sideジョセフ・ジョースター
東方家リビング
ココ・ジャンボの中
ジョルノ「忍さんとは話がつきました。月が明けた頃に何とか予定が空くようです。閣下の方は……あの方はいつでも予定を合わせてくれそうですから大丈夫だとは思いますが」
さすがはジョルノじゃ。
そつがないというか……ジョルノ個人はあまり周囲とは軋轢を作らん奴じゃからな。
ジョルノがそういうのを気にしなくなった時は、牙を向くときじゃ。
ジョルノ「それにしてもジョセフさん。どうして忍さんはああもジョセフさんには当たりが強いんです?八幡達が光さんからの当たりが強いのはわかりますが」
うう~む……あれは完全にワシの過失じゃからなぁ。
下手をすれば日本有数の企業を敵に回しかねんかったからのう……。
静「ジョルノ兄さん。五年前のワシントンで忍さんから聞いたじゃん?忍さんの友達が経営している不動産屋の株に手を出したって」
そうなんじゃよ。ワシは誤ってとある不動産屋の会社株に手を出してしまったんじゃ。
SPW財団とも同盟を組んでいるあの不動産屋の持ち株にのう。
確かあれは日本に移住して、生活が安定してからじゃから………。
sideジョセフ・ジョースター(2009年)
東京
ホリィの家に移住してからはや3年。
会長職も引退し、ワシは暇をもて余していた。
波紋の訓練や各格闘技の修得、最近では本格的なコンバット技術も勉強しておる。
波紋の戦士の身体能力は応用力が高いからのぅ。その能力に任せて様々な技術を修得するにはうってこいじゃ。修得した技術を使っては仗助や静、八幡や小町に伝えておる。
小町…リサリサ先生直伝の波紋の強化は素晴らしい。しかしじゃ、果たしてそれだけで良いのかと言えばノーじゃ。
戦いは能力や力の強弱だけが戦いの全てじゃあない。技術、戦術、機転……それらを臨機応変に使わなければならん。
じいさんやDIOじゃったアイツは、面白いように技術を修得しておる。じきに承太郎を追い越すこともできやもしれんな。
承太郎もそんな八幡に負けんように鍛えておるようじゃし、相互に切磋琢磨出来ればそれで良い。
それにじゃ………今後の事を考えれば……。
ジョセフ「やはり金は必要になるのぅ」
いつまでも財団ありきで資金運用を考えてはいかん。
スピードワゴンのじいさんの遺言でジョースターの為に動く財団。
しかし、財団じゃとていつその遺言を反故にしてもおかしくはない。今でこそジョースター家が経営に携わり、手綱を握っておるから何とかなってはおるが、それもいつまで続くかわからん。
同族経営なんてものは既に時代遅れ。世界的な企業となった財団がいつかはジョースターの手を離れる事を考えると、財団以外の資金運用も考えねばならんからな。
そうなると………
ジョセフ「やはり投資……なのじゃろうな?」
これしかないわい。
ニューヨークの家を売ることも考えたが、どうやらあそこは将来、アメリカに戻った仗助と静が使うようじゃ。
ジョセフ「まぁ、ワシのノウハウがあればすぐに資金を何倍にでもしてみせるわい!ワッハッハッハッ!」
これがトラブルの原因となるとは思わずにのぅ。
数ヶ月後
Sunny Light
ちょいとばかし遠いが、最近出来たシックなこの喫茶店がワシのお気に入りの店じゃ。
本格的な順喫茶とでも言うのかのう。
ワシはハンディ・ノートパソコンを片手にここで投資の作業をしておる。
忍「あらぁ、おじいさん。また来たのぉ?」
ジョセフ「おおっ、マスター。いつものを頼む」
忍「いつものアメリカンね。わかったわ」
この店は本格的なコーヒーを飲ませてくれる。
若者向けのカフェのコーヒーはどうにも舌に合わん。それに対してこの店は本格的で良い。それに、マスターは客に合わせて味を調整してくれるから大したものじゃ。
口調は独特じゃが、中身は一本筋がはいっちょる。
花京院やアヴドゥル、シーザーを思い出すのう。もっちょる雰囲気もただ者じゃあない。上手く隠してはおるが、それなりに修羅場を潜っておるようじゃな。
それがコーヒーに深い味わいを出ておる。日本の茶でもそうじゃが、こう言うものは人生の深みが出るものじゃ。
ズズ……うむっ!上手い!
カランカラン……
誰か来たようじゃ。開店以来、地道にファンを増やしておるようで、最近では雑誌にも取り上げられておるようじゃから、人が多くなっとる。
日本人はこれじゃから……。まぁ、ここのコーヒーは好きじゃがね。
ホリィ「ここよ、朋子ちゃん。このお店、すごく美味しいんだから!」
朋子「へぇ……中々シックなお店ねぇ。あら?」
忍「あらぁ?聖子さんじゃない!今日はお友達を連れて来てくれたのね?」
ホリィに朋子じゃと?
なんじゃ……知らんかったわい。ホリィもここの常連じゃとは。
朋子「あなた………どこかで見た気がするけど……どこだったかしら?」
忍「???いいえ?初対面よ?」
朋子「そう……おかしいわね……どこかで見た気がするんだけど………」
ホリィ「雑誌とかじゃない?最近流行ってるのよ!」
朋子「うーん………そういうのじゃあ無いのよねー。ねぇマスター。出身は?」
忍「生まれも育ちもここよ。ひびきの市」
朋子「うーん………違うかぁ………」
二人はワシに気が付かずに雑談をしておる。まぁ、もうちょっとで気がつくじゃろ。ん?この会社……確か康一君や八幡達が攻めておる千葉の建設会社か……。
どれどれ。ワシからも株式の方面から攻めてみるかのう?
朋子「あなた、お名前は?」
忍「あちし?あちしは藤崎忍よ」
朋子「藤崎?……藤崎、藤崎………ああーー!」
カチッ!
急に大きな声を出すんじゃあない!クリックを押してしまったじゃあないか!
ううん?さっきの会社の名前、こんな名前じゃったかのう?古式不動産……?はて……古式……古式。
これも聞いたことがあるから、間違いないじゃろ。
朋子「ねぇ、藤崎忍君。あなた、東方って名字に覚えはない?」
忍「東方?ええ。知ってるわよ?もう何年も連絡が無いけど、東方仗助っていう東北のダチがいるわ。確か杜王町だったかしら?」
なにぃ!仗助の友達じゃと!?世の中狭いものじゃな。
朋子「やっぱり!あたし、東方朋子。仗助の母親よ、見覚えあると思ったら、写真つきの年賀状の子だったのね!」
忍「あらぁ!そうだったの!?へぇ、仗助のお母さんだとは気が付かなかったわ!」
朋子「で、こっちは仗助のお姉さん。まぁ、あたしの子じゃあなくて、本妻の子なんだけどね」
忍「聖子さんが仗助のお姉さん?え?でも……明らかに朋子ちゃんよりも年上のような………仗助の父親って誰なのよ」
済まん………ワシじゃ………。
ジョースター家を一人で複雑にしてしまっておる元凶なんじゃが………なんじゃこれは。一気に立場が悪くなって来たのぅ………。
光「あっ!おじいさん、今日もいらしてくれたんですか?もうすっかり常連ですね!」
奥から忍君の奥さん、光ちゃんが出てきた。
朋子と同じく、学校の教師のようなのじゃが、今は産休に入っておるようで、調子が良いときは旦那さんの手伝いをしておる。
朋子「あら?藤崎先生じゃない」
光「あっ!東方さん!」
忍「知り合い?」
光「うん!教育委員会の人で、お世話になってるんだ」
朋子「あたし、今は東京の教育委員会で働いているのよ。藤崎先生は前にちょっとトラブルがあったから、その時にちょっとね。本当に世の中狭いわね。ホリィ姉さんが連れてきた喫茶店のマスターが仗助の友達で、その奥さんがあの藤崎先生だなんて」
光「私もビックリですよ!」
本当に世の中狭いものじゃ。
朋子「…………ところで、さっきから気になってたんだけど………ジョセフ……よね?そこにいるの」
ん?やっと気がつきおったか。
気がつかれたく無かったのじゃが、同じ店内におったのなら仕方ないのぅ。
忍「あら?おじいさんも知り合い?」
朋子「そこのジジイがあたしの内縁の旦那。仗助の父親よ」
ホリィ「あらぁ!パパまでこの店に来ていたのね!」
忍「あら……おじいさんが仗助のお父さんだったのね?本当に世の中………え?聖子さんのお父さん?若くないかしら!?」
波紋の修行を再開したからのう。今ではエジプトに行った頃くらいまでには若返っておるわい。
ジョセフ「ジョセフ・ジョースターじゃ。まぁ、ホリィと仗助の……父親じゃ」
忍「へぇ………仗助とあちしは同い年よ?と言うことはジョセフさん……あなた………」
忍君は呆れた視線をワシに向けてきよる。
ワシと朋子、仗助親子の関係を知ると皆がそうじゃから慣れておるが、肩身が狭いのは変わらんわい。
朋子「最近、昼は書斎にいないからどこに行っているかと思えば……こんなところにいたのね?」
ジョセフ「旨いコーヒーが投資のパワーになるからのう!今も康一君の手助けをしておったところじゃ!ほれ、見てみい!」
ワシはパソコンのディスプレイを皆に見せる。店の従業員であるボブカットの子もじゃ。
朋子「あれ………確か圧力をかけている仗助から聞いた汐華に関係する建築・不動産会社って……雪ノ下とかいったはずよね?買い取った株式……違う会社よ?」
な、なんじゃと!
夕子「えっと………古式……不動産……!?こ、これってゆかりの実家の会社じゃん!」
従業員な朝日奈夕子さんが驚いた声を出す。
忍「く、く、く………クソジジイ!なんて事をしてくれるのよ!かなりの株式を買い占めているわ!下手をしたら経営に口出しをできるレベルの!」
光「あぁーー!たしか古式さん、前に言ってたよ!アメリカの大会社と提携できたから、さらに経営が楽になったって!それがジョースター不動産……SPW財団だって!」
忍「………ジョースター不動産……確かこのジジイの名前もジョースターだったわよね………そう、このジジイ、同盟会社を乗っ取ろうとしていたのね…。あちし、康一と古式不動産、それに伊集院グループとの橋渡しをしたのよ……あちしのメンツまで見事に潰してくれたわけね………さぞかし愉快だったでしょうね?顔に泥を塗った相手の店の常連としてほくそ笑みに来るなんて…許せないわ。例えあんたが仗助の父親でもね……」
ジョセフ「ち、ち、違うんじゃ!ちょっと間違えただけなんじゃ!ワシにそんな気は全く無かったんじゃ!」
忍「ちょっと間違えたとか言うレベルの問題じゃないでしょ!あんたが買い占めた株式、それで済むレベルじゃないわ!どう責任取るつもりよ!売れば良いとかのレベルじゃないのよ!あんた自分の立場がわかってるんでしょうね!元SPW財団の会長が買い占めた株を売る!それは古式不動産に価値が無いと誤解される話なのよ!わかってるの!?」
そ、そうじゃった!引退したからすっかり自分の立場を忘れておった!
忍「これは大変な事になるわよ……ジジイ。あんたは伊集院グループにもケンカを売ったのよ?日本で伊集院家にケンカを売る意味、わかってるの!?商売出来なくなるわ!経済の戦争……いえ、下手したら……」
朋子「日本とアメリカの大会社同士の戦争なんてなったら……最近では次期大統領とも噂されているファニー・ヴァレンタイン上院議員(第2章前なのでまだ仲間ではない)まで日本潰しを始めるわ…」
忍「それで済む話では無いわよ。非公式ながらもSPW財団と伊集院家は警備会社の名を隠れ蓑に私設軍隊を持っているわ……更に古式不動産の社長もヤクザ顔負けの武闘派で、SPW財団はパッショーネというヨーロッパの武闘派ギャングを傘下に収めている……本当の意味での戦争の引き金をこのジジイは引いたのよ!どうしてくれるのよ!ちょっとしたウッカリでダチ同士が戦争だなんて悪夢を起こしてくれちゃって!」
Oh my god!
ワシはなんて事をしてしまったんじゃあ!
←To be continued
とんでも無いことになりました。
どうなるんでしょうか!