やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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第一話以降、久し振りの主人公視点です。

スーパーコンボ二連発をもらっていましたが、波紋使いで身体能力が高いですし、すぐにいろはに治療されてましたし、仗助もいましたから普通に生きてます。

今回は八幡の精神の中でのお話です。


こうして俺達の心は一つになる

side 比企谷八幡

 

僕はどうなったのだろう?

 

ジョナサン・ジョースターとディオ・ブランドー、二人の記憶が甦った後の事は覚えていない。

 

二人分の、それも片方は人外として非道の限りを尽くした存在の記憶だ。

 

まともでいろというのが無理だろう。

 

八幡「ここはどこなんだろう?」

 

1メートル先も見えない暗闇の中を、僕は歩いていた。いくら歩いても何も見えなければ出口もない。

八幡「死んじゃったのかな?でも、それでも良いのかも知れない。僕は…」

???「ならば、今の体も意識も、俺に明け渡すのだな!ジョジョ!」

八幡「君は…ディオ!」

 

いつの間にか、僕の体は比企谷八幡からジョナサン・ジョースターに変わっていた。

 

ジョナサン「比企谷八幡の体を乗っ取って、それでまた君は、非道の限りを尽くすのか!?ディオ!」

ディオ「前世に押し潰され、このまま消えてしまえば良いなどと、虫酸の走ることを考えている貴様と共倒れになるくらいなら、このディオに使われる方が比企谷八幡の体も本望だと言うだろう!」

ジョナサン「押し潰れる原因を作ったのは君だろう!再び僕から体を奪い取って、それで一体何を成すと言うんだ!また不老不死になって、世界を我が物にしようと企んでいるのか!ディオ!」

 

何もなかった空間が、気が付くと燃え盛るジョースター邸に変わっていた。

 

ディオ「ふん、そうだ。そもそもジョジョ。貴様は俺の記憶も見たのでは無いのか?」

ジョナサン「君の記憶!?」

ディオ「このディオは一晩にしてこの世のどの達人をも超えた存在になった。以前、俺がそう言ったのを覚えているだろう?」

ジョナサン「ああ…」

ディオ「だが、この世のどの達人を超えようとも、絶対に超えられない物がある。俺はそれを知った」

ジョナサン「だから、君は逃げようとしたのか!?天国とかというまやかしに!世界が一巡して都合の悪いものがなくなるから、今を好き勝手しても良いだなんて、そんなの傲慢すぎる!」

ディオ「アレをどうにか出来る方法の、一番現実的な手段だ!同じ吸い尽くされるだけのゴミがどうなろうと、どう扱おうと吸い尽くす側の勝手!モンキーなんだよ!このディオにとって貴様たちは吸い尽くされるだけのモンキーに過ぎん!」

ジョナサン「それでは世界は何も変わらなければ、誰も救われない!」

ディオ「ふん!滑稽な事を言うじゃあないか!ならば貴様は何を変え、誰を救った!?ごく一部を変え、救ったつもりになっているだけなのじゃあないのか!?」

ジョナサン「なん…だと…」

ディオ「事実、今の貴様は何だ!?貴様が無様に引き起こし、ただ破壊を撒き散らした花京院の墓地でのアレから、貴様は目を逸らして逃げている!これで何を変え、何を救う?貴様の一致していない言動こそが、天国以上のまやかしなのではないのか!」

ジョナサン「ぼ、僕は…」

ディオ「何が違う!?あれほど逃げるのを否定しておきながら、貴様は逃げを選択している!それならば、老いぼれジョセフが加えた逃げる事を最終奥義とした家訓の方が何百倍も素晴らしい!」

ジョナサン「あのふざけた家訓が?」

ディオ「ふざけてる!?端から見れば確かにそうだろう!だが、ジョセフの逃げと、貴様の逃げは同じようで根本的から違う!ジョセフの逃げは勝利につなげる為の戦略的な撤退!戦いそのものからは決して逃げたことなどない!ジョセフが逃げを判断したからこそ、エジプトでの戦いにおいて俺はジョースターに敗北した!」

 

ディオは彼にしては優しく、遠くを見つめた。

エジプトでの最後の戦いを思い出しているようだ。

僕もディオの中で、それを見ていたからわかる。

景色はエジプトのディオの館の内部へと変わっていた。

そして次の瞬間には僕を強く睨み付ける。

 

ディオ「それに比べて貴様は何なのだ?貴様の逃げは本当にただの逃亡!かつて俺が尊敬した誇り高いジョナサン・ジョースターの姿など影も形もない!そんな貴様に、俺の全てを任せるなど、情けなさすぎてヘドが出る!」

 

ディオはDIOとなり、ザ・ワールドを出して僕を掴みあげる。

 

DIO「ジョジョ!やはり貴様はこのDIOにとって、踏み台としてしか価値のない存在よ!そして今度は受け継いだ体が我がフューチャーであり続けるのだ!」

 

ザ・ワールドは僕を体内に吸収しようと飲み込もうとする。

だけど…

 

ジョナサン「やらせない!」

 

僕は両手からいばらを出し、ザ・ワールドを拘束。逆に体内に吸収しかえす。

 

ジョナサン「ディオ!君の言うとおりだ。僕は自分の弱さから逃げていた!でもジョセフが、承太郎が、仗助が、ジョルノが教えてくれた!逃げる先にある勇気を!そして君からも教わった!僕は戦う!何度敗れても、何度逃げても!最後に勝ちを得るまで、アレと戦い続ける!天国以外の方法で!だからディオ、今度は君が僕のフューチャーになれ!そして共に作り上げよう!ジョナサンでもディオでもない、新しい「俺」達を!比企谷八幡を!俺達は人間に戻るぞ!ディオォォォ!」

DIO「馬鹿な!天国を選ぶ方が楽なのに、確実に奴等を消す事が出来るのに!それでも抗うと言うのか!ジョジョォォォ!」

ジョナサン「それでも俺は…」

 

ザ・ワールドを自らの物にした僕は、先ほどとは逆にDIOをザ・ワールドで掴み、吸収する。

DIOを吸収しながら僕の…俺の姿は比企谷八幡の姿へと変化する。

 

八幡「それでも俺は…本物が欲しい!天国なんてレプリカはいらない!いろはや小町と共に進む本物の世界だけでいい!だから俺の中で見ていろ、ディオ!」

 

そしてDIOは完全に俺の中に吸収された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変わった…俺の中で何かが変わった。もう俺はジョナサンでもディオでもない。

いくら二人の記憶を持っていようと、いくら二人の力を受け継ごうと、俺は比企谷八幡という存在に生まれ変わった。

いや、元々コレがあるべき姿だったのだろう。

 

八幡(知らんけどな)

 

ジョナサン『八幡、僕達は見守っているよ。君が作り出す新しい物語を。君が送る青春を』

ディオ『こうなっては仕方がない。ジョジョと共に貴様を見ていよう!だが、次にまた蛙の小便よりも小汚い自分の殻に閉じ籠るようならば、何度でも出てきて殻の中から引きずり出してやる!このディオがなぁ!』

 

八幡「うるせぇよ。余計なもんを押し付けておいて偉そうな事をいうな。お前らが心の中にいる段階でマトモな青春なんか送れるかっての。未来で言ってやるよ。『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』ってな」

 

世界は再び暗闇へと変わり、そして、頭上から光が差し込んでくる。もうすぐ、俺は目を覚ますのだろう。

 

これから、平穏とは真反対の忙しい日々が始まりそうだ…。

 

 

 

やはり俺の奇妙な転生は間違っている。




ご愛読ありがとうございました。
本城淳の次回作にご期待下さい。












…と勘違いされてもおかしくない締めかたでしたが、まだ普通にプロローグ中のプロローグです。
ディオが何に絶望し、天国を目指して消し去ろうとしていたのか。伏線を張っておきながらやりっ放しというのも無しですしね。

あ、このままボロを出すくらいならそれでも…

冗談ですのでお気に入り解除はしないで下さい!
すんません!調子乗りました!


まだ幼少期編は続きます。
まずは周囲やジョースター家の誤解を解かないといけません。
それでは次回もお願いします!
ジョナサンが言った「それでは世界は何も変わらなければ、誰も救われない!」は俺ガイルのヒロインの一人、雪ノ下雪乃が八幡に対して言った「それでは何も変わらなければ、誰も救えないじゃない!」という言葉を流用しました。
寛容な雪ノ下ファンの皆様は怒らないで下さいね?


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