学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

10 / 120
脱出と憎しみ

小室達は悲鳴が聞こえた階段に向かった。

そこには悲鳴を上げた女子生徒と男女数名が複数の“奴ら”に囲まれている。

 

「卓造・・・!」

 

「くそ、下がってろ!!」

 

卓造と呼ばれる少年はバットを奴らに向けるが、彼がバットを振りかざす前にその奴らが突然倒れた。

倒した者の正体を見れば殴ることしかできないkar98kを棒の様に持ったルリだった。

そして残りの奴らも麗、孝、毒島に倒され、最後の1体は銃座での頭を撲殺される。

 

「あ、ありが」

 

「大きな声を出すな、噛まれた者は居るか?」

 

「え、居ません、居ません!」

 

「大丈夫みたい・・・本当に」

 

新たに数人加えた一行は階段を抜けようとするが、靴箱前に何体か奴らが居て進めない。

 

「やたらといやがる・・・」

 

「手榴弾なら持ってますが?」

 

ルリは腰に付いているM24柄付き手榴弾を見せるが、高城に直ぐに却下された。

 

「そもそも、見えてないから隠れることもないのに」

 

「じゃあ、高城が証明してくれよ」

 

「例え、高城君の説が正しいとしてもこの人数では静かに動けん、校舎の中を進み続けた襲われた時に身動きが取れない」

 

毒島の言葉に暫し全員沈黙する。

 

「玄関を突っ切るしかないのね・・・」

 

麗はウロウロする奴らを見て言う。

 

「誰かが、確かめるしかあるまい・・・」

 

毒島が言った後、孝は彼女と目が合う、彼は自分から行こうとしようと口を開く。

 

「僕が「私行きます」っ!?」

 

ルリが志願したことに孝は驚き、行かないように説得を始める。

 

「君は残れよ」

 

「私の方がみんなの中で一番小さいので、自信はあるよ?」

 

そう言うとルリは靴箱へ向かって行った。

目の前に奴らが現れたが、彼女は足音を立てずに避けていく、踊るように奴らを避けていき、靴箱に着く。

見ている全員はルリの事を「バレリーナか?」と思う、ルリは床に落ちていた靴を離れた場所にある警報装置に向けて投げつける。

 

音に引き寄せられ靴箱前にいる全ての奴らは吸い込まれる警報装置に向かっていく、合図をすると全員が玄関へと向かって行った。

全て行程通りに運ぶかと思いきや、刺又を持った少年が金属の手すりにぶつけて大きな音を出してしまう。

その音に学園内に居る全ての奴らが小室達の存在に気付いた。

 

「走れ!!」

 

孝は叫ぶ。

 

「どうして大声出したのよ!黙っていれば手近な奴らだけ倒してやり過ごせたのに!」

 

「だってあんなに音が響くもん!無理よ!」

 

麗が答えた後、高城の後ろに居る奴らを毒島が倒した。

 

「口より足を動かせ!バスまで一気に行くぞ!」

 

武器を持つ一同は次々と奴らを倒しながら前進する。

MP40などの武器を持つルリは頭に向けて発砲しながら徐々にバスの距離を縮めていく、距離が半分に近付いたときに首にタオルを巻いた少年がタオルを掴まれ、奴らの頭を叩こうとしたが、鎖骨に当たり、その腕を噛んだ。

 

「うわぁ・・・あ・・・」

 

その少年の恋人が振り返り、少年の元へ向かうが高城に止められる。

 

「諦めて!噛まれたらもう・・・」

 

少女は高城の腕を振り払って、目に涙を浮かべながら複数の奴らに喰われている少年の元へと向かう、それを見たルリは少年に群がる奴らと少女諸共に向けてMP40を乱射した。

何体かは残っていたが、ワルサーPPkで頭部を撃たれ、全滅する。

少年と少女はまだ息があったが、ルリに「殺してくれ」と目で伝え、彼女は言うとおりに新しい弾倉を換えたMP40の銃撃で少年と少女を撃った。

その後ルリはバスの元へと走る。

 

「ちゃんと教えてあげたのに!どうして戻るのよ!信じられない!」

 

高城はあの少女の行動に納得できないようで、麗が何かを表情をしてると、鞠川が口を開いた。

 

「私、分かるわ。もし世界中がこんなに成ってしまったら・・・好きな人と死んでしまった方が楽だもの・・・」

 

その言葉に麗と高城は驚いた表情をした。

高城は激怒し、叫ぼうとするが隣にいつの間にか居た奴らが倒れた事で、突っ立てる場合じゃないと気付く。

そしてバスに鞠川と高城が到着、遅れて平野が到着し、窓から支援攻撃を始める。

 

ルリは腰に付いた柄付き手榴弾を奴らが多く集まっている所に投げ込んだ。

破片を飛ばさないこの手榴弾は多数の奴らの足下に落ちると、爆発し、多数の奴らを殺傷したが、何体かは這いずりながらバスに向かう孝と毒島の元へ向かってくる。

トドメにMP40で這いずりながら向かう奴らに向けて弾をばらまいた。

腰に付いている最後の手榴弾を人気がない場所に投げ、バスへと一気に走る。

 

爆発音が聞こえ、生者を追っていた死人達は爆破音が聞こえた方へと向かっていった。

もう少しでバスと思った瞬間、突然バランスを失い転んだ。

MP40が少し進めば届く距離にあり、それを取ろうとしたが、何かに足を引っ張られて届かない。

後ろを振り返ると、青い眼光を光らせる上半身を地面から出した奴ら(ゾンビ)が呻り声を上げながら、彼女を引っ張ろうとしている。

ワルサーPPkを取り出してその軍服のゾンビの頭を撃った。

頭を撃たれたゾンビは直ぐに下を向いて動かなくなったが、まだルリの足を掴んでいる。

直ぐにスコップで掴んでいる腕を取り払った。

 

そしてMP40を拾い上げ、バスに向かう。

バスにはもう全員乗り込んでおり、エンジンも掛かっていつでも出発できる。

そこへ遠くから声が聞こえた。

 

「・・・くれぇ!」

 

見れば眼鏡を掛けた教師の男を筆頭にこちらへ向かってくる。

後ろには複数の奴らが彼等を追いかけている。

 

「3年A組の紫藤だな」

 

「紫藤・・・!」

 

麗が眼鏡の男を見て、顔が憎しみに染まっている。

 

「もう出せるわよ!」

 

「もう少し待ってください!」

 

その孝の言葉に麗が声を荒げた。

 

「あんな奴、助けることないわ!」

 

「麗!何だってんだよ、一体!?」

 

「助けなくて良い、死んじゃえばいいのよ!」

 

孝と麗が口論を始めた。

この間にルリは窓を開けて、走る青い眼光のゾンビを銃撃する。

その時、1人の男子生徒が足を挫いて転び、眼鏡の教師に助けを求めたが、顔を強く蹴られ、のたうち回っている内に追ってきた奴らに喰われた。

 

紫藤が最後に乗り込んだのを確認した鞠川はバスを出す。

目の前に青い眼光の軍服ゾンビが居たが、容赦なく跳ね殺し、学園の門を潰して奴らの巣窟と化した藤美学園から脱出した。




原作通りです。
オメガ何処で出そう・・・?
そして源文勢の出すタイミングは・・・?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。