やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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セニョール!
ときメモ史上初のヤンデレ娘が出陣!


『スタンド・バイミー』

sideジョセフ・ジョースター(過去)

 

ワシは今、走っておった。とんでもないスタンドに追われているからじゃ。

 

うさぎ「セニョール!」(CV:福圓美里。イギーと同じ声)

 

ピンク色のウサギ姿のスタンドが鉄パイプを片手に暴れておるのじゃ!

自我を持った完全遠隔自動操縦タイプのスタンド…。それがこのスタンドの能力じゃ!

何故こんなことになってしまったのか……。

本体はどこじゃ!単純な暴力のスタンドのようじゃが、それだけのスタンドなんてまずあり得ん!

とにかくあれはヤバい!何がヤバいって話が通じんのじゃ!逃げるんじゃよォォォ!

 

うさぎ「逃げるなんていけないんだぁ……逃がさないよ?セ・ニョールゥゥゥ!」

 

忍「何とかしなさいよジジイ!あんたもスタンド使いなんでしょ!?」

 

ゴーグルを付けた忍が叫ぶ。身体能力は承太郎よりも忍本人の方が上じゃから、逃げる事に関しては変身していない方が良いらしい。

 

ジョセフ「出来るのならばとっくにそうしちょるわい!何度倒しても出てくるんじゃ!とにかく攻略がわかるまで逃げるんじゃ!」

 

ワシじゃって倒そうと努力はしてみたものの、あのウサギ……倒しても倒しても何度も出てくるんじゃ!遠隔自動操縦タイプのスタンドはこういうのばかりじゃから性質が悪いわい!

そもそも何故こういう状況になってしまったのか……。

 

バイツァ・ダスト!

 

紐緒から装備を借り、スタンド使いじゃあない穂刈夫妻や高見夫妻にプロトタイプの対スタンド使い装備を配布するワシら。

スタンド使いとして有名なワシらに起こったトラブル。それに便乗してスタンド使い達がワシらを倒して名を上げようとするものは少なくないとワシも承太郎も考えたゆえの措置じゃ。

特に天国を考えておる連中がこの機を逃さんはずがない。

 

承太郎「穂刈茜から連絡があった。関東○○会傘下のヤクザが関東支部に仕掛けようとしているらしい」

 

ジョセフ「あのテロ屋をけしかけた政治家の息がかかった組か!」

 

数年前に康一くんを狙い、八幡が始末したテロ組織と裏で繋がっていると目された政治家とつるんでおるヤクザか(アルミラージ戦参照)。

後で康穂に手を出し、徹底的に壊滅させたつもりだったが、まだこっちに手を出してくるとは……。

 

ジョセフ「今度という今度は完全に潰してやるわい!あの腐れ政治家め!」

 

政治家というのはどうにも諦めが悪い連中の集まりじゃのう。1回や2回、叩いたくらいじゃあへこたれん連中ばかりじゃ。

逃げ口上だけは上手いのが腹が立つ。まぁ、政治家なんてものは往々にしてそういう連中ばかりじゃがな。

ワシはこの数年で研究してきた軍隊の装備を車のトランクから取り出す。

 

承太郎「HK416……だと?何でデルタフォースが標準装備しているアサルトライフルをテメェがもっている!」

 

そしてそいつにM16式の銃剣を装着させる。

乱戦になる場合において、これほど頼りになる武器は無いわい。

入手経路?

普通に財団のチームが使っておるわい。

使用している国も多いしのう。一部では海上自衛隊だって使っている命中率においては世界一のアサルトライフルじゃ。

 

ジョセフ「近々パッショーネにも配備しようと思っておったのじゃよ。ジョルノの麻薬対策チームに配備すれば銃の性能じゃあ負けはせんからのう?」

 

承太郎「なんてものを日本に持ち込みやがった……油断してるととんでもねぇな……このジジイは……」

 

この銃に世界も注目しておるCQC……軍隊格闘技は有効じゃ。特に乱戦において、銃剣格闘の幅広さといったら無いわい。

八幡や小町にも仕込んであるから、いずれは有効に使うこともあるじゃろう。うっひっひっひ!ジョセフ・ジョースターの戦いの年季は老いてますます盛んということじゃ!

 

承太郎「ヤレヤレだ……ボケが治ったら治ったで、テメェの扱いが厄介なのは変わらねぇってことか……日本のヤクザもまさかデルタフォースが使うような武器が自分達に向けられるとは思うまい……しかも楽しそうな面をしやがって……どっちが悪者かわかったものじゃあねぇな」

 

やかましいわ承太郎!ワシのハーミット・パープルは直接の攻撃には向いとらんのじゃから仕方ないわい!

力だとて全盛期にまで戻っておらんのだしのぅ!(実際は小町により鍛えられ、充分に全盛期を越えているのだが、過去を美化しているジョセフは気がついていない)。

そして突入じゃ!日本のヤクザ映画で言うところのカチコミじゃ!討ち入りじゃ!

…………て、既に全滅しておる!何が起きたと言うのじゃ!

うめいているヤクザの構成員は、何やら鈍器で殴られたような打撲を作っており、既に虫の息じゃ。

 

ウサギ「いけないんだぁ……」

 

何故かピンク色をした、片目が無い鉄パイプを持ったウサギがこちらを振り向く。

 

承太郎「な、なんだ……あれはスタンドなのか?」

 

ジョセフ「どうやらそのようじゃな……これが唯と言う娘のスタンドなのか?」

 

忍「ち、違うわ……あちしはあんなスタンドを知らないわ……どういった経緯でこんなスタンドが現れたのかは知らないけど……」

 

ウサギ『スタンド?僕の名前は『スタンド・バイミー』ってところかな?うんーーーちゃんも本当の僕の名前を知られたく無いみたいだし、スタンド・バイミーで良いや』

 

コラコラコラコラ!

スタンド・バイミーはスタンドのすべての総称じゃあないか!側に立つものじゃからスタンド。そのスタンド・バイミーを自分の名前にするんじゃあない!

 

S・B『それで……セニョール達も僕の目を壊した人達の仲間なのかな?物騒なのも持っているし……』

 

ワシが持っておるHK416の事かのう?た、確かに物騒な物と言えば物騒な物じゃな……。

 

ジョセフ「ち、違うんじゃ!ワシらはむしろこのヤクザの組を潰しに来たんじゃ!君の敵じゃあない!」

 

S・B『セニョール!』

 

スタンド・バイミー(仮称)は鉄パイプを振りかぶり、襲いかかってくる。片目が赤く輝いて不気味といったら無いわい!

 

承太郎「無駄だジジイ!こいつは意思をもっているが、完全な遠隔自動操縦のスタンドだ!基本的に本体に起きている問題が解決しない限りは、スタンドが解除されることはねぇ!」

 

S・P「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」

 

バキバキバキバキィ!

 

承太郎のスター・プラチナがスタンド・バイミーをボコボコに殴る。

 

S・B『覚えてろよ……セ・ニョォォォルゥゥゥ!』

 

殴られ、消えていくスタンド・バイミー。

 

ジョセフ「承太郎!」

 

承太郎「安心しろジジイ。俺はこういうタイプのスタンドとも何度かやりあっている。遠隔自動操縦タイプのスタンドにダメージを与えても本体に影響を及ぼしていない場合がある。こういうタイプの大抵は……ジジイ!後ろだ!」

 

ジョセフ「何っ!」

 

S・B『あっはっはっはっはぁぁぁぁ!セニョール!』

 

ジョセフ「ぬおっ!」

 

とっさに銃で鉄パイプを防御したワシじゃったが……

 

ジョセフ「なんてパワーなんじゃ!鉄パイプ程度で鈍器のような使い方が出来る銃がひん曲げられるじゃと!」

 

承太郎「アホかジジイ!相手はスタンドだぞ!物理的な防御が通用するはずが無いじゃあないか!」

 

ぬううっ!

 

ジョセフ「こんな時こそ!紐緒のグローブじゃ!波紋疾走(オーバードライブ)!」

 

紐緒から借り受けた義手のグローブでスタンド・バイミーを殴り付ける。波紋の力を込めておるから少しは効いたじゃろ!

 

S・B『セニョール!』

 

全く効いておらんじゃと!なんじゃこのスタンドは!

スタンド・バイミーは更にワシに追撃を仕掛けてきよる!

 

承太郎「スター・プラチナ!ザ・ワールド!」

 

次の瞬間にはワシの前に承太郎が立っており、そして攻撃をし終えた後なのか、スタンド・バイミーが再びキラキラと光って消えていく。

 

承太郎「逃げるぞ……ジジイ……」

 

ジョセフ「そうした方が良さそうじゃな……」

 

忍「ちょっと!逃げるって何よ!それでも歴戦のジョースターなの!?」

 

ジョセフ「じゃからワシらは生き延びて来たんじゃよ。行くぞ。息が続くまでやるんじゃ!逃げるんじゃよォォォ!」

 

クルッ!ダッ!

 

承太郎「ヤレヤレだ。スタンドとの戦いはいつも綱渡りだな」

 

ワシらは全力で走り始める。3人の中で一番足が遅かったのは意外にも承太郎だった。

そしてスタンド・バイミーも速かった。

 

承太郎「ちぃっ!仕方ねぇ!ここは俺が食い止めるからジジイ達は本体を探せ!」

 

無茶を言いよるわい!

食い止めるのも骨が折れるじゃろうが、そっちも難易度が高いのは変わらんのじゃぞ!

 

S・P「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」

 

S・B「セニョォォォォォォォルゥゥゥゥゥ!」

 

その場に留まり、スター・プラチナが迎撃する。スタンド・バイミーは『覚えてろよ……セ・ニョール!』と言って姿を消す。

しかし、倒しても倒しても復活してくる自動操縦タイプのスタンドが相手ではキリがない。またすぐに新しいスタンド・バイミーが現れる。

 

承太郎「早く行け!ジジイ!俺がこいつを押さえている間に!」

 

承太郎は足止めをする気じゃな。じゃが、いかなスター・プラチナといえども長時間はもたん。ワシはこの場を承太郎に任せ、本体を探す為に走る。

 

ジョセフ「頼んじゃぞ!承太郎!行くぞ、忍君!」

 

忍「ええ!すみません!承太郎さん!」

 

ワシと忍はこの場を承太郎に任せ、走る。

遠隔自動操縦タイプの射程ははかり知れん。中にはキロ単位の射程を持つものもおるからのぅ。

しかし、これはどうしたものか……。本体が何者なのか、見当がつかん!

 

忍「ジジイ!どうにかならないの!?アンタ、生粋のスタンド使いでしょ!」

 

ジョセフ「生粋じゃあないし、こんなパターンは初めてじゃわい!」

 

生粋とは生まれながらという意味じゃから、ワシは生粋のスタンド使いじゃあない。なんせ、年老いてから発現したスタンドじゃからの。じいさんのジョナサンの肉体を通じてDIOの……前世の八幡の影響でスタンド使いになったんじゃからな。

それに自動遠隔操縦のスタンドは……ん?

そう言えば………

 

ジョセフ「女帝(エンプレス)……たしかエンプレスも自動遠隔操縦のスタンドじゃった……」

 

となると……有効な手段は………。

ワシは携帯を……iPhoneを取り出す。

 

忍「ジジイ!携帯を取り出してどうする気!?」

 

ジョセフ「一か八かじゃよ!」

 

八幡も時々いろはの風呂を覗く時に携帯を媒介にして念写をやるからのう。八幡曰く、念写の能力はワシの方が上じゃと言っておる。ならば……

 

ジョセフ「ハーミット・パープル!あのウサギのスタンドの本体の位置を見付けるのじゃ!」

 

昔は1台300ドルもするポラロイドカメラをぶっ壊さないと使えん念写の力も、かなり便利に使えるようになったものじゃ。特にインターネットと併用できるのが強みじゃな!

技術の進歩に感謝じゃわい!

地図に大きく×が付いておる!見つけたぞ!

 

ジョセフ「忍くん!本体が見つかったぞ!あと二キロほど離れておる河川敷の公園じゃ!」

 

忍「河川敷公園ですって!?」

 

ジョセフ「知っておるのか!?」

 

忍「………思い出の場所よ。色々な意味で。案内は任せてちょうだい!」

 

忍はそう言って先行する。中々の速さじゃ!ワシも今、小町の……リサリサ先生の修行を受け直しておるが、そのワシの速さに匹敵するとは……やるな、忍。

すぐに本体を何とかするからな!承太郎、持ってくれよ!

 

sideなし

 

藤崎忍にとって、河川敷公園は縁深い場所だった。

今ではどうなったのかわからないが、家族ぐるみで付き合いのある親友の妻、穂刈茜との因縁が強い場所とも言える。

茜の兄、一文字薫(CV・穴子さん)が不良の元締めをやっていた際、忍と茜の関係を邪推した薫やその部下達と決闘した場所でもあり、また伊集院メイや友人の白雪美帆とも小さいときに交流があったのも、この河川敷公園である。

高校時代では妻の光とも何度かデートをした場所でもあるため、忍にとっては良くも悪くも因縁深い場所なのである。

しかし、ホントにこんなドンパチでまた関わるようになるとは思っても見なかった。

だが………

 

忍「ジジイ!何も無いわよ!」

 

到着した河川敷公園には何も無かった。

いたのは少し離れた雑草が生い茂る場所で泣きながらごそごそやっている幼い女の子と……それを困った顔で見守る友達らしき男の子だ。

年の頃は八幡とそう変わらない年代だろうか?

 

ジョセフ「どうやら………あの女の子が本体のようじゃ」

 

ジョセフがiPhone越しに念写の写真を撮ると、スタンドパワーを発しながらウサギのビジョンと共に写っていた。

 

男の子「ねぇ都子ちゃん。もう帰ろうよ……」

 

都子「やぁだぁ!ウサギさんの目が見付かるまで探すのぉ!」

 

都子と呼ばれた女の子の手には片目を無くしているウサギが……スタンド・バイミーそっくりのウサギが抱かれている。

 

忍「………あれは………あの子があのスタンドの本体なの?」

 

ジョセフ「そのようじゃ……どうやらあのウサギのぬいぐるみがスタンドの発動キーのようじゃな……エボニーデビルのようなスタンドかも知れん……じゃが……」

 

忍「まさか………ジジイ。あの子を……」

 

sideジョセフ・ジョースター

 

失礼なヤツじゃ。いくらワシだってあんな小さな女の子をどうこうしようなどとは思わんわい。

多分じゃが、あの子は自分がスタンド使いじゃという自覚は無いじゃろう。スタンド・バイミーが発動したのも何かの偶然………。

あのヤクザものが遊んでおった二人にぶつかったか何かして、あのぬいぐるみに何かが……恐らくは目が取れたかなにかしたのじゃと思う。

制御が効かない自動で仕返しをするエボニー・デビルのようなスタンド………それがスタンド・バイミーなのじゃろう。

ワシらをターゲットにしたのも、スタンド・バイミーがワシらを奴等の仲間と判断したのじゃろうな。

 

ジョセフ「ああいう完全自動遠隔操縦タイプのスタンドを解除するには、本体をどうこうしても意味がない場合が多いのじゃ。場合によっては本体が死んでも発動しっぱなしのスタンドだっておる」

 

ノトーリアス・BIGや露伴くんを襲ったチープ・トリック等が良い例じゃ。それに……

 

ジョセフ「仮に本体を倒してスタンドをどうこう出来たとしても………何も知らないあの子をどうこうすることは出来んよ………敵に対して容赦せんワシらでも……そこまで人の心は捨ててはおらん……」

 

忍「そう………それを聞いて安心したわ。そんな事をしようとしていたならば、あんたが仗助の父親であってもあちしが容赦してなかったわ。そうはならずに済んでホッとしたわよ。でも、あのスタンドはどうするつもり?」

 

ジョセフ「ううむ………あのぬいぐるみの目を探すのを手伝えばあるいは………」

 

忍「そんなので良ければ良いけど……」

 

ワシらは二人に近付き、手伝いを申し出ようとする。

もし、ウサギの目を探そうとしておるならば、ワシのハーミット・パープルで何とかなるかも知れんからのう。

ところが………

 

ジョセフ「あー……そこのお二人さん」

 

ワシが声をかけたとき……

 

男の子「ねぇ、もう帰ろうよ」

 

都子「帰りたいならあなただけが帰れば良いじゃない。私はずっとここで探すから!」

 

幼い二人がケンカを始めようとしておる。不味いのう。ワシらとしては早くスタンドを止めたいのじゃが…。

 

ジョセフ「ワシらも手伝って良いのじゃが……」

 

男の子「おじいさん誰?あー、もう!だったら都子ちゃん!はい!」

 

男の子は自分の服のボタンを引きちぎり、女の子に…都子ちゃんとやらに差し出す。

 

都子「え?」

 

男の子「このボタンをウサギさんの目にすれば良いよ!」

 

都子「でも………それじゃ」

 

男の子「都子ちゃんが泣き止むなら、こんなボタンの1つや2つ、何でもないよ!ほら!」

 

男の子は都子ちゃんの手を掴み、無理矢理渡す。

 

都子「良いの?」

 

男の子「もちろんだよ!」

 

都子ちゃんの顔がみるみる赤くなり………

 

都子「ありがとう………」

 

と言って服のポケットにボタンを入れ、その手で男の子の手を握る。

 

男の子「おじいちゃん達もありがとう!バイバーイ!」

 

都子「………バイバイ。ありがとう……」

 

二人はワシらにお礼を言って帰っていく。

 

スタンド・バイミー『ありがとう。もう寂しくないよ。ごめんね?セニョール……』

 

いつの間に間近に迫っていたウサギのスタンドが、一礼して消えていった。

 

忍「ちょっと待ちなさい。あなた達!」

 

忍が声をかける。

 

男の子「ん?」

 

忍「あなた達、幼なじみ?」

 

都子「うん!幼なじみ!」

 

忍「そう。あちしの妻も幼なじみだったの。幼なじみは大事にしなさいよ?」

 

都子「うん!お母さんと同じように、きらめき高校の伝説を私は叶えるんだ!」

 

高校の伝説?なんじゃそれは。じゃが、忍は何か納得したようじゃ。満足げに頷いておる。

 

忍「そう。叶うと良いわね。あちしの従姉もきらめき高校の伝説を叶えた一人よ。あちしも……ひびきの高校の伝説を叶えた一人として応援するわ」

 

都子「本当!?お兄ちゃんすごい!私も絶対に叶えるの!ありがとう!お兄ちゃん!」

 

都子ちゃんはおおはしゃぎで男の子と手を繋いで帰って行った。

 

ジョセフ「伝説とは?」

 

忍「つまらない伝説よ。きらめき高校の一角にある大きな樹は伝説の樹と呼ばれているのよ。卒業式の日、伝説の樹の下で、女の子の告白から生まれたカップルは、永遠に幸せな関係になれる。あちしの母校にも同じような物があってね、ひびきの高校にある時計塔。卒業式の日に女の子の告白で生まれたカップルが誕生したとき、その時計塔の鐘がなれば永遠に幸せな関係になれる。壊れてあちしの在学中には鳴らなくなった時計塔だけれど、あちしと光ちゃんがカップルになった日には……不思議な事に鳴ったのよ……まるでスタンド能力よね?」

 

まるでアンジェロ岩のようじゃのう。しかし、悪くない伝説じゃ。ウルフスのような碌でもない伝説に比べればのう………。

 

承太郎「ここにいたか……ジジイ」

 

ジョセフ「ご苦労じゃったな?承太郎」

 

承太郎「いつの間にか『セニョール』は消えていた。どういう事か後で説明しろ。それよりも伊集院から連絡があったぞ。次のターゲットの情報だ。のんびりしている暇はねぇぞ。ジジイ」

 

ヤレヤレ……忙しい事じゃ。

スタンド使いの少女、都子よ。願わくば再びスタンドが発動せんことを………。

ワシらは再び、問題解決に奔走することとなる。

 

 

sideなし

 

しかし、ジョセフの願いは虚しく、スタンド・バイミーは再び……そして長期に渡って発動することになる。

場所は現在のsunny light。

 

少年「………と言うことがありまして……」

 

優「そう。酷い悪夢に……忍おじさん。どうにかならないかしら?」

 

忍の目の前には、自身の親戚、皐月優が座り、その隣にはいつか見た男の子の成長した姿があった。

皐月優。

藤崎家の親戚、皐月都議会議員の娘である。

詩織に憧れ、その容姿はまるで高校時代の詩織そのものと言える。年齢は八幡達と同い年。八幡の事は若干嫌っているきらめき高校生徒会長、二年生である。

優は親戚でありながらこの店の常連で、親しい生徒の相談事をこの店で聞く場合もある。

今日の相談相手は……またしてもこの少年だった。

いつか見た大倉都子の幼なじみである。

 

優「あら?おじさん、今日は眼鏡を着けてるのね?目でも悪くなったのかしら?」

 

忍「ちょっとした気分転換よぉ」

 

……と忍は言っているが、この眼鏡は紐緒が作ったゴーグルの改良版であった。なぜこれを今、忍が着けているのか……。

 

『いけなぃんだぁ……寂しいよぉ……セニョール』

 

カウンターの中でスタンド・バイミーが出現しているのである。身の危険を感じた忍はスタンドが見えるように特殊眼鏡をかけているのである。営業中の今はスタンド使いに変身するわけにはいかないからだ。

おまけに…………

 

都子「……………」

 

鈍感な少年は気が付いていないが、店の一角には負のオーラを噴出している明らかに病んでいるあの日の少女…大倉都子の姿があった。

 

忍(気付きなさいよ!悪霊の原因は明らかにあんたよ!優ちゃんも気付いて!その子だけはダメよ!何か危ないものが憑いてるわ!)

 

自身も伝説の体現者であるため、この場で都子の気持ちを暴露する訳にもいかず、さりとて巻き込まれたくない為声を大にして叫びたいジレンマに内心はダラダラと冷や汗をかいていた。

 

『爆弾なんてさぁ………爆発させちまえばいいんだよぉぉ!』

 

忍(そうよ!爆発させちゃいなさい!キラー・クイーンのように!でないとこの胃痛が……)

 

時は『ときめきメモリアル4』の一年目。

平行世界から見たら歴代ときめきメモリアル主人公の中でも特に鈍感な主人公の少年。

同じスポットライトを浴びていた藤崎忍の受難は…まだあと二年、続くことになる。

さらにはその騒動に翌年に雇う新しいアルバイト、水樹春奈や杜王町から転校してきたエリサ・ドクトル・成瀬、優の後任の生徒会長、星川真希。きらめき市の同業者、語堂の娘、エリサの親友の柳ふみこ……そしてジョセフの騒動に協力していた古賀良平等々、彼の騒動に加わり、騒動に巻き込まれる事をまだ彼は知らない……。

 

忍「冗談でしょぉぉぉぉぉ!」

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

ときメモ4の隠しヒロインの一人、大倉都子が今回のスタンド使いでした。
あれは『スタンド・バイミー』という都子の必殺技でもある通り、どう考えてもスタンドとしか思えません。
そして都子に自覚が無かったところを見て、自動遠隔タイプのスタンドです。
忍の苦労はこれからです。頑張れ忍!
越後屋さんの本編では語られる事の無かった4の世界ですが……こんな騒動が絶対にあるはずと本城は思っています!

それでは次回はジョセフ編の最終章という事でよろしくお願いいたします。

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