着替え終えた女性陣、特に冴子とルリの服装は奇抜であった。
冴子の場合は上は普通の制服だが、下に履いているスカートはとても奇抜、何かするだけで見えてしまいそうだ。
ルリの方はミニスカ迷彩服だった。
「おい、ハーゲン・・・あの小娘は・・・!?」
「ゴロドク、間違いない、あの給油所を紅く染めた少女だ・・・!」
ルリの姿を見たハーゲンとゴロドクは彼女に聞こえないように小声で話す。
ゾーレッツは悟られないように口の動きだけでパッキーに問う、それをありすは不思議そうに見てた。
「(おい!あの虐殺娘は何処で拾った!?)」
「(虐殺娘っ!?メイド服を着ていた家政婦の美少女だぞ。何故そんなに恐れている?)」
「(お前は見てないから分からないだろう・・・多分、赤い目になれば殺し始める・・・兎に角、そうならないように目を見張っておけ!)」
眉間にシワを寄せながら声を出さず、口の動きだけで伝える。
パッキーは、「了解した」と告げるように頷く、一方、バートルこと正徳は、冴子から腰に差した軍刀の事を問われていた。
「正徳さん・・・その軍刀は・・・?」
「これは別れた父が訪問先で再会した際に俺に渡した刀だ。多分、この時代にはもう父は居ないと思うが・・・」
「そうですか・・・失礼なことを聞いてすみませんでした」
冴子が頭を下げて謝ると、正徳は「いや、気にしてはいない」と一言告げる。
チコが見つけたハンビィーのエンジンが無事だとパッキーが告げると、鞠川は安心して、友人の借り物であるハンビィーのエンジンを掛けた。
そして、土手の方にゾンビが居ないかと、孝とコータが銃器を持って偵察に向かう。
「クリア!」
「この辺りに奴らは居ません。先生、車を上げてください!」
孝がゾンビが居ないと河川敷にいたメンバーに伝えると、機銃無しのハンビィーに乗る鞠川が返事をして、猛スピードで土手を上がる。
それに驚いた孝は直ぐにその場から離れたが、コータは、自分の真上を飛ぶハンビィーに呆気に取られていた。
「す、凄い・・・!」
そしてスタントカー並の着地、コータはその光景に腰を抜かしている。
「凄いスタンドだ、ミスマリカワ。何処で習った?」
「え~と、知らない間に出来た」
「はっ?」
ラッツの問いに鞠川はぼけたような返事をしたので、彼はその返答に解せない。
「麗、お前はライフル撃てんのかよ?」
孝はM1A1スーパーマッチを握る麗に問う、それに対し彼女は強気で答える。
「平野かルリちゃんに教えて貰うから、それにこれM14だっけ?確か銃剣が付けられるのかな?」
「ああ、着剣は可能ですよ。それに銃剣もセットで着いてます」
麗に質問されたコータは、M1A1専用の銃剣を着剣した。
「撃ち方も分からないし重いけど、長いから槍のように振り回せる!」
着剣されたM1A1を槍のように突いたり、振り回したりすると、強気で言う。
そしてM2重機関銃付きのハンビィーが土手に上がると、誰が何処に入るかをジャンケンで決めようとしていた。
数分経つと、決まったらしく、それぞれ決められた席へ向かう。
小室一行のハンビィーは、鞠川、冴子、沙耶、ありす、コータ、バウアーが車内に、孝と麗は屋根で見張りをする。
重機関銃付きのハンビィーは、機銃座にラッツ、運転席に正徳、車内はハーゲン、ゴロドク、ゾーレッツ、パッキーにチコ、負けたボタスキーは、車体後部に座れるスペースがある場所、そしてルリは小室一行のハンビィーのトランクである。
「よし、出発しよう。道案内は任せたぞ、小室!」
「はい!」
パッキーの掛け声に孝はそう返した後に、2両のハンビィーは、高城の家に向けて走り出した。
暫く、住宅街を走る中、麗が孝に話し掛ける。
「ねぇ、孝。気付いてる?」
「何をだ?」
「あたし達・・・夜が明けてから一度も出会してないわ」
その麗の言葉に、小室一行のハンビィーについてくるパッキー達が乗るハンビィーにも聞こえた。
「あの嬢ちゃんの言うとおりだ、今日が始まってからまだゾンビを見てない」
機銃座に居るラッツが口を開いた後に、ハーゲンが付け足すように言う。
「俺達もそうだ、橋の側面を歩いても死に損ない共の呻き声一つもしなかった。まぁ、それで安心して橋を渡れたがな」
「こいつの言うとおりだが、俺は昨日まで眠れないほど煩く飛んでいた飛行機が一機も空を飛んでいない事に疑問に思う・・・これはきっと何か裏があるかもしれん・・・」
そう言った後、ゴロドクは頭を抱えて悩み始める。
後部に座っていたボタスキーが通り過ぎていく住宅や店を眺め、不満げな顔をしながら口を開いた。
「でも、店と家からも一体もゾンビは現れてないよ。あいつ等確か音に反応するんだっけな?もうウヨウヨと出てくる頃なのに・・・」
「馬鹿野郎、今出て来たらえらいことになるだろうが!」
ボタスキーの発言にゴロドクが活を入れている頃、小室一行のハンビィーでは、コータがありすにこの地域の店の紹介をしていた。
「あれは軍の払い下げが売られてるバイク専門店だ」
平野はハンビィーの防弾ガラスの窓越しでありすに無人と化したバイク店を見せる。
ありすは笑みを浮かべてバイク店を見ていた。
それを沙耶は「なんで私より詳しいのよ」とツッコミ風に言いながら悔しがっている。
そのまま高城の家まで安全に行けると思ったが、それは叶うことはなかった。
麗が行く先に群がるゾンビ達を発見し、直ぐ皆に伝える。
「孝、奴らよ!」
「なに、死に損ない共だと!?」
知らせを聞いたゴロドクが叫んだ後に、小室一行のハンビィーは急に曲がった。
「おい!何所へ行くつもりだ!?」
ゾーレッツが叫び、正徳が必死に小室一行のハンビィーのハンビィーを追い着こうとしている中、ラッツはM2ブローニングの安全装置を外し、進路の邪魔になりそうなゾンビに向けて発砲し始めた。
「ミンチにされたくなきゃ道を空けろってんだ!」
ラッツは叫びながらM2の引き金を引き続け、発射された12.7㎜弾はゾンビ達を引き裂いていく。
小室一行のハンビィーは脇道に沿って、ゾンビを避けようとするが、ゾンビの数は増える一方。
「ここもいっぱいよ!もう嫌ァ!」
「二丁目に近付くに連れてどんどん奴らが増えているぞ!」
猛スピードでゾンビを跳ねながらハンビィーは進んでいる。
必死にしがみつきながら、孝は後ろを振り返ってみると、パッキー達が乗るハンビィーは消えていた。
「まずい!先生ェ!パッキーさん達の車が後に居ません!!」
運転席にいる鞠川に孝は必死に伝えたが、彼女はハンドルを回すのに必死で孝の声など聞こえてなかった。
そして目の前にある危険な物を誰よりも先に見つけた麗は、直ぐ鞠川に止めるように叫ぶ。
「止まって!」
この事に鞠川は戸惑い、気付かなかったが、直ぐに気付いた冴子の叫びでハンドルを回した。
「ワイヤーが貼られているぞ!車体を横に向けるんだ!」
言うとおりに車体を横に向けた、ワイヤーと車体の間に挟まれたゾンビは細切れとなり、コータがそれを見ないようにありすの目を隠す。
「血油で滑っている上にタイヤがロックしてます!先生!ブレーキ離して少しだけアクセルを!」
「直ぐに言われても無理ぃ~!」
コータの助言で直ぐ鞠川は行動に移し、ハンビィーを止めた。
だが、急停止した為に車上に居た麗が飛び出し、ボンネットにバウンドして地面に叩き付けられた。
孝は直ぐに車上から飛び降りて、麗の近くにいたゾンビをイサカM37の木製ストックで倒す、その後イサカM37をゾンビに構えてる。
「スライドを引いて・・・撃つ!」
そう言うと、M37の
銃口から飛び出した弾丸が四方に飛び、ゾンビの身体に食い込むが、頭部には一発も当たってなかった。
次話は戦闘ですぅ。
バウアーを忘れたので修正っ・・・!