今まで訳がわからなかった奉仕部の活動がついに動き出した!
記念すべき依頼者一号が登場!
しかし、相手は事故の犬の飼い主!
しかも、一年以上も経つのにお礼も謝罪もない非常識の女!
当然、SPWが素性を洗っていないわけがなく、険悪なSPWと由比ヶ浜!
果たしてどうなるのか!
注》由比ヶ浜がひどい目に遭います。
side比企谷八幡
雪ノ下と由比ヶ浜が廊下に出てからしばらく経つ。
時間にして20分。
依頼内容を聞くだけでそんなにかかるのだろうか?
俺はマッカンを飲み干し、仕事を一段落させる。
今月の定例会の資料が終わり、後は仗助に提出するだけだ。
後は他支部の役員の宿泊場所の確保と食事会の会場押さえ、現地視察の組み立てに…まだまだ一杯やることがあるなぁ。
雪乃「戻ったわ」
静「そう。ご苦労様。内容報告を端的に頼むわね。ハッチ、医療機器の視察場所に葉山病院が含まれてるわよ。あそことの取引は中止してるから、外しておいた方が良いわ」
ジョジョが書類のチェックを終え、不備事項を伝えてくる。さすがは次期副会長だ。
仕事の処理が早い。
八幡「しまった。チェック漏れだ。まだ下らない裏工作してくるバカがいたか。いろは、洗い出しを頼む。もし裏工作の主犯が寒川医療部長だった場合は解雇も考慮にしてくれ。裏の関係者がいた場合は始末の手配も頼む。うちが主催の地方支部長会同に下らんことを…ジョジョもサンキュー。危うく大恥だったわ」
こっちも指摘を受けて再チェック。
マジだ。送信前に点検したときには入ってなかった葉山病院が含まれている。
送信と同時に起動するマクロか何かをやられたな。
静「気を付けてねハッチ。で、雪ノ下さん、どういう依頼内容だったの?」
仕事モード起動中のため、ジョジョの態度は事務的だ。
元々雪ノ下に対しては事務的だが。
雪ノ下「家庭科室に行くわ。付いてきて」
静「家庭科室に?もう少し詳しく教えて。報告は端的に明瞭に」
報告は内容の要点を短く凝縮してするものだよ?
今の雪ノ下の報告は報告として大失格だから覚えておくといいよ?
八幡お兄さんとの約束だよ?
結衣「クッキー…クッキー焼くの」
いろは「はぁ、クッキーですか…」
話がまったく見えてこないので、いろはもおうむ返ししか出来ない。
雪乃「由比ヶ浜さんは手作りクッキーを食べて欲しい人がいるそうよ。でも、自信がないから手伝って欲しい、というのが彼女のお願いよ」
雪ノ下が疑問を解消するように説明した。
八幡「何で俺達がそんな事を?それこそ友達に頼めよ。あと、最初からそう報告しろ。報告を受ける側に対して失礼だろ」
雪乃「偉そうに…」
少なくともお前よりは偉いよ。
結衣「それは…その…あんまり知られたくないし、こういうの知られたらたぶん馬鹿にされるし…。こういうマジっぽい雰囲気、友達とは合わない、から」
由比ヶ浜は目を泳がしながら答えた。
はぁ…と盛大に、わざとらしくため息を吐く。あ、ジョジョといろはもだ。流石は昔馴染みの婚約者と無二の親友。考える事は一緒だ。
真剣にお願いした事を馬鹿にしたりするのは友達のやることなのだろうか?
そして、友達と合わないとか言っている段階でお前が友達を真に友達とは思っていないに等しい。
八幡「はっ!」
思わず鼻で嗤ってしまうと、由比ヶ浜と目が合う。あ、あうと言ってうつむき、スカートの裾をぎゅっと握りしめて、少し肩を震わせている。
結衣「あははは、変だよねー。あたしみたいなのが手作りクッキーとかなに乙女ってんだよって感じだよね」
静「違う。主義や主張、趣味も個人の勝手。そんな事でハッチはあなたを嗤ったりしない。もっと根本的なことよ。まずは、私にはあなたが本気で手作りクッキーを作りたいと言う気持ちが伝わって来ない」
結衣「ほ、本気だし!」
静「ならば、恥を承知で友達とかに聞きなさいよ。手作りクッキーを作りたい気持ちと友達に馬鹿にされるのがイヤな気持ちがぶつかり合った結果、友達に馬鹿にされるのがイヤな気持ちの方が勝ったと言うのが本気を疑う理由よ。覚悟がない証拠じゃない」
うん。俺もそこが心底気に入らない。
静「次に、その友達は本当に友達?それとも、あなたが友達と思ってないんじゃあないの?ハッチが嗤ったのは多分そこ。私達の間では本気の相談やお願いは笑ったり馬鹿にしたりしない」
八幡「ジョジョー!yeaaaah!」
パシッ!ピシッ!ガシッ!グッ!グッ!(本日二度目)
結衣「二人は付き合ってるの?」
恋愛感情はないが、本当にコイツとは気が合う!
なんか自分がもう1人いるみたいだ!
静「コレが本当の友達。ここまで来ると恋愛感情とか抜きにしても男女の友情は成り立つ。ね?ハッチ?」
八幡「おう!ジョジョは無二の親友だ!勿論、仗助もな!恋愛感情?ジョジョと?ないない。で、どうするんだ?別に変だとかキャラじゃあないとかとは思わないが?純粋に興味がない。お前にも、その友情(笑)にも」
結衣「もっと悪いよ!」
由比ヶ浜が机をバンと叩いて憤慨する。
当たり前だ。俺、お前の性根が嫌いだし。言外にそう言ったつもりなんだが、伝わらなかったのか?
結衣「比企谷!マジあり得ない!あー、腹立ってきた。あたし、やればできる子なんだからね!」
しょっちゅう言われてるな?
いろは「それは自分で言うセリフじゃあ無いですよ。さてはしょっちゅう母親に言われてますね?どれだけ普段、周りの期待を裏切っているんですか?」
結衣「うう…あたしだって、いつも一生懸命なのに…」
いつも一生懸命なだけで世の中うまくいけば苦労はしない。やればできる、というのは常にやる気をだしてやれよという言葉の裏返しだ。
由比ヶ浜がぶわっと目に涙を貯めた。
徐倫「話がすすまないわ!とりあえず、奉仕部としての依頼、受けるの?」
静「まぁ、記念すべき初依頼ですから、監督するくらいなら。お兄ちゃん、どうする?」
まあ、確かに色々努力不足なところがあって、正直断りたいが、初依頼を諦めさせるというのももの悲しいな。
由比ヶ浜が遣る気になっているところに水を差しても俺達に得はない。
まぁ、ジョジョの判断に任せよう。
仗助もそう判断したのか、頷くだけだった。
雪乃「別にあなたの料理の腕には期待してないわ。味見をして感想を…」
雪ノ下が何かを言おうとしたが…
いろは「せっかくだから勝負しない?ハチ君の料理と私の料理で」
仗助「フロリダ以来、しょっちゅうトラサルディに通うようになって、手解きを受けたら、味にうるさい億泰やイタリア支部の幹部連中も納得の腕になっちまいやがって」
八幡「アマレッティ・セッキ(イタリアのメレンゲクッキーの一種)でか?普通のクッキーなんだろ?アマレッティなんて出してどうする…ん?何か言ったか?雪ノ下?」
雪ノ下「何でもないわ……」
なんかフラフラと由比ヶ浜と二人で家庭科室に向かった。何なんだ?
徐倫「パティシエでもない男子にお菓子で負ければ、そりゃプライドに傷がつくわ」
ー家庭科室ー
俺達は近くのスーパーで材料を買って来て、家庭科室に入った。
準備は終わっていたようなので、一通り全ての道具に買ってきたアルコール消毒液とじ亜塩素水溶液を吹きかける。
雪ノ下「何してるのかしら?」
八幡「食中毒対策。ついでに各種毒物の点検。一応、今日の調理実習の時に点検しているがな」
静「私たちは信用できる所以外の作成者か、食器や調理器具はこうして一度点検するようにしているの。私達を邪魔に思う者は少なくないわ」
結衣「そんな、大袈裟な…」
いろは「グループ全体の年商50兆円。日本の年商25兆円を軽く超す世界1位の業績を持つ会社の幹部の地位を疎ましく思う人は少なくありませんから。世界のSPW財団は比喩でも何でも無いんですよ。
もし、私達の身に何かあれば、消されますよ?常に見えないところから護衛されてますから。逆に何もなければ敢えて泳がされているだけ…の可能性がありますので、言動には気を付けて下さいね?お二人とも」
Oh……いろはの奴、チクチク刺すなぁ。
言外にお前らは泳がされているだけだと言っている。
そうなんだよなぁ。創業100年の大企業は伊達じゃあ無いんだよな。調べてみたらビックリした。
医療機器から自動車産業、造船、飛行機、兵器、宇宙開発とかの重工業まで手を出している。マッチ一本からスペースシャトルまで…という触れ込みはマジであったと知ったときにはチビってしまった。
そしてそれを知ったときには抜け出せる地位にはいなかった。
八幡「お前、本当によく普通にウロチョロ出来るよな?場合によってはヒットマンに囲まれていておかしくない立場じゃん」
仗助「よく言うぜ、お前らが一緒だったら並みのヒットマンなら歯が立たないじゃあ無いか。波紋の戦士ってそれだけでも反則だぜ。まぁ、大抵は俺達自身で十分」
そう、俺達は常にヒットマンに狙われている。
狙撃で狙われそうな所は常に押さえられているし、食堂や商店なども気軽に出入りすることは禁じられている。
そういう立場だ。
つまり、今ここで簡易検査と消毒を実施しているのは大袈裟ではない。
学校の清掃業者を装って家庭科室の調理器具に毒を仕込むことなど容易だしな。
そんなことが可能なのかって?
可能だ。だって逆の事を今日、隠密に財団の特殊部隊がやったのだから。
だから安心してここの調理実習をしたわけだし。
手早く準備を終わらせると、俺達は調理服に着替える。
トニオさんからもらった調理服だ。
そう言えば、今日の調理実習でもこれを着たわけだけど、何故みんなは制服の上からエプロンを着けるだけで満足するんだ?
仗助「これに着替えると、高校時代にトラサルディの厨房に勝手に入って罰せられた時の事を思い出すぜ」
八幡「そりゃ、手も洗わず厨房に入ればトニオさんに怒られるに決まってる。ほれ、石鹸」
俺は石鹸と液体石鹸を今日の道具箱から取り出す。
汚れを落とす通常の石鹸と、消毒を優先に作られている逆性石鹸だ。
特に逆性石鹸は大事。調理をするときは必ず使うんだよ?八幡との約束だ!
一方、雪ノ下と由比ヶ浜はエプロンを着けていた。
雪乃「曲がっているわ。あなた、エプロンも付けられないの?」
結衣「ごめん、ありがとう。…え、エプロンくらいちゃんと付けれるよ!」
雪乃「そう、ならちゃんと付けなさい。適当な事をしていると、あの男の……」
ギロッ!(殺気入り)
学習能力がないのか?人をなまはげのような扱いにするな。良い子にしてないと包丁持って拐いに行くのかよ。
それにな、その躾の仕方はな、いろはのトラウマを刺激するんだよ。
何でお前はナチュラルに俺達の地雷を毎度踏み抜くかなぁ……。
ちなみに、なまはげを知らないものはいないから、特に心配はしていないが、なまはげとハゲは関係ないからな?
間違っても俺の頭皮を気にするなよ?
雪乃「な、なんでもないわ、私が着けるから。後ろを向きなさい」
相変わらずだらっとしたエプロンを着け方の由比ヶ浜にしびれを切らした雪ノ下は由比ヶ浜のエプロンをきゅっと結び直す。
結衣「なんか、雪ノ下さんってお姉ちゃんみたいだね」
雪乃「私の妹がこんなに出来が悪いわけがないんだけどね」
憮然と良い放つ雪ノ下だが、案外由比ヶ浜の例えは間違っていないかもしれない。
むしろ、お前が陽乃さんの妹だと言うのが驚きのポンコツさなんだが。
外見は大人びた雪ノ下と、童顔の由比ヶ浜の取り合わせは何かと姉妹っぽい。
結衣「あ、あのさヒッキガヤ君」
今、ヒッキーと言いかけたな?
八幡「今のはセーフにしてやるが、次はない。で、なんだ?アマレッティ・セッキは普通のクッキーよりは難しいから教えんぞ」
こいつに話しかけられたくないので、ついつい声が冷たくなってしまう。
いかんな。仕事だと嫌悪感を持つ相手に対しても笑顔で接するようにしているが、プライベートとなるとその演技が苦手になってしまう。
結衣「か、家庭的な女の子ってどう思う?」
八幡「別に、何とも普段から見てるから」
普段から小町やいろはやジョジョみたいな家庭的な面も含めた完璧少女達を見ているからホンット、こんな似非家庭的な女の子なんて何とも思わん。それ以前に君は別の事を気にするべきだと思うよ?常識
とか。
結衣「そ、そっか」
由比ヶ浜はガッカリしたように肩を落とした。
結衣「よーしっ!やるぞ!」
気を取り直してブラウスの袖をめくり、卵を手にしようとして…。
八幡「ちょっと待てやコラ(# ゜Д゜)」
結衣「え?」
八幡「まずは調理前に手を洗え!その次に、家庭とかならばともかく、こういう公式の場では調理用の…最低限使い捨てのビニール手袋を付けろ!おら、スピードワゴン製医療品自慢の石鹸と逆性石鹸、そして使い捨ての安心品質のエンボス手袋、後はアルコール消毒液だ!」
俺は道具箱から一式を取り出す。
こういう時でも宣伝は忘れてはいけません!
いつでも自社製品の売り込みは忘れない!
商売の基本です!
結衣「そんな事をしなくても…」
徐倫「バカー!」
バシーン!(ビンタ!)
結衣「タコス!」
徐倫のビンタが由比ヶ浜を捉える!
由比ヶ浜は女の子座りで口の前にグーを作って徐倫を見上げていた。
どうでも良いけど、お前は波紋の戦士に蹴りを入れられた吸血鬼かっ!
徐倫「食中毒を舐めるんじゃあない!場合によっては死ぬのよ!アンタ、この四人と今日はいないけどもう1人が食中毒になったらどんな恐ろしいことが起こるかわかるの!?ねえ!アンタ1人ならともかく、下手したら一族朗党がヤクザなんか目じゃあないくらいの奴等にアンタは消されるのよ!?そうなりたいの!?その5人の業務を止めただけでも1人1日に付き、一般家庭の年収に匹敵する弁償金を求められるのよ!?食中毒なんて事になってみなさい!あなたの生涯の収入が無くなるの、わかってる!?」
徐倫、熱弁を振るってるところを悪いが…
だとしたらコイツらは二人で折半しても余裕で十五年分の年収が吹き飛んでいる。
実際は逆に一月仕事浸けになったからプラスだったが。
ちなみに、弁償金の件に関しては陽乃さんとの取引でチャラになっている。
陽乃さんは顔を真っ青にして自分が払うと申し出てくれたのだが、さすがに命を賭けた旅の仲間にそんな事をさせるわけにもいかないし、半分は自分から事故に遭いに行ったようなものなのだから、俺は笑って無料で示談にした。その時に唇を奪われたが。
いろはと由花子さんが般若の表情を浮かべて追いかけて来たのは苦い思い出だ。
結衣「わかりましたよ…何も叩かなくても…」
由比ヶ浜は渋々手を洗い、エンボスを着ける!
そして卵を割って、かき混ぜようとし…
静「ちょっと待てやコラ(# ゜Д゜)」
結衣「え?」
静「解く前に殻を取り除けよ。異物混入で立派に事案だわ。何を食わせようとしてんだ」
ジョジョのぶちギレ口調が本日二度目の炸裂。
結衣「でも、ちょっとの量なら…」
徐倫「バカー!」
バシーン!
結衣「タコス!」
ビンタ再び。徐倫、お前はプッチとの激戦で鍛えられて力があるんだから力加減を考えろよ?
あと、由比ヶ浜はやっぱり吸血鬼か?
プロテクターで太陽を克服した例があるからな。
後で波紋を流して貰うか。ジョジョに。
俺はコイツに触りたくない。え?ジョジョも?
えー…スタンド越しでも触るのイヤだぁ。
徐倫「量の問題じゃあ無いのよ!最近じゃあ卵の殻はカルシウムたっぷりとか言われて注目されているけれど、殻をそのままにして料理をしようとしている心意気が気に入らないわ!贈り物としては最低よ!」
結衣「ぶちましたね!2度もぶった!ママにもぶたれたことないのに!」
静「アンタはアムロか!ネタに走ってないで早く卵の殻を取り除けや!」
由比ヶ浜は渋々、卵の殻を取り除き、次に小麦粉を入れようとして…
いろは「ちょっと待てやコラ(# ゜Д゜)」
あ、俺らにつられていろはまでがキャラ崩壊した。
ぶちギレてもこんな口調は出さないもんな…
いろは「何で小麦粉をふるいにかけずにダマになったまま溶いた卵に入れようとしてるんですか。マジメにやってます?」
結衣「そんな細かいこと気にしなくても…」
あ、多分…
徐倫「バカー!」
ドズッ!(小指が横隔膜に突き刺さる音)
結衣「パウッ!」
その悲鳴はむしろ、ドズッ!ってやる側の掛け声なんですけどね。
徐倫、波紋の戦士じゃあ無いのによく場所を的確に突き刺せたね?師範クラスでも中々難しいんだぞ?
結構デリケートだから。偶然だろうけど。
コオオオオ…プシュウ…由比ヶ浜に波紋の素質なし。
意外な形で検査完了。
徐倫「生の小麦粉は腹痛の原因となるのよ!大体、ダマになった小麦粉で作ったクッキーが、噛んだ瞬間のあの口の中で粉っぽくなる不愉快さを想像したことあるの?ちゃんとふるいにかけてしっかりやって!」
由比ヶ浜は渋々小麦粉をふるいにかけ、次の作業に入る。まだ何かやらかしそうだな。
仗助「ちょっと待てやコラ(# ゜Д゜)」
あ、普段はお菓子作りなんかやらない仗助からもツッコミが入った。
仗助「何でバターを固形のまま入れるんだ?普通は湯煎して溶かすだろ」
結衣「え?だってどうせ焼いて溶けるし…」
そろそろオラオラ入るぞ?
徐倫「バカー!コイツはめちゃ許せんよなぁ!」
モキ…モキ…
結衣「うげァあぁぁぁぁ!」
お前はラバーソウルかぁ!あいつ、ちゃんと更正したかなぁ…じゃあねえ!
アルゼンチンバックブリーカーはやめろ!
力加減間違えると命に関わるからやめろ!
白目剥いてよだれが出てるから!
あと、由比ヶ浜!余裕が無いのはわかるが、女子があげて良い悲鳴じゃあない!
一応は学内で人気ある女子がして良い顔じゃあない!
徐倫「ハッ!」
正気に戻った徐倫が由比ヶ浜を下ろすが…ヤバい!口からエクトプラズムが出ている!
仗助「ドラァ!」
静「コオオオオ…ハッ!」
結衣「ハッ!」
仗助がクレイジーダイヤモンドで治し、ジョジョが波紋で気付けを行った。
あっぶな!
雪乃「治すも壊すも自由自在…恐ろしい人達だわ」
何か雪ノ下が言っているが無視だ。
結衣「何か死んだおばあちゃんがオーソンの隣の小道に立っていて「千葉に帰りなさい」って言ってた」
仗助「杜王町の振り向いてはいけない死んだ魂の通る小道の事じゃあねぇか!」
本当に死にかけてやがった!
危ないなぁ!
八幡「徐倫…」
徐倫「うん。ごめん」
とりあえず、その先は由比ヶ浜にやらせた。
だが、砂糖と塩を入れ間違える(触った感触でわかれ!)
バニラエッセンスや牛乳はドボドボ入れる(計量しろよ!というか、せめてレシピ見ながらやれ!ガラケーのサイトでもレシピは見れるだろ!)
もう、見ていられないので、俺といろははアマレッティを作り始めた。
メレンゲだから卵黄は使いません♪
ふと見ると、由比ヶ浜はインスタントコーヒーを取り出した。
静「コーヒー?まぁ、飲み物があった方が食も進むしあなたにしては気が利いているじゃあない」
結衣「はぁ?違うんですけど。これ隠し味だから。男子って甘いもの苦手な人多いじゃん?」
八幡「あっ……ちょっと待………」
作業しながらジョジョの方に向き直る。すると、当然視線は手元から外れ…ボウルの中に黒い山が出来ていた。
静「全然隠れてねぇじゃあないかぁぁぁぁぁ!」
ジョジョの悲鳴が家庭科室に響く。
結衣「え、あー。じゃあ砂糖を入れて調整するよ」
そう言って、黒い山に白い山を築き上げる。それを溶き卵の大津波が飲み込んで、地獄が作られていた。
静「お兄ちゃん……もう、無理。ちょっと付き合ってくれる?壁の修理をお願いするから」
仗助「お、おう…程ほどにな?徐倫、監督頼むわ」
徐倫「出来ればあたしも行きたいんだけど」
アンタは顧問でしょ?残りなさい?
廊下から「ドラララララララララ!」と聞こえる。
相当ストレス溜め込んでいたな…後で仗助学ランとリーゼントカツラを貸してやろう。
少しはストレス発散になるだろう。
結衣「なんか廊下でジョースターさんが騒いでいるけど、どうしたんだろ?」
うるさい。お前は知らなくても良いことだ。
結論からして、由比ヶ浜には料理のスキルが欠如していた。足りる足りないの問題ではない。最初からない。
不器用な上に大雑把で無駄に独創的という、およそ料理するのに向かない人間。
危なかった…今日の調理実習、乗っ取って正解だった。
本当に腹痛で
実習や実験と名が付く授業や作業をコイツとやりたくない。死人が出るぞ…
由比ヶ浜がクッキーと言い張る物が焼き上がった頃には真っ黒な木炭が出来上がっていた。
八幡(家庭用オーブンで木炭って出来るんだ。
知らなかった。
ジョイフル本田やカインズホームやケイヨウデイツーに情報が行く前に、財団の技術班に研究を開始するように通達しないと…
オガライトに代わる新エネルギーはクッキーの材料にあったんだ…」
いろは「先輩…正気に戻って下さい。現実逃避したい気持ちはわかりますから」
うん…ホント、現実逃避したいよ。
初めて見たよ。焼き菓子の基本とも言えるクッキーで木炭オガライトを作る奴。
漫画の世界にだけかと思ったよ。
結衣「な、何で?」
由比ヶ浜は愕然とした表情で新エネルギーを見つめている。
雪乃「理解できないわ……。どうやったらあれだけミスを重ねることが出来るのかしら」
雪ノ下が呟く。小声であるあたり、由比ヶ浜に聞こえないように配慮はしているのだろう。
それでも、我慢しきれずに漏れ出たという感じだった。
結衣「見た目はあれだけど……食べてみないとわからないよね!」
雪乃「そうね。味見してくれる人もいることだし」
静「そうね。食べなさい。雪ノ下さん、由比ヶ浜さん。毒味として」
結衣「どこが毒よ!…毒かなぁ?ところで何でジョースターさん達は食べてくれないの?」
威勢よく突っ込んだわりに見た目が不安なのか、由比ヶ浜は小首を傾げて「どう思う?」みたいな視線を向けてきた。知らんがな。そもそもだ…
静「私達は元々自分達家族が作った物や家が雇っている料理人や安全が確保されている物以外は食べられないのよ。そういう決まりなの」
案外、この規則ってきついんだよな。
屋台とかでちょこっと食べてみたいなぁ…と衝動的に思っても、そういう買い食いはダメなんだから。
突発的に小腹が空いたとかなったときはカップ麺とか未開封の袋ソーセージとか。
まぁ、そこまで警戒しなくては毒殺される可能性もあるんだから、仕方がないと言えば仕方がない。
仗助「それに、まずは作った本人が味を見るのは礼儀なんじゃあ無いのか?自分が納得できる物を作って、初めて人に味を確かめて貰うもんだ。自分が納得出来るものどころか、一切口にせずに人に薦めるのは人としてどうなんだ?失礼だとは思わないか?我々が君を信用せず、君に対して厳しいのは何故だか、今日部室に入ってきた事から考えて思い出してみろ」
仗助からしてみたら去年の事も含めて色々言いたいのだろう。
だが、俺が黙っている以上は黙ってくれているのだろうな。
仗助「食べるのなら、食べろ。捨てるなら、捨てろ。食べるのは作った由比ヶ浜と依頼を受けた雪ノ下だ。お前は部長のジョースターが決定する前に勝手に依頼を受けたんだからよ。これは越権行為をした罰だ。何、誰かが毒を仕込んでいるのじゃあ無ければ、死ぬレベルであっても即効性ではない限り、SPW医療班が駆けつけて何とかしてやるさ。うちのスタッフは優秀だからな」
鉄鉱石ですと言われても信じてしまいそうな黒々とした新エネルギーを摘まみ上げてから、俺を見た。
心なしか目がちょっと潤んでいる。
雪乃「死なないかしら?」
八幡「知らねぇよ。自分達の責任だろ」
由比ヶ浜は雪ノ下に仲間意識を持ったのか、頼もしそうな表情で彼女を見ていた。
原因はお前だからな?
←To be continued
ジョイフル本田が完成しました。
ジョイフル本田とはホームセンターです。知らない人はググって下さい。まぁ、ケイヨウデイツーを知らない人はいないと思いますので、千葉を拠点とした同業他社だと思って下さい。
え?由比ヶ浜戦では無かったのか?ですって?
実は分かりにくいですが、既に始まっています。
どんな能力か?
ヒントは「入部届け」ですらマトモに漢字で書けない彼女が総武高校という県内1の公立進学校に合格出来たこと。彼女が普通に受けて総武に受かるでしょうか?
不正とかは使っていません。ただ、明らかに合格出来そうもない高校を受験した彼女はどういう気持ちで受けたのかを考えてみて下さい。そこに彼女のコントロール不能な一風変わったスタンド能力が関わっています。
もうひとつ、ツッコミの方が目立っていますが、彼女はどういう気持ちで臨んでいたでしょう?
やはりそこで一風変わったスタンド能力が関わっています。
あまりに一風変わりすぎて八幡達はまだ気付いていません。
今回の原作との相違点
八幡が鼻で笑った(嗤った)理由
原作はコイバナに繋がることだから笑った➡こちらの八幡は所詮はその程度の見せかけの友情か…という嗤い。
本来、ガハマさんに対して八幡が喋る場面をいろはや他のジョジョキャラが喋っている。直接被害に遭った八幡は口を利くのも嫌がるほど、現時点ではガハマさんが嫌い。今後好転するかは不明。
原作八幡はカレー程度しか作れない➡トニオ・トラサルディから教えて貰い、少なくともイタリアンはプロ級で完璧。
世界一の企業の最上級、又は幹部の為、社の内外に敵が少なくない(末端はジョースター優先思想が行き届いているが、下級幹部以上だと変に野望を持つ)為、毒殺を警戒して、下手なものは食べられない。ジョイフル本田などもっての外である。
八幡は由比ヶ浜のエプロン姿にグッと来る➡特に何も
ユキノン、ガハマによって作られた背信行動によって八幡の唇はハルノンに奪われている。ちなみに特に描写はしなかったが、いろははファーストキスを奪っているし、小町にも実は奪われている。(徐々に小町も健全なブラコンでは無くなってきている)
そもそもこの依頼を受けたのはユキノン(下っ端)の勝手な判断なので、ジョイフルの味見は作った本人と、無責任に受けたユキノンが実施。
それでは次回も読んで下さい。それでは!