実験室のフラスコ(2L)   作:にえる

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流行りに乗ります。
ONE PIECE FILM REDのネタバレしかないです。



これ読んだら映画観なくていいってコト!?


ONE PIECE FILM RED その1

 

 --1

 

 転生したので暴力で生き残ることにした。

 いや、転生していきなり暴力に目覚めたわけではない。

 俺が転生してまだ3歳くらいの時の話をしよう。

 平和な島に住んでいたのだが、海賊によって攻められた。

 が、平和な島に休息目当てで訪れていた賞金稼ぎや、助けを求めた近くにいた海軍の力で海賊は軒並み捕まった。

 よかったよかった。

 

 しかし、これがもっと強い海賊だったらどうだ。

 海軍が間に合わなかったら。

 賞金稼ぎがいなかったら。

 そもそも今の時代、世界中の治安がめっちゃ悪い。

 他人に命を委ねるのは恐ろしいことだ。

 

 だから俺は暴力に希望を見出した。

 

 やはり暴力……!

 暴力は全てを解決する……!

 

 

 

 

 

 --2

 

 そういうわけで暴力に目覚め、暴力の下地を作り、ちょうどいいタイミングで「えぇー!!! ワンピースの世界だこれぇ!!!」ってワンピースモブっぽい反応をしながら暴力を磨くことにした。

 金銭的に賞金稼ぎになるのも悪くないと思ったこともあったのだが、俺を師事してくれるのなんてワンピース的平和な島にバカンス気分で訪れたワンピース的賞金稼ぎだったからな。

 教えてもらえることなんてワンピース的六式を知っているわけもなく、精々ワンピース的筋トレしてワンピース的見せ筋鍛えて、ワンピースモブが愛するワンピース的サーベル片手にワンピース世界で最も普及してるワンピース銃を構えることくらいだった。

 これじゃワンピースなんちゃって賞金稼ぎにしかなれないし、一般的なワンピースモブとして搾取される側となってしまう。

 

 そういうわけで、ワンピースモブを抜けるために暴力を求めたがためにワンピースの海軍に入った。

 

 言ってはなんだが、ワンピースモブ賞金稼ぎ見習いからワンピースモブ海兵見習いへとクラスチェンジしての訓練は楽しかった。

 鍛えれば鍛えるだけ成果が出る。

 まあ天才とか悪魔の実を喰ったやつとかヤバすぎのヤバヤバのヤバだから見ないことにしたら楽しいからセーフ。

 うおおおおお!!っと寝るまで訓練して寝る時は全力で寝ていっぱいご飯食べて六式覚えたいから六式六式六式六式六式六式六式六式六式六式六式六式と連呼して訓練した。

 配属先の要望も聞いてくれるというので、六式のとこをアピールした。

 

 

 

 

 

 科学班に出向となった。

 科学か。

 そうかー。

 

 六……式……?

 

 

 

 

 

 --3

 

 俺のお仕事は六式のマニュアル作成らしい。

 技術を数値化することで疑似的に可視化するんだとか。

 なるほどね、理論は知ってる。

 

 腕の黒いムッキムキのジジイ(教官)にぼっこぼこにされる毎日じゃなければ念願叶って嬉しかったんだけどね。

 これ強くなる前に死ぬのでは?

 死んでたまるかよぼけぇ!! と同僚と一緒に殴り掛かる。

 俺が死ぬ前にお前を殺す(ガンダム並み)

 天啓を得た。

 俺が死ぬ前に相手が死ねば俺は死なないんじゃねえかな知らんけど。

 倒れている仲間を盾にしても俺は生き残る!!

 最後に倒れるのが俺ってだけで、結局ジジイが一番強いんだけどね。

 

 いや、マジで強すぎる。

 悪魔の実無しでこれとかバグか???

 

 

 

 

 

 

 -4

 

 地獄の日々で六式も修得したし、体術も合格を貰ったので晴れて俺は一人前の海軍として認められたよ今までありがとうございましたゼファー先生それはそれとして俺の六王銃で死ねぃっ!!!

 

 

 

 あの糞みたいに硬く太い黒い腕のカウンターでワンパンされて演習艦から叩き出されたわ。

 顔面がワンピースのギャグみたいに腫れてるし、歯も折れてるし、なんならたぶん骨にも罅が入ってる。

 あのジジイ、すぐボコボコにしやがる。

 可愛い教え子の旅立ちくらい無傷で解放するのが人情じゃないのか。

 海軍には常識ってもんが無いんだよな、とブツブツ文句を言いながら帰りの軍艦に乗り込む。

 

 欲しかった暴力も手に入れたので海軍やめて賞金稼ぎになろうかな、と考えながら指示された船室に向かう。

 科学班と黒服のチームが屯していて、俺を歓迎してくれた。

 今回作成された六式のマニュアルもまだ未完成っぽいが貰った。

 それと一緒に手渡されたスーツケースには次の制服が入っているらしい。

 黒服だった。

 

 まあ進路としてこれはこれで有りっちゃ有り……なのか?

 

 

 

 

 

 --5

 

 黒いスーツ着て、海軍の正義コートをはためかせる俺ってカッコいい。カッコよくない?

 まあ目立つからほとんど着れないんだけど。

 仕事の内容がもっとカッコよくてお金になって皆にチヤホヤされたら言う事無いんだけどな。

 やってることなんて市井に混じって危険な悪魔の実や、禁足事項について調べてる人物を洗うだけだからな。

 地味すぎる。

 安全だからいいんだけど。

 いや、安全じゃねーわ。

 チンピラに何探ってんだってイチャモン付けられて結局暴力沙汰だしな。

 諜報員の勉強してないからバレバレっぽいんだよな。

 

 滅んだ国とか革命で政治が転覆した国の調査ばっかりやってたからもっと癒されたい。

 魚人島で人魚と毎日遊びながら白ひげ海賊団の動きを見守る仕事とかしたい。

 次の仕事はウタウタの実の行方について調べるらしい。

 

 ……どうやって調べるんだよそんなん。

 とりあえず歌がめっちゃ上手い人を調べればいいのか?

 天竜人が持ってんじゃないの?

 天竜人が欲しがってるリストを取り寄せでもしようかな。

 あ、もしかしてウタウタの実を大義名分にして「ウタウタの実食べてない? 天竜人に目を付けられてるから隠れたほうがいいよ?」って言って回れってコト!?

 

 

 

 はい、というわけでね。

 露骨なまでにウタウタの実を探ってたら赤髪海賊団に襲われたってことでね。

 電伝虫を使っていたので、「ウタウタの実を探している途中に赤髪と交戦! ま、まさか赤髪が……!?」みたいな意味深な内容を送ってみた。

 俺を襲ったやつはみんな不幸になれ。

 

 それはそれとして楽園クラスの軍艦1隻程度で戦える相手じゃないし、すぐに沈みそうで笑える。

 天候も悪くなってきた。

 ハッと思いつく。

 これは絶好の機会だ。

 うおおおおお! と船に乗り込む。

 ピンチをチャンスに、チャンスをピンチに。

 

「56人殺したのさ。てめェのように生意気な奴をな」

 

 ドヤぁ……!

 めっちゃピリピリしていた船上の空気が更にピリッとした。

 まあそうだよな。

 これが普通の反応だよな。

 まだ覚えてたネットスラングで遊んでいいことないよな。

 「まさかヒグマか……!? おれたちを追って!?」とか言ってる船員もいた。

 (ヒグマじゃ)ないです。

 年齢も身長も体重も俺の方がプリティだろうがよぉ!!?

 

 胸倉を掴みに行こうとしたら、生の「失せろ」を食らった。

 ヤンキー漫画の「失せろ」だったら耐えられた。

 ワンピースの「失せろ」は耐えられなかった。

 辛うじて意識を失わないように頑張ったがやっぱり無理だよ。

 踏みとどまることができずに荒れた海に落ちた。

 

 俺は満足だけど、赤髪海賊団の人たちからしたら意味不明すぎない?

 大丈夫?

 

 

 

 

 

 --6

 

 はい、というわけでね。

 安全に亡国エレジアに漂着できました、と。

 なぜこんな滅んだ国に来たかと言うと、なんと偉い人から調査するようにって命令されたらしい、サイファーポールが。

 で、そこから依頼がいったらしい、科学班に。

 そして受けたらしい、俺の上司が。

 そこから、エレジアの近くに行ったら赤髪海賊団に襲われたってことでね。

 俺まで下ると第何次下請けになるんだよって話だよな。

 

 長々と話をしたが、たぶんここまで導入だったのだろう。

 俺の人生は全部導入なのかもしれない。

 深いなあ。

 そんなわけで、流れ着いた海岸で出会ったのはウタという名前の少女だった。

 突如溢れ出した存在する記憶……いや、嘘ついた。

 全然溢れて出してこない。

 なんかワンピースに居たなあって気持ちしかない。

 でもなぁ、モブキャラでもなんかワンピースに居たなあって気持ちの名前の人も多いから俺の知識とセンサーはガバガバ。

 とりあえず彼女がここがエレジアであることを教えてくれた。

 

 ハッとする。

 ウタとウタウタの実……?

 関連あるんじゃないか?

 むしろ無い方がおかしくないか?

 まさか……!

 

 突如溢れ出した存在する記憶(Teke2)

 ハッと目を見開く。

 わかった。

 この国が滅んだ理由をはっきりと思い出した。

 ウタウタの実だ。

 ウタウタの実がなんやかんやしたのだ。

 俺の権限だとウタウタの実についての危険性などの詳細まで読めなかったけど、ウタウタの実には世界政府が危機感を抱くなんやかんやできる力があったはず。

 確か……そう、映画であった。

 あれだ。

 コッコルピアだ。

 たぶんコッコルピアを呼べる。

 コッコルピアを!

 コッコルピアを……?

 

 つまり世界政府はコスト2でドラゴンが呼べることに危機感を抱いた……ってコト!?

 

 

 

 ダメだな、よくわからない。

 よくわからないが、ウタウタの実は危険なんだよな。

 あんまり覚えてないし知らんけど。

 それに世界政府も情報隠しすぎ。

 

 そもそも俺は殺すのが好きじゃないんだよな。

 民間人を殺すのも好きじゃない。

 子供を殺すのも好きじゃない。

 女の子を殺すのはもっと好きじゃない。

 海賊を殺すのは出来るからな。

 趣味と特技が合ってたら良かったのに。

 殺人が趣味なら天職だった気がする。

 

「なあウタ、海賊になりなよ」

 

 波の音を背中越しに聞きながら、俺は目の前の少女にそう言った。

 

 

 




オリ主
殺しとか嫌いだから自殺してくんねーかなって思ってる。

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