天界チームストーリー
アテナ姫「うう……神様ぁ、もう許して天界に帰らせて下さいよぉ……」
麻宮アテナの先祖、ヴィクトリー王国のアテナ姫。
彼女は幻想界における事件の過去の功績を称えられ、天界の門番の役割を任されていたのだが、先の天界に人間が紛れ込む事件(SVCCHAOS)の責任を取らされ、現在は時代を問わず人間界の異変を解決する役目を神より仰せつかっているのだが、その戦果は芳しくない。
バトルコロシアム等でコツコツとポイントは稼いではいるものの、天界としてはあまり良い評価を貰えていなかった。
せっかくのチャンスであった逢魔に関わる事件も同僚であるワ○キューレに奪われてしまっている始末である。
アテナ姫は知らないことだが、最近では子孫である麻宮アテナの方が天界での評価が高く、アテナ姫を元の時代に戻して麻宮アテナを天界に招くべきでは?という声も挙がっている程だ。
神『アテナよ……』
アテナ姫「こ、この声は神様!お願いです、私を天界に戻して下さい!」
神『それはまだ叶わぬ。じゃが、新たなチャンスを与えてやろう』
アテナ姫「本当ですか!?いつの時代のどこに行けば良いのですか!?」
神『バトルコロシアムの時代の日本じゃ。そこにおる神々の信徒と協力し、地獄門や魔界の侵攻から人間界を守るのじゃ!』
アテナ姫「バ、バトルコロシアムの時代ですか…あの時代の人々には良い思い出がないのですが……でも、挫けない!」
基本的にアテナ姫はお転婆だ。元々天界に呼ばれる事件を解決するきっかけも退屈しのぎに幻想界の扉を開けてしまったことが原因だったのだから。
早速アテナ姫は時代を跳ぶ術を唱えて現代日本へと降り立った。
パシフィックハイスクール屋上
アメリカの裕福層を中心とした留学生が通う日本のアメリカンハイスクール。
アテナ姫が降り立った所はそんな場所だった。
パシフィックハイスクールが建てられている場所は少々特殊な学校が集まる地域だ。太陽学園、五輪高校、外道高校、ジャスティス学園等の校風と言うには過激な思想を持つ学校が地域に根付いている。
パシフィックハイスクールもその1つだ。そして、そのパシフィックハイスクールの中でも少々特殊な人物がいる。
ボーマン・デガルト。
信仰深く、日本に来た目的も信仰心が低い日本人に信仰の素晴らしさを伝えるべく日々邁進する宣教師高校生。
かのジャスティス学園が起こした二度にわたる事件の解決にも関わった、地域でも英雄扱いの人物の一人である。
ボーマン「むむっ!この神々しい力は……神の使徒が御降臨なされたのか!」
アテナ姫のような天界の神々しい力を纏った人物が降臨すれば、信仰心の強いボーマンが反応しない訳がない。
ボーマンはすぐさま屋上へと走り、神の使徒であるアテナ姫の姿を認める。
ボーマン「あ、あれはアイドルの麻宮アテナ…違う!麻宮アテナはあんな神々しい力を発していない!彼女は間違いなく神の使徒!おお、神よ!私にもかの乙女の騎士のような御方の御力になれと仰せですか!身に余る光栄!」
共にジャスティス学園の事件を解決した春日野さくらや島津英雄が関わった逢魔事件。ボーマンはそれに関われなかった事を深く悔やんでいた。
女神イ○ターの忠実なる神の騎士、ワル○ューレの力になれなかったからだ。
今度こそ女神の力になれると奮起したボーマンはすぐさまアテナ姫の身許まで駆け寄り、跪いて祈りのポーズを取る。
アテナ姫「え?え?あなたは……」
一方のアテナ姫が困惑するのも無理はない。熊みたいな巨体の男にいきなり跪かれれば誰もが混乱するだろう。
ボーマン「父なる神のお教えを世に伝える事を使命としたあわれな羊、ボーマンで御座います。女神様」
アテナ姫「ひ、羊?どう見ても熊……」
アテナ姫には人間を動物に変える力がある。このボーマンを動物にしたところで羊には決してならないだろう。
ボーマン「何か?」
アテナ姫「い、いえ。ごめんなさい。えっと……ボーマンさん……で良いのかな?」
ボーマン「女神様にさん付けなど勿体ない事であります。ボーマン……と呼び捨てて下さいませ。女神様」
アテナ姫「女神様と言われるとちょっと……私はただの天界の門番ですから、私の事はアテナと呼んで下さい」
ボーマン「おおっ!女神アテナ様!はっ!そのお姿に御名前…もしや麻宮アテナとは仮のお姿で、そのお姿こそ本当のお姿だったのですか!?おおっ!女神よ!たかがアイドルと見くびっていた私を御許し下さい!」
アテナ姫「ええっと……よくわからないけど多分別の人だと思いますよ?ここは私が天界に呼ばれた時代からは随分先の未来のようですから……麻宮アテナさんって人が子孫である可能性はありますけど……」
可能性ではなくまんま子孫である。アテナ姫は知らないことであるが、更に自分のいたビクトリー王国にも子孫はいて、そちらにも
ボーマン「なんと……麻宮アテナさんは女神の子孫……今後は是非ともCDを買わねば……」
太陽学園
アテナ「ぞく……何だろう……妙な悪寒が走ったんだけど……」
太陽学園文化祭でライブをしていた麻宮アテナは謎の悪寒に襲われていた。まさか自分の知らないところで先祖が勝手に自分のファンを作っていたなど夢にも思うまい。
場所はパシフィックハイスクールに戻る。
ボーマン「して女神アテナ様。下界にはどのような御用向きで?この信徒ボーマン、微力ながらお力添えをしたく……」
アテナ姫「ええっと……『キング・オブ・ストリート・ファイターズ』という大会を知っていますか?その大会で悪しき者達が闇の力を使って何かを企み、それが原因で魔界や亡者を呼び起こす地獄門を開けるきっかけになると言うことで、神より阻止せよと命を受けたのですが……」
ボーマン「何と!世を騒がすかの大会にはそんな裏があったとは!それを阻止するが女神アテナ様に託された主の御神託……わかりました。このボーマン、格闘技には少々覚えが御座います。是非ともアテナ様の御供をさせて頂きたい」
アテナ姫「ええっと……協力して頂けるのは嬉しいんですけど、あなたの力を借りては……」
ボーマン「しかし女神アテナ様。大会には四人一組でないと出場出来ません。女神アテナ様がいかに強くとも、御一人では神命を果たすことは無理なので御座います」
アテナ姫「え!そうなんですか!?どうしよう……」
アテナ姫は困惑する。一人ではどんなに頑張っても神命を果たすことは出来ない。かといってこの世界には知り合いが少ない。
ボーマン「我が友人の力を借りることも可能ですが、彼らも祖国で今後の世を支えるべく邁進する者…。かのような大会で怪我をさせる訳にはいきませんが、幸いにも私の知人に女神の御供に相応しき者がおります。異教徒ではありますが、かの者も神より託された力を持つ者。きっとアテナ様の御力になるやと……」
ロイとティファニーを頼る訳にもいかない。今の二人は世界の中心たるアメリカの為に政治を勉強中なのだ。
それに、女神の御供に相応しきは神の信徒である方が望ましい。
それに、ボーマンの知っている人物はある問題を抱えていた。素晴らしい力を持っているのに、過去の失敗から先に進めなくなってしまっている。
確かな実力者にも関わらず、誰に誘われてもチームを組んでいないのだ。同じ使命を持つ者にすら、別の人物を紹介して自分は身を引いてしまっている。それがボーマンには歯痒くて仕方がなかった。
そんな人物も、神であるアテナ姫に頼まれたのならばもしかしたなら…。
アテナ姫「え?いるのですか?そんな人が…」
ボーマン「はい。伝説の力を持つ人物が……」
その人物の名前は……
日本…神楽神社
そこでは神社の主である神楽ちづるが巫女服で境内を掃除していた。
KOFを開催したり等、金持ちのイメージがあるかも知れないちづるであるが、実際は歴史と伝統ある故に経済界にコネがあるだけのしがない神社の主。KOF開催も経済界の有志に出資してもらって出来ただけに過ぎない。
その有志にしたって善意からではなく、ギース時代から続くKOFの経済効果を期待した上での思惑から出資していただけの事だ。
オロチが封じられ、ネスツが滅び、彼方より出ずる者達との戦いが終わりを告げた以上、ちづるがKOFを開催する理由はもうない。
何より、三種の神器の力を敵に利用され、奪われて以来、格闘家として表舞台に立ち上がるつもりはもうなくなっていた。
そうでなければ京や庵を武神流に任せたり、すがり付く真吾を追い返したりはしていない。最近良い雰囲気である紅丸からもチームに誘われたのだが、丁重に断ったりもしていた。
裏社会の野望が渦巻く格闘家の祭典で世が騒がしくなっている昨今ではあるが、そんな世の中から目を逸らすかのようにちづるは日常を送っている。
???「汝、迷いがあるのではないか?」
そんな時だ。見るからに怪しげな存在がちづるに声を掛けてきた。ボロボロの衣装を着け、首からは子供のサイズの髑髏で出来た首飾りをしている東洋人。
こんな怪しげな風貌でよくこれまで通報されなかったものである人物だが、ちづるはその人物を知っていた。
ちづる「あらダルシムさん。珍しいですね?」
男の名前はダルシム。
インドの修行僧として一切俗世に流されず、人々を導いて来た人物であるが、格闘家としても名が知られている。
信仰の元に荒行を繰り返せばたどり着ける境地とでも言うのだろうか?手足を伸ばしたり、口から火を吹いたり、宙に浮いたり、瞬間移動をしたりなど、人体の限界を遥かに超越した神秘とまで言われている存在だ。
格闘家と聖職者を両立するものにとって、ダルシムは非常に有名な人物であった。
ダルシム「ちづる殿………そなたは迷われておられるのではないのでは?オロチを封ずる八咫鏡の使命を持つ者として、このままで良いのか……と」
ちづる「…………」
確かにダルシムが言うようにちづるは迷っている。ルガールが大会の主催者の一人である以上、オロチが絡んで来ないわけがない。
しかし、自分には三種の神器としての使命を二度も破ってしまった過去がある。エリザベートからは『三種の神器には何も期待できない』とまで言われる程に。ちづるは既に使命を守る自信が無くなっていた。
ちづる「ダルシムさん。あなたも私にKOSFに出場せよと仰るのですか?ですが、私にはもう……」
アッシュに奪われた力は既に戻っている。神楽の力を使おうと思えば出来るのだが、その気力は既にちづるにはない。
ダルシム「……ふむ。傷は相当深いようであるな。しかし、迷ってばかりでは前に進めぬ。人を迷いから救うべき立場である我々神の信徒が迷い、先に進めぬようでは人を導けぬのでは?かのままではチャクラは回せず、豊穣の祝詞も退魔を祓う祝詞も、ただの音で終わってしまうであろう。一度自らを見直すと宜しかろう。丁度、神々からの試練があるようなのでな……」
ちづる「神々の試練?そう言えばダルシムさんの要件とは一体……」
ダルシム「火神アグニからの神託が降りたのだ。神々の使徒と手を取り、人の世の災いを取り除け…と」
ちづる「人の世の災い?」
ダルシム「不思議に思わないかな?完全に滅んだはずのルガール・バーンシュタインが、何故この世に舞い戻っておるのか……」
ちづる「まさか………地獄門!ルガールは地獄門が蘇らせた常世の尖兵!」
ダルシム「左様……今、魔界と常世は手を組み、かのオロチも手を組んでいる。かの八傑衆も…若しくは」
ちづる「八傑衆……ゲーニッツ……」
忘れていた憎しみが甦る。『吹き荒ぶ風のゲーニッツ』。ちづるの姉を殺し、オロチ封印を解いたオロチ四天王の男。
ダルシム「ヨガ……憎しみに囚われることなかれ」
ちづる「ごめんなさい…。ダルシムさんの仰るとおりですわ。そして、止めなければなりませんね。オロチ、魔界、地獄門、アンブロジャ……ルガールやゲーニッツ達の野望を止めるには、草薙や八神、武神流だけでは荷が重いでしょう」
ちづるは祓い串を振るい、戦装束にはや着替えをする。これからボーマンに連れられ、この場にやってくるアテナ姫の子孫、麻宮アテナも真っ青のはや着替えだ。
ちづる「オロチ封印の守護を二度も失敗した未熟者の力がどこまで通ずるかはわかりませんが、力を貸しましょう……。鏡の守護者、護る者、三種の神器が一人、神楽ちづるが……神の使徒と共に」
ちづるは捨てようと思って捨てられなかった招待状を懐から取り出し、決意をする。
その後、合流したボーマンとアテナ姫と共にチーム結成をした。
なお、余談ではあるが……。アテナ姫が麻宮アテナと間違われて二重エントリーを疑われたのは、麻宮アテナにとっていいとばっちりだったことも追記しておく。
sideなし
陽乃「ふぅん………DIOでも苦戦かぁ……」
弥七「どうでしょうね?DIOせんぱい、ザ・ジェムストーンを隠していましたし、そもそも試合自体はどうでも良いような感じでしたしね~」
陽乃「そうね。そもそもDIOって、こういう
弥七「それはわたし達もなんですけどね~」
通路で性悪コンビ&餓狼八幡チームの試合を見ていた弥七とはるのは冷静に状況を分析する。
陽乃「見世物じゃないからねー。私達の戦いって」
弥七「それをしっかりとエンターテイメントするのがわたし達の役目ですよ?それとも自信がありませんかー?はるさん?」
陽乃「あなた……本当にいい性格をしてるわ。本当にいろはちゃん?」
弥七「ひっどーい。これでもちゃんとした一色いろはですよー」
弥七の緊張感の欠片もない言葉に頭を押さえるはるの。
実際のところ、陽乃はノスフェラトゥの中では最強クラスの力を持っている。
DIOや静とは違い、試合に勝つことそのものは恐らく何の問題も無いのだろうが、目下の悩みはどこまで手加減が出来るのかどうかだった。
そういう点ではスタンドを使ったDIO達と同じ悩みなのかも知れない。
承一郎「おや?陽乃?それに……いろはお母さん?」
忍「いえ、違うわね。いろはちゃんに星の痣がないわ。あなた達、あちしが知っているいろはちゃん達とは違ういろはちゃんと陽乃ちゃんね?」
試合が近くなったのか、承一郎達がチームメンバーを伴ってやって来た。
弥七「ご明察です♪お久し振りですね?アーシスの忍さんと承一郎さん♪わたしは弥七です♪」
陽乃「ひゃっはろー♪承一郎くん。ノスフェラトゥの雪ノ下陽乃よ。あ、この承一郎くんは私の事を知らないんだったっけ?」
陽乃が知っている一条承一郎は、平行世界の一条承一郎だ。
DIO達の『4-1』を基本世界とするならば、『4-1アルファ』のノスフェラトゥの関わった第4章は平行世界にあたる。
陽乃「ふぅん………」
陽乃は承一郎をまじまじと見る。
ノスフェラトゥの八幡と承一郎は境遇が良く似ていた。
思うところがあるのだろう。
承一郎「ハハハ………」(この陽乃は……性悪トリオの陽乃とは違うが、底知れない何かを持っている……その闇は、遥かに深い………)
陽乃「そう言えば、『わさび』はあなたがキッカケだったかな?」
わさびとは主に性悪コンビが下らない事をした時のお仕置きの手段としてジョルノがやる行動である。
まぶた、舌、鼻、皮膚にワサビを塗りたくるという、パッショーネからしてみたらネタのようなお仕置きであるのだが、やられた方は地味にキツい拷問だ。
考案したのはジョルノだが、そのキッカケとなったのが承一郎のブラッディ・シャドウの能力だ。(第2章『結成!クリスタル・クルセイダーズ』)
承一郎「あれはジョルノ兄さんの仕業であって、僕はやったことじゃあ無いんだけど……」
陽乃「そうだったんだ。いやぁ、DIOにあれをやられてね?まぁ、結局はDIOなんだけど」
承一郎「八幡の奴は怖いもの知らずか……」
陽乃はノスフェラトゥの八幡がDIOαと同化したとき、時間を止める実演としてDIOαがノスフェラトゥ八幡の体を使ってワサビの塊をはるのの口の中に放り込むという真似をされた。
陽乃達ノスフェラトゥは人間社会に溶け込んだ人外であり、はるのは九尾の狐の末裔だ。つまり、基本は犬科の動物の妖怪である。
犬科の動物に刺激物を与えてはいけない。ワサビなんて以ての外である。
忍「まったく八幡ちゃんは……ごめんなさいね?うちの世界の八幡ちゃんが」
陽乃の肩を叩こうとした忍だが、それを簡単な身のこなしで回避するはるの。
陽乃「正確にはあなたの世界のDIOじゃないけど、根は同じだから間違いじゃ無いんだよねー。判断が難しいややこしい話ね。あと、藤崎忍さん」
忍「何かしら?」
陽乃「私は……コピーをする事をお薦めしないわ。あなたの変身能力は……人外に変身する事には制限があるでしょ?私は人外の中でも特に力が強い九尾の狐。石仮面の吸血鬼でも制限が出るあなたじゃ、私の力なんて扱うべきじゃないわよ。ましてやこの世界は『逢魔』の九尾の末裔によって肩身が狭いみたいだし、森羅に目を付けられたくは無いでしょ?」
笑顔の陽乃ではあるが、その目は笑っていない。
忍「あちしの事も知ってるの?陽乃ちゃん」
陽乃「DIOが言っていたわ。あなたと『比企谷八幡』は特異点だって。」
忍「………いるのね?そっちの世界にもあちしが……」
陽乃「そう言うことよ。あなたみたいな『触れた人間に変身する事が出来る能力』なんて物、ノスフェラトゥが目を付けない訳が無いでしょ?」
忍「そっちのあちしに……何かしたの?」
陽乃「特に何も。あなたは特異な能力は持っていても、人外ではなく、ただの人間よ。むしろノスフェラトゥが密かに藤崎忍をガードしているわ。本人は何も知らないけどねー。それでいて、『ねこや』と関わりを持っているなんて……ホント、特異点っていうのは……」
忍「感謝するわよ。ノスフェラトゥ」
承一郎「えっと……そっちの僕は?」
陽乃「一条楽としているわ。ラッキースケベ君♪」
承一郎の存在を知ったノスフェラトゥが本海苔を放置しておく訳がない。まぁ、まったく人外関連とは関わりが無かったので放置しているが。
承一郎「その呪いは共通なんだ…」
陽乃「それよりも………」
陽乃は承一郎のチームメイト、サムに目を向ける。
陽乃「お姉さんとしては、勝手に地獄を抜け出すのは感心しないなぁ」
殺気を向ける陽乃。
サム「知っているのか……俺の事を」
陽乃「承一郎君から聞いていた……と言うのもあるけれど………ノスフェラトゥの幹部を舐めないで。あなたが死人であることなんて、一目見れば分かることよ」
サム「く………」
陽乃の殺気に身構えるサム。
それを止めたのは意外な人物だった。
ウィップ「うちの隊員を苛めるのはやめて頂戴」
ムイムイ「そうだよ。そんなことを言ったら、わたし達もノスフェラトゥの攻撃対象じゃん?」
世界をまたにかける怒部隊の隊員、ウィップとナコルルの協力者、ムイムイ。
いずれも弥七とはるののチームメイトだった。
承一郎「ウィップさん……」
ウィップ「レオナがお世話になったそうね?一条承一郎君。大佐から聞いているわ」
昨晩、承一郎達はオロチの血が暴走したレオナを止めるのに協力している。
ウィップはその事を言っていた。
ウィップ「サムは復活したオロチ八傑集とも戦っているの。妙な疑いはかけないで頂戴」
陽乃に向けてデザートイーグルを構えるウィップ。
陽乃「………そう。味方なのね。降参降参。私が悪かったから、そんな物騒な大型ピストルを向けるのは止めて頂戴。大体、そんな物を試合で使うつもり?その鞭も」
陽乃はおどけながら両手を上げる。
実際のところ、陽乃に拳銃は通用しないのだが、ここで味方同士がぶつかっても仕方がない。
ウィップ「KOFではいつも使用しているわ」
陽乃「ホント、何が反則なのよ…この大会…」
KOFは武器の使用が認められているのだが、本当にどこまでが反則なのかと運営に問い詰めたいところである。
もっとも、その運営がベガのシャドルー、ギースのハワードコネクション、ルガールのR&B社と言った真っ黒な悪の組織なのだから仕方がないのだが。
ウィップ「そろそろ試合よ。下らない事をしている暇があったら、早く集合して頂戴」
陽乃「ハイハイ。これだから軍人は……じゃあ、神様にケンカを売ってくる私達が言うのも何だけど……そっちも気を付けなさい。相手はオロチ四天王の二人なんだから」
承一郎「分かっているよ。陽乃」
軽く手を上げ、はるの達はリングへと向かう。
実況「レディース&ジェントルメン!次の試合はあの神楽ちづるとダルシムが率いる信仰チーム!対するは怒部隊のウィップとKOF14大会の新星ムイムイ率いるチームだぁ!おっとぉ?この弥七とエントリーされている少女、先程のアンディ・ボガードチームにいた一色いろはと姿形が全く同じだぁ!双子なのかぁ!?DIOと比企谷八幡選手もまるで同一人物」
弥七「違いまーす♪」
弥七が実況に応じる。
弥七「4つ子でぇす!」
エリナ&イロハ&いろは(違うから!)
DIO&八幡(その手があったか!俺達も三つ子で通す!)
声八幡(………とかアホな事を考えていそうだな。あの似た者同士の俺は……)
実況「なんと!4つ子だったとは!弥七選手、美少女姉妹でチームを組める!うらやましい!うらやましいぞ!」
いろはズ&八幡ズ(何が?)
ノリノリの弥七に頭を押さえつつ、オーダーセレクトが始まる。
弥七&はるのチーム
先鋒……雪ノ下陽乃
中堅……ウィップ
大将……ムイムイ
ストライカー……弥七(A一色いろは)
天界チーム
先鋒……ボーマン
中堅……ダルシム
大将……女神アテナ
ストライカー……神楽ちづる
互いに主力の一人である弥七と神楽ちづるを援護に回した形だ。
弥七と陽乃は決めていた。
二人の任務は大会を勝ち抜く事ではない。
性悪コンビ達と同じく、大会の黒幕の切り札を破壊することと、地獄門から蘇る死人の野望を挫く事と、地獄門そのものの排除だ。
特に地獄門の排除は必須で、地獄門がある限りはファニー・ヴァレンタインのD4Cも平行世界の壁を超える事が出来ない。
故に、突然何かが起きても不思議ではない。
ネスツ、オロチ、魔界、異世界、過去に未来と色んな勢力が蠢いている。
もし、何かが起きたとき、万全に動ける人間が必要だ。
故に弥七とはるののどちらかが控えに回る事に決定したのだ。
陽乃(それはそれとして、この世界の神様とやらには興味あるんだよねー)
陽乃は小牟から借り受けた仕込み杖の水憐を手にリングへと上がる。
ボーマン「ほう。杖術か……神武不殺を掲げると言われる日本武術か……素晴らしい。日本は信仰心が足りない種族かと思ったが………」
陽乃「そう勘違いするのは勝手だけどねー。この杖、見覚えがない?」
陽乃は水憐をボーマンに見せる。
小牟の水憐。ジャスティス学園に関係するファイターは知っている筈だとはるのは見せる。
リュウ「あれは………」
デミトリ「ほぅ……懐かしい物を出してきたな……」
ハガー「むぅ………あれは小牟の……」
ボーマン「ムッ!?」
ちづる「ボーマン君!あの杖はただの杖じゃないわ!あれは森羅の小牟が使っている神刀の
陽乃 VS ボーマン!
ラウンド1
レディー……ゴー!
ボーマン「英雄先生が言っていた森羅の小牟さんの妖刀水憐!何故それを!」
ジャスティス学園の教諭、島津英雄。
見た目こそうだつの上がらなそうな中年のくたびれたオッサンであるが、その正体はリュウ達が使う流派にとても良く似た技を使う島津流空手の元後継者だ。
島津英雄もまた逢魔が引き起こした最初の事件、『九十九計画』に巻き込まれており、小牟やリュウと共にノスフェラトゥが相手をする人外達と戦った英雄である。
陽乃「試合は始まってるの。いつまでお喋りをしているのかしら?噛みつけ!神空!」
陽乃は懐から式符を取りだし、投げる。
二枚の式符はやがて獣の形を成し、ボーマンを襲う。
ボーマン「ぐおっ!」
水憐を持っていた事に驚愕したボーマンは、反応が遅れ、式符・神空をまともに受ける。
ちづる「あれは陰陽術の技!でも、二枚同時に放つなんて………」
陽乃「雪ノ下家を甘く見ないで。あなたが知っている一条流陰陽術とは比べ物にならないわ」
あかり「何やてぇ!」
十三「お嬢!落ち着きぃ!」
アリーナで観戦していた一条あかりが反応する。
承一郎「へぇ……一条流陰陽術……ねぇ。うちの家系にも伝わってるかな?」
弥七「一条違いだと思いますよ?承一郎さん♪」
きゃるんと答える弥七。
承一郎「あざとい………」
一条違いに間違いはない。
仮に一条あかりの家と一条承一郎の家系が何らかの繋がりがあったとしても、一条承一郎は養子であるので陰陽術は使えないであろう。
ボーマン「ぐっ!ゴッドスラッシュ!」
ボーマンは踏み込み、パンチの連打を放ってくる。
ボーマン……。
陽乃「ボクシング……か。アメリカ人らしいなぁ」
ボーマン「か、片手でいなすだと!?」
陽乃「伊達にノスフェラトゥ最強をやっていないわよ。ほら、隙だらけよ?双月!」
はるのは真円を描くように杖を振るう。
刃は出さない。
仙狐が振るう妖刀を陽乃が使えば、ボーマンがただでは済まされない。
ボーマン「ゴッドディフェンス!」
ボーマンはスウェー動作でむしろ前に出るようにして双月の神通力の衝撃波を回避する。
陽乃「へぇ……勇気あるじゃない。ここで踏み込んで衝撃波を避けるなんて、中々出来ないわよ?でもね…」
陽乃は返す刀でもう一度真円を描く。
ボーマン「ぐふぅ!」
二発目の衝撃波は流石に回避できず、まともに杖を食らってしまう。
陽乃「技名はちゃんと聞きなさい。私は双月と言ったわよ。真円の衝撃波が二回来るのは読めなかったの?」
ボーマン「……こんな打撃が二度も来るとは……」
陽乃「言っておくけど、遊びの試合だからこそ、敢えてヒントを与えているの。そうでなければ、この水憐で真っ二つだったわよ?」
ボーマン「………降参する。私では全く相手にならないでしょう。森羅の水憐を使いこなすとは……あなたはもしや神では無いのですか?」
陽乃「さぁね?そうとも言えるし、あなた風に見れば悪魔かも知れないわよ?ただ1つ言えることは、神も悪魔も教義の1つ違うだけで、どうとでも変わってしまうのよ。キリスト教の教えだけが全ての真実では無いと言うことね」
Give up!
はるの「仙狐の道は………まだ遠いわ………」
Winner is 陽乃!
パーフェクト!
もし、ここに4-3の幻○郷や4-4の駒○町の者達が揃っていたら、大いに今の陽乃の言葉に共感していたであろう。
それらの世界では、様々な宗教の神や、それに対を為す存在がいるのだから……。
陽乃「さぁ、本番はこれからよ。来なさい……炎の神の遣いさん」
ダルシム「ヨガー………」
陽乃 VS ダルシム!
ラウンド2!
レディー……ゴー!
ダルシム「異界の神の神徒よ……わがアグニの炎で悔い改めるが良い……」
ダルシムが息を吸い込む。
ダルシム「ヨガファイヤー!」
ダルシムは吸い込んだ息に炎を交え、飛ばして来る。
ダルシムの代名詞とも言える技…ヨガファイヤー。
ダルシムの地方で信奉されている炎の神、アグニの力を借りて放つ幻の炎だ。
しかし…………
陽乃「甘いわね。マジシャン・レッドの足元にも及ばない炎よ。幻ならば、もっと火力を上げなさい!なにより、私が何を手にしているのか忘れているのかしら?水憐!」
水憐は水の五行を操る神刀である。
ダルシムにとっては最悪の相性であろう。
陽乃「堕狐の技よ!波乗りの型!」
陽乃は抜刀し、水憐を振るって水を発生させる。
神通力や霊力が無ければ操れず、使いこなすにもそれなりの修練が必要な水憐。
わずかな期間の修行で使いこなしているのは陽乃の妖狐としての才能故か……?
陽乃は発生させた水の上に乗り、サーフィンのように波を前進させ、ダルシムに突進させる。
当然ながら、ヨガファイヤーなど、まるでなかったかのように水憐の水に飲まれて掻き消されていた。
沙希「強いわね。あの刀……」
声八幡『いや。あれを使っている内は、
陽乃(分かってるわねぇ。八幡君♪さすがは将来の弟君ね)
波に乗りながら陽乃はダルシムに突撃する。
ダルシム「!!!なんと!ヨガッ!」
ダルシムは空中で座禅を組むと、発光して姿を消す。
波はダルシムに当たらず、リングに設置された電磁バリアに激突して散らされ、消滅する。※1
消滅するが、電磁バリアが揺らぐ程の衝撃であり、またもや沙希が驚く。
沙希「覇王翔吼拳でも揺らがないあのバリアが……あの雪ノ下のお姉さん……超必殺技クラスを自在に使えるってこと!?」
八幡『あの人なら驚かんがな………』
波乗り型はナムクロでは必殺攻撃とまではいかないものの、かなり強力なわざである。メメタァ!
八幡『それよりも驚いたのは、あの坊さんの瞬間移動だな……あんなことが出来るのか………』
沙希「それだけじゃないよ。ダルシムさんの事で驚くのはこれからよ………」
陽乃「へぇ、瞬間移動なんて……大した神通力ね?」
ダルシム「これがヨーガの奇跡………」
陽乃「それ、既にヨガじゃなくない?」
ヨガテレポート。
どういう原理で瞬間移動しているのか、その原理はわからない。
そしてはるのの突っ込み通り、これは既にヨガではない。
ダルシム「ヨガ!」
はるの「へ?」
ダルシムはテレポートによって離れた位置からパンチを繰り出す。
その腕は………グニャリと延びて、普通なら届かない間合いの陽乃の位置まで余裕で到達していた。
陽乃「ちょっ!なにその腕!ズームパンチ!?」
驚きながらも余裕で避ける陽乃。
弥七「うわぁ………絶対にMs.OFUKUROから教わったヨガの技だけは使いませんよ?使ってもズームパンチだけですからね!っつーか、知ってたんですね?ズームパンチ」
はるの「うっぺり沙希ちゃんにドズッ!ってやられてね♪」
弥七「わたしもうっぺり沙希先輩にやられましたね……」
sideウィル・アントニオ・ツェペリ(アーシスの世界)
ツェペリ「くしゅん!」
シーザー「姉ちゃん、風邪か?」
けーちゃんの遊び相手をしていたあたしがくしゃみをすると、大志が心配して声をかけてきた。
あのね。波紋の戦士は滅多に風邪をひかないよ、大志。これは誰かが噂をしている時の感じ……この感じは……
ツェペリ「ジョジョか!(DIO)それと一色も雪ノ下姉!」
スージー「さーちゃんすごーい!くしゃみで噂をしている人が特定出来るんだ!」
ツェペリ「これも波紋の修行の成果だね」
あの馬鹿達……。
行方不明になっても下らない事を!
シーザー「お兄さんや一色先輩や雪ノ下さんの仕業であることは確かだけど、微妙に違うと思うのは俺だけかな……つうか、波紋にそんな特殊能力はないから……」(色々と正解)
sideなし
ダルシム「ヨガッ!ヨガッ!」
次々と伸びてくる手足。
気のせいか、グニョグニョと曲がって伸びて来ているような……。
陽乃「それ、骨とかどうなってるの!?タコみたいにグニョグニョ曲がって来てるんだけど!ハイエロファント・グリーンやハーミット・パープル!?あなた、本当にただの人間!?」
ダルシム「これもヨーガの……」
陽乃「だから絶対にヨガは関係ないよね!?」
けど、調子に乗りすぎよ?ダルシム和尚さん♪
陽乃「手足が伸びて来るのを見て、ほんのちょっとだけ驚いたけど、実際に試してみてもう問題ないわ!」
沙希「それ、比企谷(餓狼)あたりが言いそうなセリフ」
声八幡『つぅか、第1部DIOの名言……』
承一郎「忍さん?」
忍「変だわ。何かを思い出しそうなのよ……あのダルシムって人を見て……」
それは忍の前世がダチと認めた悪魔の実を食べた麦わらの………ケプコンケプコン。
陽乃「外野!うるさい!はぁぁぁぁぁ!」
陽乃は跳躍し、杖を振るおうとする。
ダルシム「ヨガブラスト!」
しかし、今度はダルシムも予想していたのか、上に炎の塊を吐き出す。
ヨガフレイムと言われるダルシムの必殺技の対空版だ。
ヨガフレイムとヨガブラストはヨガファイヤーのように飛びはしないものの、炎の範囲は広く、そして威力が大きい。
陽乃「あっつ!」
炎に巻かれる陽乃。
これは効いただろうと安心するダルシム。
陽乃「幻の炎のクセに、生意気ね………。お返しよ、ヨガブラスト!」
ダルシム「なんと!」
陽乃はダルシムと同じように炎を吐く。
ヨガブラストと対抗して言っているが、ダルシムの吐く幻の炎とは違い、陽乃の炎は本物の炎。
狐火………
その名の通り、妖狐が吐き出す炎だ。
因みに陽乃が吐いた炎は前方に出している為、正確にはヨガブラストではなく、ヨガフレイムなのだが。
ダルシム「お主もアグニの炎を操り、ヨガを体得しておるのか!」
陽乃「アグニも関係ないし、ヨガはもっと関係ないでしょ!炎を吐く事とヨガがどう関係するのか小一時間問いつめたいわよ!ヨガやるだけで宙に浮けたり瞬間移動したり、ゴム人間になったり、炎が吐けるようになれたら、誰だってヨガをやるわよ!」
会場一同(確かに!………イヤイヤ!やらないから!人間やめることになるから!)
陽乃だって健康ヨガくらいは嗜んでいるが、宙を浮くだのテレポートだのどこぞの海賊団のゴム人間みたく、人間をやめた能力は御免である。
いや、元々人間ではないのだが、これは方向性が違いすぎると言えるだろう。
ダルシム「ならば!ヨーガ…………インフェルノ!」
ヨガインフェルノ
ヨガフレイムの強化版で、細かい炎を目前で大量に吐き出す超必殺技(スーパーコンボ)だ。
ダルシムの切り札だが、それでもはるのは余裕を崩さない。この程度の炎ならば大したダメージにはならないのだから。
だが………
ダルシム「ちづるどの」
ちづる「任せて!その力……封じます!零技の礎!」
天界チームのストライカー、神楽ちづるがここで動いた。ちづるの三種の神器、ヤタの鏡の力を纏った抜き手が陽乃を襲う。
ちづる「効かないわよ?そんなの」
抜き手がヒットするが、規格外のはるのには何のダメージもない。無視しても大勢に影響はない……はずだった。
陽乃「……?神通力が!」
自らの力がせき止められ、神通力や技が一切使えなくなってしまった陽乃。
当然、水憐の力も引き出せなくなってしまう。
神楽流古武術、裏面八拾五活・零技の礎
ヤタの力を込めた抜き手により、相手が持つ能力を封じる能力だ。
陽乃「考えたわね、甘く見ていたわ。三種の神器の力を……」
陽乃(受けたのがヤタの鏡の力で良かったというべきかしら?草薙の払う力や、八神……ヤサカニの封じる力だったならば、払われていた可能性があるもの)
今代の三種の神器の中では一番戦闘経験が浅い神楽ちづるの攻撃でもはるのが少し手こずる能力を使われた。
これが百戦錬磨の草薙京や八神庵だったとしたならばどうなっていたのやら………。
陽乃「あんまり、余裕を見せてばかりもいられないかな?アーシスが絡むと調子が狂うわね」
ダルシム「余裕ぶっていられるのもそこまでだ。ちづる殿の力を受けた以上、汝の力はもう……」
ズンッ!
ダルシム「なっ!」
濃密な殺気がダルシムを襲う。
承一郎「こ、この殺気は………」
忍「八幡ちゃんやジョセフのジジイがはっする殺気と同じだわ!いえ、それ以上よ!」
場を支配する……エコーズact3のように重力攻撃を受けたのでは無いかと思える重圧を伴った殺気。
ダルシム「汝……このプレッシャーは……」
陽乃「神通力や技を封じた程度で図に乗るのは………ちょっとばっかり甘いんじゃないかな?お坊さん♪」
陽乃は身を屈ませてダルシムの懐に潜り込む。
先程の動きとはまるでスピードに、ダルシムは反応できない。
ちづる「血の暴走を起こした八神よりも速い!」
陽乃「甘いのよ……暴走で引き出せる力程度……既に自分の意思で引き出せるの。オロチの力と同じに見ないで……」
陽乃はダルシムの顔をアイアンクローをするように鷲掴む。
陽乃「なまじ、力を封じたせいで地獄を見ることになったわね……」
DIOが時々白良に食らうように、アイアンクローをしたままダルシムを持ち上げる。
ミシミシ………
ダルシム「ぬおおおおお!」
陽乃「神通力を使っている内が……私にしてみれば手加減している方なのよ!飛びなさい!」
森羅が保持している神通力が宿る武器を使用しているはるのであるが、実のところ、こんな物でも彼女が言うとおり、武器を使っている段階で充分手加減をしているとも言える。
アーシスのアヌビス神陽乃を知っている者からしてみれば、彼女が刀を使用しているのは全く違和感が無いであろう。それが彼女のスタンドなのだから。
そのイメージが付いてしまっている面々からすれば、陽乃が仕込み杖の水憐を使いこなしているのは当たり前だと言える。
しかしながら、雪ノ下陽乃が必ず刀を使うというのは誰が決めたところだろうか?
ブウンと力任せにバリアの壁まで投げる。そしてダルシムは電磁バリアの壁にぶつかり、反動で陽乃の方へと飛び返る。※3
陽乃「おやすみ……アグニの使徒」
飛び返って来たダルシムにハイキックをお見舞いする陽乃。
ダルシム「ぬおおおおお!」
KO!
Winner is 陽乃!
陽乃「ふぅ……手加減って難しいわね」
承一郎「規格外だとは思っていたが、まさかここまでとは……全てのリミッターを外した僕と同等……」
忍「あの人が用意するだけはあるわね……」
呂布「恋でも、力じゃ敵わない……」
サム「刀を使っている方が手加減しているとは……」
陽乃の力に戦慄する弥七を除いた一同。
白良程ではないが、ノスフェラトゥの陽乃も充分に規格外なのだ。
この世界を基準としても……。
陽乃「休憩時間は要らないわ。ハンデよ、女神アテナ。オリンポスの女神の名を持つあなたが上か………それとも天狐の末裔か……。東西の神の代理人同士、決着を付けましょう?」
陽乃の挑発を受け、ビキニに盾と剣を携えた元ヴィクトリー王国の王女、アテナ姫が下り立つ。
アテナ姫「さぁ!フィナーレだよ!」
アテナ姫。
古代ヴィクトリー王国の王女で、かつて魔物の進行を止めた功績から神に認められ、天界の門番の役目を言い渡された女神。
しかし、天界に人間が入り込んでしまった責任を取らされ、罰として今では地上の事件を解決する旅に放逐されている身だ。※4
サイコソルジャーチームの麻宮アテナに良くにているが、それもそのはず。
麻宮アテナは彼女の子孫であり、彼女の超能力は彼女の隔世遺伝だ。
アナウンス「ちょっと!困ります!規定通りにやっていただかないと……」
陽乃「良いじゃない。それで不利になるのは言い出した私の方なんだから。ねぇ?女神アテナ」
実際、まだ陽乃はまだ零技の礎の影響により、神通力が封じられたままだ。
今のままでは特殊技、必殺技、超必殺技、クライマックス必殺技を使えない状態にある。
それでも強気を崩さない陽乃。
暗に『本気を出さなくても下級神には負けない』と言っているようだ。
アテナ姫「そうですね。これはもう、試合じゃありません。天界と妖怪の……神々の戦いです!後悔しないで下さいね……妖狐九尾の末裔!」
剣を陽乃に向けるアテナ姫。
アナウンス『も、もう知りません!良いですね!?陽乃VSプリンセス・アテナ!ラウンド3……レディー……ゴー!』
アテナ姫「はぁぁぁぁぁ!ペガサス!」
アテナ姫は下半身を馬に変え、突進してくる。
陽乃「いきなり飛ばして来るじゃないの!」
神獣に体を変えて突進してくるアテナ姫に慌ててサイドステップで回避する陽乃。
神獣は陽乃の世界にも存在するし、その中でも暴走したそれらを狩るのがノスフェラトゥの仕事なので、当然陽乃もその類いは何度も戦った事がある。
しかし、その力を神そのものが行使するとなると一味違う。
突進してくるスピードも違えば、上半身が人のままなので剣を振るってくる。本当の意味での人馬一体だ。
アテナ姫「ルル!」
今度は巨大な鳥を召喚してくるアテナ姫。
陽乃「ラ、ラー○ア!?」
人を乗せて飛べそうな巨鳥。
ド○クエを知っている者ならば誰もがその名を思い浮かべそうな巨大な鳥は、リングをそのくちばしでつつき、局地的な地震を発生させる。
京&紅丸&真吾&弥七「おっと!」
長年、大門五郎とチームを組んでいただけあって、この手の地震攻撃に対して耐性が付いていた日本チームの面々(と地雷震を知っていた弥七)は飛び上がって地震の影響から逃れていたが、それ以外の者達はその局地的な地震に立っていることが出来ず、倒れてしまう。
当然、陽乃もだ(そして、何故か大門五郎もスッ転んでいる。フグも自分の毒で死ぬ……ということか?)。
陽乃(なるほど……飛ぶか、座ってやり過ごすのが正しいやり方ね……というか……)
陽乃「ちょっといろはちゃん!回避方法知ってるなら教えなさいよ!」
弥七「えー?だって反射的に避けただけですし、まさかアテナ姫が地雷震のような攻撃をしてくるなんて思わないじゃ無いですかー♪」
Mr.OFUKUROに地雷震を仕込まれた弥七だからこそ直感で似たような技を見切ったと言うべきか。
アテナ姫「よそ見をしている暇があるんですか!?」
地震と同時に飛び上がっていたアテナ姫が陽乃が転んだ地点の真上から落下してくる。
しかも、剣を真下に向け、殺意マシマシのぶっ刺しコース。
DIO&八幡&声八幡&承一郎&忍「ロードローラーだ!」
陽乃「うるさいわよ!八幡ズ&承一郎くんと忍さん!」
思わず突っ込む陽乃。
うん。DIOと承一郎は実際にロードローラーをやったことがあるし、ノスフェラトゥの八幡もDIOαに体を乗っ取られた際にDIOαがロードローラーを実行したので『ロードローラーだ!』を知っている。
餓狼八幡の場合はDIO八幡同様に下らない発言をしょっちゅうする上に、ジョジョネタ率が非常に高かったりする。
見事にシンクロしたことに5人が輪になって『グッ!』とサムズアップをしていたが、襲われている陽乃からしてみたらたまったものではない。
弥七「呼ばれて無いけどジャジャジャジャーン♪貸しですよ?はるさん?」
弥七のストライカーが発動。
勝手に乱入した弥七がまるでかめ○め波を出すようなポーズで構える。
弥七「電刃・波動拳!」
雷を纏った波動拳が落下してきたアテナ姫にヒット。
電刃・波動拳。
殺意の波動を克服した未来のリュウが習得するスーパーコンボである。
殺意の波動を波動拳に込め、威力と引き換えにガード不能&気絶効果を持たせた技だ。
何故か極限流のユリ・サカザキも似たような技である『雷神・覇王翔吼拳』を使えるのだが、その原理は不明である。
弥七「雷神・覇王翔吼拳でも良かったんですけどね♪」
地の文に返答するのは止めてください。メメタァ!
とにかく電刃・波動拳を受けたアテナ姫は吹き飛び、しばらくピヨリ状態に。
陽乃「助かったわ……いろはちゃん」
弥七「いえいえ♪」
一足飛びでリングから退場する弥七。
そして、陽乃は輪を作っていた5人をキッと睨む。
陽乃「後で覚えてなさい……そこの主人公5人!」メメタァ!
主人公5人「逃げるんだよォォォォ!」メメタァ!
スポットが当たっていないときはギャグをやるしか無いとはいえ、何をやっているんだか……。特に普段からアホをやるDIO八幡と餓狼八幡、自身の作品では時々アホをやる承一郎はともかく、クールなノスフェラトゥ八幡と大人になって落ち着いた忍がギャグに走るのは珍しい。(逆を言えば若かりし頃の忍は時々天然なギャグをかましていた)
陽乃「流石に今のはヒヤッとしたかな?でも、もう通用しないわよ?」
陽乃は主人公5人を後でどうしてくれようかと思いつつ、次の手を考える。
陽乃「反撃ターイム♪」
アテナ姫「え?え?きゃぁ!マーメイドだよ!」
迫る陽乃に対してアテナ姫は人魚にしてビタンビタンとシッポ往復ビンタをしてくる。
しなやかで、力強いシッポビンタだが、陽乃は涼しい顔をしてそれをガードする。
普通ならば超必殺技級の攻撃なので、常人ならばガードをしたとしても結構なダメージを受けるはずであるのだが、同じ神の力を持つ陽乃だ。アテナ姫も相手が悪かったとしか言わざるを得ない。
陽乃「さぁ、フィナーレよ」
陽乃は腹を中心にアテナ姫に拳の連打を浴びせる。
見ようによっては乱舞系の必殺技に見えるが、零技の礎の効果を受けている陽乃は必殺技を使えない。これはあくまでもこれは陽乃の身体能力を使った通常技の嵐だ。
アテナ姫「くぅやぁしぃぃぃぃぃ!」
KO!
Winner is 陽乃!
陽乃「私の勝ちよ。女神アテナ。そして三種の神器、神楽ちづる………」
アテナ姫「うう……私はいつ、天界に帰れるんでしょうか……それに、地獄門の事を何とかしないと……なのにこんなところで負けるなんて……」
ぐしぐしと涙を流すアテナ姫。
陽乃「地獄門はナコちゃんが動いているから、あなたもそれに協力すれば良いんじゃない?混乱に乗じて良からぬ事を考えているのもいるみたいだし?」
アテナ姫「うう………でも、他の神話体系に協力してもらったなんて神様に知られたら……」
陽乃「大丈夫大丈夫♪今回の事件は今までの事件とは違うから、神様も許してくれるって♪それでも心配ならうちのクライアントに話を付けてもらうから♪」
クライアントとは言わずも知れたお多福の仮面を付けたあの人である。
アテナ姫「うう……絶対ですよ?話が付いてなかったらうらみますからね!?」
別の神話体系とはいえ、陽乃も神の領域を目指す人間。
信じてナコルルの協力者になることを了承したアテナ姫。
一回戦負けで任務失敗(しかもハンデつき)よりは協力者になった方が建設的だと考えたのだろう。
陽乃「交渉成立♪よろきくね♪アテナ姫♪」
雪ノ下陽乃(妖狐の力)…ストレート勝ち
ボーマン(ボクシング)…
ダルシム(ヨガ)…
神楽ちづる(神楽流古武術。ヤタの鏡)…再起可能。協力者になるが、京や庵の説得に苦戦することになる。
女神アテナ姫(魔法、召喚術)…
陽乃「さてと………五人の主人公は………」
Nothing
餓狼八幡、DIO八幡、声八幡、藤崎忍、一条承一郎…逃亡
陽乃「まぁ良いわ。3人はこれから試合だから許してあげる。でもDIOとそのチームメイトの八幡君は話が別よね?」
弥七「はいはるさん。プレゼントです♪」
緑色のチューブを陽乃に渡す弥七。何のチューブかは説明しなくてもわかるだろう。
陽乃「ありがとういろはちゃん♪さぁ………」
怪しく光る陽乃の目。
陽乃「鬼ごっこの時間よ…………」
宇宙空間(地球衛星圏)
マーズピープル「ピポパ!(な、なんだこいつは!何で地球人が宇宙空間に!)」
典型的なタコ型宇宙人の火星人は混乱していた。
かつて地球を侵略し、しかきメタルフラッグ部隊に敗れた彼。
部隊から地球に不思議な力が発生したと聞いた彼は、混乱に乗じて再び地球侵略に乗り出したのだが、思わぬアクシデントに見舞われる。
あり得ない事に、宇宙空間に平然と現れたオタフクの仮面を付けた女が彼の宇宙船を奇襲。デコピン1つで彼のUFOは航行不能になった。
マーズピープル「ピポ!ピポパ!(あ、あり得ない!もしかしてこいつは……伝説のスーパー……)」
Ms.OFUKURO「はいはい。今この世界の地球は大変な事になってるんだから、余計な事をしないの。しばらく地球で難民になって反省してなさい」
ペチッ!
UFOは地球の重力に捕らわれ、大気圏に突入する。
マーズピープル「パピ!プポペピ!(我!航行不能!我!航行不能!火星帝国に……栄光あれー!)」
赤く燃えるUFOを眺めながら、Ms.OFUKUROは思案する。
Ms.OFUKURO「しばらく襲ってこれないように本拠地とOHANASHIして来ようかしら………ん?」
思案していると電話がかかってくる。
Ms.OFUKURO「はあぃ。どうしたの?陽乃ちゃん」
陽乃「えっと、ちょっとお願いが………」
先程の経緯を聞くMs.OFUKURO。
真空の宇宙空間で何故、音が出てくるのとか、カーズすら凍り付く絶対零度……しかも呼吸とかそういうのはどうしているの?とかは気にしてはいけない。
そう言うのを突っ込んではいけないのがMs.OFUKUROだ。
KOF2000のエンディングでは、衛星兵器のゼロキャノンの上に平然と生身で立っていたクーラ・ダイアモンドの例もあるので、もしかしたらこの宇宙には空気があるのかも知れない。(しかもクーラはその後にロボットに守られていたとはいえ、生身で大気圏突入をしている)
Ms.OFUKURO「わかったわ。そっちの根回しはこっちで何とかするから。陽乃ちゃんは
ピッ!
Ms.OFUKURO「オーフィスちゃんにでもお願いしておこうかしら?無限の龍神が相手なら、アテナ姫ちゃんの上司程度じゃ応じるだろうし♪それよりも火星火星。他の宇宙の侵略者からまずは地球を守らなくちゃ♪」
Ms.OFUKUROは忙しい。
地獄門は宇宙から、魔界から、未来から、過去の亡霊達から、色々な物を呼び寄せている。
それらの対処で今は手が一杯だ。
ギースやベガ程度の、彼女にとっては小悪党に一々構ってはいられないのである。
マーズピープル(火星人)…
他のマーズピープル…
←To be continued……
※1
水憐
ナムクロで小牟が持ち歩いている仕込み杖。
普段は円環が付いている杖として使用。
水の神通力と相性が良い神刀。
対を為すものに小牟の相棒(夫)、有栖零児が持ち歩いている神刀『
サムが持っているムラサマが火憐の対となるか?
※2
電磁バリア
佐世保ライダーさんが考えた設定。
格闘ゲームにおける画面端等を表現するものであると同時に、飛び道具等でギャラリーに被害を出さない為の装置として設定されたもの。
※3
ワイヤーフレームダメージ
一部の技にあるダメージ判定で、画面端まで水平に飛ばした後に反動で浮いて戻ってくる。
隙だらけになるので大抵の技は繋がる仕様。
※4
SVCカオス
SNKとカプコンのコラボ作品の4作目、SVCカオスのラスボス戦の事を指す。
何らかの事故によって天界に迷い込んだプレイヤーに対して問答無用でアテナ姫は襲ってくる。SNK側のラスボス。
……が、その前に現れた『本気を出したMr.KARATE』(タクマ・サカザキ)の方が強く、ラスボス(笑)とまで言われる始末である。
その後、天界から罰を与えられていると『ネオジオ・バトルコロシアム』のオープニングストーリーで語られている。
SVCカオスに登場したキャラクターに対しては自らの境遇の原因になった彼らに対して恨み節を言うシーンがある。
余談であるが、彼女はラルフ同様、SNKの古いアクションゲームの『アテナ』の主人公である。
素手の陽乃のイメージは、もちろん格ゲーにおけるモデルがいます。Fateに縁がある……と言っておきましょう。