side比企谷八幡
戸部「ヒキタニくん!待つっしょぉぉぉぉ!」
八幡「誰が待つかよ。ノースアイランド・サードに直接打撃を仕掛けるアホはいねぇっての」
ジョジョと激戦を繰り広げたあの障害部屋の第一の部屋で俺と戸部が模擬戦をやっている。実質オロチを退けるきっかけとなった戸部のノースアイランド・サード。
それ故に戸部は少し調子に乗っている節があった。
なので、承太郎とほぼ同じスペックである俺が模擬戦で鼻っ柱を折ってやれ……と言うのがジジイからの指示だ。
障害部屋の第一の部屋はトランポリン部屋。罠を仕掛けるには最適なステージとも言える。
バネ仕掛けのトランポリンを使って戸部から逃げる俺。戸部は何の疑いもなく追い掛けて来る。
アホめ。オロチに教えて貰ったんだろ?お前のスタンドの弱点を。
バチぃッ!
ジョジョに対してそうしたように、俺は逃げる過程でトランポリンに波紋の罠を仕掛けてあった。
戸部「べぇ!」
反射や跳ね返す力の弱点その1。
罠などの間接的な攻撃に対しては効果がない。
特にブービートラップにはすこぶる弱いのである。
戸部「お、落ちるぅ!」
八幡「安心しろ。もう1つ罠を仕掛けているから落ちないって」
波紋の罠と共にジジイ直伝のロープトラップを戸部の足に絡ませて逆さ吊りにする。
戸部「また罠ぁ!?卑怯っしょ!ヒキタニくん!」
八幡「卑怯汚いは敗者の戯言ってな。同時に卑怯汚いは勝者に対する称賛の言葉だ。誉めるな、照れるぞ」
戸部「ほめて無いってぇぇぇ!」
八幡「大体な。間接的な攻撃に弱いってのがわかっているのなら、いくらでもやりようがあるんだよ。弱点を逆に利用しないでどうする?」
戸部「くっそぉぉぉぉ!何でオロチと引き分けた俺なのに、簡単にヒキタニ君に負けてるんだよぉぉ!逆じゃあ無いかよぉぉぉ!」
八幡「戸部。そこがお前が戦いっていうのをまだ甘く見ている証拠だ。それよりも良いのか?いつまで干し柿になってるんだ?俺は助けないぞ?模擬戦とはいえ、今は敵なんだからな」
戸部「自力で抜けるっしょぉぉぉ!」
戸部は自分の体からノースアイランド・サードを出現させ、足に絡まっているロープを外そうとする。
八幡「かかったな?アホが。ジェムストーン・ザ・ワールド!時よ止まれ!」
ブウウウウウン!
俺は時を止め、逆さ吊りになっている戸部に向かって歩く。戸部が干し柿になっている頭の高さの位置は俺の胸の高さの位置。
つまりは首は俺の目の前にある。
その首の位置に訓練用のゴムナイフの刃を突き付ける。
八幡「そして時は動き出す」
世界に彩りが戻り、時は動き出す。
戸部「!!!」
八幡「チェックメイトだ。戸部」
俺はあてがったゴムナイフを押し込み、そして頸動脈にそって引く。
これが本物のナイフだったのなら、戸部の頸動脈は掻き切られ、絶命している。
八幡「ノースアイランド・サードのもう1つの弱点。それは攻撃を受けるのが本体である場合、反射は使えない。ロープを外すためにスタンドを出してしまい、本体が無防備になった。これで終わりだ」
ジョセフ『勝者!比企谷八幡!』
ジジイのアナウンスで勝敗が決する。
俺はハーミット・アメジストを伸ばし、その先端からザ・ジェムストーンを出現させ、手刀でロープを切って戸部を逆さ吊りから解放する。
八幡「スタンド使いにおける戦いにおいて、能力の強弱が全てじゃあない。全ては相性と使い方って奴だな。完璧な能力、完璧な最強というのはスタンド使いの世界においては存在しない。誰もが最強となれるし、誰もが最弱になりうる」
戸部「べー………こんなあっさり負けるとは思わなかったわー。これが本気なら俺、死んでたんっしょ?」
八幡「まぁ、誰もが陥る新兵の病気を直す荒療治ってヤツだよ。調子に乗っている奴に現実を突き付けるっていうヤツな」
この洗礼はアーシスのみならず、大体の組織が採用していたりする。人間、飴だけでなく時には鞭も必要だ。そして現在の自分の力量と言うのがどれだけなのかをわからせる必要がある。
第2の障害では葉山とジョジョが模擬戦をやっている。
嘘を消すという葉山の能力。一見、フェイントなりを消すという強力なスタンドであるオーラル・シガレッツだが、当然の如く弱点が存在する。
それを今、ジョジョが実践している。
第2の障害はマジックハンドと激流の部屋だ。
葉山「ジョースターさん。何か罠を仕掛けているな?」
静「うん」
葉山「それはなんだい?」
静「………………」
葉山「さぁ、しゃべ………ぐおっ!」
透明化された巨大なマジックハンドが葉山を激流へと突き落とす。
嘘をつけないなら喋らなければ良い。それが葉山の弱点の1つ。必ず喋らなければならない強制力はオーラル・シガレッツには無い。
すなわち、能力がバレているのならバカ正直に情報を喋る真似はしないものだ。
よく言うだろ?全てを言っていないだけで嘘はついていない……と言う奴だ。
このように。
静「オーホッホッホ!次に私は葉山の足を掴んで溺れさせる!」
葉山「近付かせるか!うわっ!」
葉山はジョジョが直接足を掴むと思って迎撃体勢を取るが、実際は違う。
葉山の足を掴んだのはアクトンact1。
葉山「スタンドで掴むだと!ガボッ!ブガガガ!」
静「あら?私は本体で掴むなんて一言も言ってないし、実際に予告通りに足を掴んで溺れさせてるでしょ?嘘はこれっぽっちも吐いていない!」
ジョジョは水の上に立ち、葉山の顎を踏みつけて顔面を水の中に押し込む。
静「
葉山「ゴボォォォォォォ!」
波紋勝負では葉山に一切の勝ち目はない。
嘘を吐けないなら、勘違いされるように本当の事を小出しに言えば良い。
ジョセフ『勝者!静・ジョースターじゃ!』
静「ほーい」
ジョジョは葉山を引っ張り上げ、気付けを施して葉山を気絶から目覚めさせる。
葉山「やられた……まさかこんな弱点があるなんて…」
静「能力がバレているのなら、それを逆手に取られる場合もあるって事だよ?葉山。黙秘を崩す手段を講じたり、私みたいに情報を小出しにして隠している部分で騙したりとか、そういう手段もあるってことを良く覚えておきなよ」
葉山「アハハハ…簡単にはいかないな…結構強力な能力だと思ったんだけどね」
静「早めに気付いて良かったんじゃあないかな?自分のスタンドの弱点を知ることはかなり重要だよ?それをカバーするように立ち回り、工夫するのが私達スタンド使いの戦いだからね。基本スペックの強弱や、能力の強弱だけが戦いの全てじゃあない」
次に相模と俺だ。
寒川『お前のせいで私は会社をクビになり、一家離散になった!』
八幡「あ、そう。下克上をしようとしたお前が悪い」
ホルホース『DIOォォォォ!お前が関わらなければ俺の人生はぁぁぁ!』
八幡「結局、お前が二流だから失敗して最終的に始末されたんだろ?知るかバカ。大人しく死んでろ」
相良「清々しいまでに開き直ってる!ラスト・ノートが効いてない!」
相模のラスト・ノートは罪悪感を感じてしまえばダメージを負ってしまう。ならばどうすればいいのか?開き直って怨嗟の元の方が悪いと突っぱねれば良い。
結衣「うわぁ………ヒッキー最低……」
いろは「これがハチ君クオリティーですけど……これはちょっと……」
徐倫「ちょっと。途中から何であたしばかり出てきてんのよ」
そう、何故か途中から徐倫の怨嗟ばかりが現れる。
徐倫『あんたのせいであたしの胃はボロボロよ!』
八幡「一周回って考えれば良いだろ。俺以上の性悪な高校生はそうそういないって。並の奴が相手なら平常心を崩さずにいられるぞ?」
徐倫『あんたのせいであたしは拳骨教師と影で言われてるんだからぁ!どうしてくれんのよぉ!』
八幡「GDstではオ○ニー女と言われてたんだろ?それよりはマシじゃね?」
徐倫『あんたのせいで平塚2号とか言われてんのよぉぉぉぉ!』
八幡「大丈夫だ。もうアナスイさんがいるじゃあないか。平塚先生も大井さんという婚約者が出来たんだし、良かったんじゃね?」
ザ・開き直り!サイコー♪ん?
いろは『ハチ君?また念写でわたしの着替えを盗み撮りしましたね?』
げっ!グサァ!
ギャアアアアア!
いろははスルー出来ない!まさかこう来るとは!
いろは『ハチ君?太秦では寝こけるふりしてさりげなくわたしの胸を堪能していたこと、バレてますからね?』
八幡「い、いろはー!出てくるなぁ!お前だけはスルー出来ないんだぁ!」
いろは『ハチ君?寝ている隙にキスをしてくるのは構わないんですが、時々舌を入れてくるのは止めてくれませんか?』
グサッ!
相良「これ、怨嗟?」
小町「ノロケにしか聞こえないんだけど……」
いろは「ほうほう、時々わたしの下着が消えているのもハチ君の仕業でしたか。へぇ?わたしのベッドに勝手に潜り込んでわたしの残り香を堪能していたと……ほうほう、そんなことまでしてましたか。え!?そんなことまで!?流石にそれはキモいんですけど……」
………あれ?見事に俺、相模の能力にはまっちゃってない?しかもなにこの公開処刑。いろはに対してちょこっとやっていた数々のチキン行動が暴露されてるんだけど?やめてぇぇぇぇぇ!
ジョセフ『勝者。相模南。何をやっとるんじゃ?このマヌケは?』
徐倫「今後、このバカには一切の容赦が必要ないって事だけは良くわかったわ……」
味方からの……特に女性陣からの冷たい目が俺に向けられていたのは言うまでも無いだろう。
更に言えばエメラルド・ヒーリングによる回復はありませんでした。波紋の自力回復で何とかするしかありませんでした。なお、この日の晩飯はメザシご飯でした…。
Oh my god……。
←To be continued
今回はここまでです。
修行のシーンですね。
一見無敵とも思える葉山や戸部の能力も弱点は存在しており、そういうのを見付けるのが得意な性悪コンビによって鼻っ柱を折られるというどこの世界にもある洗礼のお話です。
最後は八幡が調子に乗って鼻っ柱を折られてましたが。
それでは次回もよろしくお願いいたします。