学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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スナイパーエリートV2がゾンビやってたなんて知らなかったよ・・・

本編中に出てくるワルキューレのゾンビみたいなのはあのゲーム出てくるゾンビです。
これからは感染者と呼びます。


空母からの脱出

芳佳から教えられて自分達がいる場所が、大きな船こと航空母艦だと分かったイーディ達。

驚きの声を上げた後、外に出られる通路はないのかと芳佳に質問した。

 

「取り敢えず宮藤さん。ここが本当に空母という軍艦なら、周りの見渡せる連絡路はあるのですか?」

 

「えぇーと、すみません、私もこの船の構造は知らなくて・・・」

 

「はぁ~。こんなに大きい船で真っ暗じゃあ、もう絶望的ね・・・」

 

その答えに、ヤンは乙女チックに頬を左手で押さえて暗い表情をする。

芳佳が来ているのは白衣一つだけなのか、スージーが道中手に入れたセーラー服を渡す。

 

「白衣じゃあ寒いでしょ?これを着てください」

 

白衣を渡された芳佳は、それを受け取って着替えようとしたが、リコルスに止められた。

 

「貴女は目線も気付かずに着替えるおつもりですか?」

 

「あっ」

 

うっかり男性陣の存在を忘れていた芳佳はリコルスに言われてようやく気付く。

ヤンは顔を背け、何故かホーマーはイーディに蹴られている。

芳佳が着替えを終えた後、それぞれの自己紹介を始めた。

 

「皆さんはガリア系のお名前なんですね」

 

「えぇ、そうですの。それより貴女は何処の出身で?」

 

イーディに聞かれた芳佳は、自身の出身地日本こと扶桑と答えた。

 

「ふ、扶桑・・・?そんな国は聞いたこともありませんわ」

 

「え?ガリア出身って言ってたじゃないですか」

 

「たしかにガリア出身ですが、扶桑という国は知りませんわ。名前からして、極東の辺りですの?」

 

どうやら別の世界のガリアだと悟った芳佳は、自分の世界のガリアのことを話した。

 

「まぁ、そんなに大きい国でしたの!?私達のガリアは小国ですのよ!」

 

「こっちのガリアと私の世界のガリアじゃ規模が違うんですね・・・こういうのを異世界って言う単語かな?」

 

照れながら言った芳佳は鼻をかいた。

その後、イーディ達はバックパックから米陸軍のアタッチメント部品を取り出す。

様々な部品に目を奪われる中、ピカニティーレイルシステム搭載のM4カービンに装着し、構えて試してみる。

 

「どれが良いんでしょうか・・・?」

 

リィンはACOGとフォアグリップ装着したM4カービンをリコルスに見せて、これで良いのかを問う。

 

「う~ん、これならいけそうですわ」

 

渡されたM4カービンを構えて、リコルスはリィンに返す。

他の面々も各自レイルシステム搭載の銃器のカスタムを始める。

その時、マリーナが近くに武器庫があることに気付いた。

 

「隣に武器庫がある・・・」

 

「嘘ッ、何でこんな近くにありますの!?」

 

驚きの声を上げるイーディ、マリーナは言い訳する。

 

「宮藤のお陰で言いそびれた・・・」

 

「まぁ、それは良いとして早く中に入ろうよ。イーディさん」

 

ホーマーが言った後、一同は武器庫に入っていった。

武器庫の大半はリーエンフィールドNo4Mk1ばかりであったが、この時代にあった銃器は揃っている。

入った一同は、隅に置かれたラジオから流れてくる音楽と不気味に光るランプに驚いたが、丁寧に並べられている銃器類に目が行く。

 

「殆ど私達の時代の小銃が占めておりますが、私達が持っているマシンガンの様な銃がありますわ」

 

目に付いたAR-18を手にとって、リコルスがM4A1カービンと見比べる。

殆どリーエンフィールドNo4Mk1に占められているが、散弾銃ベネリM1とMPS AA-12、回転式拳銃S&W M27、自動拳銃SIG シグプロ、自動小銃ノベンスキーN4CQBモデルとM2カービン、突撃銃AK103とAR-18、短機関銃MP5kとPP-19ビゾンなどが丁寧に並べられている。

 

「このラジオから流れてくる音楽は何とかならないのかしら・・・」

 

ラジオから流れてくる音楽が地味に怖い所為か、ヤンはチャンネルを弄くり回す。

 

「この小型サブ・マシンガン、気に入った・・・」

 

取り回しの悪いM21な為、マリーナはMP5kを気に入り、早速自分の装備に加えた。

構えた後、弾倉を数本手に取って、ポケットに入れる。

各々様々な銃器を手に取り、試しに構え、気に入った物を持って行く。

フルオートで散弾が撃てるAA-12をイーディが持って構え、その軽さに驚いた。

 

「まぁ、このライフルなのかマシンガンなのか分からない銃はとても軽い感じですわ!一体どんな構造なんですの?」

 

「試しに撃ってみれば分かるよ」

 

ホーマーの言ったことに乗ったイーディは、武器庫から出て、角に置かれていた消火器に向けてAA-12を発砲した。

350発分の12ゲージ弾が消火器を鉄屑の固まりに変える。

 

「なんですの!この銃は!?」

 

AA-12の恐ろしい火力に、イーディは唖然する。

その後、各々銃を手に入れたイーディ達は、武器庫を後にし、練習空母マーリアンからの脱出を始める。

 

「まずは船を探しますわよ。リコルス分隊、出撃!」

 

リコルスが指揮を執っている為か、イーディはかなり嫉妬している。

フラッシュライトを付けながら船内を進む中、芳佳を追ってきた感染者の一団と遭遇する。

角材やパイプ、スパナ、バール、非常用斧を持ってイーディ達を殺す気満々だが、周りは怪しいと言うが、リコルスは気付いてないらしく、あろうことかその一団に声を掛けたのだ。

 

「もしもし、あなた方はこの船の船員ですか?少し道を案内させていただきたいのですが・・・」

 

血塗れの白いセーラー服の少女が、話し掛けてくるリコルスにスパナを振り下ろした。

 

「きゃっ!何をするんですか!?危ないですわ!」

 

感染者の水兵からスパナを取り上げようとするリコルスであったが、頭にナイフが刺さっていることに気付き、尻餅を着いた。

 

「あ、頭に・・・ナイフが刺さって・・・」

 

リコルスが言った後、後ろにいたイーディ達は少女にM4カービンを構える。

 

「そこの貴女、妹に近付かないでくださる?」

 

少女の頭にM4A1カービンの銃口を向けるイーディであったが、フラッシュライトに当てられた身体に無数の銃痕が写り、相手がとても危険な人物と判断する。

 

「ヒッ、死んでる位の銃創・・・!?」

 

「っ!」

 

驚いて身動きの取れないイーディの代わりに、マリーナがM9A1を素早く取り出し、少女に数発撃ち込む。

 

「何をする・・・し、死んでいない・・・?」

 

突然拳銃を少女に撃ったマリーナに、リィンは聞き出そうとしたが、撃たれた少女が蹌踉けながらもイーディに襲ってくる事に驚いた。

芳佳は感染者のことを知っている為、イーディ達に知らせる。

 

「この人達は人を食べようとしてます!でも、なんで撃たれたのに・・・」

 

倒れ込んでいたリコルスを立ち上がらせたスージーは襲ってくる感染者の一団に威嚇射撃を掛ける。

銃弾は感染者の足下に命中し、床を跳弾するが、怯まずに感染者の一団は向かってくる。

そればかりか、銃を持った感染者がこちらに向けて撃ってきた。

空かさずイーディ達は応戦する。

 

「撃ってきたわ!」

 

「応戦しますわよ!」

 

イーディが指示を飛ばした後に、芳佳を除く全員がそれぞれ手に持つアサルトカービンライフルを発砲した。

向かってきた鈍器を持った感染者達はそのままイーディ達に向かってきたが、ノベンスキーN4から軽機関銃M249E4に切り替えたホーマーに脚を撃たれ、床にバタバタと倒れ込んでいく。

頭を撃つ以外無力化出来ない為か、這いずりながらもイーディ達に向かってくる。

 

「やはり頭を狙わなくては・・・」

 

MP5kからM21に切り替えたマリーナはAR-18を撃ってくる感染者の警備兵の頭に狙いを定めた。

目の前の目標に精神を集中させ、引き金を引いた。

銃口から飛んだ7.62㎜×51NATO弾が額に命中、脳内を破壊しながら貫通する。

銃声が響いた後、頭を撃ち抜かれた感染者はAR-18を落とし、床に倒れ込んで動かなくなる。

 

「弱点は頭・・・なにかの冒険物小説みたいだね」

 

M249E4の弾倉交換をしながらホーマーは呟く。

次々と感染者は頭部を撃たれ、無力化されていくが、銃声を聞き付けた感染者が続々と集まってくる。

 

「敵が増えてる・・・!?」

 

増え続ける感染者に、リィンはSIGシグプロを撃ってくる感染者から身を隠しながら、弾切れのM4カービンからベネリM1に取り替えて、応戦を再開する。

霧がないと察したリコルスは、応戦しているイーディの隣に寄り添って、強行突破することを知らせる。

 

「お姉様、この軍艦の船員を全員相手するおつもりですか?!前に進みますのよ!」

 

この進めにイーディは敵の数を確認して、リコルスの指示に従った。

 

「ここで敵を相手にしてたら霧が無さそうですわ・・・それより貴女が指揮官じゃなくて?」

 

「うっ、そうでしたわ・・・手榴弾投擲!」

 

M67破片手榴弾を投げ込み、前進の指示を出す。

 

「手榴弾が爆発したら皆様前進しますわよ?!」

 

「この数で前進するの!蜂の巣にされちゃうわよ!」

 

ヤンが悲鳴を上げるかのように反対するが、リィンが賛成する。

 

「数が増えたら厄介です。前進して脱出の手段を探しましょう!」

 

M4カービンの弾倉交換(リロード)をしながら、前進が最適とリコルスに進めた。

敵が増えつつある為、これ以上戸惑ってはこちらが追い込まれて皆殺しにされる。

そう頭に思い浮かべたリコルスは、手榴弾が爆発したので指示を出そうとしたが、仲間が被弾すると思ってしまい、指示を滞る。

代わりにイーディが指示を出す。

 

「分隊前進!」

 

新しい弾倉に変えたイーディは、M4A1カービンを乱射しながら前に出る。

全員イーディの指示に従い、手に持つ銃器を撃ちながら遮蔽物から出た。

芳佳はスージーのバックパックを掴みながら、彼女等と共に前進する。

イーディ達が感染者達がバタバタと倒れていき、一気に甲板近くまで来ることに成功した。

 

「他の方々は後ろを頼みますわ!前の敵兵は私達姉妹が抑えます!リコルス、私達だけでやりますのよ!」

 

「はい、お姉様!」

 

M4A1からAA-12に切り替えたイーディは、狭い通路を群がってくる感染者の一団に向けて撃ちまくった。

挽肉器とも異名を持つAA-12の連射力で肉塊に変えられていく感染者達。

リコルスも負けじとM4A1の銃身に取り付けられたM320グレネードランチャーを発射する。

そのまま飛行甲板に出たイーディ達であったが、芳佳以外の者達が驚きを隠せない。

 

「ようやく外に出られましたわ。大きな船ですわね、あそこがブリッチですの?でも、船がらしき物がありませんわ・・・」

 

周囲を見渡しても、動かせないハリケーンやヘリ、ドーントレスしかない為、イーディ達は困惑するが、芳佳がこの空母に搭載されていた揚陸艇を見付ける。

 

「ネルソンさん達、あそこに揚陸艇が!」

 

「変な形の船ですわね・・・」

 

「文句を言っている場合は無いと思うが・・・」

 

飛行甲板のあちらこちらから感染者達が出て来たことを知らせたマリーナ。

ヤンが男口調になって、背中に背負っていたAT4を取り出し、整備兵の感染者達に向けて撃つ。

 

「邪魔じゃボケッ!」

 

本来は個人携帯用使い捨てのミサイルで、敵兵を一人くらいしか殺傷できない筈だが、運良く後ろのドーントレスに命中した為か、大爆発を起こし、感染者達を一網打尽にした。

 

「どうだ!筋肉があれば出来るんだよ!!」

 

「ヤンさん、男に戻ってますよ・・・」

 

「イヤン、もう聞かないでよ!」

 

スージーに注意されて元に戻ったヤン、一同はそのまま揚陸艇に向かう。

感染者達が襲ってきたが、蹴りを入れたりして何とか払い除け、誰一人掛けることもなく上陸艇に辿り着くことが出来た。

しかし、感染者達はM2カービンやベネリM1、AK103、S&WM27、シグプロ、ビゾンPP-19等をイーディ達に向けて撃ってくる。

先に揚陸艇に乗ったリィンが、エンジンが掛かるかどうかを調べる。

その間にマリーナがM21狙撃銃で、リィンを狙う銃を持った感染者達を抑え込む。

 

「エンジン掛かりました!皆さん、乗ってください!」

 

「分かりましたわ!それでは皆さん、乗船しますわよ!」

 

「船から船へと乗船って言えるのかな・・・?」

 

ホーマーが何か言った後、全員が揚陸艇に乗り込むことに成功した。

しかし、ここで問題が起きた。

その問題とは海面に揚陸艇が浸かってないことである。

衝撃を与えれば揚陸艇を海に着水させることが出来るのだが、イーディ達もとい芳佳もそれを知らない。

マリーナが釣り上げてるロープを切ろうとしたので、イーディ達は全力でそれを阻止。

どうやって揚陸艦を海に、そして無事に着水させるをホーマーが興奮する中で、脳をフル回転して考える。

無事に下ろす方法は釣り上げているクレーンの近くにレバーがあるのだが、それを引くのに一人犠牲にならなければならない。

狙撃でレバーを押し上げる手もあったが、揚陸艇から見ればレバーに届かない。

感染者達の声が聞こえてきた瞬間、クレーンを撃つというアイデアが全員の脳に浮かんだ。

 

「そうですわ!あの釣り上げているクレーンを撃てば良いのですわ!どうして直ぐに思い付かなかったのでしょう?」

 

「まぁ、それは良いとして、早く撃ちましょうお姉様!」

 

全員でクレーンに向けて一斉射撃したイーディ達、その結果、海に早く落ちていった。

 

「キャー!無事じゃないですわー!」

 

そのまま水飛沫を上げて海に着水、衝撃で揚陸艇が揺れ、全員が船酔いを起こす。

 

「うぅ・・・陸に向けて出発します・・・!」

 

左手で口を抑えながらリィンは揚陸艇のエンジンを掛け、陸地へと向かった。

その間、全員が井の中を吐いていたが、舵を握るリィンも吐いてしまっている。

体力が消耗した状態で日本本州(しかも床主)に何とか辿り着くことに成功した。

 

「やっと・・・着きましたわね・・・」

 

「うぅ~まさかこれ程船酔いが恐ろしいとわ・・・」

 

「大丈夫ですか?皆さん、少し横になれば酔いが・・・」

 

上陸した後、一同は砂浜で横になって酔いを覚ますことにする。

酔いが覚めた後、一同はコンパスを見ながら、市街地に入り、そこでワルキューレと死闘を演じるバウアー達と合流することとなるのだった。




次回はイーディ達を加えた黒騎士バウアー編に入ります。

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