やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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分岐する結末・帰還バージョン

side比企谷八幡

浅間山

 

わりとヘビーな結末を辿った1つの結末。

真ゲッターチームや新ゲッターチーム改めコスモゲッターチームの帰還を見れたのは良かった。

あの世界はこれからどういう未来を辿るのか……気になるところだが、俺達が出来ることは何もない。

俺達はもう1つの結末を見るために、分岐したもう1つのその後の世界へと降り立つ。

 

八幡「こっちはあの物々しい状態にはなってないんですね?」

 

日本軍に管理され、物々しい塀やゲートで覆われていたあちらの早乙女研究所とは違い、こちらの早乙女研究所はあの頃のままの姿で建っていた。

警備とかで日本軍の姿はちらほら立っていたが、早乙女研究所はゲッター線の関わる重要警護対象ということで、あの世界のような妙な緊張感はない。

あの世界とはどう変わっているのか非常に気になる。

俺達は早乙女研究所に向かって歩き出す。

すると………。

 

元気「あれ?あーー!徐倫ちゃんのおじいちゃん達だーー!アーシスの人達だよね?遊びに来たの?」

 

あちらでは空条渓となっていた早乙女元気がその名前の通り、元気な姿で走り寄ってくる。

 

ジョセフ「おーけーちゃん。元気そうで何よりじゃ」

 

や、だからそれは京華に対する呼び方だろ。それにこっちの早乙女元気は渓じゃあない。それともわざとか?元気そうで何よりってのは洒落でも言ったつもりなのか?

 

元気「けーちゃん?誰それ?おじいちゃん、あたしの事をわすれちゃったの?」

 

案の定、意味が通じる訳がなく、早乙女元気は目をパチクリさせている。その頭の中ではハテナマークがフラダンスを踊っている事だろう。

 

ジョセフ「済まん済まん。早乙女元気ちゃんじゃな?しっかりと覚えておるよ」

 

元気「もう!おじいちゃんの意地悪……嫌い!」

 

もう10歳になった早乙女元気。じきに反抗期を迎え、小町やいろはのように年頃の女の子になることだろう。

基本世界の車渓はじゃじゃ馬の美女だったが、こちらはどういう女子になるのやら。

 

ジョセフ「ところで元気ちゃんや。他のみんなはおるかね?」

 

元気「ん?しょちょーやお姉ちゃん、べんけーさんはいるけど、他のみんなは大体元の生活に戻っちゃったからなぁ…」

 

所長?

もし所長が早乙女博士なら元気はお父様と言うはずだし、所長とは別にお姉ちゃんと言っているからにはみちるさんと所長は別なのだろう。

 

ジョセフ「元気。所長に会わせてもらって良いか?」

 

元気「研究中じゃ無ければ大丈夫じゃない?じゃあ、私は遊びに行ってくるねー♪」

 

元気は元気よく走り去って行った。まだまだ遊びたい盛りなのだろう。俺達はそれを見送り、早乙女研究所の中に入る。軽く面会の手続きがあった程度で入所には何の問題も無かった。

よく見ればあの時に早乙女研究所を警備していた隊員達だ。ほぼフリーパスなのも頷ける。

 

弁慶「おう、アーシスの連中じゃねぇか。久し振りだな」

 

以前と変わらず軍服を着た車弁慶さんが俺達を迎えてくれた。

 

ヴァレンタイン「久しいな。車弁慶君。その後はいかがかね?徐倫君は元気かね?」

 

弁慶「いかがも何もねぇよ。驚くほど暇な毎日で張り合いがねぇ。お陰で体が肥えちまって困る」

 

確かによく見ると、元々ガッチリした弁慶さんの体は少し横に大きくなっている。

 

弁慶「徐倫が育ち盛りだろ?一緒に食うのを付き合っていると……な?」

 

ジョセフ「パイロットは体が資本じゃぞ?肥えたらまずいんじゃあ無いのか?」

 

弁慶「うっ!わかっちゃあいるんだけどな……もっとも、この2年間は鬼もインベーダーも出てきちゃいねえから。ついつい……な。それに、ホリィさんから毎週送られてくる料理が旨くてついつい……な」

 

ジョセフ「ホリィが?」

 

弁慶「孫の徐倫を引き取ってるだろ?それでいつも送ってきてくれるんだよ」

 

ジョセフ「ホリィは家族が大好きじゃからな。わかる気がするわい!」

 

八幡「てっきり徐倫を引き取るかと思ったけどな。ゲッターのパイロットだからか?」

 

弁慶「さぁな。ホリィさんはニコニコするだけで何も教えちゃくれねぇんだ」

 

多分だが、ホリィさんは弁慶さんと徐倫の親子関係を認めたのだろう。

別の基本世界では渓の親を愛情持って立派にやりとげた人だ。

 

弁慶「何だお前。ニタニタした顔をしやがって……」

 

おおコワ。流石は初代ゲッターチーム。ガン付けがそこらのチンピラとは訳が違うわ。そんな弁慶さんにはお土産だ。俺は学校で教鞭を振るっている徐倫の写真を見せる。

 

弁慶「おおっ!将来は美人になるとは思っていたが、ここまで美人になるなんてな!」

 

いろは「因みにコレが徐倫のいつもの日常です」

 

俺達に拳骨を落としている徐倫。スタンドラッシュで俺達を沈めた後にハイヒールでグリグリと踏みつけている徐倫。カンカンに怒って俺達を追い回す徐倫。

 

弁慶「………お前ら、普段何をしているんだ?」

 

八幡&静「普通に弄ってるだけです」

 

弁慶「お前ら、うちの徐倫に妙な事をするなよ?やったら大雪山おろしだからな?」

 

直伝大雪山おろしは食らいたくない。

 

徐倫「パパ、呼んだ?」

 

噂をすれば幼徐倫がトテトテと駆け寄ってきた。

すくすくと育っているようで何より何より。

 

ジョセフ「久し振りじゃな?徐倫」

 

徐倫「大豆グランパ!」

 

徐倫は勢いを付けてジジイに抱き付く。

 

弁慶「アーシスの世界のお前の姿だとよ。美人だろ?」

 

弁慶さん。ツッコミモードの徐倫の写真を見せてますよ?

 

徐倫「…………確かにキレイだけど、納豆と静お姉ちゃんを倒せるほど強いんだ。このあたし……」

 

徐倫はストーン・フリーを出してオラオラと俺達をポカポカしてくる。まだ子供のストーン・フリーだからあまり痛くはない。あくまでも俺達にとっては……だが。

一般人には普通に痛いだろう。

オラオラオラオラオラ((꜆꜄*˙꒳˙)꜆꜄꜆

ポカスカポカスカ♪

なにこのミニストーン・フリー。なんかすごく可愛いんですけど?とても普段はドギツイツッコミを入れてくる徐倫先生と同一のスタンドとは思えない。

 

八幡「強いぞ。そして生半可な精神力じゃあない」

 

静「普通だったら胃に穴が空いている」

 

小町「お兄ちゃんとジョジョお姉ちゃんがいなければそこまで苦労はしてないと思うけどね?」

 

徐倫「そうなんだー!じゃあ、大豆達が近くにいればあたしも強くなれるんだぁ!」

 

ま、まぶしい!その純粋なキラキラとした目を向けられるのが辛い!この徐倫はいじれん!やさぐれていない徐倫が可愛すぎて辛い!

弁慶さん。あなた良い親だよ!そのまま徐倫を正しく導いてくれ!

 

徐倫「で?アーシスは何しに来たの?仗助おじちゃんとかしのぶんはいないよ?」

 

ああ、みんなそれぞれの故郷に戻ったってニュアンスをさっき元気がいっていたっけ?

 

ジョセフ「せっかく来たんじゃから、挨拶にと思ってな。案内してくれるか?徐倫」

 

徐倫「うん!こっちだよー!」

 

徐倫の先導で俺達は早乙女研究所の心臓部でもある研究室に行く。そこにいたのは……。

 

忍「あんたがここの所長?」

 

隼人「アーシスの忍か。久し振りだな」

 

神隼人さんがこっちでは早乙女研究所の所長になっていた。

 

隼人「早乙女博士ならSPW財団に移って研究を続けている」

 

何でももう1つの世界と同様に日本政府はゲッター線の計画については凍結の決定を下したらしい。

こっちの世界でもコスモゲッターはロストしているらしい。早乙女博士はその責任を取って所長を辞任したとの事だ。自主的な辞任であり、あっちみたいに逮捕・投獄をされていないのが救いかな?

 

隼人「ゲッター線の研究が出来ないなら、博士にとっても早乙女研究所は意味がない。今はSPW財団のスカウトを受けてアメリカでゲッター線の研究を続けている。方針としてはゲッター線の医療利用と言っているが、実際はどうだかな………敷島博士も一緒に引き抜いて言っている辺り、どうせ新しいゲッターでも作っているんだろう」

 

1つ間違えればマッドサイエンティストになりかねない御仁だからな。間違いなくそうしているに違いない。

 

隼人「そういえば最近、忍の故郷で良い人材が見つかったそうだが心当たりあるか?」

 

忍「………3人ほど、心当たりあるわ」

 

多分だが、沙織さん、紐緒さん、伊集院メイさんだな。

早乙女博士が目を付けそうなのは。

 

隼人「もっとも、忍は忍で今はイタリアで人材確保に向かっている所だがな」

 

ジョルノ「僕の事ですか?あの時の情報を元に……」

 

隼人「忍はお前だけじゃなく、ブチャラティチーム全員に目を付けているようだ。絶対に誰も死なせないと息巻いている」

 

忍「あの3人に比べたらましだと考えたんだわ……きっと。それで隼人。あんたは何でここに残っているのよ?真ゲッタードラゴン関係かしら?」

 

隼人「表向きはな。早乙女博士がいなくなってしまったという事で、次にゲッターに詳しいのは俺だ。真ゲッタードラゴンの封印は誰かがやらねばならん。だが、そっちに関しては研究者に転向したみちるがやっている」

 

八幡「あ、こっちでもそれは変わらないのね?」

 

隼人「こっち?どういう意味だ?」

 

やべ。口を滑らせた。聡い隼人さんなら聞き逃す筈がない。

 

ジョルノ「八幡……ワサビだな」

 

いやぁぁぁぁぁぁ!

 

ヴァレンタイン「実は…………」

 

キングクリムゾン!

 

隼人「なるほど。恐らく、コスモゲッターのみならず、新ゲッターまでがロストしたのが原因だな。立て続けに公になっている最強のゲッターと、その後継機のロストを考えれば責任は重くなる。それだけじゃない。早乙女研究所の国家反逆すら疑われるだろう。そっちの俺達が危険分子として疑われても仕方がない事だ」

 

なろほど。仗助達の事よりも新ゲッターの事が問題だった訳か。確かに新ゲッターの業績を考えれば、あれのロストは大きな痛手だろう。

こちらの世界では新ゲッターチームは翌日に帰還し、新ゲッターもひょっこり現れた貂蝉さんから受け取っているらしい。処分としても軽いもので済んでいる。

各ゲッターもあちらではゲッター線を使っていないネオゲッターを除いて厳重封印だが(ブラックゲッターは強奪された)、こちらでは運用を禁止された程度で整備等は定期的に行われているらしい。

 

忍「逆に聞きたいんだけど、真ゲッタードラゴンの監視をみちるに任せたのなら、あんたはここで何をしているのかしら?」

 

隼人「コスモゲッターを探している」

 

忍「コスモゲッターを?」

 

隼人「そっちのみちるは気付いていなかったが、恐竜帝国との戦いでは確かに古ぼけていたコスモゲッターが現れた。俺はあのコスモゲッターが世界のどこかに眠っていると思っていた。お前達の話で確信に変わったがな」

 

貂蝉さんが語っていた返すもの………。もしかしたら、1つは新ゲッターで、もう1つは………。

そして、現在の新ゲッターチームの今の話を聞いた。

 

 

side宮内れんげ

 

れんげ「とぅぅぅぅぅ!」

 

門下生「うわぁぁぁぁぁ!」

 

今、うちは柔道の道場で鍛えてるんなー。

町の小さな道場だから、あんまり強い人がいないのが不満なのん。でも、小学生のうちが通える道場はここしかないんなー。

桃香達との別れの後に、うちら新ゲッターチームは早乙女研究所からそれぞれの家に帰ったん。

うちらの戦いによって過去が変わったみたいで、うちの家やみんなが元に戻っていたん。リョウちんやジョリタンのパパやおじいちゃん、むさしんは相変わらずいないのが不思議だけど。

そして、うちら新ゲッターチームはゲッター線凍結になってやることが無くなったん。ネオゲッターをモデルにプラズマエネルギーの新しいゲッターの量産計画のパイロットって話もあったのん。けど、元々あっちで生活をしているゲンキチンやジョリタンはともかくとして、新ゲッターチームは学生だし故郷から離れているって事で親元に帰されたんなー。

しのぶんは隼人所長から研究者としての勉強を受けていたから秘密の仕事があるみたいだけど、うちと仗助おじちゃんは本当に親元に帰されただけなんなー。

 

れんげ(でも、この平和は一時的なん……)

 

恐竜帝国がまた現れるかも知れないん。

それに、2500年後の世界から現れたアンドロメダ流国がいるし、その手下の鬼……百鬼帝国やインベーダーが現れるってゴールのおっちゃんは言ってたん。

ゲッターはまた必要だってしのぶんは言ってるん。

 

れんげ(だったら、またゲッターに乗れるようにしておかないといけないん)

 

いつかゲッターが必要になったときの為にうちは鍛えてるん。道場で柔道を、家に帰ってからは弓の練習をしてるんなー。

ゲッター3で大雪山おろしが使えなければいけないし、ゲッターセントールでは弓を必要するん。

弓はシオン(黄忠)から教わった事を繰り返してるのん。

 

れんげ「大・雪・山おろしなのぉぉぉぉん」

 

夏海「それ、ただのジャイアントスイング!反則だから!れんちょんそれ反則!っていうか、泡吹いてるから!相手の高学年の男の子が泡吹いてるって!なんで年上の男の子をブンブン振り回せるの!?早乙女研究所でどんな魔改造を受けたの!?」

 

パイロットやるから地獄の訓練を受けさせられたのん。

鍛えてないと命が危ないのん。

最近じゃC&Cファクトリーが無くても出来るようになってきたのん。

 

れんげ「大雪山おろしはムサシンの奥義なのん。納豆やジョジョンに出来てうちが出来ないわけないのん!ののののののののののののん!」

 

夏海「だ、大雪山おろしが何なのかわからないけど、ジャイアントスイング禁止ー!」

 

れんげ「いろはすなら『ジャイアントスイング禁止です!』って言うのん」

 

夏海「いろはすって誰ー!?」

 

れんげ「なっつんに声がそっくりなゴワンゴワン(スタンドの事。れんげ独自の呼び方)使いなのん」

 

元気かなー?いろはす。

いつか会って、『にゃんぱすー』って言うのん!

 

 

side藤崎忍(若忍)

イタリア・コロッセオ

 

若ジョルノ「終わりが無いことが終わり……それがゴールド・エクスペリエンス・レクイエム……」

 

これでパッショーネの戦いは終わったわ……。

何度見てもレクイエムってのは恐ろしいわ。あちしが見たのはこれで4回目かしら?

2年前にあちしをストナーサンシャインから救ったアクトン・モリオン。そして左慈を消したザ・ジュエル。

 

ナランチャ「なあ忍。一人だけクールな笑いをしてるけど、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの事を知ってるんだろ。なぁ、そうなんだよなー!?」

 

時々妙に鋭いわね?ナランチャちゃんは。

止めてくれない?ここにはブチャラティちゃんがいるのよ?嘘を吐いてもばれちゃうんだから。

 

アバッキオ「いい加減、話して貰うぞ。何故お前は俺達に力を貸した?」

 

フーゴ「時々未来を予測していたかのように行動していたのは何故です?」

 

それはあちしの変身能力とアーシスのジョルノちゃんの記憶、そしてアバッキオちゃんのムーディ・ブルースを上手く使ったのよ。

それに、ブチャラティチームに同行したことによって色々変身出来るようになったから、能力のレパートリーが増えたわ。特にキング・クリムゾンのディアボロをコピー出来たのは大きいわね。

 

ポルナレフ「答えて貰おうか。忍。ジョースターさん達と縁があったと聞くが………」

 

ハァ………仕方がないわね。

 

若忍「知っていたのよ。ジョルノちゃん。平行世界の未来のあんたから聞いて。ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの能力も含めてね」

 

あちしはアーシスのジョルノちゃんに変身するわ。論より証拠よね?

みんな唖然としているわ。

1800年前の世界から帰還したあちしは、元のひびきの高校に復学したわ。

世界は一部を除いて全てが元に戻っていたわ。一部というのは流竜馬さんのことや、何故かあの世界にいた匠(ときメモ2のライバルキャラ)の事ね。

復学こそしたけど、あちしにはまだやることがある。

いずれはまた現れるアンドロメダ流国との戦いよ。

あの世界を離れるのは辛かったわ。あちしはいつの間にか彼女の事を………。

後ろ髪を引かれる思いであちし達はこの世界に戻ってきた。今は平和だけど、この地球はまだ脅威に晒されている。まだ、あちし達の戦いは終わってない。だから、この世界に帰って来た。

帰って来たあちしは、凍結されたゲッター線の研究を独自に始めたわ。表だって研究が出来なくなった隼人さんの依頼でもあるけど。

こっそりやっていたつもりだったけど、紐緒さんやメイちゃん、沙織さんにバレたのが幸運だったのか不運だったのか。

幸運だったのは伊集院グループが味方になったことね。お陰でゲッターの整備や資材の調達、補給を滞りなく手配してくれて、何があってもすぐに使えるようにしてくれたもの。

紐緒さんの協力も大きいわ。世界征服ロボとかいう物騒な兵器を独自に設計、開発をする能力は隼人さんが次に造ろうとしている完全に制御されたゲッターロボ、ゲッターアークの設計とかに役立ちそうだもの。メイちゃんがそっち方面に強いというのも驚きだったわ。

沙織さんは………言わなくてもわかるでしょ?

ただ、そのせいでこの3人が早乙女博士に目を付けられたのは頭が痛いわ。

早乙女博士は真ゲッタードラゴンやコスモゲッター以上のゲッターを造ろうとしているもの。博士とあの3人の力が合わさったら、どんなゲッターが出来るかわかったものじゃないわ。もしかしてあちし達が死にかけたゲッターザウルスって紐緒さん達が作った物じゃないの?

それに、ほむらちゃんや清川さん、八重さん、茜ちゃん、公人、果ては詩織ちゃんや光ちゃんまでパイロット候補として目を付けるなんて冗談じゃ無いわよ。

だからあちしは作業を中断してでもイタリアに来たわけ。元々ジョルノちゃん達には目を付けていたしね。

光ちゃんと言えば………。もう昔のようにはいられなくなっていたわ。だってあちしの心は……。光ちゃんや詩織ちゃんは何となく気が付いてはいるようね。

最近では徐々に光ちゃんとは距離が開いているわ。でも、それで良いのよ。

彼女の事が思い出になるとは限らないし、光ちゃんまでゲッター線に関わって欲しくはないわ。

代わりにブチャラティチームを巻き込もうとしているんだから身勝手な話だけど。

でも、ジョルノちゃん、ミスタちゃん、トリッシュちゃん以外は非業な最期を迎える運命だったのだもの。

苦労したわよ?ポルナレフさんも含めてみんなを救うのは。

だから、みんなの命を……あちしは貰うわ。光ちゃん達の為にも。その為ならば、あちしは悪魔に魂を売るわ。

許して頂戴ね?ブチャラティチーム。

 

若忍「何であんた達に協力していたか………よね?もちろん、善意ってだけじゃないわ。これからあんた達にはディアボロとの戦い以上の地獄を見てもらうからよ。下手をしたら、終わることのない戦いの海に」

 

ジョルノ「あなたは………本当のあなたは………一体何なのですか?あなたは………誰なんだ……」

 

若忍「藤崎忍。あんた達に地獄を見せる男よ」

 

 

side東方仗助

杜王町・ぶどうヶ丘高校

校舎裏

 

仗助「ドラァ!ドラァ!」

 

ドカッ!バキッ!

校舎裏で俺のかけ声と打撃音が轟く。

っつってもよぉ、別にケンカしている訳じゃあねぇ。

俺は木刀を振るい、学校の木に向かって剣の練習をしている訳だ。

桃香達と別れ、元の時代に戻ってきた俺は、忍とれんげ同様に故郷の杜王町に戻り、ぶどうヶ丘高校に復学していた。

特にやることがなかった俺は、いずれ訪れる戦いに備えて剣の修行を積んでいる。

 

億泰「やっぱりここにいたのかよ。仗助ぇ」

 

康一「仗助君。剣道部が探してたよ?」

 

仗助「またかよ……俺はもう3年だぜ?もう部活とか関係ねぇだろうがよぉ」

 

杜王町に帰って来て以来、ずっと続けていた修行。それを聞き付けた剣道部のスカウトが激しかったんだけどよぉ。

 

仗助「何度も言ってるんだけどなぁ。剣道と俺の剣は目指しているのが違うってよぉ」

 

大会だとかそんなものは興味ねぇ。

いつかまた乗るはずのゲッターガルーダ。

ガルーダの主武装はゲッターブレードだ。俺自身が剣を使えるようにするための特訓ってヤツだ。今じゃあすっかり日課になっちまってる。

俺の目指す剣は剣道のそれに収まらねぇ。あいつらの実践的で、それでいて見るものを惹き付ける武技。

愛紗や鈴々のような技だ。形に囚われないあの武技こそ、俺が目指す剣だ。

 

仗助(いや……違うな……)

 

強く、速く、美しい技だけじゃあねぇ。

結局、俺はアイツらの事を……。

 

康一「そう言えば仗助君。また女の子の告白を断ったんだって?」

 

億泰「おめぇよぉ。モテるくせに女の子とは全然付き合わねぇよなぁ?なんでだ?」

 

仗助「さぁな……」

 

未練だな。

もう二度と会えねぇってのによ……。

 

桃香『あの……仗助さん、私……』

 

仗助『その先は言うな。お互いの為だ』

 

我ながらカッコ付けちまったなぁ。

俺って純愛タイプだからよぉ。あの娘や愛紗達に対して募らせていた想いっての?そういうのを引きずっちまってて、吹っ切れねぇんだよ。

剣に打ち込んでいたのだって、結局はアイツらを忘れようとしているだけだったのかもな。それでいて目指す先はアイツらの姿なんだからグレートにどつぼにはまっちまってるんだからよぉ。

 

ウウウウ~

 

仗助「あ?この音は……」

 

康一「緊急避難警報だよ!2年間、出てこなかったのに!」

 

まずいな………早乙女研究所はここから遠い。

クレイジー・ダイヤモンドで上空を見てみると……

 

仗助「インベーダーか………」

 

アンドロメダ流国のご登場って訳か。

上空では真ゲッターが戦っている。

 

仗助「竜馬さん達が目覚めて戦っているのか………くそっ!ゲッターさえあればよぉ!」

 

すると、インベーダーの間を縫ってゲットマシンが降りてくる。あれは……

 

仗助「ガルーダ号、マーメイド号、セントール号……」

 

コスモゲッター……。

コスモゲッターのゲットマシンはグランドの方に降りてくる。間違いねぇ。俺を呼んでいるんだ……。

 

億泰「おい仗助!」

 

仗助「避難してろよ、億泰!」

 

康一「仗助君はどうするの!?」

 

仗助「どうするって……戦ってくるに決まってんだろ?ゲッターに乗ってよぉ」

 

俺はグランドに走る。そこにいたのは………

 

承太郎「久し振りだな、仗助」

 

老ジョセフ「届け物じゃよ。彼女達からののぅ」

 

承太郎さんと、静を抱いたジジイが降りてくる。

 

若忍『仗助ぇ!』

 

新ゲッターが西から飛んできて、中から忍とれんげ、それに若いジョルノが降りてくる。本当にスカウトしたんだな。ジョルノ・ジョバァーナを。

 

八幡「やれやれ。戦闘機のシミュレーター訓練をやっていて良かった。まさかゲットマシンに乗らされるとはな。しかもイタリア経由でブチャラティチームを拾って杜王町までって、かなり強行軍を。ここまでやったんだ。戦うのは御免だぞ」

 

ブラックゲッターから八幡、若いジジイ、老けた忍、老けたジョルノ、成長した静、いろは、小町が降りてくる。

ゲッター斬、ネオゲッターも降りてきて、更に真ゲッターまでが降りてきた。

 

竜馬「乗れ!隼人、弁慶!」

 

隼人「ふ……初代ゲッターチームの復活だな」

 

弁慶「再会の挨拶も無しとはお前らしいな。竜馬」

 

真ゲッターに乗り込んだ初代ゲッターチームが早々に戦線に復帰する。戦っているスーパーネオゲッター改を増援するために。

 

若忍「早速地獄を見てもらうわよ?ブチャラティは新イーグル、フーゴは新ジャガー、ミスタは新ベアー、トリッシュはブラックイーグル、アバッキオはブラックジャガー、ナランチャはブラックベアーに乗って頂戴」

 

いきなりパッショーネを新ゲッターとブラックゲッターに乗せて実戦投入とは中々スパルタだな忍。隼人さん2世と言われているだけあるぜ。

 

れんげ「にゃんぱすー」

 

れんげがいろはに対して両手を上げていつもの挨拶をする。俺たちにとっては慣れっこだけどよぉ……。

 

いろは「にゃ、にゃんぱすー?」

 

案の定、いろはが困惑しつつも同じ行動をする。いわゆるミラーリングというやつだな。

 

忍「れんちょんの挨拶よ。懐かしいわね。あちしらの世界のれんちょんは、今となってはその挨拶をしないから」

 

八幡「由比ヶ浜の「やっはろー」や陽乃さんの「ひゃっはろー」、海老名の「はろはろー」的なものか?」

 

れんげに負けず劣らずの謎挨拶だな……。はろはろーはまだわかるけど、「やっはろー」とか「ひゃっはろー」ってなんだよ。

 

れんげ「アーシスもにゃんぱすー」

 

八幡「にゃ、にゃんぱすー」

 

れんげ「納豆。気持ち悪いんなー」

 

八幡「泣くぞこのガキ」

 

お前ににゃんぱすは似合わねぇよ。そう言えば億泰も気味悪がられていたっけ?

それぞれ出撃する新ゲッターとブラックゲッター、ゲッター斬。

 

八幡「行けよ、仗助。中でお前らを待ってる女達がいるようだぞ」

 

中で待ってる?

 

俺達コスモゲッターチームは届けられたコスモゲッターに乗り込む。そこには……。

 

桃香『待っていました。仗助さん……』

 

仗助「桃香!」

 

2年前と同じように、ゲッター線となっていたみんなが通信モニターに映っていた。

 

桃香『これからは、ここであなたと一緒に戦います…ずっと一緒ですよ?仗助さん』

 

ああ。ずっと一緒だ………桃香。

頬を膨らませている成長した静を宥めながら、八幡達はサムズアップして国旗に包まれる。

 

八幡『アリーヴェデルチ』

 

忍『チャオ。仗助』

 

ああ。じゃあな、アーシス。

じゃあな、杜王町。

ジジイと承太郎さんもジョルノを押し込みながらゲッタードラゴンに似た見たことのないゲッター(真ゲッタードラゴン)に乗り込み、飛び立つ。

 

仗助「グレートだぜ。ゲッター線。忍、れんげ!忘れてねぇだろうな!」

 

若忍「ふん、笑わせないでよ!忘れたくても忘れられないわ!」

 

れんげ「体がおぼえてるんなー」

 

仗助「よし!ゲッターロボ!」

 

若忍&れんげ「発進!」

 

←To be continued

 

ゲッター編終了

第5章及び本編完結編へ……。




これにてゲッター編が終了です。
キャラクター紹介の後に次回より生徒会編ラスト及び本編完結編でもある第5章ラスト、クリスマス編へと移行します。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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