sideジョセフ・ジョースター
ジョルノ「………忍さんが怒るのは無理がありません。僕も怒っています。やっぱり、これを塗るべきですか?ジョセフさん」
ジョルノはキャロライナ・リーパーを再び取り出す。
ジョルノ「あなたは今、『やめてくれ!それだけは!』と思っている」
ジョセフ「や、やめてくれ!それだけは!ハッ!」
わ、ワシの十八番をやって来るじゃと!やるではないか!ジョルノ!
ジョルノ「次に今、『ワシの十八番をやって来るじゃと!やるではないか!ジョルノ』と思っている。ジョセフさん。終わった話とはいえ、僕も怒っています。古式不動産にはパッショーネもお世話になっていますから」
そ、そうじゃった!パッショーネの日本の活動は、そっちの方面にも顔が利く古式不動産の力は少なくないんじゃ。
静「確かに。他国のギャングのボスが我が物顔でシマをうろつく…。本来なら裏社会での戦争が勃発してもおかしくない中で、それが出来るのは古式不動産の力が大きいよね……」
古式不動産がSPW財団と同盟を結んでいたのはむしろそっちの意味合いが強い。バックに伊集院家がおるからというだけじゃあないんじゃ。古式不動産は会社としてはジョースター不動産よりも劣るが、全国のヤクザにも顔が利くことが大きい。
パッショーネが日本で汐華やウルフスに集中できておるのも古式不動産が口を利いてくれておるからじゃ。
その見返りとして悪徳な組とかの始末をすることでパッショーネと日本の大きなヤクザ組織は不可侵条約を結んでおる。
内部では手が出せん組織内の膿をパッショーネが動いたりしたりなどでじゃ。
ボスが滞在している現在では、そのシステムがかなり効を奏している。
パッショーネの活動に、古式不動産はなくてはならない存在なのじゃ。
ジョルノ「それにもし、そのまま戦争になっていたら、アーシスの今は無かったんですからね?忍さんがクリスタル・クルセイダーズに協力してくれることも無ければ、閣下もそんな戦争の引き金を引いたSPW財団と同盟を結ぶ事も無かったでしょう。もしかしたらプッチ側に回っていたかも知れません。ジョセフさん。バナナはいかがですか?」
それ、確かポルポという旧パッショーネの幹部を始末した拳銃を変えたバナナ……通称チャカバナナじゃあないか!ワシを始末するつもりか!ジョルノ!
ジョルノ「これは最後まで聞く必要がありそうだ。そうだろ?静」
静「そうだね……本当にとんでもない事態だよ。後腐れがなく終わったかどうか……確かめる必要があるね」
こ、これはキチンと話さねばならなそうじゃ。
康一君と忍君の尽力で内々で済ませられた話じゃったからな………。
sideジョセフ・ジョースター(過去)
東京…きらめき市
伊集院家本邸
光輝「うむぅ………これはとんでもない事をしてくれたぞジョセフ・ジョースター元SPW財団会長……一介の社員のミスとは訳が違う……」
伊集院家当主の
承太郎「連絡を受けて駆け付けて来てみれば……何をやっているんだジジイ」
SPW財団側の代表は承太郎がやって来た。もはや日本支部の仗助が出てくる幕はない。これは会長同士の会談じゃ。元当主の不始末は現当主が付ける話じゃからな。
光輝「普段ならば、私も小さな事と一笑、または一喝して何とか済ませているところじゃが……今回の件は大きすぎる。アメリカの不動産王がやったことじゃ。既にジョセフ・ジョースターさんが古式不動産の株を無視できないレベルで買い占めた事は経済が既に知っておる。ジョースターが伊集院に戦争を仕掛けた……とな。これはデリケートな問題だ」
古式「………………」
ぬおっ!古式さんは足下に刀を置いておる!
武闘派というのは本当のようじゃな。
ジョセフ「か、株はもちろん全て返す!」
光輝「こうして頭を下げに来られている以上、本当に手違いだったのじゃろう。しかし、世間はどう捉えるかですな。一部の跳ね返りは既に動く準備を始めている。我が伊集院家とSPW財団の同盟は、外部からしてみれば邪魔ですからな。それに、我が家だとて下が納得しないだろう。ワンマンとか言われているが、これでも下の管理には気を使っていましてな」
古式「こちらもだ。このままでは日本のヤクザ達もパッショーネに対していつ攻撃してもおかしくはない。間違えでした……で手打ちにするにはいかない」
承太郎「もっともな話です。今回は全面的にこちらが悪い……。このジジイは煮るなり焼くなり自由にして構いません」
じょ、承太郎ぉぉぉ!
承太郎「おいジジイ。てめぇもパッショーネを傘下に持つSPW財団の親玉だった男だ。覚悟を決めるところはわかっているだろう?このままおとがめなしじゃあジョルノをはじめとした下の奴らが納得するわけがない。親玉だったのなら、親玉らしくしねぇとな……」
ぐぬぬ……パッショーネはミスをすればかなり厳しいペナルティを科す組織じゃ。下が納得するには、まずは上もそれに倣わねばならん。カーズにDIO、吉良とワシは生き延びて来たが……こんな些細な事で終わってしまうとはのう。
古式「そうですか……覚悟を決められましたか……ではここは私が………」
古式殿は刀を手に取り、構える。
そして居合い抜きの要領で抜き……ワシの首を……
…………
…………
……………………?
チャキッ!っと鯉口が鳴り、刀が鞘に納まる。
古式「勘違いされては困るな。ジョセフ・ジョースター老。うちはヤクザ者ではない。ヤクザ者によく間違われるが、うちは歴とした建築・不動産屋だ。責任を取らせるのに首を欲しがりませんよ」
光輝「ただ、それだけの覚悟があるのかどうかを見させて頂いた。ギャングの中でも一際厳しく、覚悟を重んじるパッショーネ……それを束ねるSPW財団の元会長の覚悟がいかほどかというものを……」
承太郎「俺はマジだったがな」
ふぅ………汗がドバドバ出てくるわい。
本気で覚悟を決めておったからな。
レイ「それでお爺様……この件はどうなさるつもりですか?」
光輝「……どうするも。現状維持を続けられるように尽くすしかあるまい……。全面戦争になどなってしまったら、血が流れるぞ……ファニー・ヴァレンタインは自国優先主義。このままではどちらもただでは済まん。救いが無いのは双方とも争いを望んでおらんことだ」
古式「責任はとってもらいますぞ。ジョセフ・ジョースター老。全ての発端はそちらにあるのだからな。命を捨てる覚悟があるのはわかった。ならばその覚悟を事態の収集に努めるように見せてみよ」
こうなってしまったときからそうするつもりじゃった。
問題はワシにはもう権力が無くなってしまっておることじゃったが………。
承太郎「じじい。元会長として何とかしてみろ。財団の跳ねっ返りは俺の方で押さえておいてやる。丁度良い機会だ。伊集院ご老公、古式社長。この際です。互いの膿を絞りだそうじゃあないか」
古式「うむ……獅子身中の虫を退治しよう……と言うことだな?」
光輝「空条博士もやるようになったではないか。災い転じて福となす……などと受動的ではいかん。災い好機と見て福とせよ……という姿勢にせねばならん。今回は跳ね返りやこちらの不祥事をチャンスと見て仕掛けて来るものを炙り出し、処理・見せしめにせんといかん」
承太郎「こんな碌でもねぇことをしでかす元会長ではありますが。そういう逆境をチャンスに変える事に関しては一級品でしてな。そういうことを俺はこのジジイから学ばせてもらいました。やれやれって事ばかりですが」
光輝「それで良い。ピンチを凌ぐだけなのはトップとしては下。ピンチをむしろ利用し、プラスに変えてこそトップじゃ」
ふんっ!こっからがジョセフジョースターの真骨頂じゃ。みちょれよ?承太郎、伊集院、古式よ。
キングクリムゾン!
康一「なんてことしてくれたんですか……ジョースターさん……せっかく築いた伊集院との関係が……」
忍君のカフェでは呼ばれた康一君が頭を抱えておった。康一君はこの頃、伊集院関係専門で営業をしておった。伊集院専属営業課長というところじゃな。
伊集院家や古式はトップの二人のあの性格の通り、我々ジョースターに通じるところがある。
つまりは世間の常識から考えれば変人というやつじゃ。
そういう人間に一番向いているのが彼じゃ。
昔から康一君はそういう人間を惹き付けやすい。
そのある種の特技を本人は苦笑いしておるがのう。
当然、伊集院家の者達からも好かれており、個人的にも付き合いがあるそうじゃ。既婚者でなければレイ殿の婿候補にも挙がっておったようじゃしな。
ジョセフ「すまん!ここは康一君に頼るしか無いんじゃ!」
承太郎「ヤレヤレ……静達がアメリカに留学中で良かったな。間違いなく呆れられていたぞ……ジジイ」
静、いろは、小町に徐倫を重ねておる承太郎は冷たい視線で言ってくる。仗助も今は本社でプロジェクトを任されており、不在じゃ。未だに足場が完全じゃあない仗助の実績を作らせる為じゃ。
仗助や静達が帰って来たとき、本部まで巻き込む大きな事件が自分達のシマで起きていました……となっては大変じゃ。せっかく作った足場が意味を無くしてしまうからのう。
康一「ごめんね忍君。僕達のせいで……」
忍「あんたは何も悪くないわよ。全てはこのクソジジイが悪いんだから」
ワシらの関係者に飲み物を配った忍君が冷たい目で睨んでくる。
ジョセフ「あの………ワシだけ水道水ってのは酷くないかのう?せめてミネラルウォーターくらいは……」
忍「文句があるなら出さないわよ?出してやるだけでもありがたいと思いなさいよ!」
冷たいのう。
それにしても……
ジョセフ「忍君や。ここにおる者達は?」
忍君の店には友人らしき人間が何人か集められておった。
忍「あちしの親戚や友人達よ。伊集院家や古式さんのピンチと聞いて集まってくれたのよ」
好雄「早乙女好雄って言うんだ」
忍「好雄は情報収集のエキスパートよ。特に女の子に関する情報収集能力に関しては好雄の上を行く者を見た事が無いわね」
レイ「彼の腕は確かだ。何せ超一流のセキュリティで守られている僕の事まで調べあげたのだ」
好雄「伊集院……お前、なんで今さら男装してるんだよ…」
レイ「このメンバーが集まるならば、この方が余計な気を使われなくて済む。何より、僕の気が楽だ」
完璧な男装じゃな……。ワシが若い頃にやった女装とどちらが上じゃろうか……。一度勝負してみたいわい。
天の声『比べるまでも無いわ!』
それにしてもそれは凄い。伊集院家の長女はしきたりにより、成人するまでは男として周囲に溶け込まねばならず、SPW財団の情報網をもってしても伊集院レイが女性であったことなど知らんかったのじゃ。その徹底ぶりは実の妹であるメイ殿すら知らされておらん程じゃ。その情報セキュリティを突破するとは……この男、ただ者ではないな……。
好雄「で、こいつが俺の親友の
忍「あちしの従姉の旦那でもあるわ」
公人「高見公人です」
言葉少なげに言って黙る公人君。なんでも
詩織「私は忍君の従姉の詩織です」
静が将来成長すれば彼女のようになるやもしれんのぅ。彼女と公人君は皐月議員方面から政治的に働きかけをしてくれるということじゃ。
なんでも皐月議員の娘さんは公人君と詩織君にすごくなついているのだそうで、彼らの協力は非常に有効なのじゃとか。
他にも忍は何人かの高校時代の関係者に声をかけており、その顔の広さに度肝を抜かれたものじゃ。
穂刈純一郎
現役時代は高校剣道界のホープと呼ばれ、現代の柳生十兵衛と呼ばれているとか。
穂刈茜
純一郎の妻で怪力の持ち主。昔は東京一円の高校をしめていた伝説の番長の妹であり、今でもその影響力があるのじゃとか。そして彼女自信も波紋の戦士並の力を持っていた。
そして兄の部下だった四天王と呼ばれる当時の番長もおるらしい。
また、彼女の兄の後を継いだ古賀良平という男もおった。
伊集院メイ
伊集院家の次女。電脳のエキスパートであり、ハッキングもお手のものじゃ。
そして……財団すら目を付けた存在がここにおった。
紐緒結奈
科学部門に関しては右に出るものはおらぬ存在じゃとか言われておる。
人型機動兵器を既に独学で開発をしており、かつては世界征服を目指しておったのじゃとか。
彼女から言わせれば上には上がおるようじゃが、驚くことにそれは高見詩織ちゃんのお姉さんらしい。彼女にこてんぱんにやられた結奈は世界征服を諦めたのじゃとか。
その結奈が言ってきた。
紐緒「スタンド使いを生み出す矢……と言うのを見せては貰えないかしら?」
結奈はあの弓と矢に興味を持ち、貸してくるように言ってくる。
ジョセフ「あれをどうする気なのじゃ?」
結奈「ジョースター家が相手なのならば、きっとスタンド使いが襲ってくる可能性もあるわ。そうしたら、私達では手に負えない存在が出てくる可能性もあるじゃない?だから研究するのよ。スタンド使いに対抗する手段を、スタンドに頼らない方法で……」
どうするつもりなのか興味を持ったワシは、承太郎に連絡して持ってくるように言う。
これが、画期的な物を生み出すことになろうとは、ワシは夢にも思わなかった。
ジョセフ「それじゃあ、すまんが各々方……頼んじゃぞ?」
ワシらは協力体制をとって店を出ようとすると……。
忍「待ちなさいよじじい。はいこれ」
忍が渡してきたものは………請求書じゃった。
ジョセフ「ま、待つんじゃ!この値段は何じゃ!」
忍「何じゃって……ここにいる全員分の飲食代よ。あんたの尻拭いの為に集まってくれたんだから、そのくらいは出しなさいよ。当然でしょ?」
Oh my god……
←To be continued
はい、今回はここまでです。
紐緒が開発したものは何でしょうか?
それでは次回もよろしくお願いいたします。