やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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未来と発表

side静・ジョースター

 

学校までの道のりは既に秋めいていた。

花見川沿いのサイクリングコースに立つ木々は葉に色をつけ、あるいはその葉を落とす。空は高く、潮風は夏場の湿気を忘れたように、乾いて吹き抜けていく。

少しずつではあるが確かに移ろう季節。ことに夏から秋にかけての変化は見た目にもわかりやすい。晩秋ともなればそこに冬の色が見える。

この一連の季節こそが最も多様な変化に満ちているのかもしれない。

 

秋深き 隣は何を する人ぞ

 

名句だね。

隣人が何をしているのか気になるのは、この季節特有のもの悲しさやわびしさ、あるいは一抹の寂しさからくるもの。

そうハッチは解釈している。

……約12年。まるで兄弟のように育ってきた私とハッチ。だけどハッチがあんなことを考えていたなんて私には想像できなかった。

そんな兄弟のような存在を肩に担いで走る私の足元からはタッタッタッタッと軽快な足音が聞こえる。

両隣からはイーハの自転車の音と、同じく私の走る速度に合わせてタッタッタッタッと走るマーチの足音。

兄弟ケンカはマーチの圧勝で終わった。ま、それで許してくれたんだから感謝しなよ?ハッチ。

この時間は完全に遅刻。教室に入ったら間違いなく徐倫お姉ちゃんの拳骨が落ちてくること間違いなしだろう。

マーチと別れて総武高校まで向かい、ゆっくりと昇降口へ向かう。完璧に遅刻である以上、急ぐ必要はまったくない。

静かな昇降口を通りすぎ、気配と姿を消し、音もたてずに人と机の間を移動していく。

丁度HRの時間のようだ。

自分の席まで行くと、まずは隣の席にハッチを捨てて、私も自分の席に着く。

ん?お尻に何かの感触が………

グルグルグルグル!

 

S・F「読めてるのよ。ジョジョとハッチ。透明化してさりげなく混ざるつもりなのは。修学旅行明けでたるんでるんじゃあないの?」

 

ゲッ!ストーン・フリーの糸!?

私の遅刻偽装を読んでいたなんて徐倫お姉ちゃんのクセに生意気な!

 

S・F「昼休みに職員室。オーケー?って、ハッチは完全に気絶してんじゃん?何かあったの?」

 

A・C「マーチとイーハと私の折檻。わりかし本気の」

 

S・F「……そう言えばあんたと仗助兄さん、ゆうべは機嫌が悪かったわね。それと関係があんの?」

 

A・C「大有り。徐倫お姉ちゃん。放課後に時間ある?財団やアーシス関連で重要な辞令の発表があるから」

 

ハッチのせいで一部変更しなくてはいけなくなった。

ハッチの進路に自分の進路を決めていた人間が一人だけいたからだ。

徐倫お姉ちゃんは今回の事は知らないらしい。アーシスではあるけれど、財団の経営には関わってないからね。でも、家の継承権はどうなるんだろ?変動があるかも知れないかな?

 

S・F「とにかく、昼休みはあんただけでも職員室。遅刻の処置はしてもらうから」

 

A・C「了解。もっとも、詳しい話は放課後に。おじさんが来るからそこで正式発表。お説教は手短にね?」

 

S・F「了解。………ってそれはアンタが決める事じゃあ無いだろ!」

 

ゴンッ!

 

ちっ………誤魔化せなかったか……。

HRが終わり、スタンド使い達は私の所に集まってくる。先程の徐倫お姉ちゃんのやり取りで私とハッチがいることがわかったようだ。一般人はともかく、スタンド使いはスタンド越しの会話が筒抜けだったはずだしね。

私は気絶しているハッチをさも寝ているかのように偽装して透明化を解く。

 

戸塚「おはよう静ちゃん。遅かったね?」

 

静「何故かはさっき言った通りだよ?ハッチが気絶…寝ている理由も」

 

葉山「放課後、俺や南や戸部が奉仕部部室に呼ばれている理由に関係があるのかい?」

 

静「まぁ……間接的にはね。内容も今は聞かないで。社内の事も関係あるから」

 

葉山「社内の事って……俺には関係ないだろ」

 

それが関係あるんだな。そうでなければ呼ばない。

 

静「とにかく今は内緒。聞かれても答えないから。はい解散んんんん」

 

それぞれ何か言いたげに自分の席に戻っていった。

 

side比企谷八幡

 

全ての授業が終わった頃、俺はやっと気絶から目が覚めた。ここまで気絶したのはいつ以来だ?遣り過ぎにも程があるだろ。それだけ怒っていたってことだろうけど。

だが、それで手打ちにしてくれたのだろう。相棒もそれからは普段通りに接してくれていた。

早めに部室に行って弁当を食べないと……。気付けくらいしてくれても良いだろうに……ちくせう。

大して中身の入っていない鞄を手に取り、立ち上がった。

部活に行く連中や下校する人達よりも早く教室を出る。どこかからの視線を感じたが、それも後ろ手で閉める引き戸で遮った。早く飯を食いたいからな。

生徒達が行き交う廊下を足早に歩き、部室へと向かう。

部室には既に歴代ジョジョ達と康一さん、陽乃さん、めぐり先輩、小町が揃っていた。

 

ジョセフ「間に合ったようじゃの」

 

八幡「辞令があるからな。自力で起きなくてもジョジョが気付けをしてただろ。先に飯を食って良いか?」

 

仗助「早めにな。みんなが揃うまでに済ませろよ」

 

八幡「はいよ。大事な発表だもんな」

 

そう言って俺はいろはが作った弁当をかっこむ。

もう少し味わって食べたい物だが、そればかりは仕方がない。

 

ジョセフ「………決心は変わらんか?」

 

八幡「……変わったところで、ほとんど決定されたものだろ?むしろ理由もなく変わったなんて言ったらわさびじゃあ済まない……違うか?ジョルノ」

 

ジョルノ「そうだね」

 

めぐり「??空条先生。どう言うことですか?」

 

徐倫「さぁ………あたしも知らされてないから……」

 

知られていたら問題だ。

今日その発表があることは、本来ならば俺にだって知らされていないはずだったのだから。

そうしているうちに弁当を食べ終え、それと比例してアーシスの総武高校組は奉仕部部室に集結する。

全員が集まった所で承太郎が一束のファイルを取り出して立ち上がる。

 

承太郎「それでは、来年の元旦をもってのこの場における人事をは発令する」

 

一同「!!!」

 

そう、今日は財団の上層部で……本部の人事に関わる来年からの……正確にはクリスマスイベントの後に関わる組織編成の人事発令だ。

学生組も無縁の話ではない。俺達の事はむしろついでなまである。

 

承太郎「まずは日本支部副支部、静・ジョースター」

 

静「はい」

 

承太郎「日本支部副支部長を解任。本部監察部日本支部勤務監察主任補佐に任ずる」

 

静「了解」

 

承太郎「関東支部支部長、比企谷八幡」

 

八幡「うす」

 

承太郎「関東支部支部長を解任。日本支部監察部主任補佐に任ずる」

 

八幡「うす」

 

承太郎「関東支部副支部長、一色いろは」

 

いろは「はい」

 

承太郎「関東支部副支部を解任、日本支部総務部主任補佐に任ずる」

 

いろは「了解しました」

 

承太郎「関東支部建設部門部長、広瀬康一」

 

康一「はい」

 

承太郎「関東支部建設部門部長を解任、千葉支部支部長に任ずる」

 

康一「了解です」

 

承太郎「千葉支部支部長、比企谷小町」

 

小町「はいはーい♪」

 

承太郎「千葉支部支部長を解任、関東支部総務部主任補佐に任ずる」

 

小町「了解です♪」

 

これらは降格ではない。むしろ昇格の為の下準備段階に入ったということだ。

組織が見据える最終的な人事の、最後の下準備段階に入った事を意味する。

 

承太郎「千葉支部建設部門部長、雪ノ下陽乃」

 

陽乃「はい」

 

承太郎「千葉支部建設部門部長を解任し、関東支部建設部門部長に任ずる」

 

陽乃「四年間、お別れだねー♪」

 

八幡「二年後には千葉支部長になって貰いますがね。あなたには早期昇格をしてもらわないと困るんで」

 

陽乃「どういうこと?」

 

その内わかりますよ。

 

承太郎「続いて再来年度における採用通知を発表する。雪ノ下雪乃」

 

雪乃「はい」

 

承太郎「幹部候補生として採用する。ニューヨーク本部、研究部に所属せよ。同時に財団経営大学の理工学部へ特待待遇の入学を命ずる」

 

雪乃「わかりました」

 

承太郎「戸塚彩加」

 

戸塚「はいっ!」

 

承太郎「幹部候補生として採用する。ニューヨーク本部

医療部に所属せよ。同時に財団経営大学の医学部への特待待遇で入学を命ずる」

 

戸塚「え?」

 

そう、急遽変更が必要になったのは戸塚の人事だ。戸塚は俺のサポートを希望して経営や管理の道を希望していたのだが、それは必要なくなった。なぜなら……

 

承太郎「どうした?戸塚」

 

戸塚「僕は八幡の助けになるために八幡の右腕として活動するつもりなんです!希望は管理職の道のはずなのに!何で医療部に所属になるんですか!?」

 

八幡「俺は財団の管理職を早ければ10年後、遅くても20年後には辞任するつもりだからな。その後はアーシス実働部隊として専念する予定だ」

 

一同「はぁ!?」

 

事情を知らない面々から疑問の声があがる。そこには徐倫も含まれていた。

昨日、一昨日と会社でジジイ達と話していたことはこれだ。俺は自らの希望で約束されている日本支部支部長の座を数年で辞任する決意を固めてある。

 

八幡「そんな俺に付き合って一生を決める必要は無いだろう?だったら元々の希望である医療の道へ進んでくれた方がよっぽど俺は嬉しい」

 

戸塚「八幡!?何で僕が医療系を希望していたのを知っているの?」

 

それは今年の始めに調査された心情調査と進路希望調査による情報だ。戸塚は将来の夢で「看護師」と書いていたようだ。そして、それとなく修学旅行で徐倫にそれを戸塚に再確認するように頼んでおいた。

 

戸塚「だったら僕も八幡と一緒にアーシスに専念するよ!何で……」

 

八幡「だからだよ。戸塚が医療に専念してくれれば、むしろそっちの方が俺の助けになる。戸塚が発展させてくれた医療が前線で活動する俺の為になるんだ。それは戸塚の夢と俺の希望、財団の主力業務である医療の技術の発展、どれをも満たすと思うんだが……違うか?戸塚」

 

戸塚「それはそうだけど………」

 

財団は元々、創始者であるスピードワゴンがその方面に力を注ぎ、発展した企業だ。戸塚の力は絶対にそっちの方面で役に立つ。

それを前線で俺が役立て、戸塚は夢を叶える。

戸塚の力は前線でも役に立つが、戸塚自身の夢も含めてそっちの方が遥かに理想的な形となるはずだ。

 

戸塚「それが……八幡の役に立つ。そう言うんだね?」

 

八幡「ああ。俺はそう考えている」

 

戸塚「わかった……八幡がそう言うならば、僕は自分の夢を叶える為に医療の発展に力を注ぐよ。でも、危なくなったら必ず僕を呼ぶんだよ?」

 

八幡「ああ。頼りにしているよ。戸塚」

 

戸塚は俺の言葉を聞き、頷く。

 

戸塚「空条博士。その辞令に従います」

 

承太郎「話は決まったな?次だ。由比ヶ浜結衣」

 

結衣「はい!」

 

承太郎「一般職員として採用する。当初はニューヨーク支部の支部にて広報部の職員として採用する。同時に財団経営の芸能部門への推薦入学の枠を斡旋する」

 

結衣「推薦!?良いんですか?」

 

承太郎「ああ。勿論、入試は受けて貰うがな。だが、合格ラインは下げるにしても、それを下回るようなら入学は出来ない。また英語の習得は必須になるから、今の学力のままでは厳しいだろう。一年間、しっかり勉学に励め」

 

結衣「は、はい!」

 

承太郎「材木座義輝」

 

材木座「はもん?我にも何かあるのですか?」

 

承太郎「ああ。由比ヶ浜と同じく、ニューヨーク支部の広報部の職員として採用枠を用意する。同時に文学部への推薦入試の枠を斡旋しよう。小説家としての勉強と同時に、財団の広報誌等で実践できるだろう」

 

材木座「我の作家としての道を考慮しての人事とな…あいわかった!その話をお受けしよう!」

 

勿論、入試は受けてもらうことになる。雪ノ下や戸塚のように既に内定を受けているわけでは無いからな。二人の場合は学歴が必要となる待遇になるための特待入学だ。

 

承太郎「三浦優美子」

 

三浦「はい」

 

承太郎「ニューヨーク支部の総務部への採用だ。同時に教育、保育等の進学の推薦を斡旋する」

 

三浦「参ったね……そっちの希望まで調査済みとは思わなかったし」

 

承太郎「海老名姫菜」

 

姫菜「はいはーい」

 

承太郎「…………お前の就職希望は俺のハウスキーパーとなっているが、そっちは不採用だ………まだ間に合っている」

 

海老名「えーーー!」

 

承太郎「やかましい!その代わりだが、由比ヶ浜や材木座と同じく広報部職員として採用を考えている。同時に希望学部への推薦を斡旋しよう。学歴はあったにこしたことはないからな」

 

海老名「アメリカの?」

 

承太郎「?そのつもりだが?」

 

海老名「なら行く行く!入試頑張るよー!」

 

積極的で何よりで……。そこでとことんアタックするつもりだな?

 

承太郎「川崎沙希」

 

沙希「はい」

 

承太郎「医療部への採用だ。実質的にはアーシス支援部隊での勤務となるだろう。その波紋の技術に期待している。同時に教育学部への推薦を斡旋する。日本での残留を希望していたな?」

 

沙希「ええ。けーちゃんとかの面倒もあるので」

 

承太郎「日本には財団の直営大学は無いが、提携大学は東京にもある。そっちに話を持っていくようにしよう」

 

沙希「了解だ」

 

アーシスにも表向きの役職、勤務は存在する。川崎はさしずめ医務室支援という勤務となる。もちろん、法律的な資格も必要となる為、そちらの勉強もしてもらう形になるだろう。必要ならば准看護士の資格も取ってもらうことになるかも知れない。

 

承太郎「川崎大志」

 

大志「はい」

 

承太郎「高校卒業と同時に医療大学に入学希望とあるが、間違いないな?」

 

大志「はい。姉ちゃんと同じく、波紋の力を有効的に使いたいと考えています」

 

承太郎「わかった。沙希と同じく高校卒業と同時に医療部門への採用と医学部への推薦枠を検討しよう」

 

大志「わかりました」

 

承太郎「城廻めぐり」

 

めぐり「はい!」

 

承太郎「財団への就職は特に希望しないとあるが、それで構わないか?」

 

めぐり「はい」

 

承太郎「そうか……広報系で採用したいところだったのだが、残念だ。アーシスのみの採用となる。同時に日本での希望学部への推薦を斡旋する」

 

めぐり「それだけでも嬉しいですよ♪将来は露伴ちゃんのところに永久就職しますから♪」

 

ぶれませんね。めぐり先輩も……。

 

承太郎「続いて学部推薦のみの話だ。葉山隼人」

 

葉山「え?」

 

てっきり自分は関係ないと思っていたのだろう。葉山は呼ばれて驚いている。

 

承太郎「法学部への推薦を斡旋する。将来は警察関係の仕事に就きたいそうだな?」

 

げっ!

それだと俺にとっても色々と敵対しないか?

 

葉山「………オーラル・シガレッツの力はそっちの方向で役に立つのでは無いかと思います。修学旅行で俺の能力がわかり、色々と考えてました」

 

八幡「将来的に敵対するのかよ……マジか」

 

葉山「そうならなければ良いね。それに、必ずしも敵になるとは限らないだろ?財団的にもプラスになることは多くなるかもしれない。だけど、君達がやっている買収とかには応じないからね?」

 

ちっ。バレてるか……。

ギャングとかの仕事もしている以上、警察関連や政府関連を抱き込んでいなければとっくの昔に俺達はお縄になっているからな。

一連の修学旅行の事件だけでもどれだけお世話になったことやらわからない。ウルフスに乗っ取られた人間は全て行方不明という形で処理してもらっているくらいだ。

他にもインドでのジジイの国際指名手配を揉み消したりと色々な方面で昔から手を回していたりする。

 

八幡「お手柔らかに頼むよ……」

 

葉山「それはこっちの台詞だよ。それにしても空条博士。何故アーシスではない俺たちにまで?」

 

ジョルノ「ここまでウルフスとの戦いに協力して貰ったんだ。報酬は必要だろう?そう言うことだ」

 

ギャングとしての言い分としてはこうだ。

業績に対して対価は必要だ。それがギャングとしての信頼の形である。

ただより高いものは無いってやつだな。

 

承太郎「相模、戸部に関しても後々報酬は支払われる。じっくりと自分の将来について考えておくと良い。我々はそれらに対して協力すると約束しよう」

 

戸部「例えばプロのサッカー選手になりたいとかでもですか?」

 

承太郎「君にそれだけの力があるのならば、クラブへの斡旋や後援会の設立などを協力しよう。あくまでも実力に応じた後押しだ。そうでなければ互いに不幸しか無いだろう。例えば……総武高校が国立競技場のグランドに立つ……とかな。そうなれる練習の後押し……例えばそこにいる上級波紋使いの特訓を受けて基礎の向上を図るとかはどうだ?テニス部がそうであったように」

 

戸部「噂の奉仕部ブードキャンプっすか!?べー!そりゃやる気出るわー!」

 

や、あれは本人達のやる気次第だぞ?中途半端な奴は耐えられずに部活を辞めるからな?まぁ、協力はするけどさ。

 

八幡「一応言っておくが、公式における波紋の悪用はエア・サブレーナ島の矯正施設に送られるからね?公式記録の残る大会とかへの出場は波紋の一族は禁じられてるから葉山も気を付けろよ?」

 

俺達がどこの運動部にも助っ人としてすら所属しないのはそこにある。才能がありそうなのに泉に波紋を習得させていないのもそれだ。そうでなければ世界記録なんて今頃はとんでもないことになっている。あくまでも基礎の向上の訓練を施しているに過ぎない。

 

葉山「ジョセフさんの指導は受けているから心配しなくても大丈夫だよ。波紋なしでも全国制覇をしてみせるさ。泉に負けてられないからね」

 

へぇ。俺ならこっそりやっちゃいそうだわ(ゲス)。俺なんて最初から運動部参加禁止を受けてるのに。

さすがはオーラル・シガレッツ。

 

承太郎「以上がSPW財団及びアーシスの辞令と決定の通達だ。質問はあるか?」

 

雪乃「個人としてではないのですが、ジョースターさんや比企谷君達の役職の解任には理由があるのですか?」

 

ある。俺の決意とかに関係なく元々からそうなるようになっていた。

 

仗助「あるぜ?大抵の大きな組織ではよくある人事だ。俺が日本支部の支部長をやっているのもその一環だぜ?」

 

静「お兄ちゃんの場合は長すぎるくらいだね。天国とか柱の一族、ウルフス関連でそうせざる得なかったけど」

 

仗助の日本支部支部長の在任期間は長すぎるくらいだ。本来ならば既に会長や本部での重要な役職に就いていなければならないくらいなまである。俺に付き合って引き伸ばしているくらいだ。

 

仗助「実績作りなんだよ。偉くなるにも段階というものが必要だろ?その為に八幡達には子供の頃から学歴をつけさせたり業績を付けさせたりしてたんだ。このバカは水の泡にしやがったがな」

 

そう言って仗助は俺の頭をグリグリと拳をねじ込んでくる。それは本当に悪かったと思っている。アーシスを主に置く以上は管理職の肩書きは却って邪魔になる。承太郎のようにある程度は身軽なくらいが丁度良い。

 

八幡「アーシスの任務が終わり次第、俺達はニューヨークの本部勤務になることは元々決まっていたんだ。再来年っていうことでも大分予定を遅らせてるんだぜ?」

 

仗助「おれも再来年には財団の副社長の予定だしな」

 

葉山「じゃあ一色や小町さんも………」

 

いろは「留学という形で総武高校から去る予定ですね」

 

結衣「寂しくなるね……」

 

お前、何言ってんの?

 

八幡「言っておくけど、お前も含めて大半がアメリカ留学になるの、忘れてね?むしろ俺達が一足先に日本に帰国する予定なまであるぞ?」

 

この場にいる学生組で日本に残るのは陽乃さん、めぐり先輩、川崎兄弟、留美、けーちゃんくらいのものだ。後は戸部と相模が今後の進路次第で変わるって言うことくらいか?

さっきも承太郎が言っていただろ?ニューヨーク本部か又はニューヨーク支部勤務になるって。

 

結衣「あ…………え、えーーーーー!」

 

小町「結衣さん。これまで何度か希望調査は取られていたよね……結衣さんの希望は雪乃さんのサポートだったんだから、こういう形になったんですよ?キャリア幹部の雪乃さんは早い段階で本部の研修や勤務実績が必要だったんですから」

 

静「葉山、相模、戸部を除いては奉仕部はアーシスとして財団と契約してるの忘れてない?アーシスは裏の組織だから表向きの職に就く必要があるから」

 

結衣「じゃあヒッキーは支部長を辞めた後はどうなるの?」

 

八幡「適当な部署に入ることになるだろうな。単独でも集団でも身軽に動ける部署はいくらでもあるから」

 

今のところは黙っているが、パッショーネにも入団する予定だ。構成員の力が必要になることもあるだろう。

 

結衣「でもこれってヒッキー達の解任以外は再来年の……高校卒業後の人事だよね?なんか早すぎない?」

 

………アホ。

 

康一「由比ヶ浜さん。聞くけど、来年の今頃にこの発表を聞いて、受験勉強が間に合う?」

 

結衣「あ……………」

 

答え。間に合わない。現実は非情である。

はっきり言って今からでも猛勉強が必要なまである。

それに加えて訓練やらウルフスとの戦いなど、なんだかんだで実際はギリギリだろう。

そんな時だ。

久々に奉仕部の扉がノックされた。

 

朋子「失礼するわよ。静と八幡、いろはにめぐりちゃんはいる?」

 

朋子さんが入室してきた。

 

←To be continued




はい。今回はここまでです。

pixiv版の未来編を読んだ方は八幡が日本支部支部長を辞任する辞表を提出していますので、ご存知の方はいらっしゃったとは思いますが、八幡は将来、財団の表舞台から姿を消す予定でした。
修学旅行編でちらほらと仄めかしていたのでフラグは立てていたとは思いますが………。

物語は生徒会選挙編及び折本編へと突入します。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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