やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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ジョセフと八幡の目は何かを見据えている

sideジョセフ・ジョースター

 

ホリィが東方家に来てから、どんどん客が増えてきておるのぅ。

あのホリィがジョースターの母とは……時の流れを感じるわい。

今や家には比企谷家や一色家まで集まってしまっておる。

 

ピンローン♪

 

ん?八幡からメールじゃと?何々?

 

八幡『あの話、進めてるんだろうな?』

 

あの話?なんの事じゃ?

 

思い付かんワシは、そのまま送り返す。すると……。

 

八幡『バッカ!一番重要な事を忘れるんじゃあねぇよ!忍さんの事だよ!忍さん!』

 

忍の?あ…………

 

ジョセフ『すっかり忘れておった!済まん!』

 

八幡『勘弁してくれね?むしろウルフスが現れている今、それが一番重要だからね?わかってる?今日一日何してたの?』

 

文面から八幡の冷たい目と声が浮かぶようじゃわい。

 

ジョセフ『ホリィが来ておって、昔話に華を咲かせておってのう……。済まんかった』

 

八幡『おまっ!そこでホリィさんの名前を出すって卑怯じゃね?ホリィさんを出されたら俺だって何も言えねぇだろうが』

 

八幡もホリィには弱い。

前世の所業で殺しかけたこともあるし、なによりホリィのあの家族愛の強さはついぞ比企谷家や一色家にも影響を与えたからのぅ。

そのうち川崎家や海老名家、花京院家(本家じゃあないぞ?花京院本家は許さん!)をも巻き込みかねん勢いじゃからな。

そのホリィの影響はこの性悪にも及んでおる。

こやつが仲間に対して激甘なのはホリィの影響がかなり強いじゃろう。

 

八幡『とにかくこまめに頼むよ。俺も光さんには嫌われてるとは言わないまでも、良くは思われていないんだから』

 

ジョセフ『それはお前が徐倫をいじるからじゃろ!』

 

どうやればあの奥さんにあそこまで嫌悪感をもたれるか知りたいものじゃわい!

従姉さんや親戚にも良く思われておらんしのう。

いろはに感謝せい。お前さん、忍の町や隣町の学校に行っておったら、間違いなく『女々しい野郎共の歌』を歌うことになっておったぞ?

あの辺りから嫌われる=あの町では嫌われていると言っても過言じゃあない。

沙織と忍くらいしか八幡を相手にしてくれる奴はおらん。あの二人は八幡の事を直接知っておるからのう。

 

ジョセフ『仕方ない。今からでもコンタクトを取っておくわい。時間はかかりそうじゃがな』

 

八幡『俺からもアプローチはするが……頼んだぞ、ジジイ』

 

今の意識は皆、ホリィに集中しておる。

今がそのタイミングじゃな。

ワシは隙を見て、ココ・ジャンボの中に入る。

 

ポルナレフ「ジョースターさん?どうしたんですか?わざわざこんなところに」

 

ジョセフ「ちょいと野暮用じゃ。外と連絡を取りたくてな……」

 

ピピッとなっと………。

トゥルルルル……トゥルルルル……

ガチャッ!

 

光『はい、Sunny Lightです!』

 

光ちゃんが出たか……。

光ちゃんの元気な声にはいつも癒されるのう。

 

ジョセフ「光ちゃんか?ワシはジョセフ・ジョースターなのじゃが………」

 

光『あ、久し振りです。忍ちゃんですか?』

 

光ちゃんはワシ自身には普通に接してくれておる。

 

ジョセフ「ああ。そうなのじゃよ。忍君に頼みがあってのう」

 

光『う~ん……どうなんですかね?忍ちゃん、ジョースターさんだけには厳しいからなぁ……それに、今は手が離せないみたいですし……あ、そう言えば今日、珍しくホリィさんやエルメェスさんがいらっしゃらなかったんですけど、何か知りませんか?』

 

ジョセフ「おおっ!皆、杜王町に来ておるからのう。ワシも今は杜王町じゃ」

 

光『あっ!杜王町だったんですか!杜王町といえば康一君や由花子さんの故郷でしたよね?良いなぁ……私も行ってみたいなぁ……』

 

そのまま雑談モードに入ってしまうワシと光ちゃん。

んん?誰かがココ・ジャンボの中に……。

げぇ!ジョルノに静!

静はまぁ構わん!しかしジョルノはまずい!

 

光『あ、丁度忍ちゃんの手があきました!おーい!忍ちゃーん!』

 

忍『はいはーい。どうしたの?誰から電話かしら?』

 

光『えっと……ジョセフ・ジョースターさんから…』

 

忍『またあのジジイ?ホントに何なのよ。良いわ。代わって』

 

こ、このタイミングでか!

 

忍『何よクソジジイ。最近馴れ馴れしいわね。何の用よ』

 

ジョセフ「えっとじゃな……その、例の話をと思ってのう……」

 

忍『例の?何の話だったかしら?』

 

ええい!勘弁してくれんか!ジョルノのいる前でこの話はしたくは無いんじゃ!

 

ジョセフ「あの……君の異世界同位体のいる世界でちょっと用があってのう……」

 

ピクリ……

ジョルノの眉が一瞬だけ動き、そして無表情になる。

 

忍『あら。その件ね?何度頼まれてもノーよ。平行世界の事であちしを巻き込まないで欲しいわ。大体、何であちしなのよ』

 

ジョセフ「その世界には仗助もおるんじゃ。じゃが、その仗助は基本世界以上にワシに厳しくてな……同じ異世界同位体なら君の方が話を聞いてくれるんじゃ」

 

ピクリ……

またジョルノの眉が動く。

 

忍『だったら仗助に頼めば良いじゃない』

 

ジョセフ「奴ではダメなのじゃ!奴は決して関わらせてはならん!ワシらがワシらで無くなる可能性があるのじゃ!」

 

忍『???ますますワケがわからないわね。大体、なんでそんなボカした言い方をしてるのよ』

 

目の前に厄介な奴がおるからじゃ!

 

ジョルノ「ジョセフさん。スピーカーモードでお願いします。さもなくば、これを塗りますが?」

 

キャ、キャロライナリーパー!

バカな!そんなものを使えば目は失明するし、肌が爛れるわい!

 

パシッ!

 

ジョルノはワシから携帯を奪い取る。

そしてスピーカーモードに……Oh……No……

 

ジョルノ「相手は忍さんですか……お久しぶりです。忍さん。ジョルノ・ジョバァーナです」

 

忍『あら、久し振りねジョルノちゃん。千葉村以来かしら?』

 

ジョルノ「ええ。中々顔を出せなくて申し訳ありません」

 

忍『今は千葉に滞在しているのだったかしら?仕方がないわよ。イタリア支部の支部長だったわよね?仗助と同じで忙しいんでしょ?』

 

ジョルノ「ええ。お察しの通りです。ところで忍さん。一つ聞きたいのですが、ジョースターさんはあなたに何の用件で連絡を?八幡も噛んでいるようですが」

 

や、やめろ!喋るんじゃあない!

 

忍『それが変なのよ。平行世界にいるあちしや仗助が関わっているようなのだけれど、その仲介に入って欲しいって。でも仗助や徐倫ちゃんには関わらせるなって…。ジョルノちゃんは何か知っている?』

 

ちらり。

ジョルノはワシを一瞥してから答える。

 

ジョルノ「レクイエムに関わる何か……としかわかりませんね。忍さん。僕が聞いておきますので返答は保留していて貰えませんか?納得がいったのならば、僕から連絡を入れますので」

 

く……ジョルノに知られてしまったか……。じゃが、ジョルノであって良かったと思うべきか……。

 

忍『了解よ、ジョルノちゃん。そこのジジイや八幡ちゃんじゃ信用できないけど、あなたなら信頼できるから。じゃあ連絡を待ってるわね?ジョルノちゃん』

 

ツーツーツー……

電話を切り、ジョルノがワシに向き直る。

 

ジョルノ「さて。教えてもらいますよ?ジョセフさん。一体、あなたと八幡が何を考えているのか」

 

ポルナレフ「私もです。ジョースターさん」

 

静「ここまで来たら、隠し事はなしだっつーの。わかってるよね?パパ」

 

仕方がないのう。

 

ジョセフ「きっかけはお前さんじゃよ。ポルナレフ。お前の矢に関するレポートとお前さんのレクイエムじゃ」

 

ポルナレフ「私のレポートとレクイエム?」

 

そう。スタンドの矢とは何か……。

宇宙から飛来し、宇宙ウィルスを含んだ隕石から作られた矢。

宇宙ウィルスに冒された者は、適正がある者はスタンド使いとなり、無いものは宇宙ウィルスにより死んでしまう。それがスタンドの矢じゃ。

 

ジョセフ「ポルナレフはウイルスを克服したものは、スタンド使いとなるのはご褒美として解釈したようじゃが、ワシと八幡はそうは考えておらんかった」

 

ポルナレフ「ジョースターさんは私が導いた結論に待ったをかけた……そう言うことですか?」

 

ジョセフ「そうじゃ」

 

ジョルノ「それは何故ですか?大筋には合っていると僕は考えています。それがご褒美ではないとするならば、何だと考えているのですか?僕には理解出来ない」

 

これを言えば理解できるかも知れんな。

 

ジョセフ「ポルナレフのシルバー・チャリオッツ・レクイエムに関するレポートが考察のきっかけじゃ」

 

ポルナレフ「チャリオッツ・レクイエムの?あの近くにいる者と魂を入れ換える能力……がですか?」

 

ジョセフ「覚えておらんか?シルバー・チャリオッツ・レクイエムは………」

 

ワシはそれを説明する。

レクイエムは果たして味方なのか?

レクイエムの目的は………。

真実のその先にあるものは一体何であるのか…。

ウルフスとは一体何であるのか……。

スタンド能力とは、スタンド使いとは……もしかしたのならば………

神とは何なのか……。

ワシと八幡は密かにその事を疑問に思っていた。

そして互いの考えを擦り合わせ、仮説を立てた。

仮説が正しいのならば……。

 

ジョセフ「そして八幡は仮説の果てに結論を出した。真実の先に向かう人類の到達点では、踏み台にこそなれ、自分では無いと。八幡はとあるロボットアニメを例に例えてワシに言ったんじゃ。自分では能力を持った旧人類に過ぎないと」

 

静「ハッチは言っていたね……ア○ロとシャ○だと」

 

そうじゃ。

今のままでの八幡やワシらでは、レクイエムの目的が仮説の通りならば……。行きつく先はウルフスのそれじゃと考えている。

現段階でのワシら人類では……。

 

ジョルノ「そこで目を付けたのが葉山ですか」

 

ジョセフ「正確には葉山の思考じゃな。葉山のポリシーは青臭い。青臭くはあるが、その青臭い考えに到達してこそ、そこに行くべきなのじゃと八幡は考えた」

 

そうでなければ……自滅する。

現にスタンド使いの大半はそうじゃろう。それは石仮面を被った吸血鬼や柱の一族もそうであると言える。

その為の下地がまだ人類には出来ておらんのじゃ。

 

ジョルノ「その考察はわかりました。確かにただのレクイエムキャリアでは……現段階の我々人類では無理でしょう。それで何故忍さんなのですか?その忍さんや仗助さんの世界には何があるのですか?」

 

ジョセフ「似たような物は多々ある。じゃが、もっとも似たような物があるのは、その世界なのじゃ。シルバー・チャリオッツ・レクイエムが強制的に成そうとしたものにそっくりな物が……その世界にはある。ワシらはそれを研究しておる者から話を聞きたいんじゃ」

 

静「それは一体………」

 

ジョセフ「ーーーーーじゃ」

 

ジョルノ&静「!!!」

 

この世界の創作にもあるその力。

奇しくもその平行世界の忍と仗助は、最もそれに魅入られたものと成り代わっておることを閣下から聞いた。

その創作の主人公であるーーーの立場に仗助が、ーーーの立場に忍が……。

それは丁度、レクイエムに魅入られた八幡や静に似ておるように思えた。

じゃから、ーーーーーを知ることで、もしかしたら何かがわかると考えたんじゃ。

 

静「ーーーーー……。とんでもないものに目を付けたね」

 

ジョルノ「……しかし、何故それに仗助さんや徐倫を遠ざけようと?ジョースターさん。あなたはユニコーンとの戦いの時にあなたは言っていましたね?二人に『レクイエムを使うな』………と。あなたと八幡は二人のレクイエムに目星を付けている。そしてそれは……とても危険なものであると考えているのではないですか?」

 

覚えておったか……。

 

ジョセフ「その通りじゃ。ワシらは二人のレクイエムは、ワシらが危惧しておる能力では無いかと考えておる。それは、チャリオッツ・レクイエムがやろうとしておった………まさしくーーーーーと同じ物であると考えておるんじゃ」

 

ポルナレフ「まさか……いや、考察するに値する内容であるのか……たしかに、あの時レクイエムは……」

 

ジョルノ「あれが続いていたならば………確かにふざけて考えているわけではなかったようですね。閣下がレクイエムを研究するために、平行世界を漫遊させていたのも……」

 

そうじゃと考えておる。

もしかしたならば、それはオーバーヘブン以上に危険なものじゃ。じゃから閣下は手間でも平行世界の移動に関してはワシらに好き放題させていたのじゃろう。

 

ジョルノ「協力します。ジョースターさん」

 

静「私も。まったく……とんでもない事を結論付けて」

 

ふぅ。説得は上手くいったか。

そう言えば忍と言えば……。

 

←To be continued




はい。今回はここまでです。

ーーーーーについては現在はまだ伏せておきます。
ピンときた方もいらっしゃるとは思いますが。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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