やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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YASHICHI

side比企谷八幡

 

杜王YASHICHIテーマパーク

スーパーフライの鉄塔の周りに建設された人気番組と提携したテーマパーク。

アスリートでもない一般人の人達が楽しめる簡易的なコースからガチのYASHICHIプレイヤーがやるコースまで取り揃えられている杜王町の目玉スポット。それがこのテーマパークである。

俺は今、見本役としてガチコース・ファーストステージのスタートに立っていた。

アーシスの実働部隊の人間は一度は必ず挑戦すると意気巻いているのだが……。

 

八幡(波紋の戦士ならともかく、そうじゃあないのはファーストステージでも厳しいんだよなぁ……)

 

むしろ波紋の戦士達の現状のレベルを遊び感覚でトライしてもらい、判定するには良い機会かも知れないが。

もちろん、波紋の戦士達にはファイナルステージ以上の隠れステージまで進んでもらいたいものであるが。

 

俺はYASHICHI2014のコースを再現されたファーストステージをクリアして振り替える。

 

八幡「記録は………」

 

あー、やっぱり小町とジジイに負けたかー。

昨日は寝込んでいたこともあってジョジョにも負けてるわー。

俺達波紋の戦士は縛りプレイでアトラクションを攻略するルールだ。

当たり前だが飛び越え禁止。

くっつく波紋の悪用禁止。

まぁ、早い話が常識的なコースをクリアしろ……と言うことだ。

いつものノリで障害を飛び越えたら読まれていたのか待ち構えていた徐倫に拳骨をもらった。

 

陽乃「よっと。危うく沙希ちゃんに負けるところだったなぁ」

 

陽乃さんがファーストステージのゴールスイッチを押す。先程ゴールした川崎のタイムよりは速かったようで、川崎が悔しそうにしていた。

技術は川崎の方がうえでも、波紋の強さは陽乃さんの方が上だからな。

とはいえ、波紋の強さの差のほどにはタイムに差はない。

 

沙希「くっ!慣れか!」

 

確かにそれはある。年々YASHICHIのコースは変わるが、ここのアトラクションはそのままなのだ。

今日ここを初めて訪れた川崎と場数を踏んでいる陽乃さんとではキャリアが違う。

つまりは………ハンデをつけた場合は陽乃さんの負けということになる。

 

陽乃「やるね。川崎さん」

 

沙希「雪ノ下さんは無駄な波紋を使いすぎ。適宜適切な波紋の使い方をすればこうして記録にも出てくる」

 

これだから技術派は。

 

沙希「あんた達全員に言ったんだよ」

 

と言って川崎は一旦コースから出る。セカンドステージに入る前に一度休憩を挟むようだ。

 

大志「くっそー!姉ちゃんに負けたー!でも戸塚先輩には勝ったぞー!」

 

八幡「波紋の戦士が非波紋の戦士に勝って喜んでるんじゃあない。まぁ、波紋の戦士の中では良い成績だけどな」

 

大志「お兄さん、ファーストステージのゴールで何してるんすか?」

 

八幡「一応、ファーストステージのクリア状況の監視?あとお兄さん言うな。落とすぞ」

 

既にクリアしてるから休憩扱いになるけどな。

 

大志「監視って………まるで仕事ッスね?」

 

八幡「個人的な興味だよ。みんなどれくらいでファーストステージをクリアするかな。趣味の人間観察の一環だ」

 

大志「根暗な趣味ッスね?」

 

八幡「ほっとけよ。ほら、さっさと行った行った」

 

プロのアスリートだってキツイのがYASHICHI。ファーストステージをクリアするのだって至難の業だったりする。

いったい誰がどのくらいまで行くか、興味がある。

 

仗助「あらよっと!波紋を使えるようになるとこんなに楽にクリア出来るんだなぁ!爽快爽快!おーい、承太郎さぁん!こっちッスよぉ!」

 

承太郎「チッ!野郎………調子に乗りやすいところは父親そっくりだぜ……」

 

去年までは……波紋が出来る前までは何度か脱落してからファーストステージのクリアがやっとだった仗助が、今回はタイムに余裕をもってファーストステージをクリアした。

一方で承太郎も悪くは無い。が、よる年波には勝てないのかジャンプ系には苦労している。

一見情けないような言い方に聞こえるが、そんなことはない。それでもファーストステージを根性で時間内にクリアしていた。

もう一度言おう。プロのアスリートでもファーストステージで脱落しているのがこのYASHICHI。

波紋はおろか、プロどころかアスリートでもない承太郎が正規の制限時間でクリアしているのはかなりのものであると言える。

もっとも、承太郎は学者と言ってもフィールドワークが中心の学者であり、アマゾンの奥地まで入ったら数ヵ月は出てこない探検をしたりもする。

それこそ、月……いやっ、年単位で。

よくよく考えたら下手なアスリートよりも体力あるわ。

非波紋の戦士の中ではトップでゴールした承太郎。

次にゴールしたのはめぐり先輩。ではなく、カマクラ。

……

…………

………………

何で参加してんの?どうやって一部のコースをクリアしたの?ジャンプ系とかならともかく綱渡り系とかターザンとかあったよね?

俺の驚きを尻目に悠々と歩き……ニャンパラリン♪

優雅にジャンプして華麗にボタンの上で着地。

 

カマクラ「ふんッ!」(俺だって波紋の猫戦士だ!忘れてるんじゃあねえぜ!)

 

トテトテ……プーン!

休憩なしでセカンドステージに突入するカマクラ。

 

…………スーパーキャットとはああいうのを言うのか。

 

次にゴールしたのはめぐり先輩。

 

めぐり「ハァ……ハァ……波紋の同期の東方会長やかーくんに負けちゃった!」

 

八幡「いえ、いくら波紋の戦士とはいえ、初参加でファーストステージをクリア出来るってすごいですよ」

 

ただの一般人だっためぐり先輩が波紋に目覚めたからとはいえ、ファーストステージをクリアできたことは純粋に凄いと感じてしまう。

次の踏破者は………。

 

いろは「とぉぉぉぉ!」

 

いろはだった。

 

八幡「お疲れさん」

 

いろは「あ、ハチ君。自己新記録です!」

 

八幡「凄いな。波紋の戦士以外では第二位の記録だ」

 

ジョルノ「くっ!いろはに負けた」

 

続いて一緒にスタートしたのだろう。もう1レーンの方からはジョルノが出てきた。

凄いないろは。あのジョルノに勝ったのかよ。

 

いろは「昔から鍛えていたプライドがありますから!」

 

ジョルノ「次は負けないよ。セカンドステージは僕が勝つ」

 

いろは「う……セカンドステージはそもそもクリア出来るかが問題ですね」

 

セカンドステージ以降からは一般人は難しいからな。

次は………

 

三浦「ふん!」

雪乃「ハッ!」

 

ざざー!

やはり一緒にスタートしたらしい三浦と雪ノ下が同時にゴール。

 

三浦「あーしの勝ちっしょ!」

 

雪乃「いいえ、私よ」

 

センスは高いものの、波紋を習得するまで元々体力が乏しかった雪ノ下。対して、波紋には適正がなかったが、全中を制するくらい基礎体力があった三浦。

 

雪乃「比企谷君?私の勝ちよね?」

 

三浦「ヒキオ!あーしっしょ!」

 

八幡「記録ボードを見てみ?」

 

コンマ1秒に至るまで同時。

炎対氷(比喩では無いのがすごい)の女王対決は引き分けに終わる。

 

三浦「あー!悔しいし!次はまけねーし!」

 

雪乃「受けて立つわ。三浦さん」

 

何だかんだで三浦と雪ノ下は良いライバル関係を築いているようだ。やっぱりこうしてみていると色々な物が見えてきて面白い。

 

葉山「やぁ」

 

八幡「葉山か。なりたての波紋の戦士なのに、よくクリア出来たな?」

 

葉山「ハハハ。ありがとう。と、言いたいところだけど、これが本番なら俺は失格さ。そこのターザンで勢い余って落ちちゃったんだ」

 

八幡「良いんじゃね?本番じゃあないし、アトラクションそのものはクリアできてるんだから。細かい事は気にせずに楽しめばいいんじゃあないか?」

 

葉山「良いや。俺の納得がいかない。もう一度ファーストステージに挑戦する」

 

八幡「ほーい」

 

本人が納得いかないならば好きにすれば良い。

この本番じゃあないから先に進むもやり直すも諦めるも本人次第。

 

露伴「もう流石に慣れてきたな。このアトラクションも」

 

露伴先生が涼しい顔をしてクリアボタンを押す。

 

八幡「露伴先生、またここで脱落(リタイア)ですか?」

 

露伴「ここから先のステージは腕を酷使する。特にサードステージは指先だけで体重を支える障害があるじゃあないか。指先は漫画家の命だ。傷付けるわけにはいかない」

 

露伴先生はいつもファーストステージでリタイアだ。

俺がいる=いろはがいるなので少しは冒険しても良いとはおもうけど。

 

康一「やったぞ!初めてファーストステージをクリアした!」

 

波紋の戦士(スタンド使用時のみ)になった康一さんが歓喜の雄叫びをあげる。

 

八幡「そんなに嬉しいですか?康一さん」

 

康一「嬉しいに決まってるよ!だって……今まで反りたつ壁がクリア出来なかったんだもん!」

 

あ………察したくないけど察してしまった。

背が足りなくて今までクリア出来なかったんですね。

 

戸部「くぁ~………きっついべぇ!タイム間に合わなかったし!」

 

八幡「や、コースを踏破しただけでも大したものじゃね?」

 

戸部「そうなん?」

 

八幡「だってアスリートでもキツイのがYASHICHIだぞ?」

 

戸部「よっしゃ!次はがんばるべー!」

 

チョロい。

 

海老名「はいクリア♪」

 

八幡「………何で普通にクリア出来るお前が後発のスタートをしてるの?」

 

波紋の戦士では無いながらも、海老名は三浦と同じくらいの身体能力だ。いろはと互角の戦いをしたんだから。

 

海老名「ヒキタニ君がここでクリアしたみんなを元気つけていたじゃん?それでカップリングを想像して見たいたんだよ?ここで……」

 

………クルッ。

振り向いた先には……ハイエロファント・グリーンが立ってこちらを監視していた。気が付かなかった…いつの間に!

ゾワゾワゾワゾワ………

 

八幡「はよセカンドステージ行けや!」

 

海老名「イケやなんて卑猥!超卑猥!」

 

ダメだこいつ……早くなんとかしないと……。

余裕でタイム間に合ってやがるし……。

 

戸塚「ぐっ………とぉぉぉぉぉ!」

材木座「いいぞ!もう少しだぁ!」

 

戸塚と材木座が気力を振り絞ってゴールしてきた。

タイムは全然だったが、戸部と同じく波紋の戦士でもない一般人だった戸塚や材木座がファーストステージのコースをクリアしたところに意味がある。

 

康穂「ヴヴヴヴヴ~!ハッチィィィィ~!」

 

突然背後から声をかけられビックリする俺。振り替えると涙目の康穂が立っていた。

 

康穂「ファーストステージ、踏破でぎながっだー!」

 

うん。康穂はそこまで鍛えていなければ、波紋の戦士でもない。ガチコースのファーストステージをクリア出来なくてもなんら不思議ではない。

 

八幡「残念だったな……クリアできなかったのは」

 

康穂「かべ……ぅぅ……」

 

八幡「壁かぁ。壁は仕方ないよなぁ」

 

あそこはファーストステージの難所だ。

あれがクリア出来ることがセカンドステージやサードステージに行ける資質を持つものとも言える。

 

八幡「まぁ、折本や仲町のようにあそこで楽しめば良くね?今日は遊びに来てるんだからわざわざガチコースに挑戦しなくても……」

 

むしろ戸部とかも何でガチコース来たの?

チャレンジ精神は認めるけど。

折本や仲町は一般人コース(ノーマル)を、ホリィさんや朋子さんとかはソフトコース(雰囲気を楽しむ為のイージーコース)を、留美とけーちゃんとサブレ、ペットショップはキッズコースを楽しんでいる。

康穂だって元々は一般人コースくらいのはず。

 

康穂「だって……だって……みんなこっちに来てるし、今年は行けるかもって………」

 

完全踏破を目指すガチYASHICHI勢みたいな事を言われてもなぁ………。

ん?そう言えば………

 

結衣「っと!到着!頑張ったね!さがみん!」

 

相模「うん!」

 

何で同じレーンから二人同時に?

 

結衣「さがみんと二人で協力ぷれい!」

 

相模「一人じゃあまったく歯が立たなくてさー」

 

…………そういうプレイもあるのか?

公式じゃあ当然ダメだろう。

タイムも大幅にオーバーしているし、スタンドも使っている。そもそも二人で協力してやるものではないので立派な反則だ。

反則なのだが、今回は遊びだ。

むしろそういう難局を協力してクリアするのもありだろう。実に俺達らしい発想とも言える。

 

結衣「やっぱりダメかな………」

 

八幡「公式ならな。でも、実にアーシスらしくて良いんじゃあないの?何が何でも勝つという点で言えば」

 

逆にそれでどこまで行けるか、興味深い。

さぁて、先にセカンドステージ……

 

いろは?「余裕でゴール♪」

 

ああ、まだ誰かいたか。いろはじゃあないか。俺としたことが忘れてた。

 

八幡「お疲れ、いろは」

 

いろは?「あ、せんぱい、お疲れ様でしたー♪この名前のアトラクションでわたしが出ないのはおかしいですよねー?」

 

…………あれ?

何かおかしいことに気が付き、振り返ってみるといろはは既にその場にいなかった。

 

八幡「まだ完全に癒えてないのか?………まさかなぁ。記録も俺よりも上だし……疲れてんだな。多分」

 

←To be continued

ガチコース・ファーストステージ記録(優秀者順)

 

比企谷小町

ジョセフ・ジョースター

一色いろは?(二度目?)

静・ジョースター

比企谷八幡

雪ノ下陽乃

川崎沙希

川崎大志

東方仗助

空条承太郎

比企谷カマクラ

城廻めぐり

一色いろは

ジョルノ・ジョバァーナ

雪ノ下雪乃・三浦優美子(同率タイ)

空条徐倫

海老名姫菜

岸辺露伴(セカンドステージは辞退)

広瀬康一

 

本来はアウトだがおまけでセカンドステージへ

葉山隼人(一度目失格)

戸部翔(タイムアウト)

材木座義輝(タイムアウト)

戸塚彩加(タイムアウト)

相模南・由比ヶ浜結衣(色々とアウト)

 

脱落

岸辺露伴

広瀬康穂




最後に変なのが通過しましたが、気にしないで下さい。

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