時は材木座が奉仕部を訪れる2日前。
エリナの依頼により行動したヴァレンタインにより、八幡は基本世界(に近しい平行世界。ジョジョガイルが関わったことにより、新しい平行世界が生まれた)へと連れていかれた。
そこで八幡は大荒れをする。
だが、そこで話をしたイッシキ・イロハにより、自分がどれだけいろはを愛していたのかを改めて知る。
それに気付かせてくれたイロハに前世の名前を彫ったボタンを手渡し、いろはへの愛しさを改めて心に刻んだ八幡は自分の世界に戻った。
時は現在。再び運命の歯車が動き出す。
side比企谷八幡
いろはのバースデーイヴの話を終えた。三浦グループの全員の表情は少女漫画を読み終えたような、キラキラした顔をしていた。
戸塚「お疲れ様。なんかお話の途中だったから、話しかけるタイミングが掴めなくて困ってたよ?」
微笑むようにして戸塚が話しかけてくる。中身がスピードワゴンとは信じられないくらいに可愛いな。本人に言うと怒るから言わないが。いろはがいなかったら血迷ってプロポーズして振られるレベルに可愛い。
八幡「なんか用か?」
戸塚「特に用はないんだけど、みんな楽しそうに話していたから、僕も混ぜてもらいたいなぁって思ったから。ダメだったかな?」
八幡「そんなことはない。俺達は仲間だろ。好きなときに話しかければ良いじゃあないか」
戸塚「嬉しいよ。まさかジョースターさんに仲間と言われる日がくるとは思わなかったな」
八幡「バッカお前。口には出さなかったけど、ジョナサンはスピードワゴンの事を仲間として信頼していたんだぞ?そうじゃあなければエリナとの結婚式に呼ぶわけがないじゃあないか。ディオはディオで財団の事を警戒して認めていたしな」
戸塚「そうだったんだ。ディオはどうでも良いけど」
恨まれてるぞ?ディオ。
DIO『ふん』
戸塚「それで、何の話をしていたの?」
八幡「ああ…実は…」
話をしていく内に戸塚の顔が徐々に険しくなる。
何で?
戸塚「あのねぇ、八幡。端から見たらいい話なんだけど、スピードワゴンとしては情けないよ。僕はね、エリナさんを…いろはちゃんを不安にさせたのはどうかと思うよ?」
八幡「へ?」
戸塚「へ?じゃあないよ!八幡!君の魅力が他を惹き付けるのは仕方ないよ!小町ちゃんが前世でジョースターさんを渇望していたのも知ってるし、雪ノ下さんのお姉さんが君に惹かれるのもわかる!ジョースターの太陽の精神はそういうものなんだ!それは仕方ない!事実、君はアーシスのみんなとは仲良しじゃあないか!君を深く知れば知るほど、本当にわかるひとは自然と集まってしまうものなんだ!」
うん、改めて言われても実感がわかないが。それで、何故戸塚は怒っているんだ?
戸塚「あのねぇ、前世の段階から君といろはちゃんはお互いがお互いの一番だってのは僕がスピードワゴンの時からわかっていたの。生死の境をさ迷っていたジョースターさんに対して、鬼気迫る表情で看病していたエリナさんは、それは美しい物だったよ。お節介を焼こうとしたスピードワゴンはクールに去るぜと言わせるくらいには、二人には割り込めない絆があったんだ。君を喪ってもなお、君に操を立てていたエリナさんの事を思うと…。あんないい女の人は、他にいないよ!?何人の男の人がエリナさんを求めたと思っているの!?僕がエリナさんをアメリカに移住させたのも、イギリスじゃあしがらみが多過ぎて見てられなかったからだよ!?それほど、あの人はジョースターさん一筋だったんだ!それはいろはちゃんになっても変わっていなかった!それを、君という男は、それを当たり前すぎて忘れるなんて…あきれて物がいえないよ。わかってるの?八幡!」
八幡「わかってる!身に染みて今回ので良くわかった!だから怒るな戸塚!」
戸塚「まったく…もう少し早く八幡とは知り合うべきだったと後悔したよ。スピードワゴンの記憶はもっと前から甦っていたんだから」
戸塚は当たり前のように俺を八幡と呼んでいた。うん、俺と戸塚はやはり対等だ。君付けで呼ばれるよりも、しっくりくる。
静「と、戸塚。ここは穏便に…ね?」
戸塚「なに言ってるのさ、君もだよ!静!」
静「え?私も?」
戸塚「当たり前でしょ?君と八幡は無二の親友なんだよね!?相棒なんだよね!?こんな体たらくの八幡を、君が諌めなきゃ誰が諫めるのさ!まったく…ジョジョも仗助もジョルノもリサリサも頼りにならない…。こうなったら君達の監督は僕がするからね?職場見学は、僕も一緒に回るから、二人はそのつもりで!わかった!?」
そこで俺とジョジョは顔を向き合わせる。そうか、そういうことだったのか、戸塚。お前もそのつもりだったけど、どう切り出すか迷っていて、こうして強引な手段に出たんだな?
八幡「戸塚…いや、彩加。お前もそのつもりだったんだな?いやぁ、言わなくてもすっかり決まってるもんだと思って敢えて口には出さなかったんだよ。なぁジョジョ?」
静「そうだよね?ハッチ。元々私達は、彩加とグループを組むつもりだったんだ。ホント、もうすっかりそのつもりでいたから、誘うのを忘れてたよ。らしくもないこんな強引なやり方をさせちゃって、ゴメンね?」
戸塚「な、ななな…そのつもりだったらそう言ってよ!一人でどうやって入れてもらうかって悩んでバカみたいだったじゃあないか!」
顔を真っ赤にして怒り出す戸塚。もうねホント、何で男なのかな?この人。
八幡「いや、戸塚として見るとそうだろうけど、スピードワゴンは結構強引だったぞ?ディオとの戦いにも来るなと言うのに、強引に付いてきたし」
三浦「そうなん?人は見かけによらねーし。にしてもヒキオ達もちゃんと言葉にして誘えし。ん?どうしたん?海老名…………ハッ!まさかっ!」
海老名「トツハチキマシタワー!」
三浦「わぁぁぁぁ!ヤッパリ!海老名擬態しろし!」
鼻血を噴出する海老名。それを慌ててティッシュを詰めて世話を焼くあーしさん。
由比ヶ浜以外の5人「!?」
そんな時だった…ゾクリと背筋に走る悪寒…これは…殺気?このクラスに殺気を送るほどの奴が三浦達以外にもいたのか!?殺気の方向は…葉山グループ?
急に臨戦態勢に入った俺達に、?マークを浮かべる由比ヶ浜。こいつには本気で殺気を感じとる技能を身に付けさせないと危ないな。
しかし、誰だ?今の殺気は…。一瞬すぎてわからなかった…。葉山グループからであることは確かなのだが、今はいつも通り、男共で固まって職場見学の行き先について下らないやり取りをしている。こちらを見ているものはいない。
葉山か?アイツから恨まれる心当たりはありすぎるほどあるからな。警戒をしておこう。
結衣「え?え?どうしたのみんな。なんで怖い顔をしているの?」
静「由比ヶ浜……ファミレスでハッチが言った通り、あんたは目線や悪意を感知する特訓が必要だね」
結衣「え?何で?」
三浦「結衣。マジであんた、その訓練は受けておけし。あんた以外、みんな気付いてたんよ。殺気が送られて来たことに」
海老名「スタンド使いはスタンド使いと惹かれ合う。千葉とこの学校は今、スタンド使いのパワースポットと言っても過言じゃあないよ。ましてや結衣のスタンドはちょっと特殊だからね」
戸塚「最低限、自分に向かっている悪意は感じ取れるようにした方がいいよ」
八幡「最悪、お前……死ぬぞ?もう、お前は踏み込んでしまったんだ。俺達の世界にな。望む望まぬに限らず、お前はいずれ狙われる。それを肝に命じて、訓練を受けろ」
静「これは脅しでも、大袈裟でもないから。雪ノ下共々絶対にこの訓練は受けて。マーチやパパには話しておくから」
マジで脅しじゃあない。今くらいの強い殺気を浴びせられても気付かないのであれば、どんな能力を持っていてもあっさりやられる。殺気を巧妙に隠して近付いて来るものだって少なくはない。
というより、大抵のプロの暗殺者はそれが当たり前だ。
最低限、隠している殺気に違和感を感じてもらわなければ命がいくつあっても足りない。
今のようなわかりやすい殺気を感じ取れないなんてのは論外だ。
結衣「う、うん。わかったよ、ヒッキー…あ、ごめん。あだ名で呼ばれるのは嫌いだったよね?」
八幡「………構わん。以前だったらお前の事があまり好きではなかったから拒絶したが、今は運命共同体だ。好きに呼べ」
静「私達も構わないわ。親しい…とは言えないけど、まぁ、助けてもらったこともあるしね。いつまでも他人行儀ってのも変だし」
俺達はとりあえず、警戒はそのままに臨戦態勢だけは解く。一見リラックスしたように見せて、その実意識だけは警戒を怠らないスタイル。熟練のエージェントが持つ独特のスタイルだ。
うっかり殺気を漏らしてしまう程度の未熟な刺客ならば、これで騙されてもおかしくはないと踏んだのだが…どうやらそこまで相手もバカではなかったようだ。
八幡(ジョジョ、俺が観察して探るから、お前らは警戒していない振りをして雑談を続けていてくれ)
俺がアイコンタクトを送る。するとジョジョも気付いて小さくサムズアップ。
ジョジョ(オッケー、ハッチ。任せたよ。みんな、ハッチには話しかけないで。由比ヶ浜を上手く誘導するように頼んだよ)
戸塚、三浦、海老名(了解だよ(だし))
ジョジョは全員にアイコンタクトし、由比ヶ浜以外は頷く。
由比ヶ浜にはアイコンタクトやハンドシグナルも教えておくべきかもしれないな。
そこまで考え、葉山達の様子を探る。
戸部「隼人くん、どこに行くことにしたん?」
葉山「俺はSPW財団の医療部門かな。外資系だし、母親が病院の院長だから、最先端医療の技術を見てみたいんだ」
学校と財団が職場見学を契約している以上、職場見学に来ることは拒めないが、最先端医療の研究現場をお前を含めて、誰が敵かわからない総武高校の連中に見せるはずがない。ましてや医療研究部門と薬学開発研究部門は財団の主力部門と言っても過言じゃあない。
間違っても他の学校ならともかく、研究現場や開発室、最新の製品を扱う工場とかに立ち入れさせる訳がない。
社会の目がある以上、個人や特定の団体を差別するわけにもいかないので出来ないが、総武高校だけは職場見学を拒否させたいくらいだ。
別段、過去の職場見学で、総武高校が問題を起こした事がないので、拒否できないのだが。
日本支部…いや、財団本部には総武高校に対する特別対策プログラムを組むように提案しておこう。承太郎や仗助、留守を任されている康一さんならすぐに理由を察知して対応してくれるだろう。
ましてや、今の千葉にはアレがそのままの形で3本、破片が1本と、財団が管理している物が全部揃ってしまっている。
スタンドを発現させる矢だ。
旧パッショーネの元幹部、ポルポが持ち、ジョルノが完全に破壊した1本と、マリアナ海溝に沈んでしまって、回収が不可能(ハーミットアメジストで念写したので間違いはない)な1本を除いては、確認されている通常の矢が全て揃っていまっている。
矢の管理はヴァレンタイン大統領と、ジョースター家の管理者が常に最寄りの国支部本部の厳重保管庫で管理する決まりになっており、それぞれ承太郎、仗助、ジョルノが管理している。大統領の1本は、俺のレクイエムの研究の為に、貸出しされている状況だ。
つまり…千葉のSPWジャパン本部の秘密金庫に4本全てが仕舞われている事になる。
アレが汐華の手にわたる…そんなことになってしまっては目もあてられない。
戸部「やっべ、隼人マジ将来見据えているわ。超隼人ぱないわ。でも俺らもそういう年だし?最近、親とか超リスペクトだわ」
とりあえずサッカー部の腰巾着、戸部。もし葉山でなければこいつも殺気を放った有力候補だ。なんでもサッカー部の勧誘にジョジョといろはが蹴った訳だし、最近では三浦と海老名が俺達と仲が良い。それに、テニス勝負の時には海老名を怒らせた事について焦っていた感じがあった。報復してくる可能性は否定できない。
大和「これからは真面目系だよなー」
ラグビー部次期部長と名高い大和。こいつは何を考えているのかわからない。ヘラヘラ笑っていて、大抵は葉山や戸部の言っている事に追従しているだけだ。案外、真面目系とか言っている奴が、裏では何かをやっていたりする。
大岡「うーわー。でも少年の心を忘れたらやばいっしょ」
大岡。大抵はこいつが最後の言葉を締める。
少年の心…ねぇ。だが、少年の心が思わぬ重要犯罪を行ったり、誰かの手先になったりしているからなぁ。
大和と大岡は、サッカー部の二人に比べたら俺達をどうこうする理由は薄い。だが、油断は出来ない。
あの二人にしても、テニス勝負の時は良いところが全然無かった。テニス部の背後にいた俺達を逆恨みしている可能性だって充分考えられる。
くそ…誰もが怪しく見える。俺の見立てでは、最有力が葉山、次に戸部だが、決めつけは良くない。充分観察を怠らないようにしなければ…だが、今のところ、誰も隙を見せていない。なまじ、先程臨戦態勢に入ってしまったことで、相手も警戒しているのだろう。
これは長丁場になるかもな。
後で材木座や年長組にも警戒を促しとかなければ。
もう少し近ければ、顔のテカりとかでわかるのだが、生憎とそれをジョルノに教えた旧パッショーネのブチャラティという幹部は、その極意を誰かに教える前に亡くなってしまったらしい。俺も教えて貰いたかった…。
side??
あぶなかった。ジョースターや優美子や姫菜が楽しそうに話しているから、思わず嫉妬してしまった。
そしたら結衣を除いて、あの集団はケンカでも吹っ掛けて来そうな状態だった。ヤッパリあいつらはただもんじゃない。正面切って事を構えるだなんて二度とごめんだ!
聖なる力という物の扱いは昨日、練習して大体わかった。ここにいるバカどもで実験してみたら、上手くいった。っベー力だ。これを使えばアイツらも…今夜から楽しみだ。
←To be continued
さて、??は誰でしょう?
1、本命の葉山
2、対抗馬の戸部
3、案外の大和
4、大穴の大岡
そして、一体何が起きているのでしょうか!
原作との相違点。
職場見学のグループはこの事件の後に戸塚と葉山とで組んだ➡八幡、静、戸塚で最初からグループを作ることに決めていた。
八幡が葉山グループを観察していたのは、友達とはどういうものかを見るためだった➡殺気を感知したので誰から発せられたものかを見極める為に観察。
それでは、次回もまた、よろしくお願いします!