やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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岬から潮風
トンネル抜け鉄塔へ
導かれ小路へ迷い込む

思い返してみれば杜王町の事を触れる機会はあまりありませんでしてね?
なのでダブルデートのエピソードの後は杜王町で行います。


杜王Great Days

side比企谷八幡

 

ー杜王町ー杜王グランドホテルー

 

昨夜の戦いが終わった後、アーシスは事後処理を終わらせ、そのまま解散した。正直あのままお出かけを続行する……という気になるわけでもなく、ダブルデートはそこで終了。

それについては俺とジジイの案が採用され、仗助と億泰さんが責任を持って処理するとの事らしい。

 

雪乃「杜王町……ね。そう言えば行ったことが無かったわね……」

 

結衣「あ!ゆきのんも?あたしも行ったことなかったかも!」

 

雪乃「仗助兄さんの故郷……なのですよね?」

 

雪ノ下と由比ヶ浜がそう言うと………

 

仗助「どうせだったらよぉ、みんなで杜王町で行かねぇか?土日で休みだしよぉ。経費なら俺が持つからよぉ」

 

雪乃「………良いのですか?」

 

仗助「杜王町はS市の別荘地でもあるからよぉ。中々良いところだぜ?S市にあるから適度に都会、海もあれば山も近いから適度に田舎。承太郎さんや八幡の心を休ませなきゃならねぇし、俺の故郷をみんなに見せてやりたいし良い機会じゃあねぇか?」

 

という仗助の鶴の一声で決定した。

まぁ杜王町は俺にとっても親しみのある町だ。歳の離れた友達も沢山いる。

その中でも特に反応を示したのが………。

 

めぐり「…………杜王町かぁ………」

 

めぐり先輩だった。

これまで行く機会が無かったのだろう。もしかしたら無意識に避けていたのかも知れない。

 

急遽週末は杜王町行きが決まった。

そして朝一番で千葉を出発し、午前中の内に杜王グランドホテルにチェックインした。

昨日の段階で予約を入れ、そうしてもらっていたらしい。

そして現在………。

 

八幡「良いのかなぁ……こんなことしてて……」

 

いろは「良いんですよ?今頃承太郎だって徐倫に癒されている頃だと思いますし♪」

 

八幡「海老名も付きっきりだと聞いたんだが……」

 

俺はソファでいろはに膝枕されている。

ちなみに部屋割りは俺と親父。普段ならうちの家族全体で一室取るのだが、流石に今回は夕べの事件の影響で小町と俺が同じ部屋なのはよろしくないと別室にした。親父は血涙を流しかねないほど悲しんでいたのだが。

その親父も衰弱している俺を心配しており、色々と気を使い、世話を焼いてくれている。ごめんね?いつも心配ばかりかけてしまって。

俺は親父も母ちゃんも大好きだ。

 

小町と母ちゃん。

いろはと義母さんと義父さん。

ホリィさん、承太郎、徐倫、エンポリオ。貞夫さんはツアー中の為不在。

雪ノ下姉妹とめぐり先輩。

ジョルノとトリッシュさんとココ・ジャンボ。

三浦と海老名と由比ヶ浜と相模。

川崎姉弟(四人全員)。

戸塚と葉山と戸部。

鶴見親子(流石に留美だけ連れていけなかった)

折本と仲町。

え?エルメェスさん?さぁ………もしかしたら間田さんの所にでも泊まるのかな?

 

え?数人足りない?

だってここは杜王町だよ?

当然、実家がある人はそっちに泊まっているに決まっているじゃあないか。

 

東方家。

朋子さん、仗助、ジョセフ、ジョジョ。

(比企谷家、一色家、空条家が泊まれる程のキャパはなかった)

 

広瀬家。

広瀬一家。

 

露伴先生の家。

露伴先生、材木座(めぐり先輩はそちらに泊まりたがっていたが、流石に露伴先生が止めた。材木座は露伴先生の指導も兼ねてそちらで宿泊。当人は歓喜していた)。

 

虹村家。

サブレとカマクラ、ペットショップ。

 

こんな感じだ。

杜王グランドホテルは観光客を宿泊させるためのリゾートホテル。

17年前の事件の時に承太郎とジジイ(と赤ん坊の頃のジョジョ)が数ヵ月にわたって長期宿泊していたホテルなのだが、リゾートホテルなだけあって調度品が高級感漂っている。

ホテルロイヤルオークラのスイートとは違った落ち着いた赴きがあって良い。

………というか、こんな贅沢なホテルに長期滞在していたってジジイ達、どれだけ金を使ったんだ(しかも経費で)?

いや、5年前は俺達も高級ホテルに泊まりまくっていたから人の事は言えないけど(ニューヨークのプラザホテル、ホテルウィラードコンチネンタル、フロリダのリゾートホテル。第2章参照)。

今日はいろはと海を見ながらゴロゴロかぁ…。京都の時よりはマシになんだけどなぁ。

みんなは今頃どうしているだろうか?

 

ピルルルル♪

 

内線電話が鳴る。誰からだ?

 

八幡「はい」

 

戸塚『八幡?』

 

八幡「戸塚か。どうした?」

 

戸塚『明日、時間ある?』

 

明日か…。明日なら確かに回復しているだろうし、時間も取れるだろう。

 

八幡「明日なら多分大丈夫だけど……どうした?」

 

戸塚『今、葉山くんとも話したんだけどさ、明日のお昼に例の男子会をやらない?ほら、ラーメンの』

 

確かにそんな話を修学旅行の最終日にしたな。あれからドタバタしていて結局やっていなかった。

先週の話だったのに随分と前の話だった気がする。

そろそろやっても良いかもな。今回はユニコーンの始末を兼ねたプチ慰安旅行みたいなものだ。そういうのも悪くないだろう。

 

八幡「いろは。明日の昼、男子会をやろうって話が来てるんだけど、構わん?」

 

いろは「良いですよ?明日はトラサルディーが取れたので、こっちも女子会に誘われてたんですよ。丁度良かったです♪」

 

トラサルディーが取れたのか!羨ましい!

まぁ、都合が良いからいっか。

 

八幡「いろはからお許しが出たから良いぞ。女子はトラサルディーに行くみたいだし」

 

戸塚『トラサルディー?』

 

八幡「俺のイタリアンの師匠がやっている人気レストランだよ」

 

あの店の人気は留まる所を知らない。でも、あの店の特徴から従業員を雇うことは出来ない。あの店はトニオさんがウェイターをやらなければ意味がないからだ。

トニオさんが客の状態を見て体の悪いところを点検し、それに合わせた料理を作り、料理の説明をする。そういうスタイルだから人を雇っても意味をなさない。どの行程をとってもトニオさんが必要なのだ。

 

戸塚『へぇ、そんな店があるんだ』

 

相模とか川崎はビックリするだろうな?あ、三浦と海老名はパールジャムを知っていたっけ。あいつのスタンドで俺が実践したわ。めぐり先輩も知ってるかも?

色々な意味で明日は楽しみだ。

でも今日は今日でいろはとの時間を楽しもう。

俺は電話を置き、ソファに戻る。そしていろはを抱き寄せる。

 

いろは「エッチな事はダメですよ?……ちょっとだけなら良いですけど……」

 

八幡「ああ…」

 

俺といろはは唇を重ねる。

ああ……幸せだ……。

 

 

side静・ジョースター

 

京「はい、鍵をどうぞ」

 

朋子「悪いわね。定期的に掃除とかしてもらっちゃって」

 

京「いえいえ。きちんと報酬は頂いているのですからお気になさらずに。むしろ貰いすぎなくらいですよ」

 

お兄ちゃんの実家は今は誰も住んでいない為、誰かが掃除とかの手入れをしないといけない。私もお兄ちゃんも今は千葉にいるし、もうじきアメリカに腰を落ち着けることになる。

一方で朋子ママは今でこそ千葉のパパの仮住まいに承太郎さんも交えて住んでいるけれど、千葉の仕事が終われば東京の空条家でホリィお姉ちゃんと住んでいる。

だから今はこの家は半別荘状態で普段は使われていない。

精々虹村家にカマクラを預ける時に来る時に月に一度ほど一泊か二泊かするくらいだ。

なので億泰さんの奥さんである京さんがたまに手入れをしてくれている。

京さんは家政婦だ。別荘地でいくつかの別荘を任され、メンテナンスをしている。京さんにとってはこの東方家のメンテナンスはいくつかある管理別荘のついでに過ぎないらしい。

旦那さんの友人であるお兄ちゃんの実家だし、カマクラの事もあるからついで程度なら無料でやっても良いとは言ってくれているが、その仕事ぶりはさすがプロ。

好意に甘える訳にはいかないので仕事としてちゃんと雇う形にした。

 

朋子「いつもありがとう。助かるわ」

 

仗助「中々帰って来れねぇけど、やっぱりここが実家だからよぉ。手放すのも惜しいしな。いつもサンキュー、な……」

 

京「仗助」

 

あーあ。口を滑らせかけたね?お兄ちゃん。

滅多に怒った顔を出さない京さんが怒ってるよ。

 

仗助「わ、わりぃ……京に会うとどうしてもあの時の事を思い出しちまうからよぉ」

 

京「………そう。だからあの時の犯人が未だにわからないのよ。相変わらずデリカシーがない。苦労しているわね?静ちゃん。はい、鍵」

 

そう言ってお兄ちゃんは玄関の鍵を開け、中に入る。

 

仗助「帰ったぜ……じいちゃん……」

 

朋子「お父さん。久し振りね」

 

静「おじいちゃん……ただいま」

 

パパも含めて東方家に入る。

 

京「帰るときは旦那にでも鍵を預けておいて下さい。使いっぱなしでも片付けておきますから」

 

静「ちゃんと片付けてから帰りますって。立つ鳥、跡を濁さずって言うじゃあありませんか。誰だってそーします。私だってそーします」

 

仗助「どこかで聞いたことがあるセリフだぜ……」

 

そして家に入る。

まずはおじいちゃんの部屋だ。本当の仏壇は空条家にあるけれど、ここにはおじいちゃんがいる気がする……とお兄ちゃんは言っている。

東方良平。

この杜王町の警察官で出世よりも町の平和を第一に勤務していた人だったけど、私がパパに拾われる少し前にアンジェロというスタンド使いに殺された。

町の名所であるアンジェロ岩に埋め込まれた人間だと知った後は、杜王町に来る度に必ずアンジェロ岩を一回蹴ってから帰る事にしている。

朋子ママの実のパパであり、お兄ちゃんのおじいちゃん。そして、血の繋がりも戸籍上の繋がりも無いし、写真でしか会ったことも無いけれども、良平おじいちゃんは私のおじいちゃんだ。

 

仗助「じいちゃん。ここに帰ってくるのは久しぶりだな。中々帰って来れなくてごめんな?けどビビったろ?珍しくジジイも来たんだからよぉ。だから今月のビビらせ勝負は俺の勝ちだぜ?じいちゃんが死んで以来、俺がビビらせられたのは一度きりだからよぉ」

 

春頃に導かれし小路に飛ばされた雪ノ下がおじいちゃんに会ったといっていたっけ?(第3章)

生前のおじいちゃんとお兄ちゃんは毎週ビビらせ勝負というものをやっていたらしい。だからお兄ちゃんは帰って来る度にこうしてこの部屋でおじいちゃんに報告をしてはビビらせ勝負をしている。

お兄ちゃんとおじいちゃんの二人だけの時間だ。

 

仗助「じいちゃんが会ったっていう女の子……雪ノ下雪乃って言うんだけどよぉ。あいつもジョースター家に迎えられてさ………俺の事を仗助兄さんって呼ぶようになったんだぜ?またビビったろ?今度姉の陽乃も一緒に連れてくるからよぉ。ビビるぜ?姉妹揃ってジョジョ並に美人だからよぉ………」

 

お兄ちゃんとおじいちゃんの対話は続く。

それが終われば朋子ママもパパも……もちろん私もおじいちゃんとお話しする。

声は聞こえないけど……でもおじいちゃんはちゃんと聞いてくれている……私はそう信じている。

導かれし小路に行けば会えるかな?明日は雪ノ下達も交えてトラサルディーで女子会だ。オーソンにお花を持って会いに行ってみようかな?

もしかしたら良平おじいちゃんに会えるかも?

もちろん、アンジェロ岩を蹴ってから。

あと朋子ママを危険な目に遭わせたというエニグマという本も殴っておかないとね?

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

今回は東方家のお話でした。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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