sideなし
「何か……派手さはねぇなぁ」
「これがKOF?初出場の空条とかという奴はともかく、中期から連続出場しているマキシマが攻めあぐねてるなんてよぉ」
「近年のKOFは質が下がっているというのは本当だったんだなぁ…」
承太郎とマキシマの試合は観客側からしたならば地味の一言に尽きる戦いだった。
その殆どがにらみ合い。ダメージらしいダメージはどちらもない。判定を下す側も非常に困っている場面だった。
じわじわと野次が飛んで来はじめる。……が、わかっている人間はいるもので……。
「うるせぇ!だとしたらマキシマと戦っている空条という奴がすげぇんだろ!」
「そうだそうだ!これだからにわかは困るんだよ!」
「お前らのような奴が近年のKOFの質を下げてるんだよ!頑張れぇ!空条!俺は応援しているぞぉ!」
KOFの歴史は長い。
こうした読み合いによって状況が膠着してしまうこともままあった。
特に承太郎とマキシマに関しては見た目の派手さやガタイの大きさから大雑把な戦いかただと思われがちだが、観察のし、相手の出方を伺う事をどちらかと言えば主眼に置いている。
状況が膠着するのは当然だった。
マキシマ「どうした?空条承太郎。お得意の力は使わないのかい?」
承太郎「お得意の力?」
承太郎(まさかこの野郎……
マキシマ「スタープラチナ・ザ・ワールドだよ。出来るんだろ?時を止める事が」
承太郎「知られている能力を、俺があっさりと使うとでも思ったいたのか?随分と甘く見られたものじゃあないか」
承太郎(やれやれだぜ。そっちの事か……。やすやすと使って良いものじゃあねぇけどな……)
承太郎はマキシマが言っていた能力の事が、スタープラチナ・ザ・ワールドであることに安堵の息を吐く。
今の承太郎の本当の切り札は時を止める能力の事ではない。
それよりももっと危険な……
しかし、その切り札はそうそう使えるものではない。
その代償は………あまりにも大きすぎるのだ。
マキシマ「大きく出たねぇ。ならば、こっちから行かせてもらうぜ?空条承太郎」
承太郎「来な。今度こそスクラップにしてやるぜ」
マキシマ「そうさて……もらうぜ!ファイナルフォーメーション!」
マキシマの体からミサイルの砲筒がニョキッと出てくる。
承太郎「野郎……まさか!」
マキシマ「エンドオブワールド!」
ついつい「スターダストクルセイダーズ」の後期オープニングテーマを口ずさみたくなる技名を叫ぶマキシマ。
それと同時にミサイルを大量に発射。
DIO「空白のラストページにぃ♪」
静「その拳を叩き込め♪」
餓狼八幡「エンド・オブ・ザ・ワールド♪」
DIO&静&餓狼八幡「その血の記憶♪」
本当に「その血の記憶~end of the world」を歌い出したおバカ三人。そのタイミングと同時に………。
S・P「オラオラオラオラオラ!」
スター・プラチナがラッシュで次々とミサイルを叩き落とす。
実にタイミングが良い。
DIO「オラオラオラオラ♪」
S・P「オラオラオラオラ!」
静「オラオラオラオラ♪」
S・P「オラオラオラオラ!」
餓狼八幡「オラオラオラオラ♪」
S・P「オラオラオラオラ!」
そして………最後のミサイルを叩き落とす。
おバカ三人&スター・プラチナ「オラァ!(♪)」
おバカ三人「year!」
ピシッ!パシッ!ガシッ!グッ!グッ!
ポルナレフ式ハンドシグナルが三人の間で交わされる。
承太郎「やかましい!うっとうしいぞ!テメェら!」
アンディ「ツッコミ超!神速!斬!影!拳!」
競技者の集中力を大きく削ぎ落とす行動にすかさずアンディがマックス2必殺技で三人を沈めた。
承太郎「野郎……下らねぇ邪魔を……」
ミサイルを叩き落とし、マキシマに向き直る承太郎。
しかし、視界はミサイルの爆炎によって生じた煙で遮られており、マキシマの姿が見えない。
マキシマ「ナイスアシストだったなぁ?俺にとってだけどよ。マキシマリフト!」
煙を煙幕に足に仕込まれているホバークラフトで突っ込んで来たマキシマが、特徴的な長ランの体を持ち上げ…
マキシマ「スカルクラッシュ!」
そしてその鋼鉄の膝に相手を叩き付ける。更に……相手を抱きしめかのように腰に手を回し……(各世界の海老名姫菜を知る者達は、彼女がいたら「マキジョジョきましたわー!」と叫ぶんだろうなぁ……と下らない事を考えながら)グキリと音が聞こえる程の鯖折りをした後に……。
マキシマ「デンジャラスアーチ!」
そのまま変形のブレーンバスター風のスープレックスを決める。
それでもまだマキシマの猛攻は止まらない。
マキシマ「ワンモアタイム!」
ブレーンバスターから更に一回転をして相手の背中から再び腕を回し、(海老名「ジョジョマキ再びですわー!」という幻聴が海老名を知る者から再び聞こえた)もう一度持ち上げてジャーマンスープレックスを決める。
エンドオブワールドというミサイルの乱れ打ちはただの煙幕代わり。本命はこのホバークラフトによる接近からの投げによるコンボだった。
マックス版超必殺技を煙幕代わり使うという発想。
並の者ならばまず考えない方法だろう。
例え性悪コンビ達の妨害が無かったとしても、承太郎がエンドオブワールドを回避出来ていたかどうか…。
マキシマ「不運だねぇ。付き合う相手をよぉく考えておくべきだぜ?空条承太郎?」
承太郎「まったくだぜ。あのバカ共は後でどうにかするとして……オラァ!」
いつの間に背後に立ち、上着と帽子を脱いでいた承太郎が渾身のパンチをマキシマの腹部に食らわせる。
スターブレイカー。カイロでDIOに食らわせた攻撃だ。
承太郎の超必殺技がマキシマにヒットする。
マキシマ「ぐはぁ!」
隙だらけだったマキシマはまともにスターブレイカーを受けてしまい、吹き飛ぶ。
相手が生身の人間だったのならば、腹に風穴が空いていたであろう攻撃だった。
マキシマ「ぐ………何故………背後に……」
マキシマが倒れている承太郎の学ランの方を見てみると…。
DIO「じょ、承太郎………流石にこれは酷いんじゃあ無いか?」
承太郎「普通ならな……。だが、テメェに対してはまったく同情の余地はねぇ。テメェの世界の俺はテメェを家族同然に扱っているようだが、この俺にとってはあくまでもテメェはDIOの転生だ。恨むなら下らねぇ事をした自分を恨むんだな」
マキシマの投げコンボを食らっていたのは、体格が良く似ていたDIO八幡だった。
承太郎は煙幕からマキシマの姿を確認したと同時にスター・プラチナ・ザ・ワールドを発動。超神速!斬影拳によって吹き飛ばされていたDIO八幡を身代わりに置き、上着と帽子を被せて自分は離脱していたのだ。
普段の承太郎はここまでやらないが、集中力を途切れさす真似をしたDIO八幡に対しては内心怒っていたのであろう。
承太郎が非情なのか、DIO八幡がアホすぎるのか…。
『し、審議!』
『おおっと!ここで審議が入りました!ストライカー以外の第三者を身代わりにした空条選手!これは流石に反則になるかぁ!』
試合は一時ストップし、審議に入る。
いくらうっとうしかったとはいえ、ストライカー以外の人間……ましてや別のチームの選手を身代わりにすれば流石に反則を取られかねないだろう。
承太郎「ち……ジジイを身代わりにすれば良かったのか……」
ジョセフ「それはそれでどうなのじゃ?承太郎」
承太郎「こんな茶番、別に勝っても負けてもどっちでも良かったんでな。それにテメェは殺しても死なねぇだろうが……ジジイ」
確かにジョセフは喉にナイフを刺され、カラッカラに血を吸い付くされても死ななかった前歴はあるが…。
運び出されたDIO八幡を見送りながら、承太郎はシレッと言う。確かに承太郎にとっては別にこんな大会に勝っても負けてもどちらでも構わない。
アヴドゥルや花京院の待つ自分の世界に戻れればそれで良いのだから。
『続行!続行です!空条選手は確かに第三者を巻き込むという反則を行いましたが、マキシマ選手もミサイル攻撃という反則行為を実行した為、互いにイーブン!試合は続行という形になりました!』
互いに反則行為を行ったとしてまさかの試合続行。
承太郎「チッ!別に俺の負けでも良かったんだがな。やれやれだぜ……」
DIO「やれやれだぜ……じゃあない!人を反則敗けの材料にしようとするな!」
リングサイドからDIO八幡の罵倒が飛ぶ。
復活の早い男である。(それを承知の上でDIO八幡を身代わりにしたという打算もあるのか?)
マキシマ「まったく……やってくれるねぇ?空条承太郎。そんな狡猾な真似をしてくるとは思わなかったぜ」
承太郎「狡猾だろうが何だろうが、俺はそういう戦いしか経験が無いんでな……俺の戦いを知っていたんだろう?本当に予習をしてきたのか?マキシマ。あんな攻撃を受けたなら、波紋の戦士ならともかく、俺だったなら即
スタンド使いの戦いとは超実戦的なものである。
使えるものは何だって使う。
マキシマ「そうかい。だったなら、これならどうだい?バンカー…………」
マキシマはその場に蹲り、パワーを溜める。
承太郎(パワーを溜めて突進か?だったなら、それに合わせて拳を叩き込む!)
スターブレイカーは少なくないダメージをマキシマに与えた。
例えサイボーグでも、スターブレイカーのパワーならばマキシマを倒せると踏む承太郎。しかし……
マキシマ「バスター!」
承太郎「何っ!」
マキシマの次の行動は突進ではなかった。
大地を揺らす程のパワーを地面に叩き付け、地震と勘違いするほどの衝撃を発生させると同時に跳躍。
迎撃の体勢を取っていた承太郎はその衝撃によって転倒してしまう。
大門五郎の地雷震、サイバー・ウーのハンマーパンチと同様に、マキシマのバンカーバスターの跳躍には局地的な地震を発生させる性能があった。
承太郎「ぐぅ!」
そしてマキシマは転倒した承太郎目掛けてぐるぐると回転しながらプレスをしようとする。
承太郎(まるであの時のようじゃあないか……)
DIO(八幡)「ロードローラーだぁ!」←懲りてない
そう。これはまさしくカイロでの戦いを再現するかのようなケースだった。
承太郎(プッツン!)
S・P「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
落下してくるマキシマを押し戻そうと倒れた状態でオラオララッシュをするスター・プラチナ。
マキシマの力とスター・プラチナの力比べが始まる。
DIO(八幡)「もう遅い!脱出不可能よ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」
承太郎「どっちの味方だテメェ!DIO!」
DIO「少なくとも今はマキシマの味方だぁ!ぶっつぶれろぉぉぉぉ!」
リングの外からまったく懲りてない野次を飛ばすDIO八幡に対して殺意を覚える承太郎(超必殺技ゲージが無駄に上昇。ついでにDIO八幡への好感度は△→×に変化)。
S・P「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」
マキシマ「アイツの言うとおり、もう脱出不可能だぜ!ぶっ潰れな!空条承太郎!」
ズドォォォォォォォン!
とうとうスター・プラチナが押し負け、完全にマキシマのバンカーバスターが決まる。
もうもうと上がる煙……。
マキシマ「………終わったぜ。病院のベッドで後の試合を観ていな……空条承太郎……」
ロードローラーでは無く、自身の体でオラオララッシュを受けていたマキシマも、無事ではない。
ヨロヨロとふらつきながら、立ち上がるマキシマ。
承太郎「本当にテメェは予習不足だな……DIOとの戦いで似たような状況があったってのを……忘れるとは思わなかったぜ?」
そう。過去の戦い……と言っても承太郎にとってはほんの数週間前であるのだが、確かに似たような状況があった。ロードローラーに潰される直前に承太郎はDIOの時を止める時間の限界の隙を突き、脱出。
完全なるトドメを承太郎に刺したと思い込んでいたDIOの背後を取り、膝を粉砕した。
これはその時の再現だったとも言える。
押し潰される事を装った承太郎は、スタープラチナ・ザ・ワールドで脱出していたのだ。
承太郎「テメェの方だったな?マキシマ……病院のベッドで後の試合を観戦するのは…。いや、サイボーグだから修理工場か?」
マキシマ「……俺も、まだまだ冷静さが足りなかったかねぇ………やりな」
承太郎「ああ…………」
S・P「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!オラァ!」
ベキバコドカバキメキャッ!
マキシマ「タコォォォォォォス!」
体中をベコベコにされ、吹き飛ぶマキシマ。
KO!
Winner is 承太郎!
マキシマ……
承太郎「ヤレヤレだぜ………」
承太郎は煙草に火を点け、その煙を吸い込む。
承太郎「おい待て………俺の学ランと帽子を持ってどこへ消える気だ?DIO」
承太郎が目を向けると、DIO八幡が着なれた様子で承太郎の服を着たまま立ち去ろうとしていた。
自分の世界ではしょっちゅう着込んでいる本物の格好な為に、妙に堂に入っていた。
DIO「いやぁ……てっきりくれた物だと思ってつい。この服、俺の世界では承太郎に貰った物だしさぁ……」
承太郎「そうか。だが、それは俺の数少ない一張羅でな……わざわざ一度燃えた物を、オーダーメイドで作り直したりする程度には、気に入っているんだ……。未来ではどうするかわからんが、まだテメェにくれてやるわけにはいかねぇな………」
承太郎はべきべきと拳を鳴らしながらDIO八幡に近付く。
承太郎「さて………テメェはさっき、言ったよなぁ?俺の『敵』だと………」
DIO「いやぁ、20年後近いお前ならば、ここは左で終わらすと思うよ?」
承太郎「No…No…No…No」
DIO「右ですか?」
承太郎「No…No…No…No…No!」
DIO「まさか両方?」
承太郎「YES…YES…YES…YES…YES!」
DIO「もしかして、オラオラですかぁ!?」
ジョセフ「YES…YES…YES…YES…Oh my god………」
S・P「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!オラァ!」
DIO「ふんめぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
DIO八幡(ザ・ジェムストーン)……
卍丸「うわぁ………痛そう………一応若草をかけておくか………」
カブキ「承太郎だきゃあ…怒らせない方が良いな…」
←To be continued……
はい。やることがない
それでは次回、ヒロインの登場です!
よろしくお願いいたします!
DIO「…………………」(チーン♪)