 

「諦める?」

 

 

 少年は、きょとんとした表情を作った後、すぐさま真剣な表情を作り、自分に語り掛けるように言葉を口にする。

 鈴仙の頭は、次に伝えられた少年の言葉に真っ白になった。少年から鈴仙に告げられた言葉は、諦めを知らない少年から聞くことは無いと思っていた言葉だった。

 

 

「いや、違う。僕は諦めたんだよ。そこをゴールに決めたんだ」

 

 

 ―――諦めた。少年が口にしたその言葉の意味は、何よりも重かった。

 

 


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