学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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ようやく源文勢の登場です。


夜の街へ・転移した者達

トンネルを抜けた孝と麗にルリは見回しが効く土手まで向かう。

 

「これからどうするのよ?」

 

「これからどうしようにも、足がないな・・・」

 

麗の問いに孝は悩むように答える。

ルリは先程MP40とワルサーPPkを失った為、不要な弾倉やポーチ、拉げて撃てなくなったkar98kと下ポケットに入った弾嚢を捨てた。

軍事マニアに売りつければかなりの高額で買ってくれそうだが、生憎ここには専門家もマニアも居ない。

その時、孝が単車用のヘルメットを被った奴らに襲われた。

 

「この・・・!」

 

上に乗り掛かられて身動きが取れない孝、しかし、麗が後ろからコンクリートブロックで奴らの頭をかち割った。

 

「ありがとう」

 

「いえ、どうする?街まで歩き?」

 

「他に方法が無ければ・・・今の奴メットを被ってたな?」

 

「それがどうかしたの?」

 

孝の思いつきに麗は疑問に思う。

 

「そこら辺にバイクとか在るかも」

 

そう言って、孝は周辺を探り始める。

案の定、直ぐに見つかり、拾い上げて土手まで持ってきたが、ルリの怒った表情を見て困り果てた。

 

「あぁ・・・忘れてた・・・このバイクは3人以上は乗れないし・・・」

 

ドイツ国防陸軍歩兵の基準装備がほぼ無しだが、幾ら小柄なルリでも2人以上はバイクに乗れない、定員オーバーだ。

彼女の真っ赤な顔を見た麗は迷う孝に話し掛けた。

 

「やっぱり歩いていく?」

 

「そうするしか・・・え?何?」

 

ルリが孝に近付き、袖を引っ張る。

そして指を指していた、孝は指を指した方向を見ると、ルリがそこに向かった。

孝はルリについていく。

 

「おい、待てよ」

 

暫ししてからルリが足を止めて、上がってきた方の逆を示した。

孝は彼女の側に行き、下を見た、そこにはサイドカーがあったが、しかし周りには4体の死体がある。

直ぐに麗を呼ぶ。

 

「なに・・・?」

 

「ルリがこんな物を見つけたんだが・・・」

 

「サイドカーに死体!?これに乗るの・・・?」

 

麗がルリの顔見て質問した。

もちろんルリは首を縦に振り、笑みを浮かべる。

その可愛らしい表情に2人は苦笑いをした。

 

土手を降りて、運転席に居る死体を退ける、その死体は体つきからして女性であり、軍服だ。

だが顔面が何かで吹っ飛ばされた後があり、どんな顔だったが分からない。

他の3人も軍服を着ており、全員女性だ。

身体に何かを銃弾でも食らった様な傷跡があり、そこから血が吹き出ていたが、顔の方は無傷だ。

恐る恐る近付いて顔を見てみると、美人で、童顔な幼い顔つきも居た。

 

次に拳銃、短機関銃を調べたが、血を浴びたり折れて使えない、使えるのは拳銃のグロック26だけだ。

仕方なく、予備の弾倉を回収する。

 

「映画で良く見る拳銃だけど・・・使い方は分からないし・・・」

 

孝は唯一無事なグロック26を見ながら言う。

その時、ルリがサイドカーに付着した血を拭き終えたと伝えた。

 

「終わったよ。あ、その銃私が持とうか?」

 

話し掛けられた孝は直ぐに予備の弾倉と共にグロック26をルリに渡した。

そして土手にサイドカーを上げると、直ぐに乗り込んだ。

孝はハンドルを握り、麗は孝の後ろ、ルリは二番席に座っている。

エンジンを掛け、街に向かって走行し始めると孝の後ろに乗る麗が話し掛けた。

 

「免許持ってたっけ?」

 

「無断免許運転は、高校生の特権!」

 

エンジン音を鳴らしながらサイドカーは街へと向かった。

 

その頃、“地獄”に転移した者達は、突然変わった景色に驚きを隠せないでいた。

 

黒騎士の場合

 

「ん?ここはニューヨークか?」

 

日本の床主近くの何処かに転移した黒騎士中隊は景色の変わりように戸惑っている。

パンターに乗るクルツは地図を開いて確かめるもここは第二次世界大戦のドイツでは無いので意味はなく、開いている地図を閉じる。

 

「看板に漢字が書いております。大尉殿」

 

「おそらく上海の何処かだ。クルツ、偵察に出るぞ。残りは車輌に待機」

 

ティーガーⅡやパンターの戦車長であるバウアーとクルツはStG44とM24柄付手榴弾を装備して戦車から降りた、そして近くにあるビルの偵察に向かう。

 

パッキーの場合

 

「ここは何処だ・・・?」

 

転移した場所は床主市。

ヘリから放り出されたウサギことパーキンスは無理もなく景色の変わりように驚く。

 

「どうやらここはカンボジアでは無いらしい・・・」

 

XM177を杖代わりにして立ち上がると、周りを見渡した。

偶然にも鏡を見つけてしまい、自分の姿がウサギではなく“人間”に鳴っていることに驚いた。

 

「人に戻ってる・・・!下は履いてるな・・・」

 

そう言った後、部屋に居ることを確認し、ドアを開けて警戒しながら外に出た。

 

ハーゲン・ゴロドク、逆福コンビの場合

 

1943年の東部戦線から床主市に転移した4人の戦車兵は景色の変わりように驚いている。

そしてハーゲンとゴロドクはいきなり殴り合いを始めた。

 

「このドイツ野郎!一体どんな兵器を使った!?」

 

「知るか!俺はこんな兵器は見たこともないし聞いたこともない!!」

 

殴り合いをする2人をバートルとゾーレッツは止めに入る。

 

「止めろ、止めろ。今は殴り合ってる場合じゃないだろう?」

 

ゾーレッツは2人の間に入り、殴り合いを止める。

バートルは看板を見てここは日本だと、直ぐに分かった。

 

「ゾーレッツ!ここは日本(ヤパーニッシュ)だ!」

 

「なに?ここが日本(ヤパーニッシュ)?中国の上海か香港じゃないのか?」

 

「いや、書き方が違う。間違いなく日本だ」

 

「ホントか?ここが日本(ヤーパン)なのか・・・」

 

「俺達は一体どうしたって言うんだ・・・?」

 

バートルが看板を見てそう断言した後、ハーゲンとゴロドクは殴り合いを止めて、空を見上げた。

 

Zbvの場合

 

日本の何所かの平地

この平地は”奴ら”が発生した時からずっと霧に包まれていた。

何分かするとディーゼルエンジン音が聞こえ、そこからティーガー重戦車4台とSdkfz251装甲兵員輸送車5両にトラック7両が現れた。

そう、彼等はこの地獄に展翅した懲罰装甲大隊Zbvだ。

 

「前方視界不良、いったいここは何所なんだ?」

 

ティーガーの車内で砲手のアッシュが呟く。

 

「何所でも良いよアッシュ、俺達はシュタイナーの奴に地獄まで連れて行かれたんだ」

 

「畜生、シュタイナーの野郎めぇ・・・!何所まで俺達を呪う気だ?」

 

コワルスキーがアッシュと呼ばれる戦車兵と会話する。

それに見かねたのか戦車長のメガネを掛けた無精髭な男が2人を注意した。

 

「アッシュ、コワルスキー!無駄話はやめて周囲を警戒しろ!」

 

怒鳴られたアッシュとコワルスキーは「分かったよブルクハイト」と言って仕事に戻った。

ブルクハイトは首に付いた無線機に手をやる。

 

「こちら狼1、こちら狼1。狼の頭、応答せよ」

 

しばらくして通信が帰ってきた。

 

『こちら狼の頭、狼1どうした?』

 

「どうしたもこうしたもありません。一体ここは何所なんですか?」

 

『知らん。こちらは何人かに偵察に出て貰う手筈だ。それよりも狼1は前方を警戒しろ。交信終了』

 

ブルクハイトは舌打ちし、無線手に通信を始めるように指示した。

 

「無線を開け、近くの前線に交信して情報を集めろ」

 

「分かりました中尉殿」

 

それを見ていたアッシュとコワルスキーはヒソヒソと話し始める。

 

「ブルクハイトの奴、いらついてるぞ」

 

「シュタイナーの奴がまた何かやらかしたのか?」

 

「聞こえてるぞ。さっさと働け、このお喋り共め」

 

喋る2人にブルクハイトは睨み付けながら言った。

次にブルクハイトはキュポーラのハッチを開け、上半身だけを外に出し、手に持ってる双眼鏡を覗いた。

 

「霧で視界不良。ん?前方に煙が見えるぞ・・・前線か・・・?霧が晴れた。ん?これは・・・!?」

 

ブルクハイトが見た物はそこら中から煙や銃声が響き渡る町であった。

これを見た彼は無線に手をやり、部隊長であるシュタイナーに報告する。

 

「こちら狼1より狼の頭へ。凄い物を見つけたぞ・・・おい、止めろ!」

 

彼はティーガーを操縦する戦車兵に止めるように指示した。

しばらくしてこの部隊の全ての乗り物が停止し、部隊長であるシュタイナーがブルクハイトの近くに向かう。

 

「ブルクハイト、凄い物とは何だ?」

 

シュタイナーはブルクハイトに問う。

 

「これです。前方の・・・」

 

シュタイナーはブルクハイトから双眼鏡を受け取り、それを見た。

 

「これは・・・!我々はアメリカか何処かの世界に転移したとでもいうのか・・・!」

 

地獄に転移したことが分かったシュタイナー。

余りにも驚いた表情をしている為にアッシュとコワルスキーは珍しそうに彼の顔を見ている。

こうして彼等、第二次世界大戦の戦士達は地獄へと足を踏み入れた。




CODの変人4人組とヴァルキュリア人達は後で書きます(爆

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