やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までのクリスタル・クルセイダーズの冒険!

落とし穴に落下した八幡、承一郎、忍の前に現れたダービー兄弟と小林玉美!
イカサマの天才である彼らに対し、八幡とジョセフに変身した忍が麻雀で挑む!
スタンドを使ったら玉美の『錠前』の餌食になる!
そんな勝負の中、平然と自らの技術でイカサマをやる八幡達!
承一郎は結果のわかった勝負に興味をなくし、戦線を離脱!そのまま別の敵を始末して先を急ぐ。
あからさまに自分ばかりが負けるテレンツは、ようやく兄が敵側であると気付く!
勝てないと悟ったテレンツは、敗北を認めた。すると、使えないはずのオシリス神がテレンツに牙を剥く!
何と、玉美もこちら側の刺客として潜入していたのだ!
苦もなくダービー戦を終わらせた八幡達!
一方その頃、露伴達もウンガロを倒していた!
さらにもう一方では、女達の血で血を洗う戦いが展開されていた!
あの綾瀬絢斗はDIOの腹心、ヴァニラアイスの転生者だった!
あの狂気のヴァニラアイスを相手にいろは達は無事で済むのか!
第6部外伝!いよいよ佳境に突入!

※注意
一部のキャラがひどい目に遭いますが、ご了承頂けると助かります。
ジョジョ的にこの敵を相手に無傷はあり得ませんでした(^_^;)


PRIDE of GIRLS!綾瀬絢斗の瘴気

承一郎が独房に突入する少し前に遡る。

 

場所は徐倫、F・F、アナスイがDIOの骨を巡って死闘を繰り広げた懲罰隔離房。

落とし穴に落とされたいろは、小町、静、陽乃、沙織の五人が血で血を洗う死闘の戦場跡に落下していた。

 

side比企谷小町

 

落とし穴に落とされ、落下した先は、薄暗いホールみたいな場所だった。

そして異変は直ぐに起きた。

 

小町「!!」

 

ガオオオン!

 

小町の立っていた足元から何かがいると空気が教えてくれた。

小町は直感に従って横飛びする。

しかし、一瞬遅かった。

右足の指がまるで億泰さんのザ・ハンドに削り取られたかのように消失していた。

 

小町「うああああああああ!」

 

いろは「マチちゃん!」

 

お姉ちゃんがエメラルドヒーリングで治そうとしてくれるが、欠損の傷は治らない。

足からの出血を止めるので精一杯だ。

 

絢斗「仕留め損ねたか。メスガキ」

 

気味の悪いスタンドが何もない空間からグニャリと現れる。

 

まずは頭から現れ、口の中から体が現れる。思いの外にグロテスクな光景だ。

そして口の中から女の顔が現れる。

二十歳前後の女…メキシコ支部からサンタナを持ち去ったあの女だ!

 

絢斗「待っていたぞ。メスガキ共、特に…DIO様の転生とかぬかすガキの妹、比企谷小町。最初に仕留められなかったのは残念だ。流石は波紋を極めたと言われるガキなだけはある。だが、手傷を負わせられたのは重畳だったぞ」

 

確かに手痛い傷だよ。足をやられたのは…

これじゃあジョルノお兄ちゃんに足先を作ってもらうしかないじゃんか。

お姉ちゃんのお陰で痛みは無くなったけど、指先が欠損しちゃったのはキツいなあ。

それに、このスタンド能力は厄介だなあ。

 

陽乃「このスタンドは…ヴァニラアイスのクリーム!あんたまで転生していたなんて!」

 

絢斗「気付いたか、裏切り者のアヌビス神。貴様と比企谷八幡、それに一条承一郎。このド畜生のお前らがいたお陰で、神父の計画は破綻した!裏切り者の貴様達のせいで!DIO様の崇高なる理想が破綻したのだ!この責任はとってもらうぞ!クソガキども!」

 

沙織「裏切り者はあなた達じゃないの?比企谷はDIOの転生だよ?」

 

絢斗「あんなものは偽物だ!我々のDIO様ではない!DIO様は世間一般の正義にはほだされぬ!DIO様は気高く、そして常に我々を導いて下さる!あんなクソガキはDIO様からザ・ワールドをかすめ取った偽物に違いない!」

 

狂信者。

その言葉がこの女に相応しい。

その瞳は紅く輝いており、既に人間では無くなっているようだ。

この瞳は吸血鬼の…石仮面を被って吸血鬼に成り下がったんだね。

まだ残っていたんだ…あの呪われた仮面が。

なら、躊躇わない。この女は波紋の一族として確実に仕留めてやる!

柱の一族と吸血鬼の始末!それが波紋の一族としての使命だから!

 

小町「パウッ!」

 

小町は倒れた姿勢から腕の力だけで飛び上がり、立ち直す。

 

 

絢斗「なんだ比企谷小町。足先を失ってもまだ立ち上がるか!この畜生が!まだ十歳そこそこのクソガキがこの私を前にしたら、ガタガタ恐怖して震えているのが相応しいとは思わんのか!あ?このハナタレ小娘!」

 

元が品のない男だけあって、女に転生しても品性の欠片もない女だ。

口が悪いってものじゃあない。

 

小町「恐怖したよ。本音を言えば恐怖でガタガタ震えたいよ。その未知なスタンド能力への恐怖が小町を震えさせるよ。だからこそ、勇気になるんだよ。恐怖を認め、自分への勇気へと変える。勇気へと変え、恐怖を自分のものへと変えたとき、波紋の呼吸は正しく乱れなくなる。これが波紋の一族の最大の武器。人間の讃歌は勇気の讃歌。ヴァニラアイス…人間を捨てたあなたに、人間の力を見せてあげる!勇気の力を!」

 

小町はサンシャイン・ルビーを展開する。

 

小町「小町達に敗北は許されない。小町達は勝たなくてはならない。引き分けはない!」

 

小町は指先を絢斗に向け、ルビーレーザーをアイツの額に向けて発射する。

しかし、アイツを射っても効果がない!

ルビーレーザーが効かない!?

 

陽乃「無駄だよ小町ちゃん。クリームのあの口は異次元に繋がる扉。あの口の中の女を狙っても、異次元に飲まれて消されちゃう。例え光でも」

 

何て力だ。小町の切り札がこうもあっさり防がれるなんて…

スタンド能力に強弱はない。

どんな能力でも、使い方次第では最強となれる。

それがスタンド…。

迅速に処理しようとしていたけど、そうそう甘いものじゃあないよね。

 

静「マーチ。一人でやろうとしないで」

 

いろは「私たちがいるんだから。攻撃面じゃあ役にたたないけど、それぞれが力を合わせれば勝てるはず」

 

陽乃「コイツは私達にとっても仇を取るべき相手。小町ちゃんだけに辛い思いはさせない」

 

沙織「プライド オブ ガールズ。女の意地にかけて、負ける訳にはいかないわね」

 

みんなが小町の横に並ぶ。

そうだ。小町には心強い仲間がこんなにいたんだ。

 

沙織「対スタンド使い用のアイテム、使っちゃうよ!」

 

沙織さんはゴーグルをかけ、グローブをはめる。

 

沙織「スタンドの矢を解析して、それと同質の素材で作ったこのゴーグルとグローブ。ポルナレフさんと承太郎さんに頼まれて、友達の紐緒さんに頼んで作ってもらったものよ。試作品だけど、コレがあればスタンドは見えるしこのグローブで殴れるの」

 

本当に規格外の人だ。

忍さんも大概だけど、この人もスタンドのルールをことごとく無視するなぁ。

 

沙織「それにね、異次元に入り込んだら見えなくなって一方的に攻撃出来るのが強みみたいだけど…」

 

沙織さんは両手をかざして薄暗い部屋に明かりを灯す。

 

沙織「光に照らせば、光を飲み込むその能力があなたの位置を知らせてくれる。スタンド能力は厄介だけど、冷静に対処すれば対策なんてそれなりにあるものよ」

 

二十年前もポルナレフさんが粉塵を利用してヴァニラアイスの位置を特定していたんだっけ。

出来れば紫外線照射装置が欲しかったけど、無いものは仕方がない。

 

小町「いくよ!みんな!」

 

小町の号令で小町、ジョジョお姉ちゃん、陽乃さん、沙織さんが飛び出す。

 

いろは「エメラルドストライク!」

 

お姉ちゃんは飛び道具で小町達を支援する。

 

絢斗「私の位置がわかったからどうだと言うのだ!」

 

絢斗は再びクリームの口の中に完全に入り、異空間の丸い玉となって突撃してくる!

 

沙織「反重力!」

 

沙織さんは反重力魔法でクリームの突進の軌道を反らす。

どんな能力でもあの攻撃に対しては回避する以外の対処がない。

直撃コースだったクリームの突進は沙織さんの機転で逸らされ、ことなきを得た。

 

絢斗「ちょこざいなマネを!」

 

静「アクトン!」

 

A・C「ドララララ!」

 

一瞬だけ出てきたクリームの隙をついてジョジョお姉ちゃんのアクトンがラッシュをする。

 

絢斗「ぐう!吸血鬼をナメるな!」

 

ラッシュのダメージは直ぐに再生される。

 

静「チッ!」

 

危うく拳をクリームの口に入れられそうになってジョジョお姉ちゃんは慌てて飛び退く。が、クリームのキックがアクトンにヒットしてジョジョお姉ちゃんが吹き飛ばされる!

 

静「ぐぅ!」

 

お姉ちゃんは後頭部を壁に強打し、一瞬だが意識が飛ばされてしまう!

波紋の戦士にあれだけのダメージを与えるなんて、規格外の吸血鬼だ!

あの女、吸血鬼の適応力が下手をしたらDIO以上だ!

やはりこの女は野放しにしては世界が危うい!

 

陽乃「ウリャリャリャリャリャリャ!」

 

陽乃さんが斬撃のラッシュを絢斗に浴びせる!

 

絢斗「フハハハハハハ!以前の屍生人とは比べ物にならないくらいの再生能力だ!斬られても直ぐに再生される!アヌビスよ!貴様の刀など、まるで怖くはないぞ!」

 

陽乃「くっ!反則じゃあないのよ!ヴァニラアイス!」

 

陽乃さんが縦一文字に切り裂いた。が、絢斗は切り裂かれた断面を両手で合わせ、その傷がすぐに塞がる。

残念だ。陽乃さんは波紋の戦士として素質があった。

時間が無かったから、そちらの修行は後回しにしていたが、もししっかりと修行をさせていれば今ので決まっていた。

銀色の波紋疾走(メタルシルバー・オーバードライブ)が出来てさえいれば…

 

絢斗「本来は致命傷なのだろうな?アヌビス。だが、今の私には何のことはない!ところで、私を縦に切り裂いた際に、クリームの口を通過したのだが、貴様は大丈夫なのか?アヌビスよ!」

 

陽乃「え?キャアァァァァァァ!」

 

見るとアヌビス神の刀身の先が異次元に削り取られ、消失していた。

スタンドが受けたダメージは本体にもダメージを与える…

陽乃さんの体は両膝から先が消え去り、その場に転がった。

 

絢斗「間抜けめアヌビス!ちいとでもこの私に敵うとでも思っていたのか!貴様は苦しめて苦しめて苦しませた上に殺してやる!なぶり殺しだ!あのクソ犬のようになぁ!アーハッハッハッハ!」

 

絢斗は陽乃さんの腹部や顔にストンピングを落とし、彼女を惨たらしくいたぶる!

 

小町「陽乃さん!」

 

小町は左足で跳躍し、絢斗に蹴りを入れようとするが、避けられてしまう!

でも、陽乃さんから引き離すことは出来た!

陽乃さんの容態は…いけない!致命傷を受けている!

コオォォォォ…

小町は波紋のエネルギーを陽乃さんに送る。

簡単な延命処置だ!

 

陽乃「小町ちゃん…ごめんなさい…私は結局、役に立てなかった…」

 

小町「ダメ!喋らないで!陽乃さんはまだまだ生きなきゃダメな人だよ!こんなところで死んで良い人じゃあないよ!」

 

陽乃「ありがとう…最期に…本物の仲間に会えて…」

 

陽乃さんから魂の光が徐々に上がっていく。

逝っちゃダメ!

 

いろは「陽乃先輩!エメラルドヒーリング!」

 

お姉ちゃんの回復弾が間一髪で陽乃さんの体を癒やす。

消滅した足は戻らなかったけれど、抜け出しかけていた魂が体に戻る。

危なかった…。もう少しで間に合わなくなる所だった。

 

絢斗「一色いろは。そして比企谷小町…お前達さえいなければ、比企谷八幡は…。DIO様が堕落する事は無かった!貴様なんぞにDIO様はぁぁぁぁぁ!」

 

絢斗は今度はお姉ちゃんに向かって突進する!

お姉ちゃんの手首がやられちゃった!

 

いろは「キャアァァァァァァ!」

 

そして方向変換して、再びお姉ちゃんに!

 

沙織「危ない!いろはちゃん!」

 

異次元ボールになった絢斗の突進先から庇うように沙織さんがお姉ちゃんを突き飛ばし、代わりに右肩から先が異空間に食われる!

でも、そこから体は無事だった。

逆に異次元ボールが弾き飛ばされ、壁を突き抜けた!

 

沙織「ドジっちゃったな…こんなところで利き腕を無くしちゃうなんて思わなかったな…」

 

小町「沙織さん!」

 

沙織「でも、対策はねれたわよ。弾く力には突進を回避する力があるみたい。小町ちゃん、いろはちゃんがやられたら終わりよ。必ず…守ってね」

 

バタリ…沙織さんはそのまま倒れて気絶してしまった。

 

いろは「エメラルドヒーリング!」

 

お姉ちゃんが自分と沙織さんの傷を治す。

良いヒントだったよ。沙織さん。

でも、犠牲になってほしく無かったよ。

綾瀬絢斗…いえ、ヴァニラアイス!

あなたはこの比企谷小町を完全に怒らせたんだ!

 

絢斗「わかったからと言って何だと言うのだ!今度こそ死ねぇ!ジョースターの小娘ども!」

 

静「マーチ!」

 

ジョジョお姉ちゃんが小町の所に飛んできて、気絶した陽乃さんや沙織さん、そしてお姉ちゃんを庇うように立った!

 

小町「ジョジョお姉ちゃん!」

 

静「ここまで来たら一緒だよ、マーチ!弾く波紋はより強い方が良いでしょ!」

 

バリバリバリバリ!

 

ジョジョお姉ちゃんと小町は二人がかりで弾く波紋に集中する。

沙織さんが命懸けで解明してくれた手段。

この力で異次元の玉を食い止める!

 

絢斗「なにぃ!」

 

異次元の玉を弾き返し、再びクリームは現世に姿を現した。

そうか、この能力はその体勢に入れば絶対に無敵。

だけど、その体勢では現実の状況を知る事は不可能なんだ。

ならば、姿を見せたこの瞬間がチャンスだ!

 

小町「震えるよハート!熱くなるほどヒート!太陽光色の赤い波紋疾走(サンシャインレッド・オーバードライブ)!」

 

サンシャイン・ルビーの拳がクリームを捉える!

 

絢斗「ぐあああああ!忌々しい波紋の拳でクリームの体の一部が溶ける!おのれぇ!メスガキィ!」

 

やった!この感じ、波紋が入った!

互いにボロボロのまま、対峙する小町達と綾瀬絢斗。

 

承一郎「この惨状は…」

 

そのとき、承一郎さんが壁の穴から姿を現した。

 

絢斗「やっと来たか、クソガキ」

 

JOJO「どちらもボロボロじゃあないか。どうやったらこんな酷い状態になるんだ?」

 

承一郎さん、いえ、一条さんが部屋の状況を確かめ、そして何かに思い立ったようだ。

 

JOJO「なるほど。この能力はクリームか。サイコパス加減が奴に似ているとは思ってはいたが、まさか本人の転生だったとはな…」

 

一条さんが憤怒の表情を浮かべ、絢斗を睨む。

 

JOJO「アヴドゥルさんとイギーの仇を取らせてもらうぞ!綾瀬絢斗…いや、ヴァニラアイス!」

 

一条さんが小町の所までジャンプしてきた。

 

JOJO「良く頑張った小町。後は任せろ」

 

小町「一条さん。小町にもやらせて。小町の大事なお姉ちゃん達をやられて、黙っていられるほど小町は大人しくない!それに、コイツなんだね?二十年前にジョセフおじいちゃんや承太郎おじさんの仲間を殺したのは…絶対に許さない!」

 

JOJO「そうか。だが、その足で無理はするなよ?小町」

 

小町「うん!一緒にやろう!一条さん!もう一人のエリザベスの弟!そして、もう一人の小町のお兄ちゃん!」

 

小町達二人は波紋の呼吸を整えて、構えをとった。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

とうとう、大怪我を負う戦いに突入しました!
それでも少女達(一人は少女ではないが)は諦めずに戦う!

転生したジョナサンの義娘、エリザベス・ジョースターの魂を持つ比企谷小町。
平行世界からやって来た5人目のDIOの息子にて6人目のジョナサンの息子、一条承一郎とJOJO。

奇妙な形で出会った奇妙なジョースター姉弟の意地をかけた戦いが次回、決着!

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