ルリが撃たれて孝と麗が逃げた後、その場に小松達ことオメガ・グループも居た。
『こちらオメガ11、オメガ7、全員始末したんじゃ無かったのか?敵の増援が着て居るぞ』
小松の耳に付いた小型無線機から他の隊員の無線が入る。
「このビルに居た奴は全員始末したはずだ。あそこで死んでる軍服少女の所為じゃないのか?」
返答した後、ガソリンスタンド近くに居る複数の重装備の兵士達を窓から確認した。
「AK系統にM16系統・・・他はブルパップか・・・」
「小松さん、AK系統はAEK-971にAKS74u、他のAKは東ドイツライセンス生産のMPiですね」
「田中、お前そう言うの詳しいな」
M203付きM16A1を持つ田中の観察に平岡が言う。
「まぁ、これでも元自衛官で軍オタなんで。M16系はM4のクローンモデルですね・・・最近出た銃器は分かんないです」
「え?最近のは知らないのかよ。じゃ・・・ブルパップは?」
小松は田中の知識の限界に皮肉り混ぜながら言う、それに対して田中は彼等に見えない様に嫌な顔をして答える。
「ブルパップはフランスのFAMASにオーストリアのステアーAUGとAKのブルパップ版のOC-14ですかね・・・?」
田中の銃器紹介が終わると、小松と平岡は移動を開始する。
「お二方、何処行くんですか?」
「命令が出た。屋上まで行って、隣のビルに飛び移るだってさ」
「僕はグレラン付きの重装備ですよ?それに間も結構ありそうだし・・・」
「そこは気合いでなんとかしようだ。田中、グチグチ言ってないで早くしろ。それに軽歩兵の増援だ」
平岡はその場に居る田中に声を掛けた後、小松の後に続いていく。
その場に取り残されている田中は追い着こうと走って、小松等に後に付いていった。
その頃、ルリの倒れた場所にMPi-KMを持った何人かの重装備な女性兵士が集まっている。
彼女等が取ってる行動はルリが履いている軍靴やM41野戦服とM40ズボン、靴下を脱がしている。
所謂戦利品の漁りだ。
漁ってる彼女等の顔つきは何処か懐かしそうな表情を浮かべていた。
それを見ていた軽装備のワルキューレの兵士達が口を開く。
「あれって・・・死体漁りでしょ?見逃して良いの?」
「止めといた方が良いと思うよ?何処からか流れてきた元兵士だし・・・殺されるかもよ?」
「怖ァ!で、何か口ずさみながら言ってるけど・・・あれ何喋ってんの?」
「まぁ、私ドイツ語分かるから・・・懐かしいとか、昔を思い出すとか言ってる」
「元サバゲー部かな?」
もう1人は死体漁りを終わりを終えて服とズボンを持ち帰る兵士達を見た後、下着だけが残されたルリに近付く。
「可哀想に・・・こんなに可愛いのにね・・・」
動かないルリを抱き上げて、哀れみの目でルリの顔を見ながら言う。
死体漁りを終えた兵士達が去った後、ルリの手が微かに動く。
「この娘・・・死んでない・・・!?」
驚いた女兵士はルリを放し、離れたところからMP5A5で地面に横たわるルリに向けて構えた。
それに続いて周りにいたワルキューレの兵士達も手に持つ自動小銃や短機関銃を構える。
MP5を彼女に向けて構えていた兵士はどうしようかと近くに居る兵士の顔を見たが、「お前が調べろ」と小首を動かす。
額に汗を垂らしながら安全装置を外した兵士はMP5を構えながら、目の前に横たわる鮮やかなブロンド髪な美少女の身体に触れた。
「死んでるよね・・・?」
身体に触れながら口ずさむと、次は首筋を触り、脈を調べようとする。
突如、ルリの目が見開き、MP5を構えた兵士を見た。
見られた兵士は腰を抜かし、倒れ込む。
彼女を見るルリの目は綺麗な水色から赤い目をしており、不気味な笑みを浮かべている。
周りにいる女兵士達も表情に恐怖を浮かべて手に持つ銃をルリに向ける。
倒れ込んだ兵士は直ぐにMP5を彼女に向けて発砲した。
床主市内で銃声が響き渡っている頃、近くに戦車撃墜王ミハエル・ヴィットマンが愛車のティーガーⅠ後期型と共に転移していた。
「(
キューボラから上半身を出して周りのフランスとは違う異形な景色を見ながら思う。
ちなみに彼が転移前の時期はサントーに向かってる最中の英軍との戦闘中にだ。
彼のティーガーは街道を走りながら床主をさ迷っている。
「戦車長!前方に街らしき建造物群が!」
「よし、直ぐにそこへ向かおう!全速前進!」
砲手の報告でヴィットマン等が乗るティーガーは街に向けて進路を取った。
そこで思いもよらぬ出会いをするとは知らずに。
ヴィットマンの視点が短い・・・