なお、この話でのセリフ表記は以下の通りです。
ジョジョ(ジョ)=ジョセフ
白帽子(帽)=承太郎
本物のお化け(化)=ポルナレフ
去年の夏、親戚である花京院典明のお墓参りでジョジョと会い、前世エリナ・ジョースターとしての記憶を取り戻してから一年後の同日。
今年も典明おじさんの命日をお参りする日がやって来ました。
もし、前世を思い出さずにこの場に立っていたら、知らない親戚についてもお墓参りに感慨もわかずにただつまらない時間を過ごしていたと思っていたでしょう。(私の精神がエリナ・ジョースターのままだったならばそんな事は思わず、知らない人のお墓参りでも何かしらの不幸に哀悼の意思を捧げていたでしょうけれど、今生ではこんなものです。やはり、転生して現代人としての意識は変わってしまっているのだと、こういう時に思ってしまいます)
だが、今はこの会ったこともありません、典明おじさんが、前世の家族、ジョセフと空条承太郎の二人を命懸けで守ってくれたのだと思うと、感謝の気持ちとその死を悼む気持ちでいっぱいになり、自然と涙が出てきます。
いろは(典明おじさん。ジョジョを助けてくれてありがとうございます。ジョジョの家族を守ってくれてありがとうございます。おじさんの代わりに私がジョジョ達の力になって守ります…だから、安らかに眠って下さい)
私が真剣にお祈りしていると、従兄弟の子供達が近寄ってきました。
従兄弟1「あ、化け物が化け物のお墓の前で泣いている!」
従兄弟2「やっぱり化け物だからだ!」
従兄弟3「化け物化け物ぉ!」
伯母「こら!やめなさい!ごめんねいろはちゃん。後で叱っておくから」
従兄弟達が私を苛め、その母親である伯母が形だけの謝罪をしてきます。
だけど私は知っています。
陰では自分の子供達や他の親戚の前で私の事を化け物呼ばわりしている事を。
言うことを聞かせる為に、躾の材料として「言うことを聞かない子はいろはちゃんみたいな化け物になるよ」などと言っていることを。
典明おじさんも生前は孤独だったとママから聞いている。
何故ならナイチンゲール・エメラルドの関連で私を叱る時、両親は必ず「典明くんみたいに友達が出来なくなるよ」と言ってくるのだから。
私はハチくんやマチちゃんがいるから寂しくないが、典明おじさんはジョジョ達と出会うまで、ずっと孤独で寂しかったに違いありません。
いろは「いえ…大丈夫です」
当たり障りのない返答を返しておきます。
どうせ陰で生意気な子とか言われるでしょうし。
いろは(うるさいです♪何も知らないのにおじさんをバカにしないで下さい。おじさんは命をかけて世界を救った英雄なんです。伯母さん達は英雄をバカに出来るほど素晴らしい方なんですね♪すごいですねぇ♪参考までにこれまでの人生で何を成したか教えてもらってよろしいですか?おじさんの友達だったジョセフさんと空条さんは歴史に残る偉業を残してますけど、それ以上の偉業を残されているんですよね♪)
本当ならば、そう言いたい…
そう言えたらどれだけ楽か…ですが、感情だけで物を言えば、結局は親戚中に色々言われ、両親が困ることになります。両親はナイチンゲール・エメラルドの事以外に関しては普通に私に優しいのですから、困らせたくありません。
ナイチンゲール・エメラルドの事だって、成人する前に亡くなってしまった典明おじさんのように…私が危険に巻き込まれないように心配しての事だとよくわかります。
エリナ・ジョースターだった私がジョナサンやジョージを亡くした時、ジョセフには波紋の一族の宿命には巻き込まれて欲しくありませんでした。
両親はあの時の私と同じ気持ちなのでしょう。
いろは(でもごめんなさい。私はもう、典明おじさんの遺志を継いでジョースターの力になると決めたんです…私もジョースターだから…)
ママ「あら、八幡君。お出掛け?」
八幡「あ、一色のおばさん。はい、ちょっと本を買いに…いろはちゃん達はお墓参りですか?」
ママ「そうだよ。今日は私の従兄の亡くなった日なの。そうだ…八幡君もお参りしていってくれる?」
八幡「え?でも…」
ママ「今日お参りしている私の従兄はね?いろはにとても良く似ていたの。男の子だったけどね。そんないろはと仲良くしてくれている八幡君なら、典明くんも喜ぶと思う。だから、八幡君も私の従兄にお線香をあげてくれると嬉しいな」
このママの言葉が、あんな事になる引き金になるとは思いもしませんでした。
八幡「一色のおばさんの従兄…ですか?」
そう言ってハチくんは典明おじさんのお墓を見ます。墓標を見て、信じられない物を見たかのように目を見開いたハチくんは、墓誌を見て典明おじさんの名前を見付けると、今度はガタガタ震えて明らかに様子がおかしくなってしまいました。
いろは「ハチくん?ねぇ、どうしたのぉ?無視しないでよぉ、ハチくぅん?はっ!もしかしてわざと無視して私の気を引こうとする新しい口説きの方法ですか?すみません確かにハチくんは私と同じアレ持ちですし遊んでくれるから私もお付き合いしても良いかなとか少し思っちゃったりしましたけど良く考えたら幼稚園にも通ってない幼児がいきなり男女交際とか無理なのでやっぱり結婚できる歳になってから婚姻届を持ってきてからにしてもらわないと無理ですごめんなさい」
私はハチくんを落ち着かせようといつもの甘えた声で呼び掛けてから、やはりいつもの早口お断りのボケ(マチちゃん曰く、断っているけど断っていない夫婦漫才)を入れてみる。
ママ「いや、いろは?良く噛まないで一気に言えたね?とか、しかも子供がする会話の内容じゃないよ?とか、幼児が何でそんな言葉を知ってるの?とか、よくよく聞いてるとそれって断ってないよ?とか、むしろいろはが口説くとかを通り越してもうプロポーズしているよ?とか、言いたいことがたくさんあるけど、そんなこと出来る空気じゃないよ?」
いろは「ママも良く噛まないで冷静にツッコミ入れられるね?結構余裕あるよね?」
いつもなら、「早口すぎて何を言っているのかわからないよ。それに、僕は何回君に告白してもいないのに振られてしまわなければならないんだ?」と、ツッコミが返ってくるのに、今は無反応で、しかもツッコミはママから返ってきました。
肝心のハチくんは落ち着くどころか、より震えが強くなっています。
八幡「あ…あ…あぁぁぁ…あーーーー!」
いろは「ハチくん!どうしたの!?ねぇ!ハチくん!」
さすがに私も本気で焦り、ハチくんに強く呼び掛けようと近づ…こうとして出来ませんでした。何か絶対に近付くな!真夜中の住宅街で安眠中に、消防車が突然耳元でサイレンを鳴らしたかのような、そんな直感が働いたからです。
そして、その直感は正解でした。
ハチくんのお化けさん「無駄無駄無駄無駄無駄!」
ハチくんの人型のお化けさんが初めてハッキリと出てきたと思ったら、両親や親戚達、周りのお墓とかを狂ったように殴り始めました!
私は慌てて逃げて、難を逃れます。
いろは「ハチくん!どうしたの!?何でお化けさんを暴れさせているの!?」
今のハチくんはどう見ても正気ではありません。何とかしなければ…でもどうしていいかわかりません。
突然のことで、混乱している私の横を、数人の男の人達が通りすぎました。
いろは(ジョジョ!それに…ジョジョの家族達!)
ジョジョの家族達はそれぞれ違う形のお化けさん達を出しました!私達と同じです!
ジョジョ達が私と同じお化けさん持ちだと知って、大変な時だというのに、何故か嬉しい気持ちが涌き出てきました。
次の言葉を聞くまでは…
ジョジョ「Oh my god!承太郎、ポルナレフ!ま、まさかあれは…あのクソッタレスタンドは!」
白帽子「間違いない!あれは……」
本物のお化け「何で…あのガキからあのスタンドが!あの野郎の…」
ジョ・帽・化「DIOのザ・ワールド!」
What??
今、なんて言いました?
いろは(ディオ!?ハチくんがあの憎んでも憎み切れない、あのディオ・ブランドーの転生体!?)
自分で書いておいて何ですが………
空気読めよ!いろはすとママはす!
でも、これをやらないといろはのキャラが安定してくれなかった…(・・;)
空気が二転三転して申し訳ありませんでした。
もう少し努力しますので、またお付き合い下さい。
次もよろしくお願いします。
PS
この謝罪でいろはすお断りのマネをやろうとしましたが、さすがにふざけすぎですので自重しました。