side比企谷八幡
SPW財団日本支部支部長室
承太郎「夕方にダメージをもらってからは攻撃は無いんだな?」
八幡「ああ………」
昨日、部室で攻撃を受けた俺は、承太郎への報告を兼ねて学校を休み、会社に出ていた。
もしいろはがいなければ大事に至っていたかも知れない。いろはのナイチンゲールは失った血を自己治癒力で増進してくれる効果があるが、仗助のクレイジー・ダイヤモンドだとそうもいかない。
乾き、固まった血は既に「俺」の体の一部じゃあないからだ。
承太郎「ウルフス以外で敵に心当たりは?」
八幡「……………」
無言で指折りで数えていく。
ええーと………大きな所で芥子畑潰しであそこのシンジゲートとあそこの組織だろ?
身内の線もかなり濃厚だな。俺を消せば結構な数の人間が甘い汁を啜れるもんな……。
千葉のヤクザ屋さんも結構潰したよな?
個人的にも………。あれ?
八幡「………………」
承太郎「………………」
八幡「……?」
承太郎「………」
八幡「?????」
承太郎「どうした?」
八幡「今さらだけどさ…………」
承太郎「ああ……」
八幡「俺って敵だらけだね?」
むしろ敵だらけで心当たりがありまくる。
心当たりしか無いまである。
承太郎「つまり情報で敵を探るのは難しいということだな?ヤレヤレだ……」
や、お前には言われたくないよ?
最強のスタンド使いというレッテルとジョースター家の当主という点でお前もかなりの敵がいるからね?
承太郎「そうなると、手掛かりは土曜日の銭湯の帰りにお前が感じた敵意と昨日の行動か?」
八幡「そうなるな」
土曜日に感じた敵意。あれは狙撃等で感じるような殺気を感じた。
普段ならば身を隠すような行動に出るわけだが、あの時は完全な一般人である両親や一色夫婦、朋子さんがいた。自分の身を守るよりも両親達を守ることを俺は優先した。
狙撃ならばザ・ジェムストーンで掴むことが出来る。
その油断が敵の攻撃の何かの攻撃手段を与えるきっかけになったんだと思う。
そうでなければ部室にあれだけ人がいたにも関わらず、俺だけしか攻撃を受けていない理由にならない。
承太郎「だから今日はここに避難するように仗助から命令を受けた訳か………」
八幡「この界隈でここが狙撃を受けるような建物は他に無いからな」
海浜幕張中心部に位置するこのSPW財団日本支部の本部ビル。その最上階に位置するこの部屋は、実に狙撃を受けないように計算され尽くした場所にある。
狙撃を受けるような位置から何かをされ、攻撃を受けたというならば、この部屋に身を隠しているのが最も安全だと言える。
ついでに山のように積まれている仗助の仕事をやっておくように言われてるけどな!
仗助の野郎………仕事を溜めすぎだろ!
貯金とかでもそうだけど、仗助は時々気を抜いてはこうして後になってから大変な事になることがある。
あいつ、俺が暇になってからも「いざとなったら幼馴染みーズがいるから良いや。とにかく明日やろう」とか言って仕事を溜め込みそうだ。
「明日やろうはバカ野郎」という諺を知らんのか!
天の声「そんな諺はない。スタンド攻撃を受けている最中のわりには余裕である」
や、余裕ないから。年末でこの仕事量は洒落になってないから。あと、スタンド攻撃に関しても自分が動けないという点でかなりフラストレーションが溜まってるから。
承太郎「取り敢えず今は静やいろは達が調査をしている。お前は大人しくしていろ」
はぁ………。
どうもウルフスから襲撃を受けるようになってから、俺ってこういうパターンが多くなったよな……。
side比企谷小町
授業中時間ー奉仕部 部室ー
小町「この格好だったんだよね?」
いろは「そうですね。雑談をしながら波紋の修行のためにその格好をしてましたから」
今、小町は昨日お兄ちゃんが取っていたポーズをしていた。スプリンクラーの突起に指だけで捕まり、天井に足を付けている状態だね。
実証検分の為にこんな格好をしているけど、もちろん凄い格好になってる。
お兄ちゃんのジャージに着替えてなければスカートが捲れて中身が丸出しになってたよね。
パン!ツー!まる!見え!だよね?
いろは「どうですか?そこから何か見えますか?」
小町「うーん……こう言っちゃなんだけどさ。結構色々あるよ?この部室は防弾ガラスを使ってるからさ、あまり狙撃を気にしてなかったけど、狙おうと思えばいくらでも狙えるよね?」
一応盗撮とかを警戒して学校も配置を考えたんだとは思うけどさ。その程度だよね。
小町「でも、狙撃で狙われるとかの位置取りだとか、そういうのだったらお兄ちゃんも気が付くと思うんだよね。ほら、小町達って敵が多いし?」
いろは「そうなんですよね……ハチ君が気が付かない内にどういう攻撃を受けたのか……」
小町「うーん………ん?」
小町はサンシャイン・ルビーを出して指の位置とサンシャイン・ルビーの目の位置を確認する。
いろは「どうしました?」
小町「うん。角度次第なんだけどさ、このお兄ちゃんが捕まっていた場所、反対側の棟から見えるんだよね?もしかしてそこが……」
いろは「ハチ君を攻撃した人がいた場所?犯人は総武高校の生徒の可能性もあるということですか?」
小町「可能性自体はあるよね……この姿勢を維持してるからさ。そっちに移動させてくれる?」
いろは「はーい」
お姉ちゃんはナイチンゲールを動かし、中庭を挟んで2階の位置から部室を見る。スプリンクラーと同じ目の高さにあるサンシャインとナイチンゲールの目がバッチリと合う。
小町「この体勢の時はナイチンゲールの位置からお兄ちゃんの背中と指先がバッチリ見えていたってことだよね?」
いろは「だとしたら、昨日はここからハチ君を攻撃した犯人がいたってことですよね?」
でも…………
小町「わからないのがどうしてお兄ちゃんだけが攻撃を受けたか………って事だよね?小町は現場にいなかったからわからないけどさ、お兄ちゃんが攻撃を受けたときには生徒会の人も奉仕部の人達もその位置から見える場所にいたんでしょ?」
お兄ちゃんだけを攻撃した意味がわからないよね。
お兄ちゃんに殺気を悟られず、それでいてピンポイントで攻撃が出来る。そんな能力は見当も付かないよ。
いろは「スタンド能力ですから普通の理屈が通じないのはいつもの事ですけど………。もしかしたらわたし達を攻撃したくても出来なかった……と言うのが正しいかも知れませんね?」
だとしたら、直接攻撃タイプのスタンドじゃあないよね?そうなると厄介な攻撃方法だよね……。そういうタイプの攻撃って強さとか関係ないからなぁ……。う~。
いろは「那由多さんのお父さん……吉良東のスマイリー・ボムはマーカーを付けた相手に対して弾丸をホーミングするタイプのスタンドだったじゃあないですか。ハチ君は何らかのマーカーを付けられた可能性はありませんか?」
小町「波紋の戦士で、良く狙われていて殺気に敏感なお兄ちゃんが?…………ハッ!」
小町とお姉ちゃんは同時に顔を見合わせる。
最近、異変があったと言えば週末のスーパー銭湯に行った時!お兄ちゃんは何か変な視線を感じたって言ってたっけ!
いろは「あの時の調査は今、ジョセフが調べていますけど………」
小町「なら、そっちはジョセフおじいちゃんに任せて小町達が出来ることは………」
いろは「昨日の放課後、あそこにいたのが誰だったか…を調べる事ですよね?」
小町「パッショーネのアバッキオさんがいれば、そういうのを調べるのは楽だったよね………」
亡くなった人を頼るなんて事を考えるのは仕方がない事だけど、本当にこういう時はムーディ・ブルースの能力が適任の能力だよ……。
いろは「ジョルノのゴールド・エクスペリエンスで消火器をオウムとか九官鳥に変えて喋って貰うのも手段の1つでしたけど………」
小町「そんなに都合の良い能力だったかなぁ……そこまでいかなくても、ジョセフおじいちゃんのハーミット・パープルで昨日のあそこを念写出来れば良かったんだけど……」
いろは「こういう時に限ってジョセフはいませんね。普段は無駄にここにいるのに………」
肝心な時にいないんだから!これ、小町的にポイント低いよ………ごじぃちゃん(ゴミおじいちゃんの略。ゴミぃちゃんの応用編)。
ジョルノお兄ちゃんも今日は会社にいないみたいだし…。多分、今回の攻撃の事について何かを調べているんだとは思うけど……。
あれ?歴代ジョジョで誰かを忘れているような……。
いろは「いない人の能力を当てにしても仕方がない事ですよね?正攻法で調べるしか無さそうですが……」
小町「今、普通に授業中で、お姉ちゃんは欠席ってことになってるもんね?」
いろは「それを言ったらマチちゃんも中学を欠席している事になってるし、部外者じゃあ無いですか………部活絡みで放課後だけはうろちょろしていても黙認されてますけど………」
黙認というよりは、いくら言われても聞かないから諦められていると言うか、もういるのが当たり前みたいになっていて周りが小町がいても気にしなくなったって言うか……。
部外者の立ち入りには寛容っていうか、ザルって言うべきなのか………。
いろは「行動は放課後になってからですかね?」
小町「そだね?」
いつも通り、傍若無人に振る舞って、この時間から行動していれば良かったと後悔するのは………そして忘れていた歴代ジョジョの事を深く考えずに連絡を取らなかった事を後悔するのは……。この日の夕方からだった。
sideジョセフ・ジョースター
ジョセフ「ジョルノ。どうじゃ?」
ワシはスーパー銭湯の帰りに八幡が妙な視線を感じたって場所に赴き、その場所に立っていた。
ジョルノ『流石は普段から狙われているだけはありますね。ここからなら、そこはバッチリ狙撃で狙えます。僕がその場にいれば、適当に虫を作って視線の主を追えていたかも知れませんけどね』
無線機からジョルノの声が皮肉付きで聞こえてくる。
皮肉を込めんで良いわ。あの日、銭湯に誘われなかったことを地味に恨みおって。どうせ陽乃や雪乃と一緒に休日をエンジョイしてたくせにのう?
ジョルノにはあの日、ワシらが通った道から狙撃が可能そうな場所へと向かって貰っていた。
普段から狙われておる事から、通る経路については選定して行動しておる。ジョルノの場合は特にそういうのが得意じゃろう。ワシら以上に危険に身を晒しておるのじゃからな。
ジョルノ『どうしますか?この辺りの防犯カメラをあたってみますか?』
ジョセフ「うーむ………」
ジョルノが立っておるビルの管理会社の防犯カメラを調べるのも手じゃが、警察でもないワシらがそれをやるには金(賄賂)が必要じゃな。もしくは警察に根回しをしてみるかじゃが………。
日本のモラルは中々に高い。つまりは、こういう取引には中々応じない者もおるということじゃ。
頼もしく思う反面で、同時にこういう時は歯痒く感じるものじゃな。
そうなると………じゃ。
ジョセフ「
ジョルノ『だそうですよ。彼に連絡を取って貰えますか?』
静『了解』
ジョルノの近くにはジョジョがおる。
気難しい
静『………もしもし?パパ?今すぐには来れないみたいだよ?今日に限って呼び出されて本業の打ち合わせで東京に行ってるみたい。戻ってくるのはお昼過ぎになるって』
F・A・C・K!
くそったれの◯◯◯社め!
………この時、ワシは康一くんでも呼んで、すぐに対応しておれば良かったと後悔することになるのじゃった。
←To be continued
はい今回はここまでです。
原作との相違点………は必要ありませんね?今回は主要メンバーが総武高校の外で動いていますので。
それでは次回もよろしくお願いいたします。