やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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一月早い除夜の鐘

side比企谷八幡

 

うーん………休養期にやりたいことねぇ……。

 

八幡「戸塚ほどでは無いにしてももう少し語学を極めてみるのも良いかも知れないなぁ………」

 

承太郎の後を継ぐということは世界中をまたにかける必要がある。世界共通語ともいえる英語を極めているといっても語学堪能であれば堪能であるほど良い。

 

徐倫「そういうのじゃあないでしょ。いくつ増やす気よ。今はフランス語に挑戦してるんだっけ?」

 

ドイツ語はほぼマスターしたからな。

 

徐倫「あんたら個人の事よ。ほら財団をどうしたいとかさぁ」

 

静「言っちゃあなんだけど、多分今が一番の財団の円熟期だと思うんだよねぇ……」

 

ああ、確かにそれは言える。

体も組織も太りすぎは良くない。が、最近は少し肥えてきすぎる気がする。

現状維持くらいが丁度良いくらいなまである。

そして個人的な事ねぇ………。

 

八幡「やっぱり、卒業までには脱!どう………」

 

静「脱!しょ…………」

 

ゴン!×2

 

徐倫「職員室で何を言う気よ。そのまま指導室に連行するわよ?なんならあたしが相手してやろうか?」

 

ピシッ!

ザ・ワールド!

 

八幡「………………」

 

静「………………」

 

朋子「………………」

 

聞き耳立てていた男性教師陣「………………」

 

5秒経過。

6秒経過。

7秒経過。

8秒経過………まだまだ止められるぞ!

9秒経過!10!

ザ・ジェムストーンの時を止める力は成長が止まったと思っていたが、ここにきて更なる成長を遂げるとは!

そ、そろそろ動こうかな………。

な、なに!動きが鈍い………いや、鈍いんじゃあない。

動けない!

父親に続いて娘までも時の止まった世界に入門してくるとは!ストーン・フリーにも時に干渉する能力があるとはぁぁぁぁぁ!

 

八幡「ま、まさか徐倫がこの時の止まった世界に踏み込んで来るとはなぁぁぁぁぁ!やるじゃあないかぁ!」

 

徐倫「や、悪かったから………冗だ………」

 

ポン♪

優しく………やさしぃぃぃぃく徐倫の肩を叩く。

 

八幡「徐倫………悪かった………そこまで餓えていたとは思わなかった。そういえば鉄格子でなにか想像力を働かせて……ま、ま、ま…………を………」

 

ゴシャア!

これまでの中でも一際強烈な一撃

 

徐倫「人の黒歴史を掘り起こしてるんじゃあねぇ!なんでオメェが知ってるんだよ!」

 

おう………とっても痛いじゃあないか。

そんなの、酔っ払ったエルメェスさんから聞いたに決まっているじゃあないか。プククククク………。

 

八幡「じょ、徐倫………」

 

徐倫「ああん?」

 

八幡「徐倫は確かに魅力的だ………身内の贔屓目を差し引いたとしても、お前ほどの良い女はなかなかいないと断言できる………」

 

徐倫「え?あ、うん………意外な一言……」

 

お世辞は言わん。確かに徐倫は美人だし、時々可愛い。

だがな。

 

八幡「俺にとってジョジョが双子の姉のような感覚であるように、どんなに魅力的でも徐倫は俺にとってはただの姉貴分だ。姉に対して欲情するような屈折した精神は持っちゃあいない」

 

徐倫「あんたの場合はそれ以外の色々と屈折したところを直すべきだと思うけどな」

 

それは多分直らない。直す必要もない。

 

八幡「特にそのすぐに手が出るところがちょっと……おれはそっち系の趣味はない!」

 

え?前世で頭に指を突き刺したりしていた?

血が吹き出すほど頭をガリガリやっていた?

そんな昔の事は覚えちゃあいないなぁ!

 

徐倫「あ…………?」

 

八幡「大体徐倫に手を出した日には承太郎からオラオラされ、アナスイさんに体の中身をバラバラにされ、由花子さんにデラックスされ、いろはにエクセスされた後に三件半を叩き付けられる!メリットはまったくない上にデメリットが全て即死級だぁ!自分を知れ!それほどの価値がお前にあるとでも思っているのかぁぁぁぁ!このマヌケがぁぁぁぁぁぁ!」

 

ー☆ー

プッツン………

 

やべぇ、一気にギアをあげすぎた……。

一気にオラオラ級にまで上げてしまった。

 

徐倫「安心しろ………いつものラッシュじゃあ犬の卒倒だ」

 

犬の卒倒?

ああ、ワン・パタン………ね?

サッム!

シュルシュルシュルシュル………。

ストーン・フリーの糸バージョンでぐるぐる巻きにされる俺。更に何かを吊るすフックを滑車代わりにして、吊るされる。

え?え?どうなんの?俺、何にされるの?!

沢庵和尚に吊るされる宮本武蔵のようになってんだけど!?

 

徐倫「あと一月とちょっとで大晦日よね?ハッチ」

 

ちょいちょいと職員室の壁の柱を指差す徐倫。

 

八幡「待て徐倫。俺は鐘を突く橦木(しゅもく)じゃあない。学校の柱は寺の鐘じゃあない。あとあれは除夜の鐘にはまだ早い。大体お前はクリスチャンだろ」

 

橦木というのは鐘突きに使う丸太だ。

あの「ゴォォォォォォン!」のあれの事だ。

徐倫の奴は俺を橦木に、柱を鐘に見立てていやがる!

除夜の鐘に見立てていると言うことは……あの回数をやるつもりか!

 

八幡「徐倫の除夜の鐘とかジョジョになってて少し上手とか言うとでも思っているのか!やめろ!その回数は洒落にならん!」

 

徐倫「お前の頭を球にするとしてだ。鐘を突く回数はあと何球?」

 

八幡「108だ!108!人間の煩悩の数と同じだ!」

 

徐倫「そう、108球。つまり1000(thank you)じゃあない。No thank you。あたしにとってもアンタはない。つまりノーセンキューだぁぁぁぁぁ!」

 

その名言に繋げる為にわざわざ除夜の鐘をやるつもりかよ!

ゴォォォォォォン!

 

八幡「タコス!」

 

徐倫「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!ついでにテメェの煩悩を清めやがれ!その性格も含めて煩悩を消し去ってやるぞ!ハッチィィィィィィ!オラオラオラオラオラオラオラオラァ!」

 

八幡「ウンギャアアアアアアアアアアアア!」

 

ゴォォォォォォン!×107

 

その日の昼休み、総武高校に除夜の鐘(幻聴)が鳴り響いた。

 

比企谷八幡(ザ・ジェムストーン)…再起不能(リタイア)

 

ピクピク………ガクッ!

 

朋子「徐倫……いや、空条先生………」

 

徐倫「ハァ………ハァ………へ?」

 

朋子「さすがに減俸………。柱の修理代の弁償。あと、職員室の男性職員の目がギラギラしてるけど、あたしは責任持たないわよ?」

 

徐倫「Oh my godーーーーーー!」

 

空条徐倫……減俸

 

総武高校都市伝説

英語教師を怒らせると昼休みに季節外れの除夜の鐘が鳴り響く。

 

キングクリムゾン

久々に登場のベストプレイス

 

八幡「あー………頭がバカになりそぅ………」

 

静「え?今更?」

 

いろは「ジョジョ先輩、時々酷いですね」

 

静「うん、あの除夜の鐘は中々ウケた。今度透明化してやろう。なんなら今すぐ」

 

八幡「人の頭で1日に二回も除夜の鐘を鳴らすんじゃあない!何回年を越す気だ!」

 

祓われた煩悩が一周廻って戻ってくるわ!

 

ジョナサン『あと二回は祓う必要があるけどね』

 

DIO『このDIOの煩悩は108で収まるほどなまっちょろい訳がなかろぅぅぅぅぅ!WRYYYYY!』

 

うるせぇ!まずは尾前から祓われろ!スカタン!

 

いろは「でも、辞任後の1年間、どうするかなんて考えていませんでしたね?」

 

八幡「その前にウルフスをどうにかしないといけないだろ。八重や彩羽を作るにしても、それをどうにかしないことには始まらん」

 

レクイエムの問題も残っているしな。

その為には忍さんとコンタクトを取って、あの世界の博士と会う必要がある。

 

いろは「八重と綾羽はともかくとしてですよ?まずは何をするんですか?」

 

八幡「まぁ、現状では本気で全国を狙っている部活の支援やら推薦を受けている由比ヶ浜を始めとした学力の底上げをやるだろ?雪ノ下とエンポリオ、海老名と承太郎、戸部と三浦、戸塚と川中島をくっつけるだろ?」

 

静&いろは「え゛………」

 

なにその反応?

 

静「気付いてたの?」

 

八幡「いい加減な………。散々小町に怒られたし。今度手足を縛ってヘルクライムピラーに落とすと脅されたし」

 

今となってはヘルクライムピラーなんてどうということは無いのだが、ロープで縛られてやるとなるとさすがに嫌だ。

先日のサードステージ失敗もあるし。

まぁ、雪ノ下とエンポリオなら文句ないわ。

 

静「でもさ、他人が干渉すると………特にポンコツなハッチが干渉するとまとまるものもまとまらないよ?」

 

おまえ、最近ホントに遠慮ないな?目から汗が出てくるじゃあないか。

 

八幡「後は親孝行とか貞夫さんやホリィさんとか、言っちゃあなんだがジジイとかにも極力会うようにしないとな」

 

波紋の戦士は加齢を無視した若さを保つことが出来る。だが、不老不死というわけじゃあない。

老いを遅らせる事は出来ても寿命を遅らせる事が出来るわけじゃあない。

ジジイだってそう長くはないだろう。

 

静「私達にとっては残された最後の1年だよね」

 

高校卒業と同時に俺達は日本を出国する。

俺といろはと小町は数年後に戻ってこれるが、ジョジョと仗助はそのままアメリカに定住し、戻って来るとしても老後になるだろう。

双子のように育ち、この12年間顔を合わさない日は数える程しかない俺達も、四年後にはそうではなくなる。

もとから決まっていたとはいえ、そう考えると寂しくなってくるものだ。

 

八幡(ウルフスを倒したならば、その先もある…)

 

最終目標のウルフスを倒すことだけを考えていたが、その先の個人の事は何も考えてはいなかった。

もし、明るい家族計画を考えるとしたら……。

 

徐倫もいずれアメリカに帰国する。

ジョルノはパッショーネに専念するだろう。

雪ノ下とエンポリオはアメリカに住むだろう。

承太郎と海老名がくっつけば、やはりアメリカか。

三浦はどうだろう。

戸塚と川崎、材木座と由比ヶ浜は日本に戻るかな?

小町はどうなるんだろ。あまり結婚とか考えて無さそうだ。

陽乃さんは日本に留まって貰わないと困る。

葉山は………うん。こいつが色々な意味を含めて顔を合わせそうな気がする。

折本とかはつい最近までそうだったようにまた疎遠になることだろう。この間の杜王町旅行を一緒にしたのは、たまたまウルフス二体を撃破したドンパチに居合わせたからだしな。

実働部隊と支援部隊が共にすることはあまりない。

杜王町組とは頻繁に会うことだろうけど。

そうなるとめぐり先輩とはよく顔を合わすことになりそうだな。

どうなるんだろうな………。

高校を卒業した後は………。

 

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はい、今回はここまでです。

除夜の鐘ネタはいつかはやりたいネタの1つでした。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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