橋に近い建造物の部屋で黒騎士ではないバウアーが目覚めた。
右手にはモーゼルC96が握られており、部屋の出入り口は相当頑丈そうなバリケード張り巡らせて外敵からの侵入を防いでいる。
目を覚ました彼女は、乾パンを口に含むと、出入り口のバリケードを退けて最低限の手荷物を持って部屋を出た。
そのまま建造物を出ると、棍棒を構えながら街の中を進む。
途中、複数のトラックの走行音が聞こえた。
直ぐにバウアーはそこに向かう。
「軍用トラックかな?」
目の前を通り過ぎていくトラックを見ながら口を開く、トラックの荷台には物資や兵士を載せている。
その乗っている兵士達はこの時代の完全武装と軽装備、何故かトラックの運転手も含めて皆女性であるが、バウアーから見てみれば軽装備の兵士達しか確認できない。
「女性だから軽装備かな・・・?」
そう口にした後、助けを求める市民が現れた。
「おーい、乗せてくれ!街は危なくてまともに歩けないんだ!」
3人の市民はトラックに止まるように言ったが、無視されてる。
「クソォ、何だよ!乗せろよ!」
1人は通り過ぎていくトラック群に唾を吐く、その時1台が止まり、運転席の窓から軽装備の女性兵士が顔を出す。
「あ、女神様。俺達を助けr」
自動拳銃ベレッタM950を男の1人に向けて撃った。
乾いた銃声が鳴り響き、気付いた他の2人は逃げだそうとしたが、荷台にいた女性兵士のM4クローン系LWRCM6A1の銃撃で射殺された。
現場に居合わせていたバウアーは即刻ここから離れる。
彼女の存在に気付いた女性兵士達は直ぐに銃撃を加えてくきた。
充分に離れた後、様子を窺おうとしたが、何人かが銃を持ちながら向かってきた。
銃声に釣られてゾンビが女性兵士達に向かってくるが、頭を撃たれて全滅する。
移動しようとした瞬間、隣にゾンビが居た。
「・・・どうも・・・」
直ぐ頭を棍棒でかち割り、その場を逃げ去った。
一方のルリも目を覚まし、ベランダから見える光景に視線を向ける。
「このまま、寝ちゃおうかな・・・」
目の前に映る光景から逃げようとしたが、諦めて身体を起こす。
全裸のままで軽く朝食を済ませた後、そのまま浴室に向かい、シャワーを浴びた。
それが終えたら、新しく用意したタオルで身体の水分を拭き終え、上に銃器やショルダーバックがあるベットの着替えを取る。
下着を着用してセーラー服を着ると、髪型をツインテールにしてから身体にガンベルトを装着し、自動拳銃P232をそこへ入れた。
SR-3ヴィーフリとUMP45のスリングを身体に巻き付けると、ショルダーバックに詰め込んだ後、それを背負い、部屋から出た。
バリケードを退けた後、UMPを構えてゾンビが居ないか確認、居ないと確信すると、マンションを出る。
出れば、銃声や悲鳴が聞こえており、空に黒煙が見える。
それを見た後、道路に足を動かす。
「まずは橋に向かわないと・・・東だっけ?」
コンパスを取り出して方角を確認、東に向かう。
「あっちの方向・・・かな?」
東橋に向かうヘリを見ながら、それについていく、周りにゾンビは居たが、彼女は無視した。
走りながらついていくが、追いつけるはずもなくヘリを見失なってしまう。
仕方なく東に行く道を探す。
探してる最中に付近から銃声が響いてきた。
直ぐにルリは、銃声がする方へ向かう。
「また戦乙女の使い・・・戦ってるのは・・・?」
口を動かしながら双眼鏡を取り出して、ワルキューレの兵士達が撃っている方を見る。
そこに居たのはゾンビではなく、何処かの特殊部隊の様だ、彼等も銃を使い、ワルキューレの兵士達に撃ち返している。
「これを使ってみよう」
ショルダーバックから梱包爆弾を取り出し、導火線に火を付けた後、ワルキューレの居る方向へと投げ込んだ。
応戦に夢中になっているのか、梱包爆弾の事には気付かず、その数秒後爆発、何人かが爆風で死亡した。
残りのワルキューレの兵士達はその場から逃げようとしていたが、特殊部隊に射殺される。
「許してね」
爆風で吹き飛んだ女性兵士の額にキスをした後、ルリはその場から去っていった。
その後は暫くは街をさ迷う。
「う~ん、何処から行けば・・・」
東橋への道を探す中、遠くの方に軍服の少女を見つけた。
「誰?」
双眼鏡をまた取り出し見てみると、それはドイツ国防軍陸軍の戦車兵の野戦服を着た少女だった。
左目には眼帯を巻き付け、士官帽を被っているが、アホ毛が飛び出してしまっている。
棍棒を構え、警戒しながらルリの方へと向かってくる。
「この娘、連れて行こうかな?」
早速ルリは少女の方へと向かっていった。
ルリの存在に気付いた少女は驚いて、ルリを警戒するが、ルリがドイツ語を喋ってみると、安心して棍棒を下げた。
「ドイツ人か・・・私はバウアーです。貴女は・・・?」
黒騎士ではないバウアーの方だ、名前を聞かれたルリは直ぐに答える。
「ルリです、貴女は異世界から来たの?」
「はい、確か避難民を連れて、アーミーの航空機にやられてからいつの間にかこの世界に来てました」
その後、ルリとバウアーはそれぞれの情報を交換した。
「行き先が無かったら私と来ないかな?あっちの方向で友達と待ち合わせしてるんだけど」
ルリは東の方を指す。
「うん、じゃあ、ルリちゃんについていく」
完全武装でセーラー服を着た美少女についていけば安心と判断したバウアーはルリの誘いに同意した。
その後、2人の少女は東橋に向かう。
次こそは・・・!