やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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吉良京の過去

side虹村京

 

結衣「億泰さん……なんかカッコいい………」

 

京「そうね。最初は変な男と思っていたけど、億泰はそんじょそこらの男とは違ったわ……。命のやり取りをしていたからかも知れないわね」

 

だからこそ………億泰に頼りきりはいけないと思った。親友と対立してまで私を信じてくれた億泰の信頼に応えないといけない……私はあのとき、そう思った。

 

京「だから………私は逃げずに自分の記憶を探ることにしたの」

 

雪乃「自分の記憶を……思い出そうとしたのですか?」

 

京「ええ………だって………」

 

そう、あの記憶喪失は………

 

 

side吉良京(2000年11月)

 

京「ぐぅぅぅぅぅ!」

 

億泰「おいっ!無理をするんじゃあねぇ!」

 

頭痛で踞る私を心配し、止めようとする億泰。

だけど、甘えてばかりじゃあだめだ。

私は思い出さなくちゃならない。それが本来の()が拒否したとしても、私は思い出す必要がある。

何故吉良京(・・・)は杜王町のニジムラ(・・・・)を頼ろうとしたのか。何故私はあんなに衰弱していたのか……。そして………

キーン!

 

京「ぐううう!」

 

無理矢理自分の記憶を取り戻そうと頭痛に耐えながら思い出そうとする。

逃げるな(・・・・)吉良京(・・・)()に全てを丸投げして自分が逃げるなんて許さない!逃げるなら……全てが終わってからにしろ!

 

京「私は…………本当の吉良京(・・・)じゃあない!」

 

億泰「お、おい……本当の京じゃあねぇって……それはどういう事だ?オメェは他人になりすまそうとしていたってのか?」

 

違う。()が他人に吉良京になりすまそうとしたんじゃあない!

 

京「………違う…………そうじゃあないのよ……私が吉良京になりすまそうと(・・・・・・)したんじゃあなく、吉良京は………記憶を無くした私という人格を作り出して(・・・・・)自分の殻に引きこもった主人格なのよ………」

 

 

side虹村京(現代)

 

結衣「作り出された人格?」

 

京「そう。億泰と出会った時の私は、過去から逃れようとして作り出された主人格の吉良京から作り出された記憶を失った副人格の私だったの。偶然頭に衝撃を受けた主人格は、これまでの人生をリセットしたくて新しい人格を作り出したのよ」

 

結衣「そんな事って………あるのかなぁ……」

 

エンポリオ「科学的に多重人格症の一例としては証明されているよ。話を聞いていて思ったんだ。京の記憶喪失は本当の記憶喪失とは何か違うって。僕はいくつか仮説を立てていた。一つは最初から京が嘘をついていること。二つは部分的な記憶喪失。そして三つ目は……京がなっていた埋まれた多重人格を操って引きこもるパターン……」

 

そう。偶然にもジョースター家は多重人格症と記憶喪失症の症例には深く関わってしまっている。

 

エンポリオ「程度にもよるけど、本当の記憶喪失は酷いんだ。本能的に持っている歩く、食事する、排泄するとかの一切合切がわからなくなる場合もある。言葉なんかもわからなくなる……まるで赤ん坊のように」

 

雪乃「良く知っているわね?エンポリオ君」

 

エンポリオ「知っているさ……だって、その本当の酷い記憶喪失になった人物を僕は二人、知っている」

 

そう言ってエンポリオ君が『ウェザー・リポート』のディスクを取り出した。

 

エンポリオ「一人は本来このスタンドの持ち主だったウェザー・リポート……。本名、ドメニコ・プッチ」

 

雪乃「プッチ?確かそれって5年前にジョルノ兄さん達が倒し、平行世界でもその世界の私が倒した……」

 

エンポリオ「そう、エンリコ・プッチの弟……それがウェザーの正体だったんだ。ウェザーはエンリコ・プッチのホワイト・スネイクによって記憶を奪われていたんだ。そして……もう一人、その状態に陥った人間がいるんだ……それは………父さん。空条承太郎だったんだ」

 

そう。私もお世話になった人、空条承太郎さん。

あの人が皮肉にも本当の意味での記憶喪失になった。その状態になった承太郎さんを助けたのが私とおなじく虹村形兆にスタンド使いにされ、そして彼を殺した音石明(正確にはFF)だなんて……。世の中何が繋がるかわからないわね。

そんな記憶喪失を知っているエンポリオ君からしてみたら、普通に言葉を話し、普通に家事をして、普通に様々な知識があった副人格の私の記憶喪失なんて疑って当然だものね。

そして……

 

トリッシュ「多重人格症……まるでディアボロね」

 

多重人格症で私達と一番関わりがあるのはパッショーネのディアボロだわ。特にトリッシュはディアボロの実の娘だったものね。

 

三浦「でもさー。そんな簡単に多重人格症なんてなるもんなん?あーし、信じられないんだけど?」

 

エンポリオ「身近にあるものだよ。多重人格症なんてものはね、誰もが起こりうる物なんだ。人間、ストレスがたまれば精神は傷付く。その傷付いた精神が枝分かれして新たな人格が生まれる。普通ならば生まれた新たな人格も元々の人格が飲み込んで副人格は消え、主人格の新たな人間性の一部となって統一されるんだけど、稀にディアボロやみたいに枝分かれしたまま副人格が残るケースも存在するんだ。中には体格とかも人格の入れ替わりと同時に代わってしまう場合もあるんだよ」

 

ジョルノ「ディアボロの件があって調べたら実際のアメリカ犯罪史にもあったんだ。複数の副人格を持った強盗及び強姦犯が裁判で無罪になった例がね」

 

さすがは関わった事があるだけに調べたのね。

アメリカのオハイオ州で起きたビリー・ミリガンの事件は多重人格症……解離性性同一性障害を語る細大の症例として有名だわ。

23の人格を持つ男としてそれぞれが固有の性格を持ち、固有の特技を持つ人格が。

 

ジョルノ「それに、君達はもっと身近な所にその例があるじゃあないか」

 

結衣「もっと身近な例?」

 

ジョルノ「……八幡さ。あれは特殊な例だけどね。2つの魂が1つになるんだ。今の人格に統合されるまでは色々あったんだよ」

 

三浦「…………」

 

留美「…………」

 

転生者達も心当たりがあるのか、押し黙った。

 

雪乃「意外な所で知り合いの名前が次々と出てくるわね。本当に世の中って奇妙……よね」

 

本当ね。本当に奇妙な縁だわ。

今、吉良吉影が事件を起こしたこの杜王町のこの場にはDIOの転生の縁で集まり、その中にはカーズと同じ柱の一族の眷属もいて、ディアボロやプッチの事件を例に出せる症状になった私の話をしている。

 

雪乃「それで……どうなったのかしら?」

 

京「そうね……話を続けるわね?でも……ここからは生々しい話が出てくるけど……我慢できる?」

 

億泰「大丈夫だろうよ。こいつらなら……」

 

そうね。ウルフスなんて普通ならば抗うなんて正気を疑うような物と戦っている子達だものね。

私の身の上なんて……吉良京の過去なんて聞いたところでショックを受ける子達では無いかも知れないわね。

 

 

side吉良京(2000年 副人格)

吉良京の精神内。

 

自分の記憶を取り戻そうと……本来の吉良京の人格を起こそうと頭痛に抗った私は……まるで会議室のような場所に立っていた。

周りには私を囲むように置いてある長机やパイプ椅子があり、私はその中心に立ってスポットライトのような物を浴びている。

どうやらこのスポットライトに立った人格が吉良京の()を操る事が可能なのね。

私は周囲を見渡す。

吉良京(・・・)の中では今、様々な人格が産み出されようとしているのか、黒い靄が吉良京の形を作り出そうと蠢いている。

その中で一人だけ……しっかりと完全な形を持った吉良京がいた。

彼女はまるでスポットから遠ざかるように隅っこで体育座りをし、壁に向かってぶつぶつとうわ言を言いながらクンクンと指の臭いを嗅いでいた。

 

京(副人格)「あなたが……主人格の吉良京…よね?」

 

京(主人格)「…………何で………ここに来たのよ……このまま何もかも忘れて……虹村億泰の所でぬくぬくしていれば幸せだったじゃない……」

 

京(副人格)「そうもいかなくなったのよ。億泰の身の周りで何かが起きている。それには吉良京が関わっている。それが何なのかわからなければ……ぬくぬくする場所を私達は失うわ。あなたなら知っているはずよ?全ての真相を。その記憶が必要なの」

 

すると無気力に主人格は私を振り返る。ああ……危険だわ。この女。この女に体を返したら、自殺を図るかするかも知れないわね。

それだけならまだ良いわ。最悪なのはその無気力が狂気に満たされて億泰や彼の親友である仗助とかに危害を及ぼしかねないわね。

 

京(主人格)「あなた……嫌な女………嫌いだわ」

 

主人格はクンクンと指を嗅ぎ、私を睨んでくる。そんなに臭いかしら?自分の指。

億泰には良い臭いと言われていたけど…。私もクンクンと自分の臭いを嗅いでみるけど、正直わからないわね。

 

京(副人格)「奇遇ね。私も嫌いよ?あなた。こんなに根暗で不気味。とてもじゃあ無いけど、あなたをあそこに立たせようとは思わないわ。こんなのが主人格だなんて反吐が出る。さっきからクンクンと自分の指を嗅いでいるけど、何の臭いがするのかしら?ドブの臭いでもするの?だとしたら億泰に頼んで女性用の石鹸を買ってきてもらわないと。あそこはぬくぬくするには丁度良いの。追い出されたらどうする気なの?」

 

もっと万作さんや猫草とも遊んであげたいわね。それ以上にあの億泰の家を管理能力は我慢ならないわ。家計簿みたいなのを付けている形跡もないし。

家計簿といえばお金の管理もなってないわ。本人は節約しているつもりでも私から言わせれば杜撰も杜撰で見ていられない。そもそも通帳と登録印をタンスの隅っこに置いておくなんて何を考えているのかしら。私が泥棒だったら今頃大変な事になっていたわよ?

本人はあれでそれなりに生活が上手くいっている気になっているけど、全然なっていないわ。

我慢ならない。あの家には私が必要ね。そして億泰を徹底的に教育する必要があるわ。

 

京(主人格)「お気楽ね?私にどんな過去があるのか知らない癖に……」

 

京(副人格)「それを私に寄越しなさい。それ以外にあなたには価値がない。そしてこの部屋で一人、そうやって引きこもっていれば良いのよ」

 

出来れば二度と出てこなくて良いわ。

私は副人格。全ての決定権は主人格にある。気紛れで出てこられたんじゃあ私が迷惑なのよ。

 

京(主人格)「………そう。あなたは私を否定するのね。良いわ。見せてあげる………私の過去を………」

 

主人格の記憶が私に雪崩れ込んでくる。

こ、これは………。

 

吉良京の家庭はよくある父親によるDV家庭だった。

虹村億泰の家庭とよく似た家庭環境だったかもしれない。

京が生まれた頃は普通の幸せな家庭だった。父は仕事に失敗して酒浸り。母はそんな家庭を支える為にパートに出ながら父の暴力に耐え、京を守りながら家の事をやる。

母は早々と離婚して京を連れて出ていけば良かったのだが、父が立ち直って昔の父に戻ってくれることを望んでいた。そんな無理をしている母が心身ともにボロボロになり、体調を崩してしまう。

しかし、病院に行くお金も無ければ無理を押して働かなければ食べることにも困ってしまう。そして治療をしないまま無理をする。倒れ、そしてそのまま亡くなってしてしまうのは当たり前だった。2年前の事だった。

よく持った方だったとも言える。

母が亡くなって後、家の事をやっていた京。京が家事を出来たのは必要に駆られてやっていたからだったのだろう。

 

京(副人格)(吉良京と虹村億泰は似ていた。だから私は億泰に自分を重ねていたのね)

 

母が亡くなってしまえば父の暴力の矛先は自分に向く。このままでは母の二の舞だ。だから京は家を出た。今の自分のようにあてもなくさ迷い、何とか食いつないで路上生活。酷い生活だったが、それでも家にいるよりはましだった。何故なら父は京に暴力を振るうだけでなく、女として性の捌け口にしようとしていた。貞操の危機だったのは一度や二度ではない。

公共機関を頼って相談したこともあるが、事務的に処理をされただけでまともに対処してくれてはいなかった。

更に、未成年で身分証明をするものがなかった私は警察に補導され、警察署に連れていかれる。

 

警察官「君……吉良京さん……だね?君の捜索願いが父親から出ている。家に帰るんだ」

 

京「イヤだ!帰りたくない!あんな家に帰るくらいなら死んだ方がましだ!」

 

京が自分の環境を伝えて助けを求める。しかし、相手の警察官は厄介事を嫌う人間であり、怠慢な男だった。

 

警察官「うるさいな………これ以上俺の手を煩わせるな。家出少女を連れ帰って終わり。あとの事は知ったことか」

 

京を保護した警察官が仗助の祖父、東方良平だったのならば京の運命は違ったものになっていただろう。良平ならば京の今後を考え、しかるべき事をやっていたに違いない。出世よりも街の平和を、住民達の幸せを願う…それが東方良平だったのだから。しかし、京を保護した警察官は東方良平ではなかった。そもそも課が違っている良平が京に関わることはなかった。それが京にとっての不幸だった。

私が警官を信用していなかったのも主人格のその時の体験が関係しているかもしれない。

家に連れ戻された京。そこで……

 

父「てめぇ……手間をかけさせやがって……もう許さねぇ……嫁に行けねぇ体にしてやる……」

 

父は今度こそ本気だった。京は逃げた。必死になって逃げた。しかし、路上生活で弱った体では父から逃げ切ることなど出来ず、捕まってしまう。夜の公園に引きずり込まれ、服を乱されて組伏せられる京。

 

父「はぁ……はぁ……このバカ娘が……お前は俺の捌け口になっていればそれで良いんだ!」

 

京(主人格)(くそったれ……なんでこいつ、死なないんだろう。お母さんじゃあなくて、死ぬのはこいつであるべきなのに………)

 

主人格は諦めた。そして憎んだ。全てを……

その時だ。

 

ドスッ!

 

一本の矢が、京に覆い被さっていた父親ごと貫いた。

 

二人「ガフッ!」

 

死んだ……心臓ごと貫かれた……。

 

京(主人格)(助からない…。それでも良い。心残りがあるとすればせめてこの父親だけは自分の手で殺したかった……)

 

しかし、いくら待っても訪れるべき死が訪れない。自分も……この男も……。

 

??「二人とも生きていたね?おめでとう。君達は選ばれた人間だ。他の人間にはない、特別な力を君達は手に入れた。さぁ、その力を俺に見せてくれ」

 

見ると頭を金髪に染めた男が京達から矢を抜き、拍手をする。私にはその顔に見覚えがあった。

 

京(副人格)(この男は……億泰の亡くなったお兄さん?)

 

虹村家の二つある写真立て。1つは幸せだった頃の子供の頃の写真。万作さんがあんな姿になる前で、母親が生きていた頃の写真だと億泰は言っていた。そしてもう1つには……成長した虹村形兆のピンナップが写っていた。

 

父「テメェ…何をしやがる!」

 

父から何か指先からの丸い光のような物が出てくる。スタンドだ。そうか………私がスタンドを使えたのはあの矢に射抜かれたからからなのね………この時、私は……吉良京はスタンド使いになったんだわ……。

父の指先から出たスタンドの光が形兆に飛んでいく。形兆は額に的のような痣が出来、そして父のスタンドが拾った小石やゴミを指で弾く。するとそれらはその痣に向けてホーミングしていく。

 

形兆「その程度の能力か……下らん。バッド・カンパニー」

 

形兆の背後がキラッ!と光ったと思うと、父のスタンドが投げた物は粉々になる。

 

京(主人格)(今だ……あの男に)

 

父親が落ちていたボールペンを拾い、そのキャップを投げ捨てる。

ボールペンのキャップを取って鋭いペン先で刺そうとしているのだろう。

 

京(主人格)(これだ!)

 

本能的に京は自分の能力を悟った。どうやって発動するかも。とにかく必死だった。このままだと自分の人生は父親に潰される。父親が形兆に気を取られている今がチャンスだった。

京の敵は形兆ではない。肉親である父親だった。

しかし………ペンからボーン・ディス・ウェイが出てくる気配はない。

 

京(副人格)(不発?)

 

私のボーン・ディス・ウェイは対象が何かを開ける行動をすればそこから現れる。だから不発だと思った。だけど……

 

ドゥルン……ドゥルルルルルル……

 

どこからともかく現れたバイクが……私のボーン・ディス・ウェイとは少し形が違うものが父親をはね飛ばす。

私のボーン・ディス・ウェイとは違う……。どういうこと?

 

父「なっ!京っ!テメェェェェェェェェェェェ!」

 

京「私がここで攻撃するのは……学生服の男(形兆)なんかじゃあない。お前だ………クズ」

 

父「テ、テ、テメェェェェ!父親である俺を……俺をぉぉぉぉ!誰のお陰でここまで大きくなったと思っていやがるぅぅぅぅ!」

 

京「少なくとも……お前に育てられた記憶はない。産んでもらった恩なんて………お前に感じない。感じていたとしても……これまでお前がやってきた事で相殺されるどころか既にマイナスになっている。お前が生きていたら……私は……私の人生はメチャクチャになる……私の為に……死ね」

 

京にとって……既に父親は父親ではなくなっていた。人生における障害。

ボーン・ディス・ウェイはもう一度父親をはね飛ばす。そして風圧から生じる冷気で父親の片腕と片足を凍らせる。凍った手足は落下の衝撃で吹き飛ばされ、父親は手足が欠損した状態になり、気絶した。

 

「キャアアアア!人が……人がぁぁぁ!」

 

でも、攻撃できたのはここまでだった。

 

京「く………うぷっ……」

 

父親を殺そうとした京はその場で吐き気を催す。必死だったとはいえ、人を殺そうとしたのだ。落ち着いた京はその事実を受け止めることができずに心を凍てつかせる。

 

形兆「ふん。どちらも俺が求める力じゃあなかったか。だが、父親を殺そうとする……か。何かシンパシーを感じるな。俺は虹村形兆だ。名前を教えるのはたたの気紛れだ。父親を殺そうとしたお前の行動に共感を覚えた俺のな……」

 

形兆はそう言ってその場を後にする。

 

京「虹村………。………復讐を……」

 

京は再び逃亡者の生活を送る。その後は適当に日雇いの仕事をしながら糧を得て、牙を磨く。

そして………。

 

警官「待て!俺が何をした!何で俺がこんな目に遭わなければならない!」

 

京は復讐を誓った。助けを求めたのに怠慢により自分をあの地獄に連れ戻したこの男を……絶望を味あわせてやると。

 

京「そう……私の事を覚えてないのね。怠慢だわ。あなたは所詮、ただ業務を適当に流すだけの男……あなたも私の父と同じ……死ぬべきクズ………」

 

警官「あ………あ………ああーーー!」

 

警官に能力を浴びせ、殺してしまう京。

 

クンクン………この頃からだ。京が自分の手の臭いを嗅ぐ癖が出てきたのは。

京は警官の死体から帽子を奪い、頭に被る。

 

京「私の手は……汚れた……とても臭い……。これは私の手が汚れた証………」

 

京の心は壊れてしまっていた。スタンド使いになったためなのか、父親を殺そうとした事なのか…それとも、元から既に精神がおかしくなっていたのかはわからない。

ただ1つ言えることは……警官を殺し、余計にがらんどうになった京は、既に生きていることに疲れを感じるようになってしまった。

 

京「私は……何のために生きているの?」

 

ふらふらと歩く京の瞳は………何も映していなかった。

 

←To be continued




今回はここまでです。

その後の京には一体何が!?

因みに京の父親のスタンド名はスマイリー・ボムと言います。元ネタは幽々白書の刃霧が使っていた領域(テリトリー)の能力です。
名前の由来は微笑みの爆弾……なのですが、別の方向性で京華の『リーシャウロン』と被っています。
京と京華の共通点?
領域はモロにスタンド能力としか思えないのは私だけでしょうか?

次回もよろしくお願いいたします。

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