やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までの奉仕部の活動。

歴代ジョジョ達が早くも千葉に集結し、さらに三浦と海老名も加わってますます賑やかになった奉仕部。
だが、加えたものいれば追放した者もいた。
国語教師の平塚静。暴力を振るう、生活指導担当の仕事を生徒に振るなどして問題視されていた教師は、徐々にその居場所を無くしていった。
もっとも、そんなことは八幡達には関係ない。
今日も社畜に部活に戦いに、頑張れ八幡!

八幡「平穏で植物のような人生が欲しい」

吉良「同じく」

八幡「誰だよ!お前!」


俺ガイル2巻突入プロローグ

side比企谷八幡

 

5月も半ばを過ぎ、じわりじわりと暑くなり始めてくる今日このごろ。昼休みとなると生徒のざわめきも大きくなり、よけいに暑く感じる。

途中、承太郎やジョルノ、ジジイとかとすれ違う。

元来、クールでもハードボイルドでもない俺だが、好き好んで暑い中でいたいわけてもないので、涼しさと静寂を求めて人のいない場所へと向かった。

人間の基礎体温は36度程度。気温にすれば真夏日どころか猛暑日である。まぁ、高温多湿に耐えられないかといえば余裕で耐えられるわけだが、暑さ対策の為に人気のないところを目指した。いや、ジョジョがいないからクラスに居場所がないとかではない。

それどころか、最近はそれなりに三浦たちと仲良く話すことも多い。

そんなどうでもいいことを考えながら、俺は手と足を動かして屋上へ続く「壁」を登っていた。

屋上へ続く階段は机とかが乱雑に置かれ、人一人が入るのにやっとだし、扉には南京錠がかかっている。というか外されていたのを俺がかけ直した。

そして窓から壁を登ればいい。

登りきってみると、誰もいない。うん、静寂を好む俺にとっては格好の状況だ。

これでしばらくは逃げられる!

大丈夫だ。まだ見つかっていない!

眼前に広がるのは青い空と水平線のみ!

…と、我が愛しき親戚の声が響く。

 

徐倫「ハッチが逃げたー!アーシス、スクランブル!」

 

くっ!案外逃亡がばれるのが早かった!

適度に教室に気配を残しつつ、昼休み直前から静かに逃亡を開始したというのに!

ジョジョか!ジョジョが見破ったのか!?

今やこの屋上はプライベート屋上だ!たまに眼前に見える赤いレーザーなんて見えないぞ!大小の緑石やほのおなんて空に飛んでいっていないんだ!たまに時が止められているなんて俺は知らない、感じない!

空はあくまでも五月晴れで、いつかこの社畜な生活から逃げられると、そう告げているようだった。ちっ、さっきからかぶと虫がうるさい。多分、ゴールド・エクスペリエンスで靴とかをかぶと虫に変えて追跡されたな。

おのれ…せっかくのプライベート屋上が数秒で見つかるとは、流石はジョルノ。追跡のプロだ。

追いかけられている理由は手の中にある職場見学希望調査票だ。

ちっ!間違ってもSPWジャパン本部とか書かないぞ!

陽乃さんがニヤニヤした表情でイタズラ混じりに案内してくるか、または康一さんが苦笑いしながらぎこちなく案内するか…いずれにしても、良い感じでいじくられるに決まっている!絶対に学年主任の鶴見先生に提出するまでアーシスに捕まる訳にはいかん!

職場訪問は中間試験明けに迫っている!俺はその紙に希望したい職業と職場、その理由を露伴先生ばりにシャカシャカとものの数秒で書き上げた。

その時、風が吹いた。

放課後の、気だるい空気を運び去るような、そんな運命的な風。夢を描いた2枚の紙を未来への紙飛行機のように飛ばしていく。

詩的に表現したが、もちろん俺が今さっき書いた紙だ。

おいバカ風マジふざけるな。紙はカサカサと地を這い、追い付いたと思ったらまた高く飛ぶ。

こんなことに時間を止めようものなら承太郎にまたボコられるしなぁ…もういいや。紙をもらって書き直そう。「押してダメならクールに去るぜ」を座右の銘にしている俺はこの程度で動揺しない。なんなら「千里の道からも逃げるんだよ」を追加してもいい。

肩をすくめて歩き出したときだった。

 

??「これはアンタの?」

 

声がした。ややハスキーな、どことなく気だるげなその声の持ち主を捜して俺はキョロキョロと周囲を見渡すが、俺の周りに人はいない。

施錠がされているはずの、この屋上に俺の他に人影があるわけがない。

 

??「ヘイ、ベイビー。どこを見ているの?」

 

ハッとバカにし腐った感じで笑う声は、上から聞こえた。上からものを言うとは正にこの事だろう。というかヘイ、ベイビーはないだろう。屋上からさらに上に突き出た部分、梯子を登った先にある給水塔。

その給水塔に寄りかかり、俺を見下ろしていた。

長く背中まで垂れた青みがかった黒髪。リボンはしておらず開かれた胸元、余った裾の部分が緩く結びこまれたシャツ、蹴りが鋭そうな長くしなやかな脚。そして印象的なのがぼんやりと遠くを見つめる覇気のない瞳。泣きぼくろが一層倦怠感を演出していた。

 

??「ヘイ、ベイビー。これ、あんたの?」

 

この女子はさっきと変わらぬ調子で言った。何年生かわからないのでとりあえず無言で頷いておく。

 

??「……はい。あと、バカみたいな事書いてないで、まともな進路を書いておきなよ」

 

女は紙を指で弾いて紙を飛ばしてきた。

俺はそれをキャッチする。

バチぃ!

 

八幡「つっ!波紋…だと?!」

 

??「ここに入ってこれるだけあって、アンタも波紋の戦士な訳ね」

 

女子はニコッと笑うと…

 

??「その才能を伸ばしたいなら、イタリアのエア・サプレーナ島に行くことをおすすめするよ」

 

いえ、既に経験済みで免許皆伝です。

 

??「じゃあね」

 

女子はそのまま屋上から飛び降りた。

 

女子が逃げた方向から「ヒキオじゃあない!」「ヒキタニくんはどこに逃げたの!?」「ハッチ!逃がさないよ!」「ワシが把握しとらん波紋の戦士じゃと!?」

と聞こえる。

よし、狙いは反対側だな。飛び降りるか。

一回女子の方を振り返り

 

八幡「ご愁傷さん。そして黒のレースか……」

 

N・E「何が?」

 

八幡「そりゃさっきの女子のパン………いつの間に現れた。いろは」

 

そういえばナイチンゲール・エメラルドは遠距離操作タイプのスタンドだった…最近は近距離型のような使い方しかしていないから忘れてた。

 

N・E「ジョルノから連絡が入ったから。ハチ君……見たんだ…後でお話があります」

 

ナイチンゲール・エメラルドが背後から俺を羽交い締めにする。

 

八幡「後生だから離せ、いろは。本体にならともかく、スタンドに抱き締められても嬉しくない」

 

N・E「ダメで~す♪離したら逃げられてしまって私が怒られるじゃあないですかー」

 

ああ、このプライベートタイムももう終りか。

もう次々と仲間の波紋戦士と糸系や遠隔型のスタンド使いが屋上に到着している。

その中には承太郎もいるから、時を止めて逃げるのも不可能だろう。

くっ!小町と承太郎のタッグとか勝てる気がしない!

残念だ。

これを学年主任の鶴見先生に提出できていれば俺の勝ちだったのに、先に徐倫はおろか承太郎に見つかってしまうとは…

 

徐倫「捕まえたわよ、ハッチ。職場見学希望調査票はあたしがここで貰っておくわ。それと、放課後は職員室に呼び出しね」

 

仗助「まったく。何年経っても往生際の悪い」

 

承太郎「いい加減、諦めろ」

 

ジョセフ「お前さんにはSPW以外の道はあり得ん」

 

ジョルノ「日本支部が嫌ならパッショーネにくるかい?八幡」

 

静「ハッチはあげません。日本支部が売約済みです」

 

おのれ歴代ジョジョどもめ!

職業選択の自由を俺は諦めんぞぉ!

 

八幡「逃げるんだよぉ!」

 

ジョセフ「もう縛りあげとるよ。家訓の元祖に通用せぬわい」

 

八幡「この八幡が!この八幡がぁぁぁぁ!」

 

←To be continued




はい、2巻のプロローグです。

さあ、彼女は誰でしょう♪×2

それでは早速、原作との相違点です。

八幡は暑さ対策で屋上へ行った➡アーシスから一時的に身を隠す為に屋上へ逃げた。

南京錠は開いていたのでそこから入った➡南京錠は開いていたので八幡が敢えて閉め、屋上へ逃げていないように見せかける偽装を行った。

女子ははしごを使って八幡の前まで行き、プリントを手渡した➡ダービーばりにプリントを指で弾いて飛ばして渡す。

女子は階段を使って校舎に戻る➡…のは内側から南京錠をかけられていて入れないので、屋上から飛び降りた。

今回は短いですが、プロローグという事で勘弁して下さい。それではまた次回に。

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