side比企谷八幡
ゲッターの世界
浅間山…旧早乙女研究所
涼しい風が凪ぐ早乙女研究所。
自然豊かなこの場所は、俺達が恐竜帝国と戦ったあの頃から少し変わっていた。
以前の研究所は日本軍(ゲッターの世界では自衛隊ではなく日本軍らしい)はいたものの、普通の民間施設といった感じだったが、今は物々しい塀に囲まれ、基地のようなゲートが設けられている。
警備にあたっているのも軍人だ。
軍人「止まれ。ここは一般人立ち入り禁止だ」
近付いただけで銃口を向けられる俺達。
ジョセフ「早乙女博士に会いに来たんじゃが……」
軍人「早乙女に?」
呼び捨てかよ………。
軍人は片手を上げる。すると数人の軍人が詰所から出てきた。全員が全員、銃口をこちらに向けている。
間違っても歓迎されている雰囲気ではない。それどころか、少しでも抵抗の素振りを見せたり、逃亡を図れば撃ってきそうな雰囲気だ。
八幡「………」
反撃するべきかどうか迷っていると……。
ヴァレンタイン「大人しくしておきたまえ。いざとなれば私の力でこの世界から離脱すればいい」
静「……………」
俺達は反撃の姿勢を解除し、膝を付けて両手を上げる。
抵抗の意思はない……という態度だ。
軍人達は俺達の両手に簡易拘束具を付け、連行する。
無抵抗の態度を取っていなければ、乱暴に組伏せられていただろう。
軍人「ぐへへへ………」
軍人の何人かはいろはやジョジョを見て下卑た視線を向けてきた。
八幡「おい。女性の扱いには女性軍人が担当するのが当たり前だろ?」
メキャッ!
銃床で殴られる俺。
野郎。人が大人しくしていれば……。
翔「そこまでにしておけ。そこの男が言っている通り、配慮に欠けていたのはこちらだ。それに彼らが本気で暴れればこの研究所にいる戦力は壊滅する。一人一人が號と同等かそれ以上の人間だ」
軍人「い、橘大尉!」
あれ?この人はネオゲッターチームの橘翔さんじゃあないか。
確か橘研究所の所長の娘さんで、昔はアメリカ軍にも所属していたという人だが……。
その橘翔さんが何で早乙女研究所に?
翔「拘束を解け。彼らは私の客人だ。ゲッター線の関係者でもない」
軍人「し、しかし……ここには藤崎忍が……」
翔「よく見ろ。藤崎忍はもっと若いだろう?よく似たそっくりさんだ。責任は私が取る。持ち場に戻れ」
軍人「………了解しました」
忍「…………」
翔さんの命令で俺達は拘束を解かれる。
さてと……仕返しでも……。
翔「あの兵の処分については私の方でやっておく。間違っても報復など考えるなよ?比企谷八幡。私の客人扱いで拘束を解いたのがせめてもの譲歩だ。兵士への暴行をされては、それこそ拘束の口実を与えることになる」
見破られてました。
確かにこの場で個人的な報復をすれば、もっと面倒な事になるのは明らかだ。
八幡「了解」
ハーミット・アメジスト。
翔さんの命令で持ち場に戻ろうとしている兵士達。充分に距離が離れた所を見計らい、俺はハーミット・アメジストでさっきの奴の足を絡ませて転倒させる。
スタンド使いじゃあない者にスタンドは見えない。
翔「……比企谷八幡。貴様……」
八幡「何の事ですか?俺は何もしてないじゃあないですか。見てましたよね?橘さん」
翔「………そう言うことにしておこう。証拠は何も残っていない。残念な事にな。さて、中には私が引率するとしよう。それ以外の所は行かないように。そうでなければ流石に私も庇うことは不可能だ」
どうやら状況は以前に来たときと大分違っているようだ。以前は自由に歩き回れた訳じゃあないが、立ち入り禁止エリアじゃあ無ければ問題はなかった。
ところが今では………
俺達は応接室らしき部屋に通される。
何かおかしい。廊下を歩いていた時、少しだけ見えた格納庫はスッカラカンだった。ゲットマシンが一機も見当たらない。
翔「2年ぶりだな。アーシス」
平行世界の時間の流れはこちらとは違う場合がある。俺達の1年はこちらでは2年の時が流れていたようだ。
忍「何があったの?この2年間」
翔「何から話したら良いか………そうだな。所長が来てから話をするとしよう」
ジョセフ「所長?早乙女博士かのう?」
翔「早乙女博士には早乙女博士だが、今の早乙女所長は二年前の早乙女博士じゃない」
コンコンコン。
ドアがノックされ、白衣を来た人物が現れる。
大分雰囲気は変わったが、この人は……。
翔「お待ちしてました。所長」
この人が所長?え?だって………
静「早乙女……みちるさん?」
みちる「ええ。今は私が早乙女研究所の所長よ。所長って言っても、軟禁に近い扱いだし、常に監視されているけどね」
みちるさんは恐竜帝国との戦いが終わり、俺達が帰った後の事をポツリポツリと語り始めた。
side早乙女みちる
アーシスが帰ってから数ヵ月。
恐竜帝国の侵略は防げても、あれはむしろイレギュラーだった。
元々、私達が戦っていたのはインベーダーや鬼。
だから戦いは終わってなくて、仗助君達の新ゲッターを中心に私達は活動していた。
そして、ようやく隼人さんのコスモゲッターが完成し、起動実験を始めようかと言うときに事件が起きたわ。
早乙女「どういうことだ!既にエネルギーの充填は止めている!」
隼人「止まらない!何故ゲッター線を延々と充填している!」
仗助「ヤバいぜ!このままじゃあメルトダウンを起こすぜ!」
起動実験をしようとしてエネルギーを充填していたとき、想定外のゲッター線をコスモゲッターは充填。このままではメルトダウン……。
隼人「待避だ!少しでも遠くへ逃げろ!」
早乙女「ダメじゃ!もう遅い!」
武蔵くんが初代帝王ゴールと心中した時のようなゲッター線の暴走とは比にならない爆発が起こる……。
今から逃げても遅いのは分かっているけれど、少しでも可能性があるのなら………。
みちる「お父様!コスモゲッター!臨界点を突破!ゲッター線が暴走します!」
コスモゲッターからゲッター線が漏れでる。
人類の希望となるはずだったコスモゲッターの暴走事故が発生する。
……そのはずだったわ……。
隼人「なに!?」
だけど、漏れ出たゲッター線は爆発せずにコスモゲッターを包むと、より強く発光して………コスモゲッターは忽然と消えてしまった……。
隼人「助かった………のか?」
早乙女「どこに消えた……?コスモゲッターは……」
ロストしたコスモゲッター。
早乙女研究所及び日本政府はあらゆる手段を尽くしてコスモゲッターの行方を探したけれど、ロストから2年が経つ今もその痕跡は全く見付かっていない。
当然、その責任の追求については日本政府からもあったけれど、それでも現状で鬼やインベーダーの侵略に対しての最大の戦力である新ゲッターの存在によって、鼻つまみ扱いながらも活動を続けることが出来た。
あの日までは………。
仗助『鬼退治、終わったぜ?ジジイ、隼人さん』
みちる「お疲れ様。無事に戻ってきてね?」
れんげ『美味しい夕御飯、楽しみにしてるん』
元気「れんちょんはそればっか!」
若忍『仕方ないじゃない。それくらいしか楽しみが無いんだから』
任務完了の報告を聞き、帰還を待っていた私達だったけれど……。
新ゲッターチームが研究所に帰還することは無かった。
共に出撃していたネオイーグルからの映像記録で見たものは………
若忍『な、なによこのゲッター線の数値は!な、何が起きてるの!?』
れんげ『しのぶん?しのぶん!』
ネオゲッターチームの映像から、新ジャガー号がコスモゲッターの時のようにゲッター線に包まれて消える。続いて………
れんげ『ベアー号もなん!』
同じく新ベアー号もロスト。最後に新イーグル号も…。
仗助『おい!忍!れんげ!くそっ!なんだこのゲッター線は!クレイジー・ダイヤモンドを使っても反応がねぇ!故障じゃあねぇのかよ!』
號『仗助!仗助ぇぇぇぇぇぇ!』
仗助『うおぁぁぁぁぁぁ!』
とうとう消えてしまう新イーグル。
早乙女「バカな………新ゲッターはゲッター線の制御が完全に出来ていたはずだ……こんなことが起こるとは」
コスモゲッター………そして新ゲッターの相次ぐロスト。
特に新ゲッターはパイロットごと行方不明。それによって下された決断は………。
ゲッター線研究、及びゲッター線を使用した全機体の凍結。
ブラックゲッター、ゲッター斬の封印。
早乙女博士、神隼人、車弁慶。コスモゲッター及び新ゲッターのロストによる責任を取らされ、逮捕。投獄。
まだ小学生である早乙女元気、車徐倫。早乙女研究所より登録抹消。
唯一、処分を免れたのはゲッター線を使用していないネオゲッターと橘研究所だった。今はネオゲッターが防衛を担っている。
もっとも、仗助君たちが消えたあの日以来、鬼やインベーダーは現れていないから、ネオゲッターチームもほとんど他の任務に回されているけど。
早乙女研究所は日本軍の監視下に置かれ、元々の所員達は軟禁に近い形で労働している。
所長とは言われているけど、私の扱いは囚人のそれと同じね。
side比企谷八幡
ジョセフ「完全閉鎖じゃあ無かったのか?」
その後の話を聞き、俺達は暗い表情になる。
みちる「ここの地下には真ゲッタードラゴンが封印されているもの。その封印を監視とゲッター線を散らす作業をする為に、早乙女研究所そのものは閉鎖できないの」
そうだった。ロストしたコスモゲッターのモデルとなったオーパーツの真ゲッタードラゴン……。ここの地下にはそれが封印されていた。
翔「それに……いずれはどのゲッターも必要となるしな。戻ってきたあれも含めて………」
八幡「戻ってきたあれ?仗助達か?」
俺達がそう言うと、翔さんは首を振る。
翔「新ゲッターチーム達は戻ってきていない。戻ってきたのは新ゲッターだけだ。それも……オーパーツの状態となってな。今は真ゲッタードラゴンと共に封印されている」
八幡「オーパーツの状態で?仗助達は……」
みちる「帰って来ていないわ。でも、どうなったのかまでは知ってる……」
静「まさか………三國志の世界に……」
みちるさんと翔さんは頷く。
やはりか………。ゲッター線の意思として動いていた三國志の英雄達。全てはその時の為に………。
翔さんは新ゲッターが戻ってきた時の事を語り始めた。
side橘翔
ゲッター線に関する事が凍結されてしばらく経ったある日。橘研究所に謎の電文が届いていた。
『古の約定を果たすべく、ネオゲッターチームはネオゲッターに搭乗し、指定の場所まで来られたし』
あからさまに怪しい電文だった。
古の約定とは何か……何故ネオゲッターに乗る必要があるのか。
橘博士はネオゲッターを奪う為の罠の可能性も考え、充分に警戒しろと言ってきた。
敷島博士はアーシスが使用した細胞破壊光線を改良した物を寄越そうとしてきたが、丁重にお断りした。
政府は早乙女博士や神博士達の代わりに敷島博士を投獄するべきだと思うのは私だけではあるまい。
號「っかしよぉ、古の約定ってなんだ?」
剴「さあな。罠だったとしてもお前がいれば楽勝だろうよ。3代目流竜馬のお前がいればよ」
號「バカ言うな!3代目って何だよ。ゲッターパイロットしては仗助よりも俺の方が先輩だっつーの!勝手に目の前でいなくなりやがって……決着付けられねぇじゃねぇか!」
剴「ハハハハ!少なくとも山猿具合じゃ號の方が上なのは認めてやるよ」
號「てめえ!だぁれが山猿だゴラァ!顔を合わせればいつもいつも山猿って言いやがってコノォ!」
最近では日本軍に取り込まれ、それぞれが別々に任務を言い渡されて中々顔を合わせることも少なくなったネオゲッターチーム。
この下らないやり取りもたまにしか見られなくなると不思議な事に寂しくなるものだ。
翔「ふ……お前は変わらんな。山猿」
號「翔!オメェまで山猿と言うな!軍の野郎みたいに変われって言うんじゃ無いだろうな!」
翔「お前はそのままで良い。山猿じゃない號は號じゃない」
號「だろう?………って、結局山猿なのかよ!」
今は號のバカさ加減がカワイイと思ってしまう辺り、私も染まってしまったな。もっとも、この山猿との関係を邪推してくる馬鹿者も少なくないから鬱陶しいが。
翔「指定された場所だ。ネオゲッター2を下ろすぞ」
空を飛行していたネオゲッター2を分離させ、ネオゲッター3に合体して降下する。
何者かの交渉を私が、罠だった時に備えて號が私の護衛を担う。剴はネオゲッター3で敵が大型の鬼だったりインベーダーやメタルビーストだった場合に備えての迎撃だ。
「来たわね?ネオゲッターチーム」
こ、この声は………。
忘れたくても忘れられないその声。筋骨隆々でピンクのブーメランパンツ、禿げ頭の癖にお下げだけは残っている変態の男………こいつは確か貂蝉!
翔「まさか貴様が……あの電文を……」
貂蝉「そうよぉん?わたしの事、覚えててくれてたかしらぁん?」
號「おえ………お前みてぇな奴を忘れるかよ。敷島のジジイの方がまだまともに見えるぜ……」
貂蝉「なぁぁぁんか言ったぁ!?いちもぉぉぉんじ號ぅぅぅぅぅ!」
號「や、止めろ!来るんじゃねぇ!」
さしもの號でも、この男から感じる色々な威圧には敵わないらしい。
翔「貂蝉。山猿の事は放っておいて、一体何の用で私達ネオゲッターチームを呼んだ?それもネオゲッターに乗って来いとまで指定して」
貂蝉「仗助達の遺産を返しに来たのよ」
貂蝉が指を弾くと、そこには………薄汚れ、塗装が色褪せている新ゲッター1が現れた。
貂蝉「新ゲッターチームは1800年前の世界から帰ってこれなかったわ。わたしはこれを直接返すつもりだったけれど……長い年月が経って動かなくなっちゃってるけど、これを早乙女研究所に返しておいて頂戴。修理すればまだ使えるはずよ」
いや、新ゲッターが戻っても、既にゲッター線は……。
貂蝉「これはまだまだ必要じゃない?今は鬼もインベーダーも大人しいけど、アンドロメダ流国はいずれ現れるわよ?恐竜帝国もまだ滅んだわけじゃないし」
翔「新ゲッターチームからは聞いている。いずれはゲッターが必要になると言うことか……」
残っているゲッターのパイロットは我々ネオゲッターチームだけだ。またパイロットを探さねばなるまい。
貂蝉「これでわたしの管理者としての仕事は全て終わったわ。これで安心して次の外史に行けるわね」
號「待てよ。最後に聞かせろよ。あいつらは最後、どうなったんだよ」
貂蝉「あっちの世界で幸せな人生を送ったわ。わたしに新ゲッターとコスモゲッターを託してね。彼らからのメッセージが新ゲッターに残ってるわ」
翔「コスモゲッターも…だと!?コスモゲッターはどうしたんだ!」
貂蝉「残念だけど、消えたわ。恐竜帝国との決戦に現れたコスモゲッターは、仗助達が過去に乗ったコスモゲッターだったのよ」
だから、帝王ゴールとの戦いで使ったコスモゲッターの武器が新ゲッターチームに馴染んでいたのか……。
貂蝉「コスモゲッターは必要な時に出てくる…わたしはそう信じてるわ。そして彼らの意思を継ぐものがそれに乗ってこの地球を守るの。それって素敵な事だと思わない?」
號「ケッ!だったらそのコスモゲッターは、俺達ネオゲッターチームが引き継ぐぜ」
貂蝉「そうね。それも良いかも知れないわね。それじゃ、今度こそ本当にお別れよ。じゃあね?」
貂蝉はゲッター線となって消えていった。
side比企谷八幡
そうか……。
新ゲッターと、どこかで眠っているコスモゲッターを託して仗助達は………。
みちる「それからだったわ。投獄された父さん達がブラックゲッターで脱獄したのは……多分、日本政府の息がかからない所で新しいゲッターやそのパイロットを探しているんだと思う。面倒な事は全部私に押し付けて。見つけたらただじゃおかないんだから。父さんも隼人くんも弁慶くんも大っ嫌い」
あれ?基本世界の旧ゲッターでは隼人さんとみちるさんは………。まぁ、そう言うこともあるか。みちるさんが亡くなった基本世界もあるんだし。
みちるさんは写真を1枚取り出す。
そこには仗助達新ゲッターチームと、あの時に見た劉備、関羽、張飛、それに他の美女・美少女達が新ゲッターチームに抱きつきながらコスモゲッターを背後に幸せそうな顔をして写っていた。
他は孔明、趙雲、馬超、黄忠とかか?真空管ハゲと、それに勝るとも劣らない執事っぽい変態が写っていなければ良い写真だったと思う。
みちるさんは写真の忍さんの所を撫で、寂しそうな表情を見せる。
いろは「みちるさん……もしかして……」
みちる「懐かしい姿に会えて、嬉しかったわよ。藤崎忍くん」
そう言ってみちるさんは立ち上がる。
みちる「仕事に戻らなくちゃ」
ジョルノ「みちるさん。早乙女博士はもしかしらイタリアにいるかも知れません。もしかしたら、新しいゲッターのパイロット候補は………」
なるほど。時期的にイタリアでは………。
sideジョルノ・ジョバァーナ
若ジョルノ「確かに送り届けますよ。ただし、荷物だけね」
青いサングラスをかけた男を騙し、トランクにキャリーバックを乗せた瞬間に車を発進させる。警察には賄賂を贈って抱き込んである。
かなりヤバい雰囲気の男だったが、騙しきってしまえばこちらのものだ。
ある程度車を走らせた所で車を停める。
バイトの最初の仕事はチョロいものだったな。
初仕事成功でホクホクしていると………
ガリガリ!
突然下から車をドリルが貫き、そのまま宙吊りにされる。
弁慶「残念だったな。お前がそうすることは知っていた。観念するんだな……」
これは………日本で恐竜帝国や鬼と戦ったゲッターロボ!
隼人「お前をずっと探していた」
ジョルノ「僕を警察に突き出すのか?」
隼人「警察に突きだす?違うな………お前にはもっと相応しい地獄がある」
ジョルノ「相応しい地獄?あなたは一体……」
隼人「神隼人。お前に地獄を見せる男だ……」
side比企谷八幡
東京
八幡「まさかこの世界のここに来るとはな……」
この世界の最後の懸念。それは……。
徐倫「おばぁちゃーん!」
ホリィ「お帰りなさい、徐倫ちゃん」
東京の空条家。
そこでは学校から帰ってきた徐倫がホリィさんに抱き付いていた。
みちるさんやネオゲッターチームと別れた俺達は、みちるさんからあの戦いの戦友の最後の二人の情報を聞き、自費を使って浅間山から東京へと移動した。
家族の一人、仗助と同世代の友人だった宮内れんげの失踪。
親代わりをしていた車弁慶の投獄と脱獄。
早乙女研究所の現在。
再び居場所を無くした徐倫を引き取ったのは、祖母であるホリィさんだった。今の徐倫は現在、車徐倫から再び本名である空条徐倫に戸籍を戻している。
そして…………
ホリィ「渓ちゃんもおばあちゃんにただいまを言ってくれると嬉しいな?」
みちるさんの妹、早乙女元気は早乙女研究所の一連の騒動に対して心を閉ざし、早乙女元気としての全てを失っていた。
みちるさんは元気の事を考え、徐倫共々元気をホリィさんに引き取って貰うことを決意。空条渓として今の早乙女元気は徐倫の姉として生活をしている。
みちるさんは寂しそうではあったが、早乙女元気としてよりも空条渓の方が幸せな人生を歩めると思ったそうだ。
ホリィ「あら?……パ、パパ!若いけどわかる!パパなのね?」
ジョセフ「……元気そうじゃな。ホリィ。もっとも、ワシはこの世界のジョセフ・ジョースターじゃあ無いがね」
徐倫「あー!グランパ!お姉ちゃん!もう一人の忍!ワサビ!納豆!いろはす!からし!どじゃぁぁぁん!」
幼徐倫……本名は忘れても、宮内れんげが付けたあだ名の方は覚えてたのね?
渓「…………?おばあちゃんのパパ?」
ジョセフ「ジョセフ・ジョースターじゃ。けーちゃん」
ジジイ……それじゃあ京華と混同するだろ。呼びやすいのはわかるけどさ。
徐倫と元気……渓は、まだ幼女と言うこともあって、他のゲッターパイロットのような厳しい処分は下されなかった。
日本政府からの監視はあるだろうが、不自由はしていないようだ。SPW財団の力もあるらしい。世界は違えどSPW財団のジョースター主義は相変わらずだ。
ジョセフ「………サイレンが鳴っておるのぅ」
何かヤバめのサイレンが鳴り始めた。このサイレンは。
徐倫「………鬼やインベーダーが現れた時の………」
空から複数の影が現れる。
マジかよ………俺達がこの世界に来ると必ずトラブルが起きる仕様なの?
あれ?それを追って何かが………。
あれは真ゲッター………
竜馬「トマホークランサー!」
承太郎「復活早々に人の故郷を襲うたぁ良い度胸じゃあないか」
老ジョセフ「おお、あれはアーシスのワシか!」
幼静「キャッキャッ!」
流竜馬の復活………それは………アンドロメダ流国の侵略が再び始まったと言うこと。
影は増えていく。真ゲッターだけじゃあ………。
「チェーンジ!ガルーダ!スイッチ・オン!」
え?仗助の声?
飛んでくるコスモゲッター。
コスモゲッターのゲッターガルーダが……何故?
side東方仗助
何で俺が………生きている?
何でガルーダ号の中にいるんだ?
俺はあの世界で寿命を迎えて………。
しかも体が高校生くらいの年齢に戻ってる?
若忍「あら?あちしは………」
れんげ「幼女に戻ってるんなー。どうせなら成長した姿で良かったのん」
忍もれんげも俺達が桃香と出会った頃の姿に戻っている。
何が起きているのかは分からねぇ……。
確か俺と忍、れんげは帰る事ができず、あいつらと共に生きていく事を決意してその人生を全うした……。
満足して逝った筈だったのに………。
仗助「コスモゲッター……お前が天寿を全うしたはずの俺達を若返らせ、ゲッター線にして保存していたのか…」
それしか考えられねぇ。
若忍「仗助!ここは2001年の東京よ!帰って来たのよ、あちし達!」
れんげ「真ゲッターが戦ってるん。リョウちんが帰って来たんなー」
若忍「どこまでもコキ使う気なのね?ゲッター」
もしかしたら、桃香達がまた奇跡を起こしてくれたかも知れねぇな。世界はゲッターと俺達を必要としているってな。
良いぜ。百鬼帝国だろうと、アンドロメダ流国だろうとゲッターがある限り、俺達は戦ってやるぜ。
それが永遠に続く戦いの海だったとしてもな!
1800年の経年劣化なんか関係ねぇ。クレイジー・ダイヤモンドで新品同様に直し、コスモゲッターを起動させる。
グレート。流石はクレイジー・ダイヤモンドだぜ!
仗助「目覚めの一発目だが、やるぜ!忍!れんげ!」
若忍&れんげ「おう!」
仗助「コスモゲッター!発進!」
飛び立つコスモゲッター。
ガルーダ号、マーメイド号、セントール号が飛び立つ。
お?ここは東京か。下にあるのは空条家。そこには懐かしい面々がいた。
アーシスの連中までも。
仗助「チェーンジ!ガルーダ!スイッチ・オン!」
ガルーダに変形し、下を見る。
れんげ「納豆、サムズアップしてるん」
若忍「この世界はあちし達が守るわよ。だから安心して帰りなさい。アーシス」
八幡……だったか?アイツと静、それに未来の忍とガルーダの目が合う。
ガルーダを操り、アーシス達に対してサムズアップをする。アーシスの連中は満足げな顔をして星条旗に包まれる。なんだよ。コスモゲッターの力を見てから帰れよ。
竜馬「お互い、目覚めは最悪みてぇだなぁ?ガキんちょ」
仗助「精神的な年齢はこっちの方が上っすよ?竜馬さんよぉ」
やっとこの時が来たぜ?
流竜馬と承太郎さんを超える時がよお!
竜馬「やれるものならやってみな!この流竜馬を超えられるものならば、やってみやがれ!」
仗助「グレート!勝負っすよ!竜馬さん!」
仗助&竜馬「うおおおおおお!」
←To be continued
仗助達が恋姫無双の世界から帰って来なかったバージョンのエピローグです。
ちょっと早乙女研究所関連で暗めの話となるので、こちらのバージョンを先に書きました。
それでは次回もよろしくお願いいたします。