やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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折本事件のラストです


カフェ・ドゥ・マゴと折本事件3

side折本かおり

 

カフェ・ドゥ・マゴ

 

私がアースブルース63に関する事件の事について話を続けると、葉山くん達はひきつった笑いを浮かべていた。

 

葉山「なんというか……普段の人間関係が色々と悪い方向に出てしまったというか………」

 

戸部「べー。想像つくわー。ジョースターさん達ってそういうところがあるから」

 

すっかり冷めてしまったコーヒーを飲みながら葉山くんと戸部くんは汗をたらしながら答えてくれた。

ハッキリ言ってしまえばあれは本当に色々と普段の人間関係が色々と悪い方向にいってしまった事件だった。

 

相模「それからどうなったの?」

 

折本「あー……その後私はSPW財団の病院で目を覚ましたんだけど…………」

 

 

 

二年前………。

 

目を覚ますとそこは知らない天井だった。

自分が何故寝ていたのか、その辺の記憶はすっかり抜け落ちてしまっており、いまいち自分の状況について理解が出来ていなかった。

 

静「目が覚めましたか?」

 

折本「ジョースターさん………いつつつつ……」

 

目が覚めたら普段はまったく接点のないジョースターさんがベットの脇にいてビックリして慌てて上半身を起こした。

急に体を起こしたからひどい頭痛が襲ってくる。

何でジョースターさんが私の所にいるの?そもそもここはどこ?

本当に…………あ。

 

折本「思い出した………」

 

何故かみんながジョースターさんや比企谷に対しての普段からの不満に対して怒りを爆発させたというか……。

何であんなことになったのか私にはさっぱりわからないんだけど…………。

そもそもスタンドってなに?

 

静「これは本来は今日の夕方に比企谷さんの口から説明されるはずだったのですけど……」

 

折本「ジョースターさん。ちょっと言わせてもらうけどその口調はやめてもらえる?なんかすごく寒々しいと言うかさ………。ジョースターさんの素の口調って本来はもっと違うでしょ」

 

昨日の今日で普段のジョースターさんは普段は意識して作っているキャラクターが何度か崩壊している。私はそれがわかってしまった。

 

静「そう……じゃあ普通の口調で話させて貰うから。まぁ、そうなったのは折本の能力が関係しているんだけどね?」

 

折本「私の能力?」

 

またそういう話?

あの幽霊と何か関係あるのかもしれないけど、私がそういうアニメとか漫画の設定的なものを言うのはやめてほしいと思ってしまったのは間違いではないと思う。

 

静「論より証拠だね。私の能力を見せてあげるよ。アクトン・クリスタル」

 

そう言ってジョースターさんは体から幽霊を出現させる。

ヤッパリ変な幽霊………私は心のどこかであれが悪い夢であってほしいと思っていたけれど、現実に起きていたことだとショックを受けてしまう。

 

静「やっぱり折本はスタンドが見えているんだね」

 

折本「さっきも思ったけど、スタンドって何?」

 

静「そうだね。一番わかりやすい例えを出すならば、ビジョンのある超能力……って言うのかな?側に立つもの……stand by meっていう言葉から取られて。スタンドの一番わかりやすいビジョンっていうのが私のアクトンのような人型スタンドだね。スタンドを持つものはスタンド使いと言う。スタンドはスタンド使い以外の者は見ることが出来ない。スタンドはスタンドでしか触れる事が出来ない。スタンドが傷付けば本体も傷付く。スタンドは1人1つしか持つ事が出来ない。スタンドには何かしらの能力が存在する。これが基本的な原則だけど、何事にも例外は存在する。ここまでオーケー?」

 

一度に一気に言われてもわからないって……。

 

静「本当はスタンド能力というのは他人に明かす事は危険だけれど、私の能力を見せてあげる。私を見てて」

 

言われた通り私はジョースターさんを注視する。すると……

 

折本「え?」

 

すぅ~~…………っとジョースターさんが消えていく。

え?何々?どういうこと?

 

静「コレが私の能力。透明化」

 

ジョースターさんの能力は透明人間になる能力?

 

静「自分自身を透明にするだけじゃあない」

 

そしてジョースターさんは次々と病室の色々な物を透明にしていく。

 

静「コレが私の能力。もっとも、色々と制限があるか完璧じゃあ無いけど、弱点までは教えないよ?」

 

へぇ………。弱点とかあるんだ。あれ?でも……。

 

折本「ねぇ、ジョースターさん……」

 

静「次に折本は『何でこんなことをジョースターさんが教えてくれるんだろう』と言う」

 

折本「何でこんなことをジョースターさんが教えてくれるんだろう………ハッ!」

 

う、うざい………。そして不気味だ……。

 

静「さっきも言った通り、スタンドはスタンド使いしか見ることが出来ない。折本が私のアクトンを見ることが出来ているということは、折本はスタンド使いであることを意味する」

 

わ、私がこんな変な幽霊みたいなのを持っているってこと!?でも今までそんな事は無かったんだけど?

 

折本「嘘ッ!?私にそんなものがあるなんて知らないんだけど………ウケる」

 

静「や、ウケないから。わりかし本気でシャレになっていないから」

 

折本「だよねー?それあ……」

 

私がいつも通りに『それある!』とやろうとすると、ジョースターさんのスタンドが私の手と口を塞ぐ。

 

静「ハイ、ストップ。折本。あんたはそのクセ禁止。スタンド能力というものはどういう条件で発動するかは人それぞれ。人の本質がそのまま能力になるわけだけど………あんたの能力はそのクセが発動キーとなっている可能性が高い。私の予測だけどね」

 

へ?このクセが?

 

静「スタンドっていうのは必ずしもビジョンが存在しているという訳じゃあない。私のアクトンだって最初はそうだったんだけど、ビジョンがないスタンドも中には存在する。教室であんたのそれが発動キーとして何らかの能力が発動した可能性がある。私の見立てが間違いなければ………だけど。そしてその能力は精神に作用する類いじゃあ無いかと思う」

 

そう言えばジョースターさんは私を絞め落とす前に私の『それある!』を止めた。そしてこう言った。『死ぬぞ』って………。

 

静「昨日、私が折本のそのクセをやったとき、普段は抑えられていた嫌悪感とかそういうのを抑えられずに素の私が出ていた。そして今日の事件………。多分、あんたの能力はその時の気分をブーストさせる能力の類いだと思う。もし、あの時私とハッチのテンションを加速させていたら………悪いけど、命の保証は出来なかったと思う。私達は戦い慣れてるからある程度は自分のテンションを抑えられるけれど、だからと言って何の感情がない訳じゃあない。攻撃されれば頭にくるし、興奮状態になる」

 

え?あ………。

 

静「まぁ、本当に自分が今までスタンド使いって気が付いていなかったようだし?私が気が付いたから良かったけど……ハッチなんて敵と認識していたみたいだし、危なかったよ?マジで混乱して泣いていたから私は気が付いた感じだね。どうやって発動した能力を止めるかわからなかったから絞め落としたけど」

 

折本「いやいやいや!それない!首を絞めるとか下手したら死ぬじゃん!」

 

静「失礼な。私はそんなに未熟じゃあ無いから。殺さずに絞め落とすくらいの力加減は出来るから。落ちたのと死んだ時の区別は解るから」

 

サラッと恐ろしい事を平然というその神経に痺れぬぅ!憧れぬぅ!

つうか、それって絞め殺した経験があるってことだよねッ!?

コワッ!ジョースターコワッ!ウケない!

 

静「で、こっからが本題。折本。あんたにはその能力を検査する事とコントロールしてもらう必要があると思うんだけど、どうする?つうか、やれ」

 

えっ!?だって大体わかったじゃん?何で?

 

静「あんたの能力や発動キーは私がざっと見て予測しただけに過ぎない。それで正解かどうかもわからないし、細かい所はもっと調べる必要がある。さっきは気絶させて解除したけど、折本が任意で解除が出来るか、解除キーが何なのか、射程はどのくらいか……とか。SPW財団にスタンド使いの矯正施設ってところがあるから、そこで検査とスタンド使いの使い方を訓練してきなよ」

 

矯正施設って…………

 

折本「まるで刑務所みたいに聞こえるけど……」

 

静「あー、そういう施設の意味でもあるからね。スタンド使いの犯罪者を収容する施設って役割も。スタンドの犯罪って一般の法律では裁けないから、SPW財団(うち)の仕事として契約が結ばれてるんだよね」

 

折本「私、犯罪者扱い?」

 

静「あくまでも矯正施設の業務の1つだから。折本はコントロール訓練を受けるための訓練だよ。そういう場合はなるべく日常生活に支障が無いようには融通が効くから。例えば学校の単位とか危なくならないように裏から手を回すし、勉強の面倒もフォローするし。このまま放っておけば今日みたいな事が起こらないとも限らないでしょ?」

 

確かに………。今日はたまたま助かったけど、今後もこうならないとは限らない。

 

折本「だけど、何でSPW財団はそんな業務を?」

 

行政の機関がそういうことをやれば良いと思うんだけど何でだろうか?

 

静「SPW財団は創始者のロバート・E・O・スピードワゴンがそういう超常現象に関わりがあってさ。それをジョースター家が引き継いだんだよね。スピードワゴンはスタンド使いの事を視野に入れた訳じゃあ無かったんだけど。でも、不思議とジョースター家はそういうのに巻き込まれる家系でさ………それに………」

 

ジョースターさんはここで真面目な顔になる。

 

静「スタンド使いとスタンド使いは惹かれ合う。私達と折本がそうであったように。それが良い意味でならともかく、そうでない場合も多い。その意味はわかるでしょ?今日、身をもってわかったと思う。SPW財団がこういう活動をしているのも家族や身内を守る為。財団はスタンド使いが多数在籍しているから」

 

ジョースターさんは「それが善意からやっているわけではない」……と後に付け足した。

 

折本「あっ!そう言えばみんなは?」

 

静「今回はスタンド能力の暴走から発生した状況だからね。学校や警察とかマスコミに教育委員会には上手く手を回してもらったよ。なるべく怪我をさせないように私達も手加減したし、当事者達の記憶も消してある。うちの職員にそういうのが得意な人もいるしね」

 

それは後々に知ることになる岸辺露伴先生の事だった。

当時の私は岸辺露伴という人の事を知らなかった。でも、岸辺露伴先生の事は知らなくてもピンクダークの少年を知らない人は少ない。

ほら、日本人なら誰もが青狸とか磯貝さんとかマルちゃんとか龍球とかって作品を知らないとかっていうのはあるでしょ?

ピンクダークの少年の場合は作者と内容は知らないけどタイトルは誰もが知っているって感じかな?私もその口だったりするんだけど。

あれの作者がスタンド使いってビックリしたよ。

それに………みんなが無事で良かったよ。今日見た限りじゃあジョースターさんも比企谷も普通じゃあない強さだった。

 

静「一般人の中学生相手に本気出さないって…。さっきも言ったように犯罪者とスタンド使いが相手なら話は別だけど」

 

自分達だって犯罪者のクセに……とは言ってはいけない。矛先がこっちに向くから。

 

コンコンコン。

病室のドアがノックされた。

 

静「どうぞ」

 

八幡「入るぞ」

 

入って来たのは比企谷だった。

 

八幡「……ごめんね?俺で………」

 

折本「なに謝ってんの?ウケる」

 

八幡「ウケないから。あからさまにガッカリってな顔をしてたからな。まぁ良いけど」

 

確かに誰か親しそうな相手が見舞いに来たかもとか思ったからかな?それが比企谷だったから顔に出ちゃってたんだ。

でも、確かにそれが自然かもね。

 

八幡「………悪かったな」

 

折本「今度は何に謝ってるの?」

 

八幡「………調べてみなければわからないが、お前の能力は本来なら今日みたいな事が起こるはずが無かったからな………。こんなことになったのは普段からの俺達の行動と人間関係のせいだっからな……おまけに俺はお前が俺を狙ってきた刺客か何かと勘違いしてた。それについても申し訳なかった」

 

確かにジョースターさんが見破った私のスタンド能力ならば、普通ならああいう事にはならないもんね。だけど比企谷がそれを謝って来るなんてビックリしたよ。

確かに怖いと思ったことは確かだし。

 

折本「まぁ良いけど。今後あんなことが無ければ」

 

八幡「もう無いだろう。俺とジョジョはもう総武中学には登校しない。学校は休学することになった。表向きは再度留学するって事でな。妹と幼なじみも来年度までは休学だ」

 

折本「マジで?」

 

八幡「ああ。元々そろそろ限界だったんだよ。人間関係とか。妹と幼なじみはその辺りはまだ上手くやれるけど、俺とジョジョは………な。だから、直接顔を合わせるのは今日で最後だ。せめて最後に謝っておこうと思ってな」

 

まぁ、ジョースターさんと比企谷は元々浮いていたしね。クラスメイトが学校からいなくなるって言われても、自分でも驚くぐらい何とも思わなかった。そうなんだーくらいの感覚。

 

八幡「じゃ、そういう事で」

 

比企谷はそれだけを言って普通に帰っていった。

おそらく比企谷にとっても私はそんな感じかも。気があるとか何とか言われてたけど、周りが勝手にそう思っていただけかもね。

 

折本「比企谷が私に本当のアドレスを教えたのって間違えだったんだ」

 

静「そりゃそうだって。あの時はハッチ、寝ぼけてたもの。更に折本のスタンドがハッチの眠気を……寝ようかなってやつを更に加速させたからじゃない?ハッチ、彼女いるし」

 

折本「比企谷に!?嘘でしょ!?あ、ジョースターさんがそっか」

 

静「違うから。よく勘違いされるけど、私は私で別に彼氏いるから」

 

折本「嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

スタンドの事よりもそっちの方に驚いた。

 

静「ハッチの彼女は2年の一色いろは。知ってる?」

 

折本「知ってるも何も2年で一番男子に人気のある子じゃん。あの子は女子には優しいよね?男子には冷たいっていうか………」

 

本当に驚く事ばかりだ。

よく見てみないとわからない事ってあるよね。

そう言えば一色ちゃんも強引に迫ろうとした人とか一部の女子には凄く恐れられてるし。

 

折本「一色ちゃんもかわいいのに一部の人から恐れられてるよね?何でかな?」

 

いろは「それはこれからわかると思いますよ?折本先輩?」

 

え………いつの間に……。

 

いろは「変な噂を聞いたんですよー。ハチ君が折本先輩の事が好きだとか何とか……。よくあるんですよねー♪そういう根も葉もない噂。どういう事か教えてもらえますかー?」

 

一色ちゃんはスタンドを展開して迫ってくる。

 

小町「是非とも小町にも♪」

 

あ、この子も知っている。2年で有名なのが一色ちゃんなら1年で有名なのは小町ちゃんだ。

そう言えば小町ちゃんって名字は比企谷だったっけ?

そっか。どっかで聞いたことがあると思ったら小町ちゃんと同じ名字だから比企谷の名字がストンと落ちたんだ。

同じクラスなのに妹の方がクラスで有名ってウケる。

ってそうじゃなくて、二人がジリジリと迫ってくるんだけどぉぉぉ!

 

静「折本………遠くのアメリカの地から無事を祈ってるよ。じゃあねー♪」

 

ジョースターさぁぁぁぁん!助けてよぉぉぉぉ!

 

折本かおり……いろはと小町の数時間の精神的攻撃により、再起不能(リタイア)

 

←To be continued




はい。今回はここまでです。

本作における折本事件の真相です。

それでは次回もよろしくお願いします。

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