side比企谷八幡
休日を無為に過ごすことも珍しくない俺だが、この二日間は有意義だったといえる。
アーシスの慰安旅行で杜王グランドホテルでいろはとイチャイチャ。他の人間も何か得るものがあった杜王町旅行だった。
ザ・ジュエルを使った影響も心身共にリフレッシュしたお陰でもう問題はない。承太郎は………まぁ、海老名がまとわりついていたからリフレッシュできたかわからんが。
次はいろはと二人きりになってやる!徐倫、いつまでもおとなしくしている俺だと思うなよ!
月曜日になり、休暇ボケが残りつつもジョジョと二人でストレッチをする。
YASHICHIをやったとはいえ、日課の朝トレを2日間サボってしまったからな。
いろは「じゃあ、行きましょうか?」
曇天の空の下、俺達もいろはが漕ぐ自転車に合わせて走り始める。病み上がりなので今日は軽めに流す。いつもは小町のダッシュだもんな。
校内に入り、いろはと別れると、ジョジョと二人で教室を目指す。
教室に入ると、天気が悪いことも吹き飛ばすくらいの教室の雰囲気が明るいのは気のせいではないだろう。
主な理由はクラスの中心がやはり心身共にリフレッシュしているからか、明るいせいだろう。特にトニオさんの料理を食べた女性陣達。
戸部「隼人くん、今日部活どーする?」
葉山「そうだな。ちょっと早めに行くか。遅れて行くと師匠が鬼になるし」
戸部「YASHICHI、クリア出来なかったとことか攻められそうだわー」
や、あれをクリア出来なくても小町は何も言わないよ?君たちではクリア出来ないことはわかっていたし。
まぁ、時間に遅れるのはまずいけどな。小町、デートの時は30分前には到着しているのが基本とか言って、男が女よりも遅い事に関してはうるさいから。
大岡「そういや、金曜、サッカー部休みだったもんな」
大岡が何の気なしに言うと、大和もおおと相槌を打った。グランドを共有する運動部だ。その辺りの事は互いに情報を共有している。
大和「っていうか、最近は何かサッカー部、本腰を入れすぎじゃね?一時期のテニス部みたいなんだけど」
今はフィジカル強化期間だからな。
基礎が出来上がるまで一番厳しく、脱落者が続出する時期だ。
戸部「そうなんよー。特別コーチが厳しいんだわー。その分、土日はリフレッシュしてきたけどさー。なぁ、隼人くん?」
大和「土日に?何してきたん?」
戸部「杜王町旅行に行ってきてさー。YASHICHIやって来たわー」
おいおい。またチェーンメール事件が起きるぞ。
三浦「………土日」
そこへ何か引っ掛かったのか、三浦がポツリと呟いた。
はて、どこか心あらずのようなうわ言じみているけど、杜王町旅行、楽しくなかったのか?それなりに楽しんでいたと思っていたけど?
三浦「そういえばあーし、他人の事ばかりで自分の事のアプローチとか何もしてない………」
…………ハッ!確かに!
それに気付いた海老名がガタッと机を鳴らして立ち上がる。
海老名「ゆ、優美子!大変!隼人君と早人さん!同じ名前だけどカップリング的にどちらが攻めでどちらが受けなのかわからなくなってきた!」
葉山「!!!」
ハヤハヤの想像………。
あの川尻早人さんと葉山隼人………。
見た目的に葉山が攻めで早人さんが受けのようにもみえるが、ああ見えて早人さんって仕事は攻めの姿勢を崩さないし葉山は案外受けのような感じに見えるし……。
うーむ。海老名が言うようにこれは悩む………。
………
………………
………………………
ハッ!危なかった!危うく「海老名の世界」に引き込まれるところだった!海老名の
相模「隼人くん?」
海老名「ベネ!南ッチは葉山隼人が攻め派ねッ!戸部ッチは!?」
急に話を振られた戸部は呆気に取られている。
戸部「え、や、俺、川尻さんの事はよくわかんねーんだけど?」
ああ、確かに葉山たちは早人さんとはすれ違いくらいしかしてなかったな。
海老名「良いからどっち!?早人さん派ね!そうだよね?優美子も早人さん派だよね?」
三浦「や……早人さんを呪うなし。何だかんだであの人には世話になったし………」
海老名「戸部ッチと優美子は早人さんが攻め派ってことで良いよね!ほら二人でウェーイ!」
三浦「ウェ、ウェーイ?」
戸部「何だか知んねーけどウェーイ?」
海老名…無理矢理すぎる……。
その為だけに呪われた早人さん……合掌だ。
杜王町では陽乃さんに振り回され、やっと迷惑な軍団が杜王町を去ったというのに、今度は海老名に腐の呪いに呪われてしまうなんて……。あなたは子供の時からどれだけの不幸に遭えば良いんだ……。
こっちはこっちで無理矢理ハイタッチさせられ、一通り終えると三人ともはぁはぁと息を上げていた。だが、葉山は微笑み、由比ヶ浜はため息を吐くだけだ。
涙ぐましい努力だな………。
静「早人さん、今頃くしゃみをしていそうだなぁ~」
………今回は珍しく俺が呪われなかったな。
あとジョジョ……海老名の呪いはくしゃみでは済まされない。
なんというか……素肌の背中の上に蛙と蛇とナメクジがにょろにょろと這ったような、そんなゾワゾワとした悪寒が走るんだ……。
( ☆∀☆ )キラーン!ヤマピカリャー!
海老名「私、ハヤハヤハチもイケる口だからー!」
八幡&葉山「ゾワゾワゾワゾワゾワゾワァッ!」
新しいスタンドラッシュが生み出される!ゾワゾワは嫌だ!無駄無駄が良い!
side川尻早人
早人「ゾワゾワゾワゾワゾワゾワァッ!」
な、何だ!このまるで体中に納豆が粘りついたようなねっとりとしてぬるぬるとした感覚は!こんな不快感は感じた事がない!
いや、それだけじゃあない!更にナマコと塩辛と追加されて、その中のナメクジが這っている地獄のような感覚だ!吉良吉影との決戦の朝に、奴がハイテンションで髪を染めて鼻唄を歌っていたときよりも不快だ!こんな不快な感覚は感じた事がない程に!こいつはくせぇ!ゲロ以下の臭いがプンプンしてやがる!
後輩「あれー?早人さん、図面の何かこの線、歪んでねーッスかぁ?」
あっ!ガタガタ震えたせいで定規にしっかりと鉛筆が合っていなかった!
後輩「土曜日の昼休みの遅刻といい、このミスといい、最近たるんでるッスねー?」
チャラ男の君に言われたくないよ!
通りすがりの魔王に拉致られただけだから!
後輩「東北支部のエースも堕ちたもんッスねー。そのうち東北支部のエースは俺の称号になるッスよー?」
ボキッ!
思わず手元の鉛筆を折ってしまった……そのくらい、今のは頭に来た…………
室長「川尻くん。消耗品とはいえ、粗末にされると困るんだがね」
早人「は、はい!すみません!」
なんか、不運続きだな………。お祓いにでも行った方が良いのかなぁ………。
キングクリムゾン!
1限、2限と静かに授業を受けているだけの時間が流れる。
3限も大過なく過ぎての4限目。
コレが終われば昼休みだ。恐らくは普段と同じような雰囲気になるだろう。あー普段からやかましい。
八幡「うっとしいぞ!このアマぁ!」
ゴン!
朋子「うっとうしいのはアンタよ」
チャイムが鳴ってきて入ってきた朋子さんに拳骨をくらった。
四限目は現代文か………。
八幡「朋子さん!波動拳はいけないと思います!素人でもスナップが効きすぎて危ない攻撃だと思います!」
朋子「そのくらいの攻撃でもアンタは効いてないじゃあ無いのよ。こっちの手の方が痛いわ。まったく、なんて硬い頭なのかしら」
八幡「あなたに鍛えられた頭ですから!」
朋子「そういう意味で鍛えてないわよ!アンタは普段からの生活に関して中身を鍛えろ!」
メギャア!
波動拳2発目。しかもストレート………。
わりかし真面目に痛い。波紋の戦士にダメージを与える拳とは………。朋子さんと波動拳………恐るべし。
朋子「でぇ?今日も相変わらず元気なクラスね。一部が変に沈んでるけど…」
さすがは朋子さん。伊達に経験は積んでいない。
俺も頬杖をつき、教科書を開いた。
機械的に、教科書、黒板、ノートと、視線の移動先をローテーションさせる。以前ならこっそりと仕事をしていたのだが、仕事の引き継ぎも徐々に進んでいてほぼやることも無くなってきている。
今更高校の授業を受けてもなぁ………。あ、ザ・ワールドとスター・プラチナが相撲をしている。
3限はナイチンゲールとザ・ワールドがイチャイチャしていたし、2限目はアクトンとザ・ワールドがストーン・フリーをくすぐっていたなぁ。
八幡「ZZZZ………」
静「ZZZZ………」
朋子「こ・い・つ・ら・はぁぁぁぁぁ!」
沙希「2限目に寝ぼけてホントに空条先生を弄くって空条先生がオラオラしてました」
そのあとぐるぐる巻にされて廊下に捨てられていたときはビックリしたな。うん。
三浦のフォローは海老名に任せておこう。戸部もそれを上手く手伝ってくれるといい。案外、それをきっかけに上手くいくかもしれない。
杜王町旅行の最後のドンパチがなければホントに良い週末だったのになぁ。
ん?ついつい目が醒めて前を見ると、般若の顔をした朋子さんがいた。
朋子「比企谷、ジョースター」
八幡&静「へーい」
まるで反省してない俺達に朋子さんはため息を吐いた。
朋子「この後、職員室に来なさい」
それだけ言うと、教壇から降りて教室を出ていってしまった。
おお、寝ている間に授業は終わっていたか。既に周りは教科書やらノートやらをしまい、弁当を取り出したり、机を動かしている。
俺達も授業道具一色いろはをしまうと席を立つ。
この後職員室、昼休み呼び出しというわけだ。俺は校章を外して金メッキの鎖を付けて、席を立ち上がる。
ジョジョは白い破れた帽子を被る。付いているバッチはJのバッチだ。
良いなぁ。杜王町バージョン以降の承太郎スタイルは俺は持っていないんだよなぁ。
ちょいちょいと支度を済ませて廊下を出ると、朋子さんはちょっと前をゆっくり歩いていた。その背中を追いかけて職員室まで行く。
声が充分に届く距離なのに、朋子さんは何も言わない。ただ黙ってついてこいと、そう背中で語っている。
職員室へ入るとようやく朋子さんが口を開いた。
朋子「奥を使うわよ」
奥、というのは職員室に設けられている応接スペースのことだろう。
パーテーションで区切られ、ガラス天板のテーブルと革張りの黒いソファ。ああ、職場見学の集計をやったときにも使った場所だな。
そこには姉貴分もガツガツとサンドイッチをかぶりつきながら待っていた。授業が終わってすぐに来たのかよ。
徐倫「何よ。やらないわよ」
八幡「要らねぇよ」
静「それ、私が作ったヤツなんだけど……」
徐倫「良いから座れよ。アンタらを指導している事にしていれば誰も文句は言わないから」
クル。
教師陣「………」目そらし。
厚木「性悪コンビは東方先生と空条先生が適任じゃけぇ」
この扱いは今更なのね。
鶴見先生。一緒に旅行に行った仲じゃあないですか。
なんでジョースターティーチャーズに丸投げしてそっち側に行ってるんですか?
まぁ、良いけど。俺達はティーチャーズの向かいに腰をかける。
徐倫「聞いたわよ。午前中は全部居眠りしてたってね」
八幡「まぁ、あれくらいならわかるからな」
朋子「寝惚けながらもあれくらいわかってくれなきゃ困るわよ」
徐倫「まぁ、そうみたいね?小テストの点数も見事にクラスの平均よ。二人ともね」
不満げに次のサンドイッチにかぶり付く徐倫。
なんだ。平均点なら調子が良いじゃあないか。
あと一応は指導中だろうが。応接スペースでサンドイッチをモリモリ食ってるんじゃあない。
朋子「今朝、雪ノ下が話に来たわよ」
雪ノ下が?
一応は公式な場なので朋子さんは雪ノ下をファミリーネームで呼ぶ。
で、なんの?
朋子「生徒会長選に立候補するそうよ」
静「今更?」
朋子「あたしは聞いてなかったわよ」
八幡「ジジイや徐倫から既に聞いていたと思ったよ」
とっくの昔に聞いていたと思っていた。雪ノ下なら適任だしな。
静「応援演説は?」
朋子「葉山がやるようよ」
なに?
八幡「何故だ!入学テストで矢を刺す方針はどうなる!」
静「制服は学ラン!セーラー服!ボンタンと破れた学帽はどうなるの!?」
ゴン!×2×2
徐倫「それはもう却下しただろ!スタンド使いを増やそうとするんじゃあない!減らす方針だろうが!」
朋子「時代を逆行させるな!今時ヤンキーすらやらないわよ!信任投票とはいえ、確実に落選するわ!」
え~?奉仕部を公にする代わりに俺らの遊びにも付き合ってくれてもよくね?
杜王町で応援演説の約束でも取り付けたのか。
朋子「で、アンタらはどうするのよ?」
ん?
徐倫「ジョジョは日本支部の副支部長を、ハッチは関東支部の支部長を辞任し、再来年からのニューヨーク本社勤務に備えている。実質的には暇になる。今後はどうするのかと思ってね」
確かにな。ウルフス次第だが、三学期からは俺達は暇になる。ジジイの英才教育の最終段階に入るための最後の充電期間に入る。
その間にそれ以外をやることと言えば………
←To be continued
原作に戻ってきました。
早速恒例の………
相変わらず小町とは険悪→心身共にリフレッシュ
金曜にダブルデートを目撃した三浦はダメージを引きずっている→杜王町で自分のアプローチを忘れていた事に三浦は気がついて落ち込む
海老名のカップリングは金曜と今日→葉山隼人と川尻早人のハヤトネタ
川尻早人に視点が飛び、更にハヤハヤハチで呪われる
ボーッとする八幡→堂々と居眠りする性悪コンビ
国語教師は平塚先生→東方朋子
応接スペースでタバコを吸う平塚先生→サンドイッチをガツガツと食べる徐倫
雪乃の立候補に対してどうするかを問う平塚先生→辞任後の学校生活をどうするか問う徐倫
それでは次回もよろしくお願いいたします。