キング・オブ・マシーンズチームストーリー
中国
鎮の庵を出た後に遡る。
マキシマ「やれやれだ。また厄介事に巻き込まれたな。相棒」
K´「……」
K´はいつになく不機嫌だ。KOFを基本的に嫌うK´だが、今回は特に苛立っている。
マキシマ「まぁ、あの爺さんが無茶を言うのはいつもの事だから仕方がねぇ。お嬢ちゃんが受けちまった以上はやるしかないだろ?機嫌を治せよ」
K´「そうじゃねぇよ……今回はこのガキと俺だけで何とかする。テメェは帰ってろ」
マキシマ「相棒?」
こいつは何を言っているんだろうとマキシマはいぶかしむ。K´はそんなマキシマをジロリと睨む。
K´「足手まといなんだよ。ポンコツ」
マキシマ「おいおい。ポンコツとは酷いな」
K´「実際にポンコツだろうが。テメェ、システムの不調が出てきてるだろ」
マキシマ「!!!」
K´が指摘する通り、長いこと本格的なメンテナンスをしていないマキシマのボディは結構なガタが来ていた。マキシマをサイボーグにした工房もネスツが崩壊すると同時に閉鎖され、開発者である『巻島博士』の行方も未だに知れない。
アデス……という得体の知れない組織が噛んでいるという話をサウスタウンのルイーゼ・マイリンクから聞いたことがあるが、結局何もわからないままだった。
それ以来、だましだましでセルフメンテナンスをしてきたが、そろそろオーバーホールをしなければそのうち動けなくなるかも知れない。
それはマキシマの生命活動を維持している部分も…。
素直ではないうえに口は悪いものの、K´はマキシマを心配して言っているのだろう。
クーラ「マキシマのおじちゃん。クーラ達の事は良いからさ、巻島博士を探した方が良いよ?それにクーラ達だけでも大丈夫だって」
K´「けっ!」
ぶっきらぼうだったり子供っぽかったりするが、二人とも本気でマキシマの事を心配して言っているのだろう。
マキシマ「優しさが目に染みるぜ」
K´「オイルの間違いだろ?」
マキシマ「おいおい。俺はサイボーグであってアンドロイドじゃねぇ。元は人間だって知ってるだろ?」
クーラ「そうなの?キャンディーと同じかと思ってた」
マキシマ「お嬢ちゃんは本気でそう思ってたのかよ。勘弁してくれよ…」
ちなみにキャンディーとはネスツがクーラのサポート用に作った完全なアンドロイドである。
一度は完全に壊れたが元ネスツの幹部、ダイアナのコネで完全に修理された。ちなみにダイアナ曰く、キャンディーは直せてもマキシマは修理が出来ないらしい。アンドロイドとサイボーグではどうやら色々と違うようだ。
K´「関係あるかどうかは知らねーが、ここへ行け。もしかしたら巻島博士と関係あるかも知れねぇ」
マキシマ「大阪?」
そう言えばK´は以前、バトルコロシアムで……
日本大阪下町
マキシマ「こんなところに巻島博士がいるとは思えんが……K´は間違った情報を教えて来たんじゃないだろうな……」
K´がマキシマに行くように指示した場所。そこにはいかにも下町の工場とも言うべき寂れた工事だった。
マキシマ「マジかよ……どう考えたって下請け工事とかが関の山って感じのボロ工場じゃねぇか。俺のオーバーホールはおろか簡単なメンテナンスも怪しいぜ…」
マキシマのデータベースにも引っ掛からないはずだ。こんな寂れた工事ではナビでも登録されるはずがない。良くて町の交番とかのご近所マップに出てくるくらいだろう。
マキシマ「無駄足だったみたいだな。K´め……なけなしの資金がただの無駄遣いになってしまっただろうが。移動費だってただでは無いんだぞ……こんなところにWARZが目を付ける技術があるとかガセを掴まされやがって……」
マキシマがため息を吐いて帰ろうとしたとき…。
少女「こらオッチャン。私の工場を今、バカにしたでしょ」
マキシマの足元に小学生くらいの少女が腰に手をやり、頬を膨らまさせて睨み付けていた。
マキシマ「お、オッチャン……こう見えてもまだ二十代なんだがな……。まぁ、お嬢ちゃんにしてみたら確かに俺はオッチャンだろうな」
歳の割には老け顔で、物腰が落ち着いているマキシマはよくおじさん呼ばわりされることが多い。クーラなどは常におじさん呼ばわりされているし、その都度マキシマは内心では傷ついている訳だが、今回の場合は本当に一回りは年が離れている少女が相手なのでオッチャン呼びされても仕方がないと思い、自分を宥める事にした。
??「そんなのはどうでも良いの!それよりうちの工場をバカにしたでしょって聞いてるの!」
マキシマ「お嬢ちゃんの家の工場だったのかい?それは失礼な事を言っちまったな。悪かった」
??「確かにうちは小さな工場だけど、技術はそんじょそこらの工場とは違うんだ!」
マキシマ「そうなのかい?確かに工場自体は小さいが、古いながらも手入れは行き届いているし、その辺の工場よりは働いている人間に信頼持てるみたいだな」
マキシマ(だが、そんな店は探せば街に1つは必ずあるってものだ。俺が求めてるのは巻島博士の居所か、ネスツと同じくらいの技術を持った裏世界の工場だ。ただちょっとばかり腕が良いくらいの工場に用は無いんでな)
子供相手に言いくるめても仕方がないのでマキシマは適当にあしらうことにした。
しかし、少女は更に頬を膨らまさせてマキシマを睨み付ける。
??「オッチャン。調子悪いんでしょ?その機械の体を直すんなら、うちの工場以外は見つからないと思うよ」
マキシマ「何だと?何故俺がサイボーグだとわかった?」
マキシマの格好は普段と違い、色々着こんでパッと見では格闘家のような筋肉質な大男という風体にしてある。なのにこの少女は一目でマキシマをサイボーグと見破った。
??「うちも似たような物がいくつか転がっているんだよ。だからすぐに分かったんだ」
マキシマ「似たような物……だって?」
とても信じられない話である。だが、適当な事を言っている訳でも無さそうだ。少女の目付きはネスツのメカニックがするようなプロ意識の高い目に見える。
マキシマ(こんな子供がこの目をするなんてな……このお嬢ちゃんはただ者じゃない……)
マキシマ「そうだな……。修理を頼むか頼まないかは別として、この工場の中を見せてもらうとするか。案内を頼めるかい?お嬢ちゃん」
少女が言う『似たような物』というのにも興味が惹かれたマキシマは、見学くらいは……程度の気持ちで少女に案内を頼む。
少女「お嬢ちゃんやない。うちはゆずや。巻島ゆずって名前があるから」
マキシマ「巻島だって!?」
ゆず「知ってるの?」
マキシマ「あ、ああ。俺もマキシマって言うんだ。本名じゃないがな……俺を作った人間も巻島博士って言うんだ。俺はその巻島博士に作られたサイボーグという事で型式番号を付与され、そのまま名前にした」
ゆず「オッチャンも巻島?凄い偶然だね」
もしかしたら当たりかも知れない。
少しばかりの期待をもってマキシマはゆずの後を追って工場に……巻島重工の工場に入った。
マキシマ「こ、これは……」
中に入ったマキシマ驚きを隠せなかった。
巻島重工の工場の中には2体のロボットと1体のアンドロイドが安置されていた。
マキシマはそれらをスキャンアイで確かめて見る。
マキシマ(この青いヘルメットを被っているアンドロイド……これも現在ある地球の技術で作られた物ではないな……だが、あと2つ……こいつは……地球の技術で作られた物……ネスツ以外でこんなものを作れる奴がいたのか!K´はガセを掴まされた訳じゃなかった!バトルコロシアムでK´が見たのはこいつだったのか!)
ゆず「マキシマのオッチャン。サイバー・ウーとプロトキカイオーを見て驚いてるでしょ?この2つに目を付けるなんてお目が高いなぁ?」
マキシマ「こいつは驚いた……なるほど、K´が見たって言うロボットはこいつの内のどっちかだったのか……どこでこんなものを手に入れた?オッチャンはそいつの開発者に会いたいんでな」
ゆず「サイバー・ウーを設計したのも作ったのもうちの工場だよ?プロトキカイオーは別の研究所から預かった物だけど」
マキシマ「何だと!?まさか本当に巻島博士はここにいるのか!?」
????「違うよ。巻島違いだ」
背後から老人の声が響く。
はっさく「ワシは巻島はっさく。サイバー・ウーはワシが開発したものだ。ネスツにいる巻島博士とやらは完全に赤の他人だよ」
マキシマ「じいさん。俺を知ってるのかい?」
はっさく「あんたこそ自分が有名人である事を自覚したらどうかね?技術者、科学者からしてみたらネスツのサイボーグの最高傑作、マキシマは有名だ。逃亡者の癖にKOFに出場しているしの。ホントに身を隠す気があるんだか……」
マキシマ「参ったね……確かに目立ちすぎたな……」
ゆず「ネスツ?K´?あっ、バトルコロシアムでウーと戦った!」
はっさく「やれやれ。どうしてマキシマ君がここに来たかと思えばお前が口を滑らせたのか……」
マキシマ「色々と失礼だったな……俺の修理、ここなら頼めそうだ。このサイバー・ウーとやらを作ったここならば……」
はっさく「サイボーグは専門外だが……まぁ、観てやろうではないか」
マキシマは巻島工場長に自分の修理を頼むことに決めた。
ー数日後ー
はっさく「どうかね?調子は」
マキシマ「驚いた……ネスツ以外に俺を直せる人物がいたとは……本当に巻島博士とは無縁なのかい?」
はっさく「犯罪結社に身を寄せるような身内はうちにはおらんわ。まったく迷惑な話だ」
マキシマ「で、後の2体はなんなんだい?」
はっさく「キカイオーは巽研究所という所から預かっておる物だ。パイロットに訓練を施す為にウーの操縦技術で訓練させたいらしい。ワシとても完成型のウーを作る研究になるから願ったりかなったりなんじゃ」
マキシマ「完成型?両方ともプロトタイプなのかい?」
はっさく「聞いて驚け。ウーもキカイオーも完成型はアニメに出てくるような巨大ロボットなんだ。その起動テストと操縦の為に人間サイズで作ったのがウー。巽研究所はそれを聞き、キカイオーを同じサイズで作ってワシの所に送って来たってわけだ」
マキシマ「やれやれ……何と戦う気なんだかねぇ…」
ジュンペイ「お?おっさん。直ったのか?」
今度は高校生くらいの少年がマキシマに声をかける。草薙京とは違い、一昔前のロボットアニメの主人公のような熱血高校生という風貌だ。まるでマジン○ーの主人公みたいである。
マキシマ「君は?」
ジュンペイ「轟ジュンペイ。キカイオーのパイロットだ。じいちゃんに頼まれてやってるんだぜ」
マキシマ(孫にパイロットをやらせる?本当に何と戦うつもりなんだ?)
こんな物を作れる人間がいるとネスツが知っていたならば、巻島重工も巽研究所もただでは済まなかっただろう。
はっさく「ところでマキシマ君、君に見てもらいたい物があるんだ」
マキシマ「あそこにいる青いロボットかい?見たところアンドロイドのようだが?それに…こいつに関しても記録はあるな。確かロックマン…と言ったか?」
シンプルな造りではあるが、その高度な技術はキャンディーにも負けていないアンドロイドが転がっていた。
ロックマン。
遥か未来より現れたイレギュラーハンターである。逢魔という組織が現れた時など何度かロックマンタイプと呼ばれた機体が現れたはずだ。
ロックマン「僕を知っている……確かXやダッシュ、ゼロが何度も異変に巻き込まれたと言っていたけど……」
マキシマ「別のタイプという奴かい?色んなのがここに集まっているじゃないか」
はっさく「お陰で今やここもシャドルーとかに目を付けられていての、君を直したのも善意から……という訳じゃないんじゃ。ロックマン君を拾って直した時に色々と厄介事が起き始めての」
マキシマ「………俺にここを守れ……と言いたいのかい?」
はっさく「いいや。君ならばもっと良い手が思い浮かぶだろう?例えば……これだ」
巻島工場長は例の招待状を工場のデスクから取り出す。
マキシマ「ネスツの時のように潰せ……と言うことかい?」
はっさく「そうだ。修理代代わりの報酬としては充分だとは思わないか?君も狙われているのだろうし、悪い話ではあるまい」
確かにシャドルーのちょっかいは日増しに激しくなっている。それに、ロックマンがこの時代に現れたのは鎮が懸念している何かにも関わっている可能性がある。
マキシマ「良いぜ。うちも懐具合が良くねぇし、何より鎮のじいさんからもその大会に出場してほしいと頼まれてるんでな。元々そのつもりでいたし、少々予定が変わった所で問題ない。よろしく頼むぜ?巻島の嬢ちゃん、轟の坊っちゃん、ロックマン」
sideなし
クーラ「あ!マキシマのおじさんだ~。もう直ったのー?」
栗色の髪に小豆色の繋ぎをした少女がマキシマに駆け寄る。
マキシマ「毎度言うが、おじさんは止してくれ。……と言っても、言うだけ無駄だよな」
試合会場に向かう途中で、マキシマはクーラに抱き付かれる。
そして、その後ろにはK´が相変わらずの仏頂面でこちらを見ていた。嫌いなKOFに参加させられているからなのだろう。
マキシマ「よぉ相棒」
K´「何だよ……結局出てきたのかよ。ポンコツは直ったのか?」
マキシマ「よう相棒。おかげさんでね。あんな零細工場にいるには勿体無い技術力だったぜ。もしかしたら巻島のおっさんは昔、何かあったのかもしれないねぇ」
K´「で、その恩返しに大会出場か?」
マキシマ「シャドルーに狙われているらしいぜ?ま、一宿一飯の恩義ってやつさ」
K´「けっ………どいつもこいつも物好きだぜ。精々スクラップにされないようにしろよ」
マキシマ「あいよ。親切な相棒で涙が出るぜ」
すれ違おうとするマキシマとK´。
しかし、クーラがマキシマの腕を掴む。
クーラ「ねぇおじさん。セーラを見なかった?」
マキシマ「あん?セーラの嬢ちゃんなら、さっき一回戦を勝ち抜いていたぜ?出番はまるで無かったけどな」
セーラは先ほど、チームメイトが余裕の三人抜きを果たして二回戦に進んでいる。
セーラはどちらかと言えば頭数合わせとオブザーバーという感じではあったが。
クーラ「むぅ……」
K´「ったく……姉離れしねぇガキだぜ……」
4つしか違わないのに、まるでいくつも歳上かのように振る舞うK´。
クーラ「だって。寂しいだもん………」
クーラは14歳。
しかし、その言動はまるで低学年の小学生のような印象を受けてしまう。
それは、ネスツの改造と記憶操作のせいである。
因みにセーラとはK´の16歳の姉だ。
マキシマ「わかったわかった。俺の対戦相手は恐らくセーラと関わりがあるから、聞いておいてやるよ」
マキシマの対戦相手は空条承太郎とジョセフ・ジョースターがいるチームだ。
彼らは一条承一郎やそれと関わりがある人物達と接触していた。
ならば、セーラとも何らかの関わりがあるだろう。
マキシマ(俺も奴等に用があるんでねぇ。クーラのお姫様に頼られなくても、接触してみせるさ)
←To be continued
はい、今回はここまでです。
え?セーラって誰ですか?ですって?
既に登場しています。しかも主人公達のチームメイトです。
ほとんど空気ですが。
え?何か関係性と年齢が合っていない?
いえ、これで合っています。
それでは次回もよろしくお願いいたします。