side虹村億泰(現在)
三浦「ホントに億泰さんってバカで鈍感でデリカシーがねーし。手の臭いはわかんないけどさー」
ぐふっ!
若い女の子に……しかもあの当時の京と同じ年代の子に言われるとグサッとくるぜ……。
トリッシュ「そう言えば手が臭いって言ったらミスタも臭かったわね。ワキガもあったし。今でも臭いのかな。今度嗅いでみようかしら」
あー……五年前にマライアの襲撃を受けてミスタに抱きついた時にはやたら香水臭いなぁ…とは思ったけど(第2章参照)、トリッシュに言われたか何かしたんかなぁ。あいつこそデリカシーってものがねぇと思うけど、気にしてっかもしれねぇな。
ジョルノ「トリッシュ。嗅がなくて良いですから。むやみに他の男の臭いを嗅がないで下さい」
わかるぜジョルノ。嫁さんが他の男の臭いを嗅ぐなんて想像したらイヤだよなぁ?
留美「ミスタは普段から銃を使っているから体に硝煙とオイルの臭いが染み付いてる。自分でも気が付かないくらいに。ミスタの手が臭いのはそのせい。ワキガは…そう言えばブチャラティの時はあまり気にならなかったけど、あの世界の時は気になった。あれは女の子からしたら気になるレベル」
御愁傷様だなぁ……ミスタよぉ……。
トリッシュ「そう言えば億泰ってさぁ、クリスタル・クルセイダーズの時は基本的にミスタとコンビを組んでたんでしょ?手が臭いコンビだったのね?ザ・ハンドも臭いのかしら?」
臭くねぇよ!そりゃ京に比べたらくせぇかも知れねぇけどよぉ!やめろよ!手が臭いを連呼するんじゃあない!おまけにザ・ハンドまで臭い扱いするな!ザ・ハンドを見るたびにイヤな気分になっだろうがよ!トラウマになったらどうしてくれる!
あと、何故か知らねぇけど、イタリアのパッショーネで騒ぎが起きてる気がすんのは気のせいか?
sideグイード・ミスタ
イタリア・ネアポリス
SPW財団イタリア支部兼パッショーネ本部
ミスタ「ブエックション!」
シーラ「うわっ!きたなっ!書類に唾が付くでしょ!」
風邪をひいた訳でもねぇのに急に鼻がムズムズしてきたぜ。
なんだか知らねぇけど、誰かが俺の悪口を言っているような気がするのは気のせいかぁ?
あとシーラEよぉ……書類の心配の前に俺の心配をしろよ。
フーゴ「風邪ですか?気を付けて下さいよ?寒くなってきたのに腹を出して寝ているから風邪をひくんですよ」
ミスタ「あ?普段はスーツ着てっだろうが。いつも腹を出しているわけじゃあねぇよ」
フーゴ「私服は全部腹を丸出しにしてますよね?良い年なんですから止めたらどうです?何年使ってるんですか?あの服。ワキガが染み付きますよ?」
シーラ「……………」
スタスタスタスタ………
ピッ!ウィィィィン………
ミスタ「おい、シーラE。何で室内換気扇の強度を上げた?」
シーラ「空気の入れ換え?」
ミスタ「ワキガか!?俺のワキガがクセェからかぁ!?テメェら、ケンカ売ってんだな!?なぁ、そうなんだよなぁ!?」
香水、足りなかったかなぁ……。
フーゴ「気にしてるんならワキガ手術をするなりなんなりすれば良いのに、未だにそのままなあなたの神経が僕には理解できませんね」
シーラ「ワキガと汗と香水の臭いがミックスされて余計にカオス」
よぅし………間違いなくケンカ売ってるよな?これ。
久々に登場したのにこの扱いは酷くねぇか?本城淳よぉ。(メメタァ!)
side虹村億泰(2000年11月)
億泰「それでよぉ………京が言ってた俺の覚悟を試すってよぉ……どういう意味なんだよぉ」
右頬に新しい紅葉を作ってイマイチしまらねぇのを無視して俺は真面目な話を続ける。
那由多「………その前に億泰。私の復讐に手を貸すって言うのは正気なの?普通なら復讐を止めたりとかしない?私は……京は……父親を殺すつもり。あいつはとことんまで下衆よ。あいつを殺すことに……私はなんのためらいもない」
億泰「………他人事じゃあねぇからな。オメェの気持ちはよくわかるつもりだぜ?俺だってそうだったからな」
京と俺の復讐心が同じとは言えねぇ。けど、俺にだってまだ復讐心は燻ってる。
特に今日、あの野郎は…音石明は俺の前に姿を現したからよぉ。
何とか抑えたけど、あの面を見たら……な。
那由多「へぇ?」
億泰「あんな兄貴だったけど……オメェにとっちゃあ真っ先に復讐の対象になる兄貴だったけどよぉ……兄貴は俺にとっちゃあたった一人の兄貴でよぉ。やっぱり俺の憧れだった事は確かだったんだよ。その兄貴は殺された。いつかは報いを受ける……まともな死に方はしねぇ。因果応報だってのはわかってっけどよぉ…それでも感情は納得いかなくてよぉ……兄貴を殺した奴をぶっ殺したくて仕方が無かった……。まだその感情は俺に燻っててなぁ……だからオメェの気持ちはよぉ、少しはわかる気がするんだよ」
わかるなんて言い方は傲慢だ。
復讐をしたい気持ちってのは本人にしかわからねぇ。
俺だってそうだ。俺の復讐心がわかるなんて安易に言う奴がいたら、間違いなくぶっ飛ばしちまう自信がある。
一度は復讐心を持ち、今でも解消出来ていねぇ奴が、他人の復讐を止める権利はどこにもねぇ。
それによぉ………。
億泰「……オメェ、ただ復讐がしてぇだけじゃあねぇよなぁ?オメェの目は……それだけじゃあねぇって目をしているぜ?」
なんつーか、どう言って良いのかはわからねぇんだけどよぉ……そんな暗い理由ってだけには見えねぇんだよ。
身近なところじゃ仗助や承太郎さん、ジョースターさんに通ずる何かがあるって言うか……。
億泰「確か康一が言っていた気がするなぁ……そうだ、黄金の精神……黄金の精神って奴が宿った目……。オメェからはそんな精神を感じんだよ。よくわかんねーけど」
具体的に何が……というのはわからねぇけど、俺は那由多の目からそれを感じる気がするんだ。
那由多「それが何かはわからないけど……そうね。私はただあの男に復讐したいってだけじゃあない。それが根幹であることには変わりはないし、あいつが生きている内は京も私も不幸になるしかないから殺す……というのは変わらない。でも、もうそれだけじゃあないの」
那由多は一息入れて口を開く。
那由多「あの男が京の前に現れた時の会話をしたわよね?精神病院に入院させれられていた……と」
確かに京の過去を話す時、そう言っていたな。
那由多「精神病院に入院させられた患者はね?普通の病院に入院させられた時よりも自由が無いのよ。まるで刑務所のように外から鍵を掛けられ、私物の持ち込みだって満足に出来ない。常に監視されているわ」
そうなのか?良く知ってるなぁ……。
那由多「呆けている場合じゃあないわ。アイツがなんで杜王町をうろついていたの?」
億泰「そりゃあ………誰かが脱走を手伝ったんだろ?」
那由多「それはさっきの説明でも言ったからわかってるわよ。誰かがアイツを何かの目的で脱走させたって。……もう一度言うわよ?刑務所のように厳重なのよ?精神病院って。患者を勝手に外に連れ出すなんて真似が出来る訳が無いでしょ?医師の許可がなければ家族だってそんな真似は簡単には出来ないの。再会したアイツは常軌を逸していた。壊れた精神だった京の目から見ても異常だったアイツを………実の娘をためらいもなく殺そうとしたほど異常な男を……誰がどうやって脱走させたの?普通なら無理よ?」
つまりは………どう言うことだ?
那由多「わからない?スタンド使いの仕業よ。どんな能力かはわからないけど、スタンド使いならばそれが出来る。スタンド使いが何らかの目的でスタンド使いのアイツを利用しようとしてるのよ。スタンド使いであること以外にアイツの使い道なんて無いもの」
スタンド使いだって!?
そうか!スタンド使いなら確かに可能だ!頭良いな、那由多!(お前がボサッとしすぎているだけだ!)
那由多「目的はわからないけど……あんな男を利用しようとしているヤツよ……。その目的がマトモじゃあ無いことだけはハッキリと解るわ。そいつを止めなければ…私や億泰みたいなのが……この杜王町で起きた悲劇がまた繰り返される……そう思わない?」
去年までのような……あの吉良を倒すまでこの町で起きていたような悲劇がまた繰り返されるっていうのかよ…。
兄貴……鈴美さん……重チー……会ったことは無かったけど辻彩さん……琢磨………。あんな事が繰り返される……。
そんな事は二度と御免だ!
もう、この街に承太郎さんはいねぇ……ジョースターさんはいねぇ(いたとしてもあのボケ老人じゃあ頼りになるとは思えねーけどよぉ)……俺が……京の父親とその背後にいる奴を止めなきゃ……誰がこの街を守るって言うんだよ!
それに、たった今、京に誓ったじゃあねぇか。誰も傷つけさせねぇ……俺の目の前で……この町で……あんな悲劇は…あっちゃあならねぇ!
億泰「………わかったぜ。付き合うぜ……守ってやるよ。オメェを……この街をよぉ……それがオメェとの約束だし、誓いだぜ………それによぉ………そんな約束が無かったにしたってよぉ……この街は俺が守るって決めてるんだよぉ……。もう俺やオメェだけの問題じゃあよぉ、ねぇって事なんだよ」
それだけじゃあねぇ。こいつを口にするのはスゲェ恥ずかしいから言わねぇけどさぁ……。もう京や那由多がいねぇ生活ってのがよぉ……退屈なんだよ。那由多は良い女すぎてよぉ、俺なんか相手にされねぇってことくれぇはわかってっからよぉ。こんな事は心の奥底にしまっておくけどよぉ。
億泰「まずはぶどうヶ丘病院だな」
元々噴上から話を聞こうとぶどうヶ丘病院には行こうと思っていたんだ。京との間に何があったかってのをなぁ。それで仗助や康一とで今後の話をしようって考えてたんだよ。
けど、京の……那由多の話を聞いた今となっちゃあ話は別だ。同じぶどうヶ丘病院に行くにしても目的が違う。
那由多「ぶどうヶ丘病院?噴上裕也が入院している?私の記憶が戻ったのに?」
まぁよ、仗助達も本格的に情報を聞くために噴上に会いに行くと思うから、先に噴上に事情を話して誤解を解いておくのもありかもだけどよ。そいつはついでだ。
億泰「オメェらのスタンド……ボーン・ディス・ウェイは京と那由多では細かくちげぇけど、起動するきっかけになった何を閉められたら、強制的にスタンドはひっこんじまうのは同じなんだろ?オメェ、言っていたじゃあねぇか。噴上に助けられた時によぉ、スタンドが消えたって。確か京のスタンドが発動したキーは吉良東が武器にしていたナイフを入れるケースを開けたのがきっかけだったんだよなぁ?んで、オメェのスタンドで吉良東をはね飛ばして気絶させたのも確かなんだろ?」
他に知恵を回せねぇ分よぉ、そーゆー変な記憶力ってのは悪い方じゃあねぇって自負してるぜ。勉強とかには活かせた事ねぇけどよぉ。
那由多「え、ええ。そうだったわ。でも、あの男がそれで死ぬとは思えない。死んでいてくれればそれが一番だけど、何となくだけどアイツは生きているのがわかる。それがどうかしたの?」
ああ、承太郎さんから聞いたことがあったっけ。スタンド使いの肉親同士はそう言うのが何となくわかるってよぉ。
承太郎さんとジョースターさんはそれでDIOの存在を感じ取れたって言っていたもんなぁ。何で仗助の事はわからなかったのかは疑問だけど、それは今はどうでも良いか。
億泰「オメェの能力で気絶してんのによぉ、ナイフのケースが閉じられたってゆーんならよぉ……誰かがナイフケースを閉じたって事だよなぁ?吉良東を最初に発見した誰かか、通報を受けて駆けつけた警察や消防…それか黒幕か……」
那由多「………そうなるわね」
億泰「だとしたらよぉ……普通だったらひき逃げされた人間が運ばれるっつったらよぉ……病院じゃねぇの?」
吉良東を回収したのが黒幕じゃあ無ければ……の話だけどよぉ。
那由多「驚いたわ………あなたにしては冴えているじゃあ無いのよ」
まあな。なんだかんだで仗助とかと一緒にいるとよぉ、そういうので頭を使う事も多いからな。
億泰「という訳でよぉ、行こうぜ?ぶどうヶ丘病院によぉ」
那由多「ええ。頼りにしているわよ?億泰。そして見せて貰うわ。あなたが口だけの男か、そうじゃあ無いかを」
女に頼られるなんてぇのは初めての事だからよぉ。なんかこそばゆいぜ……。
←To be continued
はい、今回はここまでです。
もう少しでドンパチですが、しばらく会話パートは続きます。
ことのほか長くなりましたが、もう少し億泰編にお付き合い下さい。
それでは次回もよろしくお願いいたします。