やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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進路希望アンケート
二年F組 比企谷八幡 出席番号29

あなたの信条を教えて下さい。

我々は勝たなければならない。引き分けはない。卑怯汚いは敗者の戯言。あらゆる手段を尽くしてでも確実に殺れ。


卒業アルバム、将来の夢は何て書いた?

SPW財団は職業の自由を考えるべき。


将来の為に努力していることは?

いかにして日本支部長の座から逃げおおせるかを考えること。
先生も力を貸してください。


先生のコメント(空条徐倫)

ジョースターの家訓通りで非常によろしい。
SPW財団の日本支部長の道以外にあなたの道はありませんので諦めましょう。

平塚「比企谷、目を爛々とさせながら信条を語るな。お前の場合は本当に殺りかねん。あと、ジョースター家は怖い」

雪乃「SPW財団…怖い」

いろは「私はハチ君のお嫁さんです♪」


知っていたら4年前に雪ノ下雪乃はGDstにいたのかもしれない

side比企谷八幡

 

ホームルームを終え、教室を出た俺とジョジョを待ち構えていたのは平塚先生だった。

 

八幡「あ、ちょっと待ってください」

 

10分後

 

平塚「比企谷…ジョースター、部活の時間…て、何でまた学ラン着ているんだ!しかも何か妙に胸元が開いているし、そのピースマークとハートのバッチが悪目立ち過ぎる!あと、うちの校章は港のマークじゃない!それと、そのリーゼント頭は何だ!カツラか?悪趣味だろ!?」

 

静「あ、今ハッチはお兄ちゃんになりきってるから…」

 

八幡「あ?テメー今、俺のこの頭のことなんつった?」

 

どうせあの奉仕部へ逝かなければならないのだから、せめてこの独神をいじめてからじゃあないと気が済まない。

 

平塚「ま、まて!比企谷!いだだだだだだだ!」

 

肩の関節を少し極める程度でこの場は終わらす。

どうせ、後で地獄を見ることになるのだから。

 

八幡「まあ、ここではこの程度で。さて、三部長出張室にいきますか。別名奉仕部の部室。で、今日はジョジョが会社に行く日だったよな?」

 

平塚「あれ、何で私は後ろ手で関節を極められているんだ?私が比企谷とジョースターを連行するところだったはずなのに、何故逆の構図になっている?」

 

当たり前だ。お前は連行される立場なんだよ。

 

静「そうだよ、ハッチ。あの雪女の相手、頑張ってね?嫌だろうけど」

 

八幡「了解。おら、行くぞ」

 

俺は平塚先生の関節を極めながら部室に向けて歩き出す。

 

平塚「きさま、教師にこんなことをやって3年間で卒業出来ると思うなよ…」

 

八幡「そうしたら、今度は棄てられる場所がアスファルトの下になるかもな」

 

俺は殺気を込め、無表情で平塚先生を見る。

平塚先生は冷や汗を流して押し黙った。

 

平塚「なぁ、比企谷。逃げたりしないから離してはくれないか?」

 

八幡「あんたを逃がして歯噛みするくらいなら、嫌々でも連行した方が心理的ストレスがないんで」

 

平塚「理由が最低だな!」

 

八幡「何を言うんですか?あんたに関わるなんて嫌で嫌で仕方ないのを、更正させる為にこうしてつきやってやっているんじゃあないか。やさしいだろ?」

 

前にも言ったが、自分で自分をやさしいと言うやつにやさしい人間はいない。つまり、俺にとってコイツはどうでも良い存在にすぎない。

 

平塚「比企谷。君はマンガやアニメは好きかね?」

 

八幡「まあ、好きですが?」

 

平塚「何故だ?」

 

八幡「日本文化の1つだからですかね?」

 

平塚「一般文学は?東野圭吾や伊藤幸太郎はすきかね?」

 

八幡「売れる前の方が好きでしたがね。まぁ、俺に感動的な物を求めるのは今の俺には無理ですが」

 

平塚「なぜだね?」

 

八幡「俺の心は荒みすぎているんです。理由は聞かないで下さい」

 

そこで更に殺気を強める。

 

平塚「なっ……!」

 

八幡「何を勘違いしているかはわかりませんが、俺達を放っておけないと言うあんたの正義は迷惑です。俺達SPW財団の上級幹部が、あんたらのいう正義の範疇に収まる訳がありませんよ?裏の世界だって見てきたって言ったじゃあないですか。この程度の殺気でたじろぐようでは話になりません。手遅れにならない内に俺達に関わらない方が良いですよ。最悪は……」

 

俺がそこまで言うと、やっと理解できたのか、平塚先生は脂汗をかいて俺から視線を逸らした。

それで良い。

 

平塚「…わかった。済まなかった。だが、1つだけ聞かせてくれ。君から見て、雪ノ下雪乃はどう映る?」

 

八幡「気位だけは高い無能。これにつきますね」

 

平塚「そうか、あれはあれで優秀なのだがな。持つものは持つものなりに苦労があるということか」

 

八幡「優秀というのは、勉強とかそういう点でですよね?ただの駄々っ子で現実が見えていない。なまじ学校の成績が良いだけに、なおのこと質が悪い。俺達の…仗助の親友には頭が悪いと自分で言っている人がいますが、その人はしっかり自分という人間が見えていましたから。雪ノ下の場合は知識という字の知と識の分別がついていない。知っていることも識らない。それが俺個人も含めた全員の共通認識です」

 

平塚「優しくて往々にして正しい。だが、社会が優しくないから生き辛い…と思っていたのだが」

 

八幡「そらあんたから見たらそうだろうよ。厳重処分を貰う間違ったあんたから見たら。世の中優しくないのは今に始まったことじゃあない。何が正しいかなんてものは、アメリカの大統領風に言わせりゃナプキンを最初に取れる者が決めるんだ。それ以外の人間には多かれ少なかれ何かしら優しくないのは当たり前だ」

 

平塚「やっぱり君達はひねくれているな。うまく社会に適合できるか心配だよ。だから一ヶ所に集めたくもなる」

 

何言ってんだ?この教師。

 

八幡「隔離病棟が必要なのはあんたらだろ。でなければその勤務歴でありながら、たった一度のやらかしで一番下っ端に落ちないですよ?前々から上に目を付けられていましたね?」

 

平塚「うぐ!君たちのような生徒は見ていて面白いから好きだったのだが、お前は別だ!いだだだだだだだ!」

 

八幡「嫌いで結構です。出来れば二度と関わらないでください。さっきいったように」

 

漫画知識か何か知らないが、俺の関節から逃れるには関節を自由に外すくらいでないと無理だ。

伊達に波紋の戦士としての免許皆伝を得ていない。

それでもマイエンジェルに勝てる気はしないが。

 

特別棟に入ると、ちょうど飲み物を買いに行っていたのかジュースを持った仗助が向こうからやって来た。

 

仗助「おい、八幡。何をやって…お、それは俺の高校時代の学ランじゃあないか!着てくれて嬉しいぜ!グレートに決まってるぜ、八幡!特に頭がよぉ!」

 

平塚先生の肘関節を極めながら歩いているところを不審に思って近付いてきた仗助が、俺の格好を見て喜びだした。まぁ、この格好は仗助の高校時代の格好だからな。

 

八幡「でもこの独神、何かこの格好に物申したいらしいぞ?特にお前のグレートなこの頭を模して作ったこのカツラがお気に召さないんだって」

 

仗助「あ?テメェ、このクソ女。俺と八幡の友情の証であるこの学ランに何か文句あんのか?コラ。特にあの頭が何だって?お気に召さない?センスが悪くて悪かったぁ?ダボが!ちょっとヤキ入れてやっからこっち来いや!」

 

仗助は独神の襟首を掴んで適当な無人の部屋に連れ込んだ。しばらく顔の形が変わって大変だとは思うけど、頑張れよ?

 

特別棟の一角は仗助の怒号と独神の悲鳴以外、しんと静まり返り、ひんやりとした空気が流れている。

あの雪女、アイスマン出しちゃあいないよな?

扉に手を掛ける。正直気は重いが、逃げても仕事が無くなる訳じゃあないので、癪に障るがあいつの言うことを気にしなければ良いのだ。

その他大勢と同じ。

気まずいというのは何か話さなければ、仲良くしなくちゃという強迫観念があるからだ。

電車の社内で赤の他人と二人きりになったところで仲良くする必要はない。

黙って仕事をしてれば良いだけだ。仗助達もいるし。

 

八幡「…………」

 

俺は部室に入って部屋の中をみる。

おおう、積み上げられた机や椅子は片付けられており、代わりに仗助、ジョジョ、俺、いろは、小町の事務机が並べられていた。俺達が会社で使っているヤツと同等のヤツだ。

さすがはSPWの作業スタッフ。

たった一日で広さとかどうにもならないところ以外は完璧に三部長室を再現してある。

無線LANやネットワーク接続状況、その辺りも完璧に仕上げてある。

昨日今日で決まった事をこうまで対応するなんて、流石は財団のスタッフは完璧だ。

 

ただ、本来仗助が座っている、この中でも特に高級で座り心地の良い椅子に変なのがいなければもっと完璧だった。

俺が自分の席に座り、荷物を置いてから…

 

八幡「おい、テメェ。何でテメェが仗助の席に座ってるんだよ。机の立て札が読めないのか?」

 

我が物顔で仗助の…というよりは、日本SPW財団のトップの席に座っている雪ノ下雪乃に苦言を言う。

机にはPTA会長兼SPWジャパン社長 東方仗助と書いてある立て札が置かれている。

 

雪乃「変わった挨拶ね。どこの部族のものかしら?」

 

イラッ!

 

八幡「アンハッピー、ノーウレピー、ヨロピクしなくていーよー♪で、何でオメェがそこに座ってんだって聞いてるんだよ。答えろ」

 

頭に来すぎてサンタナがやった挨拶をやってしまった。元々はジジイだけど。

 

雪乃「あら、ここは奉仕部の部室よ。奉仕部の部長がこの席に座って何が悪いのかしら?それと、その格好は止めなさい。比企谷君。この学校の生徒である以上、この学校の制服を着るべきだわ」

 

八幡「順番に言わせて貰う。ここは奉仕部の部室であると同時にPTA会長室という位置付けに決定した為、PTA会長の意向に添え。次にこの部の部長はお前ではない。静・ジョースターだ。あと制服に関してはぐうの音も出ないが反省はしていない。以上、取り敢えず、徐倫先生が作成した部活動申請とその許可証だ」

 

奉仕部

特別顧問 東方仗助(PTA会長兼SPWジャパン社長)

比企谷小町(SPWジャパン関東支部千葉県支部長)

 

顧問 主 空条徐倫(英語教諭)

部長 静・ジョースター(2-F兼SPWジャパン副社長)

副部長 比企谷 八幡(2-F兼SPWジャパン関東支部長)

部員 一色いろは(1-C兼SPWジャパン関東副支部長)

部員 雪ノ下雪乃(2-J)

 

部室 特別棟三階 PTA会長室(SPW特別顧問室)

 

雑用係兼顧問副 平塚静(国語教諭)

 

 

雪乃「何で私の名前が一番下になっているのかしら?」

 

八幡「一番下っ端だからだろ?顧問の決定なんだから文句を言うな。あと、お前、ジョジョの席に座っているんじゃあない」

 

雪ノ下が次に座ったのは、二番目に立派な机…ジョジョの席…

 

SPWジャパン副社長 静・ジョースター

 

八幡「お前はいつ世界的大企業の日本副代表になったんだ?」

 

往生際の悪い雪ノ下は今度は俺の所にやって来た。

 

八幡「何だよ?」

 

雪乃「比企谷君、そこの席を変わりなさい。私は雪ノ下建設の次期社長よ」

 

その会社、既に無くなってるからな?

仮にお前がなってもお前の代でつぶれるからな?

家業をほっぽって現状すら知らないって何?

大体、会社を継ぐ気ならこんな所で訳のわからん部活をやってないで、ちゃんと家業の手伝いをしろよ。

業務を知らない奴が社長とかシャレにならんから。

あと、世界的総合企業の現役の関東支部長が一県の単一業者の次期社長よりも下だと…面白い冗談だ。

 

八幡「いや、支部と名をうってるが、俺の役職は下手な地方企業の社長より上に位置してるんだけど?少なくとも雪ノ下建設クラスは傘下に納めてるからな?」

 

実際は旧雪ノ下建設の事だけど。

更に細分化すると、関東支部の下部組織、千葉支部の傘下にある建築部門・不動産部門の話だ。

実質は小町の部下である。

 

雪ノ下は俺を睨んでくるが、知ったことか。

 

八幡「雪ノ下建設クラスは千葉支部より下だからな?千葉支部の1部門の傘下。お前は小町より下。お前の席はあそこの長机とパイプ椅子。わかったらさっさと行け」

 

雪ノ下は渋々長机に腰を下ろした。

俺は仕事を始める為にパソコンを起動させる。

お、しばらくこっちがメインになるから慣れているパソコンをスタッフが持ってきてくれたんだな。

気が利く人材揃いで嬉しいじゃあないか。

そう内心気分を良くしていると、その気分を台無しにしてくる声が…

 

雪乃「あれだけこっぴどく言われたらもう来ないのかと思ったけどマゾヒスト?」

 

いつこっぴどく言われたっけ?おれ。逆だよね?

 

八幡「頭が湧いてるのか?むしろこっちが言った側だからな?」

 

雪乃「じゃあストーカー?」

 

八幡「知り合いにそういうのいたからやめてくんね?マジで怖かったから。何でお前に好意がある前提で話が進んでいるんだ?」

 

ソースは由花子さん。

 

雪乃「違うの?」

 

八幡「まったく、欠片も。いろはで十分」

 

きょとんと顔を作りやがった。

マジで殺意が芽生えそう。

素数を数えるかな?俺はプッチか!空条父娘に殺されるわ!ジョルノにレクイエムられるわ!

鎮魂されたくねー!

 

雪乃「てっきり私の事が好きなのだと思ったわ」

 

いろは「寝言は寝てから言って下さい。どう育ったらそんなおめでたい頭になれるんですかぁ?それとも恋人がサンタクロースだったんですかぁ?」

 

いつの間に来ていたのか、いろはが俺の隣の席に座り、パソコンを起動させながら雪ノ下に冷たい声を浴びせる。

 

小町「お兄ちゃん、お姉ちゃんが来ていたことに気付かないのはポイント低いよ。それにしても、雪乃さんは異常ですね。ロボトミー手術とか受けた方が良いのではないですか?」

 

小町が3階の窓から入ってきた。

普通に入って来いよ!

 

雪乃「底辺のあなた達から見れば異常かも知れないけれど、私にとっては至極当たり前の事よ。経験則というやつね」

 

ふふんと、自慢げにない胸を反らす。

俺達三人の視線が交差する。「殺したい。いい?」と。

小町は指を天井に向けている!やめろ、罪のない一般生徒まで被害が及ぶ!

俺といろはの顔が真っ青になり、必死で顔を左右に振る。

小町は自分の頭をコツンと小突き、ウインクしながら舌をペロッ♪と出した。

何このカワイイ生き物。能力は凶悪なクセに、仕草は癒されるぅ…♪もうジョースケになろうかな?

 

いろは「せんぱぁい!正気に戻ってくださぁい!」

 

ハッ!危なかった!

 

小町「チッ!」

 

それにしても…

 

八幡「経験則…ね。それは随分と楽しい学校生活の事で結構なんじゃあないの?」

 

パソコンの起動が終わったので早速仕事に取りかかりながら適当に相手をする。あ、今月の支部長会議は関東支部だ。ホテルとかの手配と予算編制を組まなきゃ。

 

雪乃「え、ええ。端的に言って過不足のない、実に平穏な学校生活を送ってきたわ」

 

そりゃ良かったね。君みたいなナチュラル見下し女がそんなことを言っても説得力皆無だけどね。俺達以上に正常な人間関係も構築できるはずがなく、円満な学校生活とは無縁だったはずだ。

アメリカに逃げていたらしいし。

 

八幡「いろは。今月の支部長会議は関東支部だから、手配を頼んでもらって良い?各県支部長にも先月の資料の請求を出してくれ。小町も千葉支部分を頼む」

 

そう言えば、アメリカと言えば丁度4年前の今頃はCC(第2章)で大変だったよなぁ…と、変に懐かしい気分になる。

 

小町「アイアイサー!もうほとんど出来上がっているから、仕上げてお兄ちゃんにデータ送っとく!」

 

いろは「各県支部には通達出し終わりましたよ~。埼玉支部と神奈川支部は即データ送ってきましたねぇ。東京支部は少し遅れ気味ですねぇ。康一さんが抜けた穴は大きいみたいです」

 

八幡「急がせてくれ。そこから審議と未来データを割り出さなきゃいけないから」

 

雪乃「人の話を聞きなさい!」

 

八幡「うるせぇな。今は業務中だ。お前、友達はいるのか?」

 

雪乃「そうね。どこからどこまでが友達なのか定義して貰って良いかしら?」

 

いろは「それ、友達がいない人のセリフですね」

 

カタカタとパソコンを弄くりながらいろはが答える。

各県支部のデータを間違いないかファイルと照らし合わせているところだ。

所々に赤ペンでチェックを入れつつ、付箋紙を貼る。

 

真面目な話、そもそも友人知人の差異を表すときの言い回しが微妙なんだよな。特に女子の場合だとそれが顕著だ。

俺達の場合だと家族、戦友&仲間、業務上の関係、敵とランク分けされているから楽なんだけど、学校生活だとどこからどこまでがその線引きかがわからん。

 

八幡「ま、お前に友達がいないのは想像つくから良いけどさ」

 

どうでも。

 

雪乃「いないなんて言ってないでしょう?仮にいなくても、それで不利益が生じるわけではないわ!」

 

八幡「あっそ、人に好かれるクセに友達がいないだなんて可哀想だね。お、千葉の建築部門が伸び率良い感じじゃあないか。あの人、相変わらず魔王だな」

 

雪乃「あなたにはわからないわよ。きっと」

 

俺と雪ノ下はまったく別の人間だし、微塵もわかりたくはない。

結局は裏の道にいながら、そこから目を背けた雪ノ下と、アメリカ以降、裏の道も歩く必要があり、そこを突っ走ってきた俺達とは違う。

 

小町「で、人に好かれるから何ですか?」

 

俺達が考えていることは同じ。こいつの甘い考えが許せない。

 

雪乃「人に好かれたことのないあなたには嫌な話になるかもしれないけど」

 

いろは「アーシスのみんなはハチ君が大好きですよ♪」

 

ありがとう、いろは。でもたまに海老名さんに似た声でジョジョハチって叫びが聞こえるんだけどね?

まぁ、これ以上不愉快な気持ちになることはあるまい。

東京名物油そばを肉マシマシ大盛りで腹が一杯って気分だから、大丈夫だろう。

 

雪乃「私って昔から可愛かったから、近づいてくる男子はみんな私に好意を抱いて来たわ」

 

ゴン!×3

 

昨日の徐倫みたく、三人そろって頭をキーボードに打ち付けた!

ギブっ!更に野菜マシマシだ!

あー!変な所でエンター送信してしまった!

陽乃さんにお詫びのメールを出さないと!

ついでに妹を何とかしてくれって送っとこう!

あ、すぐに返事が来た。『無理、無茶、無駄』?みじかっ!諦めるのはやっ!気持ちはわかるけど!

 

八幡『そこを何とか!あんたの妹でしょ!』

陽乃『社長と露伴先生、小町ちゃんからの逃亡、平塚ちゃんの結婚、八幡君のSPWからの逃亡』

 

そりゃ無理だ。そこまでかー。でも最後のは諦めたくねー。

 

雪乃「小学校高学年くらいかしら、それ以来ずっと…」

 

足掛け約5年。常時異性から好意に晒されるというのは一体どういうものだろうか。

 

八幡「嫌われまくるよりは良いんじゃね?」

 

雪乃「本当に誰からも好かれるなら良かったかも知れないわね。あなたの友達で常に女子に人気のある人がいたらどうする?」

 

八幡「鬱陶しそうだと思って同情する。空条博士とか仗助とかそうだったらしいし」

 

いやぁ、ジョジョとかいろはとか小町とかも鬱陶しそうだったもんなぁ。

 

雪乃「………あなたはそう思うのね…」

 

いろは「逆に私とラブラブだったハチ君は排除させらせそうになったり、私たちに群がってきた男の子を…」

 

八幡「アッパーで沈めたことあるな。以降、絡んでこなくなったけど。力加減間違えて仗助に怒られたっけ」

 

まぁ、それでいろは達は女子からのやっかみとかを受けることはほとんどなく…ああ、そう言うことか。女子から嫌われる女子だった訳ね。

 

雪乃「小学校の頃、六十回ほど上履きを隠されたことがあるのだけれど、そのうち50回程は同級生の女子にやられたわ」

 

八幡「後の10回は?」

 

雪乃「男子が3回、教師に買い取られたのが2回、犬が5回」

 

八幡「いるんだな。ロリコンって」

 

スティーリー・ダンを思い出すわぁ。ジョルノが魚の餌にしたけど。

 

雪乃「お陰で私は毎日上履きとリコーダーを持って帰る羽目になったわ。でも、それも仕方がないと思うわ。人は完璧ではないから。弱くて、心が醜くて、すぐに嫉妬して蹴落とそうとする。不思議なことに優れた人間ほどに生き辛いのよ、この世界は。そんなのおかしいじゃない。だから変えるのよ。人ごと、この世界を」

 

ガタン!

 

俺達3人は殺気を撒き散らして立ち上がった。

こいつの思考はプッチの思考だ!

 

雪乃「な、何!?」

 

八幡「それを止めたのが俺達だ。お前も5年前のフロリダで起きた刑務所の件は知っているだろう?」

 

雪乃「GDst閉鎖事件の事?」

 

知っていたか。アメリカでは大事件だったからな。

 

八幡「お前みたいな事を考えたテロリストがスタンドの力でそれをやろうとした。それを食い止めたのが俺達だ!」

 

雪乃「余計な事を…」

 

八幡「もし、それをやろうとしてみろ…その時は俺達アーシスは…お前を……殺す。首謀者以下、その協力者はほぼ全員を俺達は始末した」

 

全員が雪ノ下に詰め寄る。

雪ノ下はブルブルと震え出した。

 

雪乃「殺人者………」

 

八幡「ああ、そうだ。殺らなければ逆に俺達が殺られていた。世界を変えようとするというのはそう言うことだ。本当のスタンド使いの戦いは綺麗事じゃあ済まない事を知れ。比喩でも何でもない。俺達は既にこの手を血で染めている。もし次に軽々しくその言葉を発したら、命の保証はしない…」

 

いろは「何でもない事を言ったつもりの言葉が、相手の逆鱗に触れるんです。既に一度、血に染めた手ですから、私たちは止まりません。ハチ君が言った言葉は脅しじゃありません。私達ジョースターの血統は、この百年間、そういった闘いの連続でした。ジョースターの歴史は闘いの歴史…アーシスのメンバーは少なからず人の命を奪った十字架を背負っている」

 

小町「容赦はしません。あの事件は小町達も死ぬ覚悟で戦い、小町もお兄ちゃんもお姉ちゃんも危うく死にかけました。当時十歳だった小町が、です。二度と…世界を変える…などと軽々しく言わないで下さい。小町達だって好きで手を汚した訳じゃあありません。あなたの親戚だったジョルノお兄ちゃんも、その為に自分の兄弟を3人も殺さなければならなかった辛さは、あなたにはわからないでしょうけど!」

 

知らず知らずに俺達の目からは涙が流れた。

特に俺は前世のDIOから受け継いだ百年前の罪を背負っているのだから…。とっくに俺には人並みの幸せを願う資格は無いのを俺は知っている。

雪ノ下の姉、陽乃さんだって…最悪の場合は実の妹のこいつを殺さなければならない覚悟を持っていたというのに…

コイツは…

ー心のどこかでこいつと俺達は似ているかも知れないと思っていた。

ースタンド使いの孤独というものに、多少の共感を持っていた…

ーだが、違った。コイツは…俺達の血で濡れた過去の覚悟を土足で踏みにじった…

ー急速に心が冷えていくのを感じる。

ーなら。なら俺と彼女は……交わることはない。

 

八幡「なぁ、雪ノ下。お前が世界を嘆くのは勝手だ…この小さな世界に閉じ籠っている限りなら、アーシスは動くことは、ない。だが、お前が変わらない限りは、俺達がお前を認めることも、歩み寄ることもない。そして、動くとしたならば…5年前のような悲劇をうむのならば、脅しでも何でもなく、昨日のような手加減をすることもなく…容赦なくお前を殺す。俺の本物を守る為に」

 

ガタガタ震える雪ノ下をほっぽり、俺達は自分の席に戻って仕事を再開する。

 

八幡「それでも世界を変えたいのなら、その過程の中でお前は覚悟する事になる。最低40人を殺し、全人類もろとも世界を一度、終わらせなければならない覚悟をな。さっきは殺すとか言って悪かった」

 

雪乃「え、ええ…最低なはつ」

 

八幡「覚悟するものは美しい。だがお前はどうだ。大風呂敷を広げる割には、覚悟はない。見た目は美しいかも知れないが、お前の中身は…醜い。お前が否定した、醜い人間そのものだ。それを知れ」

 

←To be continued




雪ノ下自身にそのつもりは無かったのでしょうが、俺ガイルの雪乃の名言である人ごと世界を変える。
その発言は知らなかったとはいえ、第2章で命を賭けて戦った本作の八幡達に対しては絶対に口にしてはならなかった発言ですね。
そのせいで命を狙われ、彼らの手は沢山の血で汚れてしまっているのですから。
今後、雪ノ下雪乃はどう変わって行くのか。彼女がもつ覚悟はどちらに転ぶのか?
それとも、覚悟を持たずに終わるのか?
姉と同じく黄金の精神を持つのか…それともプッチ達のように絶望の果てに堕ちてしまうのか…


原作との相違点

八幡が平塚に連行される➡八幡が平塚を連行する

単位脅しをする➡アスファルトに埋めると脅し返す

平塚、業務で帰る➡仗助に連行される

雪ノ下部長➡一番下っ端

次回はついに俺ガイル最大のアンチを受けるあの娘の登場…かも?
また読んで頂けたら幸いです。

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