やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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心の力と大山大樹のユニコーン

side静・ジョースター

 

さてと。

敵の能力にはまるなんて私らしくない。それもサバイバータイプの能力に。

 

静「ハッチ、大丈夫?」

 

八幡「大丈夫じゃあねぇよ……頼むぞ相棒」

 

静「そこは大丈夫って言うところじゃあないの?相棒」

 

八幡「……知るか……俺はリタイアするが……後は頼んだぞ、相棒………」

 

静「あいよ。後は任せなよ。次に目を覚ました時は家の暖かいベッドの中だから。なんならイーハを付けてあげるよ」

 

八幡「それは………楽しみだ………」

 

バタッ!

比企谷八幡(ザ・ジェムストーン)…再起不能(リタイア)

 

私は気を失ったハッチをココ・ジャンボに移す。

よくやったよ。スタンドも使えない、波紋も使えない状況の中で。

ここで私が頑張らないと、合わせる顔が無いよね。

 

??「ぐぇ……」

 

ぐちゃぐちゃ……

 

??「あ……あぅ………」

 

………なに?この音………この声……。

私はアクトンact1を飛ばそうとして……。

 

仲町「い、いやぁぁぁぁぁ!この音………この声……この悲鳴………女の子にとっては……あまりに悲惨な声と音………残酷すぎる………」

 

静「…………どういうこと?あんたの能力は?そもそもあんたは誰?」

 

仲町「海浜幕張総合高校のアーシス支援隊隊員、仲町千佳………。私の能力は音………音を集め、音を飛ばし、音を消す能力……。この音は………女性が強姦される音………それも………複数………酷い……」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

ズリズリズリズリズリズリ……

 

軟派通りの物陰から一人の男が出てきた。

その影からは………

 

仗助「おい………これはヒデェ………」

 

お兄ちゃんが奥歯を軋ませる。

 

ジョセフ「いつじゃって弱いものがこういう目に遭うものじゃ……」

 

パパが帽子を目深に被る。

 

いろは「…………そんな………とうとう私達の目の前で一般の人達が犠牲に………」

 

イーハが目を見開き、涙を流す。

私はと言えば………憎悪の目をその男に向ける。

 

静「………R18のタグは付けた覚えは無いんだけど?随分と食い散らかしたじゃあないの」

 

肥満体でも無いのにお腹が大きくなっている女性達。

中にはこの近辺の高校、中学の少女までいた。

これを見せられて頭にこない女性はいない。

たった今、この娘達は強姦された。そしてたった今、妊娠し、たった今、ここまで大きくなった。

そして………出産………。

産まれたのは………馬の異形の存在。

午のウルフス………。

 

??「なんだ、もう混乱が終わっちゃったの?それも僕の能力を突破して」

 

静「テメェは………誰だ………?」

 

??「僕?僕は大山(おおやま)大樹(ひろき)。ユニコーンさ」

 

静「テメェ、自分が………何をしたのか………わかっているのか?」

 

ユニコーン「分かっているさ。好物の処女を食って僕の眷属を産み出して貰ってるんだよ」

 

く………ッ!ますます報われない………。女の子にとっては大事な……人生で一度しかない初めてを……。

せめて私達に出来ることと言えば………。

 

静「イーハ…………」

 

いろは「ええ………エメラルド……ヒーリング……」

 

イーハの能力で再生させる。何を……とは言わない。

 

いろは「せめて……忌まわしい記憶だけは……記憶にエメラルド・エクセス!」

 

再生させれば……記憶から無くせば……そんなことで済まされる話じゃあない。

例え記憶を消そうが………再生されようが………人生で一度しかない女の子の宝が不条理に奪われてしまったことには代わりはない。

 

ユニコーン「おおっ!俺の好物を再生させてくれるなんて親切じゃあねぇか!もう1回戦………」

 

静「やらせるかッつーの!」

 

私はアクトン・クリスタルを出現させて波紋の故旧をととのえ、拳を乱打する。

 

A・C「ドラララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ!」

 

ユニコーン「ゲフゥ!」

 

二度と彼女達は犯させない。

こいつは………ここで消す!

 

静「アーシス女性陣に通達!被害者を確保しつつ、ココ・ジャンボに撤退!男どもはボヤボヤしてるんじゃあねぇ!」

 

ユニコーン。逆鱗に触れたぞ……テメェは……。

 

折本「あ……あの顔は………あの顔のジョースターは……一色は………比企谷の妹ちゃんの顔は……」

 

静&いろは&小町&徐倫&トリッシュ「…………」

 

本気でキレた私達。

当然だ。ここまで女をバカにした奴はいない。

ジョルノ兄さんと対を成す旧パッショーネ暗殺チームのメローネ。そのスタンド、『ベイビィ・フェイス』もそうだった。女性に無理矢理スタンドの子供を妊娠させ、産ませる……。

そんな腹立たしい能力は女として許せるものではない。

こいつはメローネ以上に女の敵だ。複数の……それも処女ばかりを……。

 

静「ここは私がやる。お姉ちゃん達やイーハ達は下がっていて」

 

徐倫「こんなのを見せられたら女として黙ってられる訳がねぇだろ?」

 

トリッシュ「ええ………ぶっ殺してやるわ!二度と女に手を出す気も起きないようにね!」

 

歩みを進める私達。ところが………

 

ユニコーン「おっと、僕の前にビッチは不要だよ。『丙午』!」

 

はぁ?丙午?

丙午。その年に産まれた女子は気性が荒く、夫の寿命を縮める……とか、ビッチばかりが産まれるというので日本の迷信はその年に女児を産むことを忌避する。

それがどういう能力に繋がるのだろうか?

男性を操る横牛のスラピーの女性版?

すると、私達五人を妙な霧が包む。

 

静「イーハ!エメラルド・ヒーリングの準備を!」

 

いろは「もうやってます!」

 

霧に包まれ、私達は……………

 

 

side空条徐倫

 

徐倫「く………みんな無事!?」

 

トリッシュ「え………ええ」

 

霧に包まれたあたし達だが、何事もなくて……あれ?

 

徐倫「ジョジョ!イーハ!マーチ!」

 

あたしとトリッシュ姉さん、それと変な赤ん坊の集団以外は……全て消えていた。

 

トリッシュ「どういうこと?」

 

徐倫「さ、さぁ………」

 

混乱していると、川崎が寄ってきた。

 

沙希「あのさ………言い辛いんだけど良いですか?ユニコーンって処女好きってことで伝説に謳われていますよね?既婚者のトリッシュさんはともかく、空条先生だって少なくともあの世界では………」

 

徐倫「川崎。それ以上言ったらぶっ飛ばす」

 

沙希「えー、あ、うん………」

 

いや、別に良いよ?でも今それをカミングアウトする場面じゃあねぇだろ!

むしろ婚約者がいる状況で引き込まれたジョジョとイーハに同情する。

 

徐倫「兄さん達………取り敢えずこれ、八つ当たりにぶっ殺して良いよね?」

 

何でか知らないけど、この手の赤ん坊はムカついて仕方がない。基本世界の緑の赤ん坊の事もあるからだろうが………。

 

仗助「気を付けろよ。ウルフスが生み出した存在だ。決して油断するんじゃあねえぜ?」

 

仗助兄さんがポンッとあたしの頭を撫でる。しかし、その手は震えている。

ジョジョが……静が心配で仕方がないんだ。

静だけじゃあない。ハッチ、静、イーハ、マーチ…兄さんは兄や父親のような気持ちで見守って来た。

そんなジョジョ、イーハ、マーチが女を食い物にするウルフスの能力に取り込まれた……。いつもの兄さんなら髪をバカにされたとき並にプッツンしているに違いない。

 

仗助「最悪よぉ……俺らもレクイエムだよなぁ」

 

徐倫「ええ……許さねぇ」

 

ジョセフ「絶対にお前さんらはレクイエムを使ってはならん」

 

グランパはあたし達を睨みながらそれを言ってきた。グランパ……どうして?

 

 

side静・ジョースター

 

静「うぷっ!最悪だね。ムードの欠片もない」

 

私は殺風景な部屋に悪趣味全開のその手のグッズが並ぶ空間に吐き気を催す。

こんなところであの娘達は……。

さぞかし無念だっただろう。

 

いろは「ムードがあったところで最悪ですけど」

 

小町「ユニコーンの墓場には丁度良いかもね」

 

私達三人は嫌悪を隠そうとせずにユニコーンを睨む。

ユニコーンの奴はニタニタしながら余裕を崩そうとしない。

 

ユニコーン「その余裕がいつまで持つかな?」

 

静「うるせーっつーの」

 

ユニコーン「おっと。そのパワーは受けたくないな。僕の子供達でも相手しててよ」

 

私達の前に沢山の異形の子供達が現れる。

こいつ………どれだけの女を………。

 

静「テメェだけはゼッテー許さねぇ!そのド汚い○○○はこの私がもいでやる!ぶっ殺す!」

 

そう言いながら異形の子供の首の骨を蹴り折り、四肢を切断し、頸動脈を切る。

異形の頭に生えている角。その角がたまにかするが、なんてことはない。ダメージにすらなっていない。

イーハもマーチも冷静に、かつ完全にぶちギレており、一切の手加減をしていない。

その暴威が振るわれるごとに、その異形は1つ、また1つと消えていく。何の搦め手もない数頼みの暴力。そんなものは私達には何の脅威でもない。

……ないはずだった。

なのに何故だろうか?妙に体が熱い。妙に息が切れる。

 

静「はぁ……はぁ………」

 

おかしい。この程度で息切れをする私じゃあない。

 

小町「はぁ………はぁ……」

 

いろは「はぁ……はぁ………」

 

イーハはわかる。波紋の戦士ではないから。

でも、私とマーチは本当にわからない。

 

小町「……ジョジョお姉ちゃん……その息切れに負けちゃだめ………」

 

静「わかるの?マーチ……」

 

いろは「これは劣情からくるもの……それに負けたら…わたし達はユニコーンの餌食になります」

 

そうか……これは………。

女の子だって大小様々ではあるが性欲はある。

健康な生物ならば何だってそうだ。自らの遺伝子を次世代に繋げる生殖本能。

人間も生物である以上は当然、その生殖本能がある。

普段は理性で押さえている本能が刺激されて体が理性を超えて欲情してしまっている。

故に抵抗する力が弱まる。息が乱れる。

恐怖や痛みならば勇気ではね除けられる。けど……

真の拷問とは何か?…と聞かれれば痛みによる恐怖ではなく、甘美な快楽や堕落と答える者もいる。

太陽と北風みたいなものだ。

考えてみればそれも頷ける。

ユニコーンの能力には発情もあったのか……。でもいつ能力にはまった?

 

ジワッ………

 

静「!!」

 

最悪なことに僅かな裂傷が快感に……

僅かな裂傷?

 

静「そうか………角にある媚薬効果……それが能力の発動キーだったのか………」

 

ユニコーン「へぇ?やくわかったね。それとも、今さら分かったんだとも言うべきかな?」

 

大したダメージたならないと踏んで角の攻撃を避けきらなかった私のミス………。

くそ………この空間には罠になりそうなものは何もない。

何かないか………この状況を打破する何かが…。

私とマーチの身体能力を受け継いだユニコーンの子供。考えただけでもゾッとする。

能力的なものも……そして精神的なものも……。

体の発情がどんどんヤバくなっていく……このままでは抑えられない……。

 

いろは「エメラルド・ヒーリング!」

 

イーハが発情をどうにかしようとしてエメラルド・ヒーリングを発動させる。でも………

 

小町「ハァ……ハァ……まったく変わってないよ!お姉ちゃん!」

 

ユニコーン「ただの媚薬と同じじゃあない。これはあくまでも僕の能力だよ。さぁ……大人しく受け止めなよ。気持ち良くしてあげるからさ」

 

ハァ………ハァ…………。

こんなことならお兄ちゃんにとっとと捧げておくべきだった………。

もう………ダメ…………。

 

←To be continued




最低な能力を持つユニコーン!

果たして静はユニコーンの餌食になってしまうのか!?

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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