やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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ウルフスのケルベロスを単身で押さえ込もうとする小町!
果たしてどうなるか!?


力の赤と技の青

side比企谷小町

 

流石は犬のウルフスだけあって逃げ足の速いケルベロス。

波紋の戦士の中でも最速の足の速さを持つ小町をもってしても追い付けない。

 

小町「こうなったら………」

 

サンシャイン・ルビーを展開して指先をケルベロスに向けるけど………。

 

小町「ルビー………」

 

橋本「それをやらせるかよ!」

ケルベロス「あおおおおおん!」

 

くっ!

ルビーレーザーで撃ち抜こうとしても、レーザーを射つ前にケルベロスの遠吠えによってサンシャインが消されちゃうんだよね……。

まぁ、こんな縦横無尽にアッチに跳んでこっちに跳んでを繰り返されちゃ、狙いを付けるのも難しいんだけどさ。

やっと追い付いたと思ったら…………

 

小町「ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ!」

 

ケルベロス「ミリオンファング!ガウガウガウガウ!」

 

生身のゴミゴミラッシュをケルベロスの高速バイティングが迎え撃ってくる。

ううううっ!サンシャインのゴミゴミラッシュならば速さ勝負で勝てるのに!

でも………それをやろうとしてサンシャインを出そうとしても………。

 

小町「サンシャイン・ルビー!」

 

ケルベロス「あおおおおおん!」

 

サンシャインを強制的に引っ込められてしまう。

逃げるケルベロスを追う小町→ルビーレーザーで狙ってもかき消される→何とか追い付いてゴミゴミラッシュを仕掛けるけど、3つの頭で相殺される(ついでに言えば噛まれたら狂犬病に冒されるから、牙に当たらないようにラッシュをコントロールしている関係上、ゴミゴミラッシュを精密性重視で放っている)→結局力比べは引き分けに終わって間合いが離れる→鬼ごっこが再開される………のループを繰り返しているんだよね。

ループと言えばお兄ちゃん、例の三部作の最後の1つ、『ループ』も読み終えたんだっけ。

エンポリオ君に暗号解読を任せている『らせん』のヒントはまだ結果が出てないみたいだけど。

お兄ちゃんの遺伝子の塩基配列の記号を『らせん』の並び替えをヒントにしつつ、解析していかなくちゃならないなんて、エンポリオ君も大変だよね。

今の小町も大変だけど。

 

場所はコミュニティセンターから遠ざかり、幕張メッセ、ホテルロイヤルオークラ、SPWジャパンの本社ビル前、千葉マリンスタジアム、海浜幕張駅、美浜大橋をドンパチしながら抜けていき(その都度悲鳴が巻きあがる。これ、後処理どうしよう……)、稲毛へと進んで稲毛海岸へ。

 

ケルベロス「しつこいメスだな……リサリサよぉ……」

 

小町「何が何でも逃がさない……ウルフスは少しでも減らすんだから!」

 

ケルベロス「レクイエムを使えないお前が、俺達をか?面白い冗談じゃあねぇか?このチンチクリンがよぉ?スタンドの方がスタイル良いじゃあねぇかよぉ!」

 

ムカッ!

確かに小町本体とサンシャインじゃあ、サンシャインの方がスタイル良いよ?

だってサンシャイン・ルビーの見た目はまんま、前世のリサリサだもん!

体のあちこちにあるエイジャの赤石は光に当たるとキラキラと光って綺麗だし。

自分で自分のスタンドに嫉妬しちゃうくらいサンシャインは顔もスタイルもエイジャの赤石も綺麗だよ!

ぅぅぅぅ………ムッかつくぅ!

エイジャの赤石と言えば、せっかくSPWジャパンの本社ビルを通過したんなら、第7倉庫からスーパーエイジャ……そこまでいかなくてもエンポリオ君、材木座さん、早人さんが共同開発したジョセフおじいちゃんの没収された義手やらあの世界から借りパクしてきたアレを持ってくるんだっかなぁ……。あ、あれはヒュドラに壊されちゃって使えないんだった……。

あれには小粒のエイジャの赤石が埋め込まれているから、本当のルビーレーザーが出来るわけだし。

本物のエイジャの赤石のルビーレーザーならば、ケルベロスの咆哮を受けても関係ないし……。

まぁ、第7倉庫から取り出しに行っている間にケルベロスには逃げられちゃうだろうから意味ないけど。

千葉村以来、矢の所有権を持っている人以外は第7倉庫の隠し金庫は立ち入り禁止になっちゃったし……。

 

小町「女の子の見た目を貶すなんて、最低だね」

 

ケルベロス「ユニコーンの野郎がバカなんだよぉ。もっとも、俺達方角のスタンドに余計な属性を付与したのがお前ら人間なんだけどなぁ。何でテメェらはユニコーンにあんな属性を付けやがったんだコラ!」

 

知ったこっちゃ無いんだけど………。

小町がそんな伝説を作った訳じゃあ無いんだしさ。

 

小町「ゴミゴミゴミゴミ!」

 

ケルベロス「ガウガウガウガウ!」

 

ホントに埒が空かないよ………。

最強の波紋使いも、スタンドの基礎能力に追い付くのがやっと……サンシャインも使えない……。

せめて味方があと一人、いてくれれば……。

 

ケルベロス「む…………」

 

シュルシュルシュルシュルシュル!

アルコールの匂いと共に何かが飛んでくる……。

あれは………波紋のカッター!

 

ケルベロス「小賢しい!地獄の業火!」

 

ケルベロスは飛んできた波紋のカッターを吐き出した炎で燃やし、揮発させる。

シュルシュルシュルシュルシュル!

今度は見えない波紋のカッターがケルベロスを襲う!

 

ケルベロス「俺の鼻を舐めるんじゃあねぇ!圧縮されて小さくしていようが!そんなものが俺に通用するかぁ!間抜けがぁ!そこだ!地獄の業火ぁぁぁ!」

 

ケルベロスが海に向かって炎を吐く。

 

小町「ゴミゴミゴミゴミぃ!わっせろーい!」

 

小町が海に立ち、水の柱を立てる事でケルベロスの炎を無効にする。

 

小町「いつの間にここに来たのさ?沙希さん、大志君」

 

海の中に潜んでいた沙希さんと大志君が浮かんできて、小町の隣に立つ。

 

沙希「あれだけ派手に鬼ごっこをしてればね。追い付くのは苦労したよ」

 

大志「段々海に向かって移動してたんで、美浜大橋からは海を走って先回りしてたんッスよ。リサリサ先生」

 

沙希「ヘイ、ベイビー。環境を上手く使うのも波紋法の極意じゃあ無いの?比企谷小町」

 

タイミングを狙って出てきたクセに、説教するのは止めて欲しいなあ………。ウッペリさん。

 

小町「というか、よく稲毛海岸で遭遇するのがわかったよね。何でこんなに都合が良く?」

 

大志「これッスよ。コレ」

 

大志君が水没対策をしたスマホを取り出して小町に見せる。そこに映し出されていたのは………。

 

小町「ヤッちゃんからのGoogleマップナビ?」

 

そう言えば杜王町で大志君とヤッちゃん、妙に仲が良かったよね?

そっか。ヤッちゃんが大志君をナビしてくれていたんだね。

 

大志「ダメッスよ?支援部隊を甘く見てちゃ。折本さんから連絡を受けた広瀬さんが、無敵のペイズリー・パークで上手くナビをしてくれていたんッス」

 

沙希「じきに比企谷と東方社長が来てくれる筈さ」

 

遠くでサイレンの音が響く中、並び立つ小町と川崎姉弟。

 

小町「沙希さん。けーちゃんは………?」

 

この時間、川崎姉弟のどちらかは、スージーの……けーちゃんの迎えに行っているはずだよね。

ということは………。

 

沙希「迎えには行っていたけど、無理を言って保育園に預けて来たよ。連れてくるわけにもいかないでしょ?」

 

だよね。寂しいだろうけど、我慢してね?けーちゃん。

 

ケルベロス「可哀想に。それで二度と姉弟姉妹は会えなくなるのさ……俺に喰われてなぁ!血の一滴も残さず食らいつくしてやるよ!」

 

小町「来るッ!アーシス……」

 

小町はサンシャインを展開して息を吸う。そしてケルベロスをキッ!と睨んでから……

 

小町「スクランブル!ゴー!」

 

小町&沙希&大志「コオォォォ……」

 

水面に立ちながら、小町達は揃って同じポーズをとって波紋の呼吸を練る。

 

ケルベロス「波紋だとぉ!揃いも揃って笛でも吹いていろぉぉぉぉぉ!」

 

小町達をまとめて灰にしようと優美子さんのバーニングファイヤーのような巨大な炎を吐いてくるケルベロス。

でもね?ここは波紋の戦士の独断場……海の水面だよ?

 

小町「わっせろーい!」

 

小町は水面に手を付けて、海面に巨大な柱を立てる。

まるで伝説の狼のパワーゲ◯ザー。

 

天の声「今さら伏せ字を付ける意味があるのか?」

 

何か未来でお兄ちゃんじゃあないお兄ちゃんが騒いでいそうな気もするけど、気のせい気のせい。

じゅうううううう!

水の柱は火炎放射を打ち消す。

 

沙希「流石は力のリサリサだね。技のツェペリの意地を見せるよ!大志!」

 

大志「了解!」

 

沙希さんと大志君も水面に手を付けて……

多数の海水の弾を作り出す。

 

大志「シャボンカッターの応用だ!タイトフロウ!ビッツロール……トパーズ!」

 

沙希「数が少ないよ!大志!」

 

沙希さんは波紋を海水に込めて、圧縮された海水を円月輪のように平らに……そして回転させる。

 

沙希&大志「パパウパウパウ!波紋のカッター!わっせろーい!」

 

人の口癖を取らないで欲しいなあ………。

確かに凄いよ?遠隔操縦タイプのスタンドかと思うくらいに自由自在に波紋のカッターが飛んでいってさ。

ある世界の雪乃さんが使っていたエンジェル・ラフレシアみたいに縦横無尽に飛んでいってるんだよね。

残念なのがケルベロスの奴、潮の臭いを敏感に嗅ぎとって自分の射程の中に入ってきた波紋のカッターを器用にミリオンファングで叩き落としている所なんだよね。

まぁ、それを黙って見ている小町たちじゃあ無いけどね。

隙を見てケルベロスに向かって走っていっては生身とスタンドを織り混ぜてラッシュを叩き込む。

 

小町「ゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミ!」

沙希&大志「パパウパウパウパウパウパウパウ!」

 

ケルベロス「ぐっ!このっ!グハァ!」

 

ファ◯ネルのように周囲を飛び交う波紋のカッターを対処しながら、小町達のラッシュを……それも、今度はサンシャイン、サマーハプノ、ビッツロール、そして小町達本体も交えて対処しなくちゃならないんだ。捌く余裕なんて無いだろうさ!

小町達の攻撃がちょびちょびと決まるようになる。

 

大志「ぐっ!」

 

でも、こっちも無傷と言うわけにはいかなかった。

小町が生身で対処出来るのは、近距離パワー型のスタンドとほぼ同じスペックを持っているから出来た事。

現段階での沙希さんや大志君は陽乃さんよりも波紋の力は弱い。

おまけに小町とは違って、グローブも付けていないから沙希さん達は本体に向かってくるミリオンファングを対処する手段は無い。

 

沙希「コオォォォ………」

 

ポタポタと流れる出血を波紋で止め、狂犬病のウイルスが体に影響を及ぼさないようにする沙希さん。でも大志君は………

 

大志「くっ!」

 

沙希さんほど万能な波紋を使える訳じゃあなかった大志君には早くも狂犬病の影響が出始めてしまう。

 

小町「大志君!」

 

小町はマフラーを大志君に巻き付け、治療の波紋を流す。

 

沙希「オフェンスに欲張り過ぎたね………」

 

小町と沙希さんはサンシャインとサマーハプノをディフェンスに回し、大志君の狂犬病を緩和させようとマフラーへの波紋を強める。

けど………。

 

沙希「波紋の治療では進行を押さえるのがやっとか…」

 

小町「沙希さんの技術があってこそだよ。小町の力じゃあ、そんな精密な波紋は使えないから……」

 

気付けとか、ダメージに対する治療の波紋は得意なんだけどさ、病気とかに対処する治療の波紋はあんまり得意じゃあ無いんだよね……。

 

沙希「あんたのバカげた波紋と同調したから出来た事だよ。力だけでも……技術だけでも……大志の治療は上手くはいかなかった……力のリサリサと技のツェペリ…2つが合わさったから出来た芸当だよ」

 

力のルビーと技のサファイア……かぁ。

エメラルドがあればディフェンスは完璧なんだけどなぁ。

 

大志「ごめん。姉ちゃん……師匠……せめてシャボンランチャーが使えれば……」

 

あー。シャボンの原液を仕込んだ袖ね?

や、あれって常備持ち運ぶには日常生活に支障があるよね。

ビッツロールの能力は圧縮だから、シャボンを生み出す能力は無いし………。

 

ケルベロス「お前ら、俺の能力がこの程度と思っているのか?」

 

ケルベロスのスタンド体が、三つ首から1つに変わる。

actチェンジ!?

 

ケルベロス「カスペルウェイト………」

 

カスペルウェイト………?

変化する黒妖犬!?

 

橋本「ガアアアアアアアアアアア!」

 

カスペルウェイトとなったケルベロスは………サンシャインへと形を変えて………サ、サンシャイン・ルビー!?

 

カスペルウェイト「…………ルビーレーザー」

 

シュウウウウウウ…………

 

カスペルウェイトのサンシャイン・ルビーから発せられたルビーレーザーが、背後の海面に命中したのか、海面から湯気が立ち上る………。

 

カスペルウェイト「ぬ………中々難しいな……」

 

難しいからね………ルビーレーザーの照準は……

でも………これはまずいかも?

 

←To be continued




第7倉庫……千葉村編以降、出番が無くなってしまったSPWジャパン本社ビルの片隅にある人の立ち入りがほとんど無い薄暗く、滅多に使用されない器財が仕舞われている倉庫。
普通に勤務している社員には一切の縁がない場所。
仕舞われている器材も、アーシスが用意したダミー。
真の用途は扉式屋内消火栓に偽装されている地下へと続く隠し通路。
その先はアーシスの秘密基地……等ではなく、隠し会議室と隠し倉庫があるだけである。
隠し倉庫にはアーシスが使用している軽火器等が保管されており、更にその奥には厳重な金庫には弓と矢、スーパーエイジャ、特殊ギミック付きのジョセフの義手、4-2でジョセフと小町が借りパクし、ヒュドラに破壊されたアイテムが保管されている。
奥の核シェルターもかくやの金庫は、第3章までは八幡達ジョースター家のアーシスも出入り出来ていたが、千葉村以降はヴァレンタイン、ジョセフ、承太郎、仗助、ジョルノ以外は立ち入り禁止になった。
スーパーエイジャの本来の持ち主である小町に関しては入室を許可しても良いのではという声もあるが、小町を通じて八幡が入り込む可能性があると見越している上に、現状でスーパーエイジャが必要とはされていない為、現在第7倉庫の金庫はレクイエムの発動で転移された矢を封印する以外では閉鎖されている。

弓と矢…ディアボロが第3部以前に発掘したスタンド使いを生み出す宇宙ウイルスが付着した6本の矢と不完全な偽物の矢の合計7本がある。
第7倉庫の金庫に封印されている矢は現在5本。
音石が形兆から奪った完全保存の矢、ジョルノのチャカバナナによってポルポ共々破壊された破片(承太郎のロケットに入っていた物)、ポルナレフからジョルノに渡った矢尻、エンリコプッチから回収された矢、ザ・ブックで蓮見の父親をスタンド使いに覚醒させた不完全な偽物の合計5本。
残り2本は第4部のラストで吉良吉廣(写真の親父)共々吉良が自動追尾弾により破壊(実質は仗助が破壊)された物と、マリアナ海溝に沈んでいたものをウルフスが何らかの方法で回収した物の一本。
もっとも、『矢』という形で確認されている物だけであって、不完全な偽物の一本のように宇宙ウイルスが付着している隕石の欠片は意外とあちこちにあるようであり、その内のいくつかがとある科学者によってアーシスが使用しているゴーグルやグローブの開発に使用されている。
また、岐阜には2つ、その特徴を持っていた隕石があり、1つはもはやウイルスは希薄おり、もう1つは2年前に落下して大災害を引き起こした後に、億泰を中心として消滅させられたものの、完全には消滅しきれておらずにとある湖に欠片が沈んでいる(SPW財団は完全に破壊したものだと思っており、その事実に気が付いていない。1年後に気が付く)。最後の1つについてはどうやらウルフスが関わっているようで、京都の修学旅行で何度もウルフスと遭遇したのは……?

とんでもないかくし球を用意していたケルベロス改めカスペルウェイト!
サンシャイン・ルビーの相手はサンシャイン・ルビー!
果たして小町と川崎姉弟に勝ち目はあるのか!?

それでは次回も宜しくお願いいたします!

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