やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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ある意味ではタイトル詐欺かも?


聖女の抱き付き

side静・ジョースター

 

私達がトラサルディから帰って来た少し後。

東方家に帰って来たのは私達一行。マーチはめぐり先輩の事をハッチやイーハに報告する為にホテルへ、露伴先生とめぐり先輩、材木座、由比ヶ浜は露伴先生の家へと戻っていった。

私も露伴先生の家へ行っても良かったけれど、もうじきこの家に大事な人がやってくる。

とても……とても大事な人だ。

 

ピンポーン

 

家の呼び鈴が来客を伝える。待ち人きたる……だね。

 

朋子「仗助、静。あんた達が迎えに行きなさい。しばらく会ってなかったんでしょ?」

 

仗助「おう。分かってるよ。今行くぜー!」

 

お兄ちゃんと私が玄関へと向かう。玄関の扉の向こうでは相手が今か今かとソワソワした感じで待っている。凄く楽しそうに……そして少し怒っているような感じで。

 

ガチャッ!っとお兄ちゃんがドアを開けると……。

 

「仗助ぇぇぇぇ!久しぶりねぇぇぇぇ!ンチュー」

 

相手の女の人がお兄ちゃんがドアを開けるなり、抱きついてお兄ちゃんの頬にキスをする。

え?女の人がお兄ちゃんにキスをしても嫉妬しないのかって?

しないよ?するわけ無いじゃん?だって………

 

仗助「悪いな姉貴。しばらく会いに行けなくてよ」

 

ホリィ「ホントよ!東京と千葉は近いのに……あんまり会いに来てくれなくて凄く寂しかったんだから!」

 

お兄ちゃんに抱きついているのはホリィお姉ちゃん。空条ホリィ……旧姓ホリィ・ジョースター。

承太郎おじさんのママだ。

ホリィお姉ちゃんはスージーのママのように天真爛漫な性格で家族が大好き。家族の家族も大好きで、会うと必ず熱烈なハグとキスをしてくる。

もう70にもなるのにいつまでも心は若いお姉ちゃんだ。

 

仗助「姉貴も元気そうで良かったぜ」

 

お兄ちゃんも笑ってホリィお姉ちゃんの頬にキスを返し、頬を合わせる。

アメリカ生まれのアメリカ育ちなお姉ちゃんはこうした挨拶が当たり前だ。承太郎おじさんは「いつまでも子離れしないお袋だぜ……」と言っていて、そうした挨拶はしないけど、お兄ちゃんはお姉ちゃんに合わせて喜んでそうしている。

ホリィお姉ちゃんはそれが凄く嬉しいみたいだ。

 

ホリィ「嬉しいわ仗助。承太郎はそういうの嫌がるからとても寂しいの。仗助はこうして返してくれるから本当に嬉しいわ………」

 

家族が大好きなお姉ちゃんは本当に嬉しそう。たっぷりと1分はお兄ちゃんを堪能するホリィお姉ちゃん。次は私を見付けて………

 

ホリィ「静~~♪」

 

静「お姉ちゃん。久しぶり」

 

ガシッ!と抱き付きお兄ちゃん同様の熱烈なハグとキス。仕方ないなぁと思いつつも、家族の温もりというのがしっかりと感じることが出来るので私も嫌じゃあない。それどころか凄く幸せだ。

 

静「ほら、お姉ちゃん。上がって上がって?中でみんなが待ってるよ?パパもエンポリオも」

 

ホリィ「そう?それじゃあ遠慮なく上がるわね?」

 

お姉ちゃんは靴を脱いで上がり、まずはおじいちゃんの部屋へと行く。

仏壇は東京にもあるし、お姉ちゃんの事だから当然出掛ける前にも拝んで来たんだと思うけど、それでもきちんと東方家の仏壇も拝んでくれる。

 

ホリィ「良平さん。いつも可愛い弟や妹を見守ってくれてありがとう。これからも二人を見守ってね?」

 

朋子ママと同世代だからさすがにお姉ちゃんもおじいちゃんをおじいちゃんとは呼ばないよね。良くておじさんかな?

 

ホリィ「さ、みんなに会いに行きましょ?楽しみね?」

 

お姉ちゃんは凄く楽しそうだ。それはそうかもね。今はハッチもいないし……。

 

ホリィ「雪乃ー!」

 

雪乃「ホ、ホリィおばあさま!お、お久しぶりです!」

 

上機嫌の理由はやっぱり雪ノ下か。

エンポリオのお嫁さん候補として一番雪ノ下を推しているのはお姉ちゃんだもんね。

お姉ちゃんは雪ノ下のところに真っ先に駆け寄り、抱き付く。そして雪ノ下の頬にもキスを落とす。

元気だなぁ………。

 

ホリィ「ふふふ……♪おばあさま……良い響きよ?雪乃ちゃん♪ジョースター家の家族になってくれたそうね?どうせなら本当の家族になっても良いのよ?ねぇ?エンポリオちゃん♪」

 

雪乃「おばあ様!」

エンポリオ「グ、グランマ!」

 

エンポリオも雪ノ下も顔を赤くしてお姉ちゃんに抗議する。二人ともバレバレだから……。

でも雪ノ下……同級生が将来の大叔母になるよ?

 

ホリィ「あらあらカワイイわね?頑張りなさいよ?エンポリオちゃん?」

 

エンポリオ「グランマ……ちょっと……止めてよ……」

 

ホリィ「冗談よ。エンポリオちゃん。さぁ、おばあちゃんにハグしてくれる?」

 

エンポリオ「もちろん」

 

エンポリオはお姉ちゃんにハグをし、お互いの頬にキスをする。

今、エンポリオはお姉ちゃんの家にホームステイをしているので、これは毎日の儀式だ。するとお姉ちゃんはニッコリと笑って………

 

ホリィ「今なら雪乃の残り香が付いているわよ?あ、おばあちゃんの匂いが余計かしら?」

 

エンポリオ&雪乃「!!!!!」

 

お姉ちゃん……悪意が無いだけ余計に性質が悪いよ?二人とももうメンタルが限界だから……。

やめてあげて!二人のライフはもうゼロよ!ってやつ?

 

ジョセフ「ホリィ……ええ加減にせんか。ほれ、ハグ待ちの者がしびれを切らせておるぞ?」

 

ホリィ「それもそうね?次は………」

 

お姉ちゃんは早速次のターゲットを見付けてそこに向かう。次のターゲットは………

 

三浦「え?ホ、ホリィさん?な、何であーしまで?」

 

ホリィ「あら?だって優美子はあの承太郎を助けてくれたアヴドゥルさんでしょ?こうしてゆっくりとお話をする機会が今まで無かったから、嬉しいわ……。是非とも一度、こうして挨拶をしたかったのよ。優美子」

 

三浦「ホリィさん……」

 

お姉ちゃんは三浦を優しく、そしてしっかりと抱く。

 

ホリィ「承太郎と姫菜ちゃんの事……お願いね?」

 

三浦「花京院はホリィさんの事を理想の恋人…そしてお嫁さんだと言っていました。ホリィさんと家族になれれば、本当に幸せだと思います」

 

ホリィ「そう。それは嬉しいわ。でもね?優美子。あなたも私にとっては孫娘みたいなものよ?だって、徐倫の生徒なんだもの……好きなだけ甘えても良いのよ?」

 

三浦「あ、ありがとうございます」

 

三浦は照れ臭そうに笑う。

あの三浦が……ねぇ。

そして次は………

 

ホリィ「ジョルノ!トリッシュ!」

 

ジョルノ「お久しぶりです。ホリィ姉さん」

 

トリッシュ「お久しぶりです。ホリィお姉さん」

 

当然、パッショーネの二人にもハグをするお姉ちゃん。相手がギャングであろうとも、家族であることは変わらない。家族であれば相手の素性がなんであれ、愛を持って接するのがお姉ちゃんだ。

一方でジョルノ兄さんはお姉ちゃんを姉さんと呼ぶ。私は覚えていないけど、最初に出会った時、『ホリィさん』と呼んだら、他人行儀で寂しいとお姉ちゃんがぐずったからだとか。さしものジョルノ兄さんもお姉ちゃんには弱いらしい。

 

ホリィ「子供はまだかしら?私、あなた達の子供の顔を見るのが凄く楽しみなのよ!」

 

ジョルノ「残念ながら。でも、授かれば必ずお知らせしますよ。ホリィ姉さん」

 

ホリィ「ホント?嬉しいわぁ。楽しみにしてるわね?」

 

実のところ、ジョルノ兄さん達は当面、子供を作る気は無いのだとか。

常に狙われているパッショーネのボスとその妻であることや、トリッシュ姉さんが芸能人であることもあってか、その辺に関しては非常に気を使うらしい。

だからお姉ちゃんには頑張っているけど子宝にはまだ恵まれていない……そういうことにしているのだとか。

次にお姉ちゃんは鶴見親子をハグする。

何で鶴見親子を?と言えば忘れないで欲しい。鶴見先生はうちの学校の家庭科教師。つまり徐倫お姉ちゃんの先輩にあたる。

お姉ちゃんにとっては孫の同僚だ。そして妹の教師でも在るわけだし。

この場にいる。それだけでもお姉ちゃんにとってはハグする理由なんだって。

 

鶴見先生「あ、あの……空条先生のおばあ様?」

 

ホリィ「鶴見先生。徐倫の面倒を見て頂いてありがとうございます。それに、妹の静や私達の家族の事も……今後も温かくご指導をお願いします」

 

留美「これは………ジョルノが気を遣うだけある。これが母の温かさ……」

 

鶴見先生「留美?ママはここにいるからね?でも、この包容力は凄い………母とはこうあるべきなのかしら…」

 

わかる……わかるよ?鶴見先生……。

お姉ちゃんの包容力はホントに逆らえない…。

どうやったらパパからこんな聖母のオーラを持つお姉ちゃんが生まれたのか……。

ホント、どうしてジョースター家の大半が不良化するんだろうね?少しは私を見習ってほしい。

 

天の声『下手なヤンキーよりも性質(たち)が悪い自覚はねぇのかよ!』

 

そして………

 

ホリィ「パパ?朋子ちゃん?うちにはいつ、帰ってくるのかしら?私、凄く寂しいわ?」

 

最後にお姉ちゃんは朋子ママとパパに抱き付く。

もう千葉に仮住まいして半年。孫のエンポリオがいるとは言ってもそれはそれ。お姉ちゃんとしては早く帰って来て欲しいのだろう。

 

朋子「ごめんなさいね?ホリィ姉さん。とりあえずあたしの契約は今年度一杯なの。終わったら東京に帰るから、それまでは寂しい思いをさせてしまうけど。必ず帰ると約束するわ」

 

ジョセフ「なんじゃホリィ。もう完全におばあちゃんじゃと言うのに、まだ親離れ出来んのか?仕方がないのう?」

 

うん。端から見てるとどっちが親なのかわからないけどね?パパ、若返りすぎ……。あれを使った場合はパパの方が孫に見える。

 

ホリィ「もう!パパのバカ!寂しいのは寂しいんだから仕方がないじゃない!」

 

そうしてお姉ちゃんは一同を見渡す。

 

ホリィ「増えたわよね……家族が……。ここにはいないけど、孫の徐倫にジョナサンおじいちゃんやエリナおばあちゃん……リサリサおばあちゃんや陽乃ちゃん……姫菜ちゃん、スージーのママに川崎さん……比企谷さんに一色さん…花京院さんに海老名さん…徐倫の生徒達のみんな………」

 

お姉ちゃんはそう言って嬉しそうに笑う。

何度も言うけど、お姉ちゃんは家族が大好きだ。

家族の家族も大好きだ。

家族の関係者も家族と同じように扱う。

ジョースターの現在の母は、間違いなくお姉ちゃんだと断言できる。

空条・ホリィ・ジョースター……。その存在が表に出ることは決してない。

だけれど、私達には絶対に欠かせない人だ。

お姉ちゃんは私達が戦いに身を投じる事には反対なのだろう。

でも、その哀しみを押し隠して笑顔でみんなを見送ってくれる。

ホワホワなお姉ちゃん。決して戦いには向かないお姉ちゃん。だけどもその芯はとても強い。自分の苦しみは絶対に表に出さない。

お姉ちゃんに一番会いに行っているのは実はイーハ。

イーハは時々お姉ちゃんの様子を見に行き、そしてエメラルド・ヒーリングを施してから帰っている。

いつまでもお姉ちゃんが元気でいられるように。

 

いろは「ホリィはがんばり屋さんですからね。病気とかになっても決して表に出しませんから。だから心配なんですよ。ナイチンゲールに感謝です」

 

とはイーハの言。

私も同じだ。お姉ちゃんにはいつまでも元気にいて欲しい。そして、イーハの前世やスージーのママのように、家族に囲まれて天国へと行ってもらいたい。

それが私達の願いだ。

 

雪乃「そう言えばホリィおばあさま」

 

ホリィ「ん?なにかしら?雪乃ちゃん?」

 

雪乃「今でこそ、1つの家族として姉弟がまとまっていますけど、元々は別々だったのですよね?」

 

ホリィ「そうね。仗助の事がわかったとき、うちは大変だったわ?ママがカンカンだったし、さすがの私もプンプンだったわ~」

 

ジョセフ「………雪乃よ。それは今さら蒸し返さんでもええじゃろ……」

 

まぁ、それがあったからこそ私の今があるんだけどね?

 

雪乃「聞かせて頂いてよろしいでしょうか?仗助兄さんやホリィおばあさまが初めてお会いした日の事を。この杜王町に来てからは、出会いの話がたくさんありました。ですから、その時の事も私は知りたいのです」

 

そうだね。雪ノ下は知りたいんだね。家族達の過去の事を。3世代兄弟姉妹と言われる私達も……最初はバラバラだった。

バラバラだった私達も、今は揃っている。だからそれにほ当然ながら、出会いもあった。雪ノ下はそれを知りたい。家族の出会いを……。

今回の杜王町はそういう話に溢れている。

 

ホリィ「ダァメ」

 

お、お姉ちゃん!?まさかの拒否!?どうして!?お姉ちゃんらしくない!

 

ホリィ「『聞かせて頂いてよろしいでしょうか?』だなんて他人行儀な悪い子には教えません!家族として、ちゃんと言ってくれないと!」

 

拒否の理由はお姉ちゃんらしい理由だった。

 

雪乃「うっ………ホ、ホリィおばあさま……」

 

ホリィ「やり直し」

 

雪乃「ホ、ホリィおばあちゃん……」

 

ホリィ「なぁに?雪乃ちゃん?」

 

将来的にはそう呼ばれたいからか、おばあちゃん呼びに満足するお姉ちゃん。

 

雪乃「仗助兄さんやジョースターさん達との出会いを教えて……貰いたいのだけれども」

 

ホリィ「まだ固いけど、それはおいおいかな?うん!合格!教えてあげるわよ?雪乃ちゃん♪」

 

……といっても、それほどの事じゃあ無いけどね?

お兄ちゃんにとっては強烈だったかも知れないけど。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。
意表を突かれましたでしょうか?
今回はホリィ、仗助、静の3世代姉弟姉妹編です。

生まれも育ちもバラバラだった三人。
家族として接している現在がある以上、当然ながら出会いがあるはずです。
そして、腹違いや義理とはいえ、家族が大好きなホリィが黙っているはずがない!
そんな三人の出会いを書いていこうと思います。

それでは次回もよろしくお願い致します。

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