やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までの奉仕部の活動

テニス対決は男子テニス部の奮闘により、葉山グループは去っていった。

一方、残ったモハメド・アヴドゥルの転生者、三浦優美子と花京院典明の転生者、海老名姫菜はスタンドを出現させ、八幡へと挑んでくる。
その八幡の隣に立つものがいた。
八幡の婚約者であり、花京院典明の従妹の娘、一色いろは。
様々な縁が絡み合ったタッグマッチが、今始まる。


腐女子の緑と女王の赤

side一色いろは

 

エリナ『辛くないのですか?いろは』

 

前世の残留思念であるエリナが語りかけて来ました。

辛いですよ。辛くないわけがないじゃあないですか。

海老名さんのハイプリエステス・グリーンと私のナイチンゲール・エメラルドがにらみ会います。

複雑な気分です。

約三十年前に孫のジョセフと玄孫の承太郎と共にハチ君の前世の片割れ、ディオと戦った勇者…私の誇り高き従兄弟叔父の花京院典明おじさん。

その転生者がまさかこの学校にいたとは驚きでした。

でも…こともあろうにハチ君の敵として出会うなんて…。

話だけならハチ君から聞いていました。

ですが、実際に対峙すると辛いものです。

どんな形であれ、やっと尊敬する典明おじさんと会うことが出来たのが、こんな形だなんて!

敵として戦うのが、典明おじさんとの出会いなんて悲しすぎます!

 

海老名「殺気を纏っていても、辛いのが顔に出ているよ。いろはちゃん。ごめんね、こんな出会いで」

 

海老名先輩のハイプリエステス・グリーンが両手を合わせてから、少し間を開けます。

これは…ハイエロファント・グリーンの…そして、私のナイチンゲールと同じ…

ナイチンゲール・エメラルドも同じ構えを取ります。

 

海老名「ハイエメラルド・スプラッシュ!」

 

いろは「エメラルド・ストライク!」

 

海老名先輩がエメラルド・スプラッシュを射ってきた!

私もエメラルド・ストライクで応戦。

でも、二つの弾の大きさが全然違います!

エメラルド・スプラッシュの弾の方が大きい!

承太郎から聞いていたハイエロファント・グリーンのエメラルド・スプラッシュよりも、一回りも!

 

N・E「無理無理無理無理!」

 

勢いを殺すことがやっとで、私に迫って来ていたエメラルド・スプラッシュを拳で弾くことでダメージを避けましたが、これでは…。

 

海老名「良くかわしたね。私は転生して、エメラルド・スプラッシュの威力はハイエロファント・グリーンの時よりも成長した。それに対して、そのナイチンゲール・エメラルドのエメラルド・スプラッシュはハイエロファントの時のスプラッシュよりも弱いみたいね。まだ始まったばかりだけど、どうする?私はヒキタニくんだけがターゲットなの。いろはちゃんを傷付ける理由は私にはないんだよ?今は敵だから、降りかかる火の粉を払っているだけ。邪魔をしないなら、何もしないよ」

 

く…たしかに全力で射ってもストライクじゃあスプラッシュの威力には遠く及びません。

 

エリナ『無理して戦わなくても良いのですよ?いろは。あなたの能力はサポートがメイン。こうして一対一で戦うには不向きな能力です』

 

わかっていますよ!そんな事は!

 

エリナ『それに、あなたは私の転生…。育った環境で性格はだいぶ違う形になりましたが、元は同じ。状況が状況でしたから、結果的にズィー・ズィーさんや綾瀬絢斗を手にかけることになりましたが、あなた本来の性格では…』

 

うるさいよ!エリナさん!

わかってるよ!本来の私の性格では戦いそのものが好きではない!争い事に向いていないのは自分が一番良くわかってるよ!

でも、譲れない。

私は決めた。ハチ君と共に歩むって。

ジョナサンの転生と共に歩むって。

今、この場でハチ君とおじさん達の間に割り込む事が出来るのは私だけ!

おじさんの親戚であり、ジョナサンとディオの転生の婚約者である私だけが、この戦いに参加する資格がある!

ジョセフと承太郎以外の、ジョースターの者でも割り込めない戦いに参加する資格が!

それなのに、今この時に覚悟を決めないで、いつ覚悟を決めるの!

私がキッと海老名先輩を強く睨む。

 

海老名「そう…残念だね。いろはちゃんとは、友達になれると思ったのに。………無理か。ヒキタニくんを…DIOを殺したら、いろはちゃんは私を恨むものね。世の中、上手くいかないね。さっきのスプラッシュは脅し。今度は本気でやるよ」

 

海老名先輩は再びエメラルド・スプラッシュの構えに入ります。さっきので本気じゃあ無かった…だったら、今度は防げるか…

 

海老名「恨んでも良いよ。いろはちゃん、ジョースター家のみんな。これはけじめ。DIOを倒すという前世からの悲願を果たす為に、私は覚悟を固めてある。これを食らったら、もう立たないで。ハイエメラルド・スプラッシュ!」

 

いろは「エメラルド・ストライク!」

 

ダメ!さっきとは威力が違う!全然相殺でない!

 

N・E「無理無理無理無理無理無理!」

 

先ほどと同じように弾き返そうとしますが、逸れた弾はナイチンゲールを掠め、それによって出来た傷でパンチの威力が落ち、わずかな隙が体の数ヵ所に突き刺さってしまいました!

 

いろは「ぐふ……」

 

八幡「いろは!」

 

強いです…海老名先輩…。

承太郎はよく典明おじさんに勝てましたね…

私は体の力を失い、膝から崩れ落ちた。

 

海老名「命までは取らないよ。そして、ヒキタニくんを殺した後ならば、あなたにいくらでもこの命を差し出してあげる。次に起きたら、今度こそ私は本気を出す。だから、今は眠りなさい。カワイイ前世の私のはとこ…」

 

 

side比企谷八幡

 

三浦「クロスファイヤー!」

 

♂や♀の形をした炎の塊が俺に向かって飛んでくる。

それを横っ飛びで回避してから転がり、勢いを利用して立ち上がる。

確かアブドゥルの能力は炎…

マジシャンズ・レッドは三浦の前に空気を燃やしながら立っている。

赤い肌の、鳥のマスクを被ったようなスタンド。

前世との違いは女性型故に胸が膨らんでいて、上半身にピッタリタンクトップのような物を纏っているくらいだろうか。

 

三浦「因縁だけなら、あーしよりも姫菜の方がヒキオとやり合う資格があるんだけどね。あーしの前世はDIOに直接やられた訳じゃあないし」

 

三浦は隣のいろはと海老名の戦いに目を向ける。

 

三浦「まさか、あの1年に姫菜の縁があるとは思わねーし、あーしはサポートのつもりだったんだけど」

 

八幡「二人がかりでも俺に敵うとでも思っているのか?この間抜けが」

 

三浦「あーし達をなめるんじゃあないよ、ヒキオ」

 

八幡「そのヒキオっての、やめてくれね?俺達ジョースターの家系は親しくもないのにあだ名で呼ばれるのは気分が悪いんだが?」

 

三浦「そうなん?だったらもっと言ってやるし。ヒキオへの嫌がらせになるんだったら、いくらでもやってやるってヤツ?それに、良いあだ名じゃね?比企谷とDIOを繋ぎ会わせてヒキオ。似合ってんじゃん?」

 

こいつ…由比ヶ浜とは違って、親しみじゃあなく、嫌がらせであだ名を付けやがって…。

しかも妙にマッチしていやがるのが逆に腹が立つ!

あれ?そう言えば基本世界のこいつも俺のことをヒキオって呼んでいたよな?何でだろ。

しかし、炎という単純な能力故に逆に厄介だな。

この女、スタンドにも自分の周りにも炎の結界を張っていやがる。

資料では1800度まで上げられるというから恐ろしい能力だ。

それは鉄が溶ける温度。

材木座のガンズ・アンド・ローゼズでもあっさり溶かされてしまうだろう。

いくら時を止めてもあの結界を何とかしなければ三浦を倒すことは出来ない。

ていうか、よく服が燃えないね?コントロールが上手いですね、あーしさん。

 

三浦「さっきの威勢はどうしたし」

 

八幡「これならどうだ!ザ・ジェムストーン!止まれ時よ!」

 

俺は時を止めてグランドの隅っこに置いてあったそれを持ってきて三浦のはるか頭上へ投げ、そしてその上に乗る。

 

八幡「そして時は動き出す…」

 

動き出した時の中で、三浦は俺の姿を見失い、そして自分に迫る影に気付く。

 

三浦「はっ!この影は…」

 

八幡「ロードローラー代わりの重いコンダラだぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

あの喫茶店の店長に聞かれたら盛大に突っ込まれるであろう、グランド整地用のローラーで押し潰すべく上空から迫る!

 

三浦「な!?」

 

八幡「もう遅い!脱出不可能よ!」

 

三浦「クロスファイヤー・ハリケーン・スペシャル!」

 

マジシャンズ・レッドは千度を超える炎の塊をいくつも吐き出し、整地ローラーを爆風で破壊し、吹き飛ばす!

まずい!こんな回避を思い付くなんて!

それに、熱気でこっちがダメージを食らった!

 

八幡「ちっ!時よ!」

 

俺は整地ローラーから脱出して元の三浦の前に着地する。そしてナイフを三浦に向かって投げる。

時は動きだし、ナイフは三浦へと向かうが、そのナイフを三浦は炎で溶かす。

 

三浦「そんなん効かねーし。それと、重いコンダラって何だし。○人の星かっつーの」

 

八幡「良いツッコミだ、三浦」

 

三浦「ふざけんなし。言動はふざけているけど、殺意がこもりまくった攻撃ばかりだし。真面目なのかふざけているのかどっちだし」

 

八幡「あたくし、大マジですわ」

 

三浦「あんたはジョースターさんかっつうの」

 

八幡「俺の前世の片割れはジョナサン・ジョースターだからジョースターで間違ってませんが、何か?」

 

何を今さら。大体、ここにいる約半分はジョースターさん(俺、いろは、小町、静、徐倫)だっての。

 

三浦「あーしの中でのジョナサン・ジョースターのイメージが崩れ去るし…でも、そのふざけた態度でありながら、その殺気は、あーしらのジョースターさんのやりくちよね。あーしの前世の親友、ジョセフ・ジョースターさんの」

 

ちっ!適度にふざけて挑発して隙を作り出すジジイのやり方がバレている!そう言えばジジイとアヴドゥルはスタクルの中でも仲が良かったらしいな!

見破られているんじゃあ、挑発は無意味だ。

 

八幡「大抵は挑発にのって隙を作ってくれるんだがな。前世と違って冷静じゃあないか。あーしさん」

 

三浦「それも挑発?買ってくれるけど、本来あーしは前世と同じで頭に血が昇りやすい方だし。ヒキオとそっちのジョースターが仲が良いから、ジョースターさんのやり方が来るかもって予知していただけだし。モハメド・アヴドゥルの特技、忘れた訳じゃあないよね?」

 

三浦はポケットからタロットカードを出す。

 

三浦「あんたを占うと出てくる世界と隠者のカード。隠者はジョースターさんの暗示。カードの意味は秘匿、経験。正にジョースターさんを現す暗示。ならばジョースターさんの戦い方を警戒していて当然だし」

 

三浦の奴…。タロットカードでそこまで見破りやがったか。

 

八幡「そっちの意味だけじゃあないぞ、三浦。隠者の暗示の意味は正にジジイなんだよ!」

 

俺は右手からハーミット・アメジストを伸ばす!

 

三浦「無駄だし。ハーミット・パープルを持っているのはびっくりしたけど、そのいばらを燃やせば良い話だし」

 

ハーミット・アメジストが燃やされ、溶かされかける。

くそっ!逆に俺にダメージが入った。

 

八幡「ちっ!どこまで厄介な…」

 

三浦「どうやら、姫菜も勝ったみたいね」

 

俺がいろはの方へと目を向けると、エメラルド・スプラッシュがいろはに直撃していた。

 

八幡「いろは!」

 

三浦「よそ見すんなし!」

 

三浦は炎の帯をこちらに飛ばしてくる。

 

八幡「ザ・ジェムストーン!」

 

俺は炎の帯を回避し、時を動かす。

 

八幡「レッドバインド…俺が一番警戒している技だな」

 

そう、マジシャンズ・レッドの技の中でも俺が特に警戒しているのがこのレッドバインドだ。

承太郎の手足や鼻や口に巻き付き、呼吸と動きを封じたこの技。

だが、それはジジイの身内の承太郎相手だったから、その程度で終わっていたに過ぎない。

本来の威力でやれば、手足を焼き落とし、鼻や口から炎を侵入させて内臓から焼き尽くす、正に必殺の技だ。

三浦がそこまでやるつもりでは無くても、承太郎にやった威力であっても食らってしまえば、波紋で身体能力を向上させている俺は致命的である。

 

海老名「ハイエメラルド・スプラッシュ!」

 

八幡「ごふっ!」

 

レッドバインドを回避した俺の隙をついて横からエメラルド・スプラッシュが飛んで来て、俺の肺にダメージを与える!

しまった!肺を!

 

海老名「チェックメイトだね、DIO。喰らいなさい!半径20メートルのハイプリエステスの結界を!」

 

三浦「そして、それに炎をまとわせれば酸素が燃えて呼吸困難になるし!終われ!ヒキオ!」

 

くそっ!肺をやられた上にコイツはキツイ!

打つ手が…

舐めていた…花京院とアヴドゥルのコンビがここまで強いだなんて…。

 

←To be continued




八幡といろは、大ピーンチ!

マジシャンズ・レッドとハイエロファント・グリーンのコンビなんてザ・ジェムストーンの前じゃあ余裕だろ?
と、思われていた方が多いかと思います。
ですが、第6部のプッチの回想でのDIOが言ったように、スタンド能力に強弱はない。それを現したのが今回の海老名さん&あーしさんの戦いです。
もし、DIOとの戦いでアヴドゥルがいたら?を、想定して書いてみましたが、マジシャンズ・レッドも使い方次第ではチートな能力です。
さて、どうやって八幡といろはを勝たせるか…作者自身も頭を捻っております!
それではまた次回もよろしくお願いします!

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