今回は歴史が変わったことにより、罰せられるべき存在が一人、無事なままでした。
それを黙って見逃す私ではありません。
奴のザマァの回です。
ではどうぞ。
side空条徐倫
徐倫「やれやれだわ」
あのGDstの決戦から1ヶ月。
あたしは父さんの家(一人暮らしのクセにやけに大きい)の家のリビングの隣の部屋でため息を付いていた。
それはそうだ。今日は大事な日だというのに、何でこんな時に…
八幡「大変だなぁ…お前も」
徐倫「そう思うなら代わってくれる?」
八幡「お断りだ。むしろ今すぐ帰りたいまである。成田までのチケットを頼みたい」
小町「ダメに決まってるでしょ。ゴミぃちゃん。この間のアホのせいで呼び出されたんだから。まったく、何を考えているんだか」
いろは「…まあ、ハチ君
いろは、何か今の『ですしね』の発音がおかしくなかった?
まあ、気持ちは解るわ。
今日は例の決闘が行われる日だ。
そのついでに、先日、八幡がやらかしたアホの一件で呼び出されていた。
幼なじみの内、二人がアメリカに来るのだからという事で、いろはと小町も付いてきていた。
日本は今、ゴールデンウィークと呼ばれるショートヴァケーションらしいわ。
その連休をこのアホのせいで潰されるんだから、嫌味の一つでも言いたくなる気持ちは分かる気がする。
アメリカとの往復だけでも結構な時間がかかるのだから、御愁傷様としか言いようがないわね。
何でも、夜中の3時に(日本時間だと昼間)下らない質問で電話をかけて来たらしく、中途半端な時間に起こされた父さんはそのあと一睡も出来ないで、翌日は寝不足で研究に出掛けたそうだ。
結構神経質な気質の父さんは、イライラが原因で眠れなくなるところがあるから。
それにしても憂鬱だわ、早く終わらないかしら、このバカバカしい茶番。
あたしは現実逃避のためにあれからの事を振り返る。
プッチを倒したあたし達は、その夜に祝勝会が行われた。
それからのあたし達の処遇について、大統領は教えてくれた。
ヴァレンタイン「空条徐倫くん。君の罪状に関しては洗い直した結果、不備があることが発覚した。君の処遇については今後、再度審議を行い、釈放となるだろう。国からの損害賠償金も払われる事になる。なに、多少アラがあったとしても何とかしよう。それが君に対する謝罪だ。大学への復学も果たせるだろう」
あたしの身柄はそのまま仮釈放扱いとなり、ママの所に帰ることができた。
アナスイとエルメェスに関しては釈放は無理だが、刑期は短くなるような措置をしてくれるらしい。
また、例の決闘についてはその時だけ仮釈放が認められ、行われる事になった。つまり今日だ。
父さんとママについては復縁は無理らしい。
承太郎「俺達夫婦の仲はもう修復不可能な程に拗れてしまった。残念だが…。俺との約束を果たしてくれただけでもありがたいと思わなきゃな」
父さんは少し寂しそうに言ったわ。
だけど、あたしが父さんに会いたいと思えばいつでも会って構わないとママが言ってくれた。
ジョースターの人達ともだ。
エンポリオは父さんが引き取る事になった。
ストリートチルドレン扱いだったエンポリオは正式に手続きを終えて、今は空条エンポリオとなっている。
戸籍上ではあたしの義弟ということになる。
エンポリオはプッチとの戦いでは散々世話になったし、あたしの弟になるのなら、これほど嬉しいことはないわ。
頭も良いし、これからのジョースター家の助けになるかもしれない。
???「ですから、こうして謝罪にやって来て、徐倫との復縁を申し込みに来ているんじゃあないですか!」
下らない男のわめき声が響いて、あたしの意識は現実に戻る。
プッチの策略にはまり、保身からあたしを売った男、ロメオの声だ。
正直に言って、何でこんな男に惚れていたのか自分でも不思議に思う。
これだったらアナスイやウェザーの方が何倍も良い男だわ。もうアナスイで良いかも。
少なくとも仗助兄さんと同じリングに立つ資格が与えられた訳なんだし、あの苦しい戦いを一緒に乗り越えた絆がある。
承太郎「しつこいぞ、子供が訳のわからないことを言って駄々をこねるんじゃあない。ロメオ君と言ったな。大方君は徐倫が私の娘だと知り、財産目当てで再度近付いて来た口なのだろうが、残念だったな。君みたいなタイプの奴は何人も見てきた」
父さんの目がより一層厳しいものになる。
父さん自身も苦労したみたいだからね、ママがジョセフおじいちゃんに認められるまで、かなりの時間がかかったみたいだし。
それに、ジョースター家は家族を第一に考える一族だ。
ロメオのような男が認められる訳がないわ。
ロメオ「ぼ、僕の家だってそれなりの資産家だ!その僕に対してそんな口が…」
承太郎「それは君の力じゃあない。それに、君の家はジョースター家やSPW財団と渡り合う力はあるとは思えないが?」
ロメオ「ジョースター家?…スピード…ワゴン財団…?あの世界的建築業と不動産王のジョースター家と、医学を始め、あらゆる分野で最先端を誇る世界的企業の…そして最近では大統領が直々に同盟関係を結んだというあのSPW財団…」
承太郎「知らなかったようだな。この私、空条承太郎はジョースター家の当主として今は一族を任されている。私も本業は海洋学者として表向きはそっちを肩書きにしてはいるが、経営に関しては私も少しは携わっている。そして先代ジョースター家の当主、ジョセフ・ジョースターが創始者ロバート・E・O・スピードワゴン氏から受け継ぎ、影で財団を経営していたことは財界の人間にとっては常識的な事だ。この私が名誉会長であることもな」
ロメオ「そ、それならば…」
承太郎「次に私は考える。ジョースター家の次期当主を狙う愚か者は多い。君のように。そこで徐倫への政略結婚を申し出る家はかなりいる。私が妻と離婚をし、徐倫の保護権を妻に渡したのはそういう事からも徐倫を引き離す為もあった。そして、次期当主の権利は徐倫やその配偶者にはない。今は直系の人間故に私がジョースター家の当主を務めているが、次期当主は既に決まっている」
ロメオ「な、何!?」
承太郎「仗助、入れ」
そこであたしと一緒に隠れていた仗助兄さんが父さんに呼ばれる。
仗助兄さんが面倒そうに立ち上がる。
仗助「チイッス、東方仗助っす。別によろしくしてくれなくっても良いッスよ、俺もすぐに忘れるんで」
仗助兄さんが適当に挨拶をする。
ロメオ「こ、こんな男がジョースター家の次期当主?何かの間違いでは…」
仗助「こんな男で悪かったっすね?これでもSPW財団の日本支部支部長なんッスけど?」
ロメオ「な………」
仗助「承太郎さんが次に言いそうな事を代わりに言うっすけど良いッスか?」
承太郎「構わない。言ってみろ」
仗助「次に俺は考える。ならば俺を消せば徐倫の配偶者にジョースター家の次期当主が回ってくるとか考える愚か者が出てくる。けれど、徐倫の当主相続権はだいぶ下の方なんッスよ。俺の次の相続権は日本支部副支部長の俺の妹、その次の相続権はイタリア支部の支部長、その次の相続権は日本支部の関東地方支部支部長、その次の相続権は関東支部副支部長、徐倫はそこから更に2つ下。あんたが仮に徐倫と結婚しても無意味なんッスよ。もっとも、徐倫の配偶者にあんたを候補に入れる気はさらさらねえっすけど」
へぇ、仗助兄さん、静、ジョルノ兄さんまでは知っていたけれど、その下は知らなかったな…
あれ?関東支部の支部長と副支部長って確か…
あたしは向かいに座る八幡といろはを見る。
二人とも聞いてないって顔をしているわ。それに、いろはとあたしの間に入る候補って…
小町「多分、お姉ちゃんの次の候補って小町だね…。小町も大分経営に携わっているから…」
うわぁ…そこまで計画が進んでいたんだ…。
フロリダの議会室で八幡がSPW以外の進路を考えた時に全員から突っ込まれていたのってそういう事だったんだ…
八幡「いや、徐倫。おまえも他人事じゃあ無いからな?多分だけど」
…………マジで?
アナスイ「大丈夫だ徐倫。どんなお前でも俺は愛して見せるさ」
アナスイ、それって言外に諦めろと言っているわよ。
ロメオ「僕を候補に入れるつもりはないって…」
承太郎「理由は3つ。一つ、既に徐倫の気持ちが君には向いていないと言うこと。二つ、我々ジョースター家の家訓にはこう言うのがある。個人の主義・主張は勝手だが、許さないのは我々の家族や友人を公然と侮辱するものについてはきっちり殺るべし」
あ、いろはが目をそらした。先月の事件の時に若返るスタンド能力で復活したいろはの前世、エリナ大おばあちゃんが付け足した家訓らしいからね。
まあ、ジョースター家らしい家訓だけど。
仗助「テメェは徐倫を嵌めて刑務所送りにした段階で既にウチにケンカを吹っ掛けたと同然に扱われているんだよ。どこのお坊ちゃんだかしんねぇけど、家訓にそぐわない人間をウチの家系に入れるわけねぇだろうが。ダボかテメェ?」
うわっ!仗助兄さん、既に素が全開になっているよ!
承太郎「ウチは家族の縁を第一に考える家系だ。その為なら命を賭けることも厭わない。平然と自己保身に走った君は、我が家風にはそぐわなすぎる。そして最後の理由だが…」
仗助「オメェ、徐倫を嵌めておいて、このまま家ごと無事で済むとは思ってねぇよなぁ?もうSPW財団の調査で徐倫が冤罪であることは調べが付いてるんだよ。それはもう大統領閣下が直々に承諾されているんだぜ?そろそろ国が動くんじゃあないか?」
ロメオ「な、何だって!?」
承太郎「閣下は国を第一にお考えになられている。自己保身に走る君の家は、いずれ国に背かないとも限らない。私がお会いしたヴァレンタイン大統領閣下はそういう輩には容赦がないお方だとお見受けできた。果たして君は無事でいることが出来るかな?ロメオ君」
父さんの声の冷たさが更に増してきた。
ああ、これは間違いなくもうじき爆発する。
承太郎「わかったらのなら、もう帰るといい。私はもう、君の顔を見るのは耐えることが出来ない。正直に内心を言わせて貰えば、私は君の顔に拳を入れたくて堪らないのだ。君の趣味の悪い車がもっと見れなくなるくらいに趣味が悪くなるな。君の顔面の方が…」
ロメオ「ま、待ってください!それでは余りにも…」
承太郎「聞こえなかったのか?帰れと言っているんだよ。俺の態度が穏やかである内にな」
あ、既に素が出始めている。
仗助兄さんがポキポキと指の関節を鳴らしている音が聞こえる。
八幡達も耳を塞ぎ始めた。
ロメオ「慈悲を!少しでも話を聞いて頂ければ!後悔していたんです!ずっと!」
承太郎「やかましい!つべこべ言わずにとっとと帰りやがれ!俺は見苦しい男は嫌いなんだ!」
ロメオ「ひっ!」
仗助「テメェにはよぉ!覚悟がよぉ!足りねぇんだよ!テメェから吹っ掛けて来たケンカだろうがよぉ!人の家族を冒したんならなぁ!逆にテメェが冒される覚悟くらいはしろよなぁ!ギャグ漫画のような顔に…承太郎さんの言う趣味の悪い顔にされたくなけりゃあよぅ!とっとと出ていけっつってるんだよぉ!黙って出ていけ!この○○無し○○○○野郎がぁ!」
ロメオ「ひ、ひいぃぃぃぃぃぃ!」
父さんと仗助兄さんの一喝をまともに浴びたロメオはほうほうの体で逃げ出して帰って行ったわ。
後日聞いた話だけれども、ロメオの家には警察の手が入り、家業はめちゃくちゃ。
国にとっても痛手では無かったようで、あっさり見捨てられた彼の家は破産寸前にまで追い込まれたとか…。
承太郎「やっと帰ったか…しつこい男だった」
仗助「そうっすね承太郎さん、グレートでしたよ?最後の一喝。さすがは承太郎さんッスね」
承太郎「お前もな、仗助」
八幡「いやぁ、久々にスッキリした。じゃあ、話が終わったところで俺達はこれで…」
仗助「そうだな、八幡。じゃあ、承太郎さん、また日本でお会いしましょう!」
仗助兄さんと八幡がそそくさと帰ろうとするが…
承太郎「まぁ、そんなに慌てて帰る事は無いじゃあないか?仗助、八幡。それに、あの小僧の来客の方がイレギュラーだっただけで、本題はここからだろう?なぁ?」
父さんが二人の肩をガシィ!っと掴む。
八幡&仗助「ダラダラダラダラダラダラ…」(大汗)
そう、ロメオの来客の方がイレギュラーだっただけで、本題はアナスイ、仗助兄さんと親バカを発揮した父さんとの決闘プラス八幡へのお仕置きだ。
静「お兄ちゃん…」(ウルウルウルウル)
仗助「うっ!」
いろは「ハチ君…」(ウルウルウルウル)
八幡「あざとい」
いろは「何でですか!ハチ君のバカ!ボケナス!八幡!」
八幡「おい…八幡は悪口じゃあないぞ」
小町「……ゴミぃちゃん……」
八幡「ゲフッ!」
ズルズルズルズル…
心にダメージを受けた二人は父さんに肩を掴まれたまま廊下を引きずられ、庭へと連れていかれた。アナスイもその後を追っていく。
アナスイだけはヤル気満々だ。
嬉しいんだけどね。
承太郎「なぁ、お前達…ボクシングは好きか?特にコーナーでの駆け引きは…手に汗握るよなぁ?」
仗助「嫌いです」
八幡「右に同じく」
アナスイ「ええ!大好きですよ!」
仗助&八幡『空気を読めよ!アナスイ(さん)!』
承太郎「三人まとめて…かかってこい!オラァ!」
アナスイ「もちろんです!承太郎さん!」
仗助&八幡『ひいいいいぃぃぃぃぃぃ!』
その日、空条家の庭からはスタンド使い達の怒号と悲鳴が1日中響き渡っていた!
なお、結果については二人は父さんに認められ、アナスイは涙を流しながら雄叫びをあげ、仗助兄さんは真っ白な灰になって静にキスの嵐を受け、八幡は庭の隅でぼろ雑巾になって転がされていた。
チーン♪
いろはと小町はその八幡に対して楽しそうに添い寝してホホをスリスリしていた。
何だかんだで二人は八幡が大好きで何よりね。
本当に、ヤレヤレだわ。
←To be continued
はい、第6部が終わった後の承太郎と徐倫を取り巻く環境です。
ロメオざまぁ。
ついでに仗静のその後と、ついでに八幡のお仕置きが下されました。
その後にいろはと小町に添い寝されるというご褒美が待っていましたが、本人に意識がないんじゃ…ねぇ?
それではまた次回もお願いします!