やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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神木子門の過去

sideなし

 

2009年。

千葉私立総武小学校

静・ジョースター及び比企谷八幡

9歳。小学三年……夏。

 

静と八幡は覚えていなかったが、神木子門は二人のクラスメイトだった。

容姿端麗、成績も良く、人当たりも良い。

現在の総武高校で例えるならば、葉山隼人のポジション的な存在。それが神木子門だった。

クラスや学年に一人は必ずいる中心的なものと言えばわかるだろうか。どの学校のどの学年にも一人はそういうのがいるだろう。

付け加えて言うならば、葉山とは違い、神木はどちらかと言えば劣化版のディオ・ブランドーとでも言うだろうか。

表では爽やか系を装いながらも、裏では学年の悪ガキ達の纏め役的な存在……。

付け加えて言うならば、まだ羽振りがよかった頃の雪ノ下建設の幹部の息子という事もあり、結構裕福な家庭で育ち、イケメンで運動神経に優れている……。

ジョルノ・ジョバァーナのような例外があるものの、家庭にもよるが、小学生~中学生時代というのは一番大人を舐めている時代である。

神木子門にとってもそれは例外では無く、息子には甘い両親。欲しいものは何でも買って貰え、そこそこイケメンであり、運動神経抜群、ケンカも高学年に勝てる程には強く、男女共に人気が高い……。

この頃の子供のスクールカーストはスポーツ万能でケンカが強く、遊びの幅が広い者が高い位置にいくものである。

当時の神木子門は全てにおいて人気者になる要素を持っていた。青狸で言うならば、ジャイ◯ン、スネ夫、劣化版の出◯杉という感じであるだろうか?

そして小学校3年生というのは、早ければその頃から異性に対して興味を持つものである。

神木子門が最初に興味を持ったのは………。

不幸にも静・ジョースターだったということだろう。

静・ジョースターの当時の男子の評判は……。

 

・高嶺の花のお嬢様

・幼なじみの親友がアレ(八幡)じゃあなければ絶対に友達になりたい淑女

・家がお金持ちの学年1の美少女

 

だったのである。

その頃の静は、ジョースターコンプレックスもあり、淑女然としてなければジョースター家に捨てられると、色々とそれなりには気を遣っていたこともあって、その本性を隠していた。

ついでに言えば元々の顔の造形も良かったのもあるが、養父であるジョセフ・ジョースターがアメリカ不動産王でSPW財団元会長の正真正銘のお嬢様。

養母であるスージーQ、東方朋子、姉のホリィ、不良化しているとはいえ承太郎、仗助、ジョルノ、徐倫といった親戚縁者は素体が美男美女。

空条貞夫、トリッシュ・ジョバァーナ(当時はトリッシュ・ウナ)、広瀬由花子、音石明といった親しくしている周囲の存在は芸能人だったりと色々と美的センスを磨くには充分だった環境故に、静がそんじょそこらの一般家庭のお子様に負ける要素は無かったとも言えるが。

むしろ、承太郎にせよ静にせよ、何で普通の公立学校に通っていたのか疑問なまである。

 

ちなみに現在の総武高校における静・ジョースターの人物評を挙げるなら……。

 

・黙ってれば美少女

・絶対に恋人にしたくないアイドル

・残念お嬢様

・裏ではヤクザと繋がっている極道お嬢

・裏スケ番

・性悪コンビの女の方

 

である。

本人が聞いたら怒り狂うこと間違いなしだ。

とにかく、学年……いや、学校1の美少女と言っても過言じゃあなかった静に異性として興味を持った神木。

小学生ながらも何人かに告白されては撃沈させつづけた静だったが、神木は自分ならば静に釣り合うだろうと考えていた。

その自信の根拠は学年1の人気者……。

学年の人気者であり、我が世の春の真っ只中だった神木は、静だって自分の事が好きであるに違いない……と考えていたのである。

しかし………

 

静『そのお気持ちは嬉しいのですが、私には他に好きな人がおりまして………』

 

丁重に、それでいながらバッサリと斬られる神木。

 

神木『だ、誰だ?好きな人って……』

 

静『私にとっては兄……のような関係ですわ♪』

 

当然、超絶ブラコンである静のいう好きな人物は東方仗助の事である。

兄妹のような関係というよりは実際に義理の兄妹そのものなのだが。

だが、大抵は勘違いする。静と兄妹のように仲が良い存在=比企谷八幡だと。

静には比企谷八幡を除いては同級生で友達はいない。

他に仲が良いのは1学年年下の一色いろはと、更にその一学年年下の八幡の妹である比企谷小町。

誰も東方仗助にたどり着く者はいない。

更にその好きな人=八幡説を加速しているのが幼なじみーズの静に対する呼び方である。

「ジョジョ」

静は決してジョジョというあだ名を幼なじみーズ以外に呼ばせる事はない。

正確に言えば親しい者以外に呼ばせる事は許さない…と言った方が正しい。

 

神木(あいつか……あいつのどこが良いんだ?俺なんかよりもあの根クラ野郎の!)

 

真実はどうであれ、神木も御多分漏れず、勘違いする。元々、唯一……それこそ恋人同士と勘違いするくらいには八幡と静は四六時中一緒に行動する。

それこそ本当の恋人であるいろはや、本当の妹である小町が嫉妬する位には……。

なお、互いの感覚的には静が姉、八幡が弟という構図なのだが、それはこの際、大して問題ではない。

ちなみに当時の八幡の評判は……

 

・比企谷菌

・目が腐っている比企ガエル

・根クラ野郎

・単に家が近いだけで静と仲が良い運だけ男

・女の子しか友達がいないボッチ

 

これはやはり本性を隠して悪口や簡単なイジメ程度の被害が自分だけならば大人しく我慢していた八幡のイメージである。

また、前世のジョナサン・ジョースターも少年時代はイジメに遭っており(主にディオが原因)、その経験から忍耐力が鍛えられていた事もボッチに耐えられていた理由だろう。

ちなみに現在の総武高校における八幡の評判は……

 

・腐り目の自由人

・文化祭の粛清王

・邪悪の化身

・全く羨ましくない残念美少女達のハーレム王

・裏では絶対人を殺している腐り目

・性悪コンビの男の方

・裏番

 

4番目の残念美少女のハーレム王以外はほぼ事実なのが何とも救いのない話である。

4番目の残念美少女のハーレム王という言葉は本人よりも周囲の方が怒り狂うこと間違いなしだ。

実際に八幡に異性として好意を抱いているのはいろはと小町くらいのものであり(陽乃、康穂はドロップアウトした)、後は八幡に好意を抱いている者はいない。つまりは勝手に八幡のハーレム要員として扱われている事態に対して1つ。

さらに言うなれば事実かどうかは別として、残念扱いされていることだ。(残念要素はたっぷりだと思う)

閑話休題(それはさておき)……

とにかく、比企谷八幡は高校2年の事態が動き出すまでは極力大人しくしており(というよりは子供時代なんてそんなものだろうという一種の諦め)、とにかく周囲からは舐められきっていた。

もしくは静、いろは、小町と仲良くするための取っ掛かりとして扱われるかだ。

そんな者達と関わりになるくらいなら徹底的に嫌われた方がましだと考えていた八幡。

当然、神木にも目を付けられていた。

 

神木『おい、比企ガエル。ちょっと体育館裏に来いよ』

 

八幡『………』

 

神木は手下を引き連れて体育館裏に八幡を連れ込む。

そして、神木は数人がかりで八幡をボコりながら、意訳すれば静か手を引け的な事を言う。

 

八幡(ヤレヤレ……あの野郎。また誤解を生むような事を言ったな?それにしても、ここまでの事をやって来るとはねぇ………)

 

普段から小町の修行という大人でも音を上げるような(ソースはジョセフ)相撲部屋の『可愛がり』すらも生ぬるいレベルの攻撃を受けている少年時代の八幡。

小学生の……それも中学年の袋叩きなんて、マッサージだマッサージ。

承太郎のオラオララッシュ、東方兄妹のドラララッシュ、小町のゴミゴミラッシュ、いろはの無理無理ビンタに比べれば可愛いものじゃあ無いか。

……と、思いつつも、後で静に文句を言うのと、先生には確実にチクると心に誓いながら、軽く流す八幡。

次の言葉を聞くまでは………

 

神木『テメェの幼なじみの女と妹も苛めるぞ?コラ…』

 

八幡『あ?(# ゜Д゜)』

 

ジョースター家に関わる者にとって、家族に手を出す……。もっとも最大のタブーを口にした神木。

ジョセフしかり、承太郎しかり、仗助しかり……。

家族や家族に近しい者に手を出された時の怒りは半端ではない。

それは八幡の前世の片割れ、ジョナサンだって例外ではなかった。『何をするだぁ!許さん!』

自分の学校における生活なんて、感情的になるのも無駄無駄無駄無駄と考え、今まで大人しくしていた八幡が初めて出した同級生への怒り。

殺気を噴出し、DIOへと感情が傾く。

 

八幡『おい、こら人気者。テメェ今……俺のいろはや小町に何をするッつった?』

 

目が完全に座らせ、薬指と小指曲げ、手を上に向けた八幡がゆらりと揺れる。

いろはや小町がこんな奴らに苛められるほどヤワな生活を普段からしていないのは八幡もわかってはいる。

いろはのエメラルドビンタは相撲取りの張り手も真っ青なレベルで洗練されている。

小町に至っては八幡以上に強い。

何ならスペックだけなら八幡など足元にも及ばないまである。

それでもいろはと小町は八幡にとって、何よりも大切な守るべき本物である。

それを傷付けようとする神木は……もはやただの敵だった。

 

八幡『無駄ぁ!』

 

気が付けば八幡は神木に対し、アッパーを放っていた。

 

神木『ズペペッ!』

 

ゴキュッ!

ぐりゅんぐりゅんぐりゅんぐりゅん!

顎を粉砕し、頭を支点に何度もベリーロールしながら某グラップラーの漫画のように後方に回転しながら体1つ分は舞い上がる神木。

波紋を込めてあったのか、それでも神木が気絶しなかった。

 

八幡『誰の純潔を奪って散々犯した上に、ヤクザに売り渡すとか言ったんだ?おい』

 

最早9歳の子供が口走る言葉では無い。

 

神木『だ、だべぼぞんばごぼば(誰もそんな事は…)』

 

八幡『確かに聞こえたぞゴラァ!』

 

ブシュッ!

目潰し………。

完全にキレている八幡。忘れてはいけないのは八幡の前世はジョナサンだけではない。むしろ、完全に記憶を取り戻してからはディオ寄りの精神の方が強い。

 

神木『アヴァァァァァァ!』

 

顎を粉砕骨折され、強烈な目潰し。

9歳の子供が食らうには余りの悲惨な攻撃。

 

八幡『お前が……泣くまで……殴るのを……止めない!』

 

最早泣く目玉が既に無い。血の涙が出ているまである。

『お前が……死ぬまで……殴るのを……止めない!』と言った方がむしろしっくり来るだろう。

 

メメタァ!ゴキッ!バキュッ!ブシャッ!グシャ!

人の体から鳴ってはいけない音を発しながら、八幡は全身という全身を神木の体に叩き込む。

耳は千切れ、鼻は潰れ、歯は全て折られ(全部乳歯)、指は一本一本丁寧に折られ……

最早いっそのこと殺してやれ……というレベルだ。

 

静『タコスと叫べぇ!』

 

騒ぎを駆け付けた静のフライング・ハイキックが八幡を止めるべくヒット。

 

八幡『タコォォォォォォス!』

 

吹っ飛んで壁にめり込む八幡。

 

八幡『ハッ!俺は何を!なんだこの汚いボロ肉塊は!汚いから捨てろよこんなもの!』

 

静『イヤイヤイヤイヤ!これを拵えたのはハッチだから!ヤりすぎだから!』

 

普段の口調など全てかなぐり捨て、全力で突っ込む静。

後で神木をいろはのナイチンゲール・エメラルドで治療された神木。

幸いだったのが欠損が乳歯以外に無かったことで、ナイチンゲール・エメラルドで五体満足に治せた事だ。

しかし、体は治せても心までは治せず……。

若干9歳にして徹底的に体を破壊されるトラウマを植え付けられた神木。

その翌日……神木は引きこもりの不登校になり、最終的には転校。

いや、転校せざるを得なかったと言うべきだろうか。

この頃から、広瀬康一主導によるSPW財団千葉支部建築・不動産部門と雪ノ下建設の千葉の覇権を巡る経済の戦争は激化し始めた。

世界のSPW財団と、県レベルの建築会社。

実際、雪ノ下建設は頑張った方であろう。実質は10年以上もの間、SPW財団相手に持ちこたえたのだから。

しかし、その煽りは確実に出ており………。

 

神木『ひ……引っ越し?』

 

業績が悪くなれば、幹部だとてリストラの対象となることだってある。

最早弾けてしまっていたバブル経済。

終わる気配を見せない不況。

追い討ちをかけるように外国からのライバル会社の侵攻。

職を失い、財産を手離さざるを得なかった神木家。

更なる不運はSPW財団が雪ノ下建設からリストラされた神木の父を雇用しなかった事だろう。

有能な人材は誰であっても雇用するSPW財団。

だが、神木の父は……古き雪ノ下の中間管理職のノウハウは……財団には不適格だった。

 

神木(SPW財団……ジョースター……比企谷ぁ……そして不甲斐ないのは雪ノ下家………畜生……ちくしょぉぉぉぉ!)

 

トラウマを植え付けられた八幡への恨み……父がリストラされる原因を作ったSPW財団とその経営者たるジョースター家……そして父をリストラした雪ノ下の不甲斐なさ。

神木は猛勉強した。

いつか復讐するために………。

そして、最新のシステムを導入している海浜総合高校に

入学。

常にトップを取り、生徒会に入って……いずれは……。

しかし………。

神木はトップを取れなかった。

海浜総合高校には……玉縄がいた。

全国模試でも上位をキープし、東大間違いなしと言われている天才児。

そして人格でもどこか歪んでいる神木は玉縄に敵わず、生徒会副会長に甘んじる始末。

神木の燻りは………次第に大きくなっていた。

 

神木(憎い……SPW財団も……ジョースター家も……比企谷も………雪ノ下も………玉縄も………俺の邪魔をする全てが………しかし、どうすれば………)

 

???「神木子門君。君の事は調べさせて貰ったよ。憎いだろう?ジョースター家が。SPW財団が。父親をリストラした雪ノ下家が……邪魔物が憎い……だけれど怖い。そんな君に力を与えてあげよう……そして機会を与えてやろう………」

 

side神木子門

 

悪魔の囁きが俺の耳に響く。

人にとっては悪魔の囁きだろう………だが、俺には天使の祝福に聞こえた。

あの天井から無様に落ちる比企谷……

あの比企谷が………クククク………もう怖くねぇ。

この力………コレがあれば………

俺は復讐が出来る………。

あのジョースターだって、SPW財団だって……。

来る合同イベントの打ち合わせ。

来たのは雪ノ下建設の元令嬢、総武高校生徒会長の雪ノ下雪乃。

チッ!ジョースターや比企谷は来なかったか……。

始まるプレゼン……しかし、これは味方であるはずの玉縄に邪魔された。

もう良い………もうどうにでも………。

始めからまどろっこしい事をせずにこうすりゃ良かったんだよぉぉぉッ!

 

自分が暴走しているのはわかっていた。

だが、もうなにもかもどうでも良くなっていた……。

気が付けば……俺の目の前にはピンク髪の、いかにもギャルっぽい感じの巨乳の女が能力で倒れていた。

雪ノ下雪乃は逃がした……。まぁ、良い。

もうどうしたって俺は破滅だ!だったら………

 

←To be continued……




・黙ってれば美少女
・絶対に恋人にしたくないアイドル
・残念お嬢様
・裏ではヤクザと繋がっている極道お嬢
・裏スケ番

静「なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!そう言っている奴は出てこぉぉぉぉぉぉぉい!」

いろは「そんな事を言っているから残念お嬢様と言われるんですよ。本物のお嬢様なのに………(←前世は一応貴族婦人)」

小町(それ、小町達にも言えるよね………(←前世は一応貴族令嬢))

徐倫「ヤレヤレだわ」

八幡「お前も残念お嬢様と陰で言われてるけどな?」

ゴン!

徐倫「誰のせいよ!誰の!」

八幡「や、少なくとも二度も逮捕歴があれば残念お嬢様じゃね?」

ゴン!

徐倫「ほじくりかえすな!」

静「残念お嬢様仲間で仲良くしよう!徐倫お姉ちゃん!」

ゴン!

徐倫「お前と一緒にすんな!」

結衣「優美子って何か髪型がお嬢様っぽいよね?」

三浦「や、うちは普通の一般家庭……」

材木座「三浦家と言えば鎌倉時代の御家人、三浦氏という家があったが……和田家の宗家とも言える家で…そうか。三浦殿は和田旭殿と縁が……」

和田旭「ああ、確かに俺の和田家はその設定の和田家だぜ。そうか……そもそも千葉というのは和田家、北条家、梶原家、渋谷家等の頼朝の重鎮だった千葉家が縁の土地。ブラッディ・スタンドという呪われた血筋は千葉家の……」

ゴン!

徐倫「八龍士の設定持ってくんな!三浦優美子の三浦は神奈川の三浦半島の三浦だ!呪いの和田家は関係ねぇ!自分の世界に帰れ!男の娘!」

三浦「勝手にあーしを呪いの一族にするなし!呪いの和田の縁にすんなし!大体千年も前の家系とあーしが関係するわけないっしょ!」

八幡(その呪いの和田家の宗家、三浦家が三浦半島や三浦市の由来なんだけど……黙ってよ……)



俺ガイルのキャラクターの名字は神奈川県の地名が元ネタとなっており、三浦優美子の三浦は三浦市から取られているのですが、この三浦市の名前の由来は本当に源平合戦で有名な平家の子孫、三浦家が由来となっています。
また、八龍士の主人公の1人である和田旭は、和田義盛(和田の乱という鎌倉時代の歴史を調べればヒットします)の子孫となっており、和田家は三浦家の分家である史実があります。
つまり三浦優美子は和田旭の遠い親戚………というわけでは無いのでご安心下さい。


それでは次回もよろしくお願いいたします。

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