やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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ペースは下がりますが、更新再開します。


降り注ぐ世界

side比企谷八幡

東京ひびきの市

sunny light

 

煌めく朝日、窓辺のラジオ、流れるラブソング。

そんな雰囲気の喫茶店のカウンターで、忍さんはそれぞれに飲み物を出す。

ジジイだけは何故か水道水だったが。相変わらずジジイは忍さんに嫌われている。

好きとか嫌いとか、最初に言い出したのは誰なのかしら?少なくとも俺のメモリアルは駆け抜けてはいかないだろう。

 

忍「来たわねジジイ。本来ならあんたの入店はお断りなんだけど、閣下の要望なら仕方がないわ」

 

ジジイは例の失敗以来、店から出入り禁止を食らっており、未だに許されていない。もっとも………

 

光「はい、静ちゃんと八幡君」

 

八幡「あ、ありがとうございます……」

 

光「つーん」

 

つーんって………。俺もジョジョも光さんにはいい顔をされていない。何でも光さんは体育教師らしく、学校で好き放題している俺達の事は教師として許せないらしい。

 

八幡「大丈夫ですよ、光さん。光さんは私立の教師なんですから公立の……それも他県の総武高校に赴任になることはないと思いますから」

 

静「間違って総武高校に赴任になっても光さんをいじることはありませんって。徐倫お姉ちゃんに対するあれだって家族に対するじゃれあいみたいなものですから。忍さんの奥さんに何かするわけないじゃあないですか。後が怖そうですし」

 

八幡「スター・プラチナで『アン・ドゥ・オラオラオラオラ』は勘弁です」

 

光「当たり前でしょ!?やめてよ、ただでさえ私もクセの強い生徒ばかり集まってくるんだからさぁ!総武高校に行ったら間違いなく君達の担当にされるよ!」

 

どうも赴任先で色々と苦労があったようだ。

俺には良くわからないが、スクールアイドルとかなんとかの顧問になったとかでだいぶ苦労したそうで……。

徐倫化の資質はかなりあると思う。

ところで気になったんだが……。

 

八幡「忍さん。何で既にスタンドが見える眼鏡を着用してるんですか?気のせいかそれを付け慣れてる気がするんですが………」

 

忍「ちょっと最近、とある無自覚スタンド使いが入り浸ってるのよ……八幡ちゃん達の言うところの遠隔自動操縦タイプって言うのかしら?あれにはあちしも関わり合いたくないのよね。そこのジジイや承太郎さんも苦労したスタンドだし」

 

忍さんが疲れたように言う。

ええ~……忍さんほどの人を疲れさせるほどのスタンドってなんだろう。

それに承太郎をも苦戦させるなんてすごいな。遠隔自動操縦タイプのスタンドは厄介なのが多いし。

 

ジョセフ「ま、まさか………『セニョール』……か?」

 

忍「そうなのよ。ターゲットはあの幼なじみの男の子。よく色んな別の女の子とここにきているようだけど、その度にあの『セニョール』が現れるのよね。勘弁してほしいわ。あの男の子、早く爆弾を爆発させないかしら」

 

爆弾!?

キラー・クイーンか!?吉良吉影でも転生してるのか?

 

忍「ああ、爆弾って言うのはスタンド能力じゃないから安心して頂戴。女の子の傷心度の爆弾よ。爆発すると悪い噂が広がって女の子からの評判ががた落ちになるから気を付けてね?」

 

八幡「なにその爆弾!?こわっ!他はどうでも良いけど、いろはと小町の評判ががた落ちになったら困る!」

 

いろは「え?ハチ君、大丈夫だと思いますよ?ハチ君に対して爆弾を抱え込むほど周りの好感度は高くないですから。むしろ低いですから安心して下さい。変な噂なんていつも通りですし」

 

いろはちゃん?それ、まったくのフォローになっていないどころかグサグサ来るんですけど?まぁ、その自覚は大いにあるから良いけどさ。有象無象からはどう思われたって構わないし。

 

忍「『セニョール』については良いのよ。で、あちしに何の協力が必要なの?例のレクイエムの事かしら?」

 

今日、この場に来ているのはジジイ、俺、いろは、小町、ジョジョ、ジョルノ。いろはと小町は俺が喋って連れてきたから良いとして、ジョジョとジョルノは杜王町でジジイから聞かされたらしい。

 

ジョセフ「平行世界の事じゃ。この世界にはおらん一人の科学者に会いたいんじゃが、中々会えんでのう。そこで忍じゃ。その世界にも忍がおっての。その忍は関係者としておるんじゃよ。忍がおるならば、もしかしたら会ってくれるやもしれん」

 

忍「あちしが……ねぇ。繋がりがあるとは思えないんだけど?」

 

八幡「いえ。忍さんの関係者の一部に関わっているんですよ。『神』と『流』という方はご存知ですよね?」

 

ピクッ!

その名を出すと、柔和な笑顔を浮かべていた忍さんから表情が消える。

 

忍「随分と物騒な名前を出してきたじゃない。あちしの知り合いの中でも特に危険な香りを持つ人物よ。ジョースターの人間以上にね」

 

そう、そのかなり物騒な人間の名前を俺は出した。

『流』と『神』はレクイエムに目をつけられた俺やジョジョのように、とある力に魅入られている。その立場に忍さんやその世界の仗助は成り代わっている。

正直に言えば危険だ。その力そのものに関わるのは…。

 

忍「まぁ良いわ。そういう荒事にはあちしも慣れているし、乗りかかった船よ。付き合ってあげるわ」

 

この人は何だかんだで人の頼みを断れない性分だ。

それが藤崎忍という男の魅力だろう。

そこで………

 

ヴァレンタイン「ドジャアアアアン!」

 

いつも通りにアメリカの国旗が突如として現れ、アメリカ大統領のファニー・ヴァレンタイン閣下がお越しなされた。

いつも通りとはいえ、突然現れるこれには毎度度肝を抜かれてしまう。

俺達アーシスグループはジジイを最右翼にして一列に並び、姿勢を正す。閣下はアーシスの最高司令官。つまりは俺達の上司だ。

 

朝日奈「あははははは!何か軍隊みたい!」

 

まぁ、組織体制化されたアーシスはある種の秘密軍隊みたいなものだからそう取られても間違いではない。

閣下が最高司令官、ジジイが副司令であることを除けば基本的には自由ではあるが。

というか、そんな規律とかに縛られるスタンド使いとかではないし、縛られるようならばスタンド使いになってはいないだろう。

従業員で忍さんが不在の時は店長代行をする立場の朝日奈夕子さんはゲラゲラと笑うが……。

 

忍「夕子ちゃん。彼、アメリカ大統領本人よ」

 

と、忍さんが言うと、朝日奈さんは「ゲゲッ!」と言って顔を真っ青にし………

 

朝日奈「はっはー………」

 

と土下座した。

うん。今回は無いかと思っていたけど、やっぱり誰かが悪代官のようなことをするのは変わらないらしい。

今回は朝日奈さんか。

さすがの自由人の朝日奈さんといえども閣下は畏怖の対象らしい。

後で聞いた話だが、昔ジジイが引き起こした事件の時、日米関係が悪化しかけた時にもミーティングはこの店が使われたようなのだが、当時はまだ大統領ではなかった閣下の名前が出され、決して怒らせてはならない人物の一人だと聞かされたらしい。

 

ヴァレンタイン「ふむ、楽にしたまえ」

 

普段は土下座を楽しそうに眺めている閣下ではあるが、今回は神妙な顔を崩さない。それだけ今回行く世界を重くみている。

 

ヴァレンタイン「では早速向かうとしよう」

 

忍「()らと成り代わったあちしと仗助がいる世界……正直、怖いくらいね。これまで色んな荒事に関わって来たけど、彼らはアーシスと同じくらい歪んだ存在だから………」

 

不安を口にする忍さん。

そして俺達は星条旗に包まれる。気を付けなければな。

あの力が矢と同じで………そして常に宇宙から降り注がれているものだとしたならば……。

 

コソ………

 

八幡「?」

 

気のせいか、足元で何かが動いたような………。

それが何かを確かめる間もなく、俺達は平行世界へと飛んでいった。

 

 

平行世界

ー浅間山ー

 

八幡「!?」

 

この世界に飛んできた瞬間、体が……妙な高揚感に襲われる。

俺だけじゃあない。見ればジョジョもジジイもジョルノも同じようで、そしていろはや小町、閣下も同様だった。

直接関わっていないのにこれか……想像以上だな。

 

??「ヂュヂュー!」

 

ん?足元でネズミらしきものが苦しみ始め、逃げていった。ああ、さっき俺達が飛ぶ前に足元をチョロチョロしていたのはネズミだったのか。

 

八幡「忍さん。ネズミがいたみたいですよ?」

 

忍「失礼ね。毎日の清掃は欠かしてないわよ。抜き打ちで保健所が来ても大丈夫なようにしてあるわ!」

 

まぁ、たまたま外から紛れ込んでしまったのかも知れないが………。

 

静「それよりも早く行こうよ!下手に外を彷徨きたくない!」

 

同感だ。宇宙から常に降り注ぐこの力は……間違いなくあの力と同じだ……ましてや、目の前にある建物はそれにもっとも力を注いでいる建物であり、人類の希望と絶望が詰まっている。

目の前にある建物は『力』にもっとも触れている研究所だ。そしてその第一人者である博士は平行世界によって同一人物か疑いたくなる人物である。

この世界の平行世界は俺達の世界でも創作として知られている。ロボットアニメの最古参の1つとして知られている物であるが、同じシリーズでありながら作品によって設定がまちまちだ。

描かれているキャラクターは同一人物の筈なのに、中身は作品ごとに全然違う。作品ごとに別の平行世界が描かれているのだ。声もゴッドバレーさんだし。

例えば主人公。アニメでは昭和のロボットアニメよろしく熱血漢の勧善懲悪な主人公。だが、その原作…俺達風に言えば基本世界である漫画での主人公は高校生時代の承太郎のような性格であり、ザ・スタンド使いのような性格だ。

近年ではそのザ・スタンド使いの性格がデフォルメになっており、正義感なんかは二の次な性格だ。

 

八幡(そのポジションに仗助がねぇ。らしいと言えばらしいと言うか………)

 

忍さんのポジションに収まっているサブ主人公についてもアニメではクールでニヒルなタイプだが、基本世界では色々と危ない人間だったようだしな。

三人目の柔道の達人は苦労人でどの世界でも必ず死ぬし。御愁傷様だな、まだ見ぬ三人目………。

では問題の博士はと言えば………果たして正義感溢れる博愛者かマッドサイエンティストか。中には敵として現れるマジもののマッドサイエンティストの場合もあるしなぁ。基本世界の博士もマッドサイエンティストだったみたいだし。

 

???「あれ?しのぶん?何でなん?何か歳をとっちゃってるん?」

 

何か幼女が現れたんですけど?

確か博士の次女はまだ子供みたいだし、この子供がそうなのか?

 

???「取り合えず名前を付けてみたん」

 

俺を指して……

 

???「納豆」

 

腐ってるからか?目が腐ってるから納豆?そんなにネバついているように見えるの?

いろはを指して……

 

???「ネギ」

 

うん。納豆にネギは欠かせないね?

いろはを指してそう呼ぶあたりは案外この幼女は観察眼があるかもね?

 

いろは「なんですかネギって。納豆の添え物ですか?確かにわたしはハチ君のものですけど添え物はあり得ませんし性悪コンビの添え物はどちらかと言えばジョジョ先輩だと思いますし色々と無理ですごめんなさい」

 

おー……高速お断りがこんな幼女に炸裂するとは驚きだ。嫌なの?俺といろはは混ざれば味が増すと思っていたのは俺だけなの?確かにジョジョと俺が混ざれば別の意味で味が増すとは思うけどさ。

小町を指して。

 

???「からし」

 

納豆にネギに辛子は鉄板だよねー。小町もたまにピリっと辛口だし。

 

小町「お兄ちゃんがろくでも無いことばかりするからでしょ……」

 

ジョルノを指して。

 

???「わさび」

 

あ、それは間違いない。

俺達へのお仕置きにも使うし、性格も『わさび』だ。やっぱりこの幼女は観察眼があるかも?

 

更にはジョジョには「ひきわり」、ジジイには「大豆」と取り合えず納豆シリーズで統一されたらしい。

 

仗助「おいれんげ!何して……なっ!」

 

ん?この声は……この世界の仗助?

 

仗助「何で………テメェが若返って生きている……ジョースターのジジイ!」

 

仗助はジジイを見て驚いている。その姿は……。

山伏だった。

 

←To be continued




さて、この世界が何の世界かお分かりになる方はいらっしゃいますでしょうか?

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