片膝を突いているギース。
しかし、その表情には笑みが………。
ギース「なるほど……ここまでやるとはな。影はともかく、ベガやルガール、そしてクローンとは言え、豪鬼すら退けただけはある。ここは素直に負けを認めるとしよう」
ジョセフ「ふん。珍しいタイプだな。こうもあっさりと負けを認めるとは……」
ギース「事実だ。負け惜しみを言ったところで結果が変わるわけではない」
ジョセフ「素直に負けを認めたならば、観念して捕まり、罪を償ってはどうじゃ?次にお前は、『ふ、勘違いするな。負けを認めたからと言って、私はお前達に従うとは一言もいっていない』………と言う」
ギース「ふ……勘違いするな。負けを認めたからと言って、私はお前達に従うとは一言も言っていない……ハッ!」
ジョセフ「食らえ!太陽のエネルギー!波紋!」
格ゲー4大ボス(ベガ、豪鬼、ギース、ルガール)を殴り飛ばし、ビルの外へと飛ばすジョセフ。
ジョセフ「この程度で死ぬたまじゃああるまい。自らの行いを反省することだな。ギース、ベガ」
ビルから転落していくルガールとベガと豪鬼、一方でギースは外でホバリングをしていたヘリの縄はしごに辛うじて掴まる。
ルガール「くぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
ギースはヘリの縄梯子に掴まり、既に逃げ支度は万全に整えられていた。
ギース「くっ、ヘリの事を知り、ルガールだけを落として私は逃がすか!許るさーん!ジョセフ・ジョースター!」
ジョセフ「再び会うことはあるまいよ。ギース。ワシに敗北した屈辱を生涯、抱き続ける事じゃな。取り返しの付かないことになる前にな……」
ジョセフ(もっとも、ギース・ハワードという男は生涯改心する事はあるまい。ならば、奴を倒すのは、奴と因縁があるものに限るじゃろうな……ワシらとDIOの因縁のようにな……)
ベガ「体は死すとも魂は……不滅!いずれは決着を付けるぞ!ギース!」
ギース「フンッ!ベガよ………影を唆して好き放題してくれたな………この借りは必ず返すぞ………必ずだ。いずれは※三島平八もろとも消してやる………貴様では世界は荷が重いだろうからな………」
ベガ「良いだろう………いずれはその首、かっきる…」
消えるベガ。
承太郎「ギースが逃げるぜ?良いのか?ジジイ」
ギース「さらばだ………二度と会うことは無いだろうが、もしこの世界に再び現れる事があれば、必ず貴様らを……。覚えているが良い!ジョースター!火の勇者!フフフフフ……ハハハハハ………ハッハッハッハッハッ!」
カブキ「逃げちまったぜ……良かったのか?ジョセフのじいさんよ」
卍丸「なんかわざと逃がした感じだよなぁ?あのギースが改心するとは思えないんだけど……」
ジョセフ「決着を付けるべき相手に譲っただけじゃよ。因縁を付けるべき相手にな……わかるじゃろ?承太郎」
承太郎「わからねぇよ。変な見栄を張ったり、63にもなって浮気をするような面倒見きれないジジイの考えが分かってたまるか……後の事は知らんぞ」
承太郎「で………元凶を倒しても、あれは依然として残ったままだが………どうする?ジジイ」
地獄門を指差す承太郎。
ジョセフ「どうしたものかな……大抵はこういうのは元凶を倒せば終わるものなんじゃが……」
承太郎「無策なのかよ……テメェの事だから、何か対策を考えていたと思っていたんだがな……」
ジョセフ「あんなもの、ワシらでどうにかなるもんじゃあないだろ。むしろ火の一族の方が詳しいんじゃあないか?卍丸、カブキ」
卍丸「火の一族の神、マリなら何とかなるかも知れないけど、オイラ達だってそんな力はねぇって!」
カブキ「奈落の神にでも頼むかぁ?」
承太郎「直接殴れねぇんじゃあ、オーバーヘブンも発動出来ねぇしな………」
H・DIO(オリジナル)「そんな暇など与えん!承太郎、ジョセフ・ジョースター!」
地獄門の影響で蘇る天国に到達したDIO。
他にも根の一族(菊五郎、ハマグリ姫、吹雪御前をのぞく※)やデーモン教の亡霊が現れる。
卍丸「や、やべぇ!どうする?カブキ!」
ジョセフ「コォォォォ!」
ジョセフ(何とかして逃げる隙を見付けるんじゃ。逃げさえすれば、反撃のチャンスも……)
H・DIO「おっとジョセフ……。貴様は戦略的撤退の名手だったな。貴様には戦略的撤退をさせないず、その上で血を吸って殺すと予告しよう!」
ジョセフ「!!!」
ジョセフ(くっ………DIOめ!やはりカーズとは違うか!どうする……奴はただのDIOじゃあない!あのオーバーヘブンを使うDIOじゃ!承太郎も消耗しておる!万事休すか!)
デミトリ「こんなところでやられて貰っては困るな。ジョセフ・ジョースター」
DIOの影からぬっと現れ、DIOの頭を掴む。
H・DIO「き、貴様は………バカな……このDIOが………吸血鬼などに!」
DIOが女になり、そしてデミトリがその血を吸う。
デミトリ「DIOよ……ただの吸血鬼にしては大したものだったが、この私はただの吸血鬼ではない……魔界三大貴族と名高きマキシモフ家の当主だ」
ジョセフ「デミトリ・マキシモフじゃと!?吸血鬼が人間に加勢するとはどういう事じゃ!」
デミトリ「ジョセフ・ジョースターよ。人間達の常識で我々を図るな……」
完全にDIOを滅するデミトリ。
デミトリ「地獄門は魔界にとっても邪魔なのでな。やっと逢魔を倒した事によって戻った魔界の秩序を狂わされてはたまらぬのだよ」
ケン「とかなんとか言いながらも、毎回俺達を助けてくれるよな?デミトリのおっさん!」
リュウ「その拳からもわかる!お前の全てが!」
デミトリ「ふん。貴様らといると、いつも調子が狂わされる……が、悪くはないものだな……行くぞ、ジョセフ・ジョースター………」
ジョセフ「まさか波紋の戦士が吸血鬼と共同戦線を張るとは思わなかった………じゃが、なんじゃろうな。まるでシーザーを思い出すよ……」
デミトリ「ふん。この騒ぎも間もなく終わる……貴様の世界における吸血鬼の弱点が波紋であるように、地獄門にも弱点はある………」
ジョセフ「あ、あの矢は!」
地獄門へと飛んで行く光の矢。封印の儀だ。
楓「今度こそ……本当にさようならだ。姉さん……」
地獄門はまばゆい光を放って消え、禍々しかった空は嘘のように雲1つない青空へと変わっていた。
地獄門により蘇っていた根の一族やデーモン教の再生魔神達の姿もまた、煙のように消えている。
ジョセフ「このように燦々と輝く太陽の中では吸血鬼は……デミトリ・マキシモフ……ありがとう、終わったよ……」
承太郎「じじい。雰囲気を出すために縁起の悪いことを言っているんじゃあない。そこを見てみろ。デミトリは死んでいないぞ」
デミトリ「ふん。太陽ごときを克服出来ないのならば、その吸血鬼は自分の根城から出てくるべきではないな」
ジョセフ「DIOや柱の男が聞いたら発狂しそうな言葉じゃな。しかし、助かったぞデミトリ・マキシモフ。ワシの血でも吸うか?今なら極上のテキーラ娘になってやるぞ?」
デミトリ「………それがどういうものかはわからんが、全力で拒否させてもらおう。老人の血を吸う趣味は無いのでな……」
承太郎「あの若い頃のジジイがやっていた悪ふざけか?自分でもショッキングだと言っていたくせに、どんな神経をしていやがる……。不倫はするわ、女装はするわ、面倒見切れねぇな、このジジイは……」
卍丸「うげぇ!オイラ、地獄釜の肉助や足下兄弟みたいになったジョセフのじいちゃんを見たくねぇぞ!」
カブキ「テメェもマントーの
卍丸「思い出させるなよ!特に極楽の女装は見ていてキツかったんだからさぁ!カブキはその時いなかったから直接見てないから言えるんだよ!」
承太郎「………………」
ジョセフ「今度こそ、本当に終わりじゃな。お別れじゃな?卍丸、カブキ、デミトリ……」
カブキ「ああっ!それじゃあな。しみったれたじいさん、それにそのケチな孫よぉ。俺の事を忘れるなよ?この天下一の旗、くれてやるぜ!」
承太郎「そんな旗なんざなくても、忘れたくてもそんなキャラはしてねぇぜ。おめぇはな。元気でな!」
ジョセフ「いつか互いに思い出してくれよ?ワシの事が嫌いじゃなければな!田舎者面ぁ!」
卍丸「じいちゃんも口が悪いなぁ!オイラ、ジョセフのじいちゃんや承太郎の事は忘れねぇからな。カブキみたいにゴテゴテと派手な服を着ている承太郎みたいな奴、まず忘れねぇや!」
ガシッと握手して、それぞれの世界へと戻っていくジョースターの血統と火の勇者達。
11年後………
杜王町
康一「うわぁ!初日から遅刻だぁ!」
ドン!
康一「うわっ!」
誰かにぶつかり、鞄をぶちまける広瀬康一。
それを白い手袋をはめた手が中身を拾い上げ、康一に手を貸して立ち上がらせる。
康一「ご、ごめんなさい!お怪我はありませんでしたか!?」
ジョセフ「済まんのう。ワシの方こそよそ見をしておった。大丈夫かな?お若いボーイ」(おおっ!この少年には見覚えがあるぞ!仗助君の親友の!)
康一「は、はい!大丈夫です!」
康一(でっかいお爺さんだなぁ……190くらいはあるぞ……)
ジョセフ「迷惑ついでに訪ねたいのじゃが、この辺に東方という家を知らんかね?」
基本世界では承太郎が足腰の衰えたジョセフの代わりに訪れた杜王町の始まり……。
だが、EOH事件で先に何かが起こることを知っていたジョセフは、止めていた波紋の修行を再開し、エジプト時代の肉体を維持していたので肉体的な衰えはなく、自身が承太郎と徐倫を伴って杜王町を訪れていた。
やがて、康一とジョセフは不良に絡まれている少年を見かける。
ジョセフ(はて?あの特徴的な髪型は……どこかで見たことがあるような………)
さすがに11年も経つと記憶があやふやになるのか仗助の顔を鮮明には思い出せない。
というより、一巡した世界の東方定助の姿を思い出している始末だ。
康一「うわぁ………」
ジョセフ「目を付けられたくなければ目立つ格好をしないことじゃな。逆にムカつくのはワシは亀をあんなにされても怒らないあの少年に対してじゃな」
仗助「1年の東方仗助ッス」
ピクッ!
ジョセフ「なにぃ!東方仗助じゃと!何て事じゃ、ワシは仗助君と定助君を間違えて認識しとったんかぁ!」
康一「………元気なおじいさんだなぁ……」
東方仗助と邂逅したジョセフ。
いきなり現れた父に対し、仗助は困惑したものの徐々にその溝は埋まっていく。
特に、殺人鬼アンジェロとの戦いでは仗助の祖父、良平を救うファインプレーを成し遂げる。
アンジェロ(東方良平は夜勤明けには必ずブランデーを一杯飲んでから寝る。だったら………)
良平「この娘泥棒のくそジジイが……けっ!今日のブランデーはお預けだ!酒が不味くなる!」
アンジェロ(な、なにぃぃぃぃぃ!)
ジョセフ「じゃあそれはワシが頂くとするかのぅ?」
ブランデーのグラスを煽るジョセフ。
アンジェロ(クソガァァァ!けど、東方良平は仕留め損ねたが、脱出は出来たぜ!あとはこのジジイを殺して逃げれば良い!)
ジョセフ「ぬおっ!ぐおおお!」
仗助「なっ!ジョースターさん!ア、アンジェロの奴を飲み込んじまったのか!」
ジョセフ「間抜けめ………仗助………決して目を離すなと言っておいたじゃろ…………アンジェロ……次のお前のセリフは…………『東方仗助!いい気になっていたんだよ!テメェはよ!いい気になってる奴は俺のスタンドを飲み込んで死にやがれ!』じゃ!」
アンジェロ「ハハハハ!東方仗助!いい気になっていたんだよ!テメェはよ!いい気になってる奴は俺のスタンドを飲み込んで死にやがれ!………ハッ!」
ジョセフ「気が付いていたんじゃよな。さっきまで無かったブランデーが何でここにあるのかとな。行かんぞ仗助。相手が勝ち誇っているとき、既にそいつは敗北しておるんじゃ。それはアンジェロ………お前もな!」
アンジェロ「な、何だこのジジイの体は!ビリビリする!」
ジョセフ「水を操るのは波紋の基礎じゃ!お前のスタンド能力だけの専売特許じゃあない!かあぁぁぁ!ペッ!」
波紋に覆われたアクア・ネックレスが瓶に戻される。
ジョセフ「なまじ液体じゃからこういう真似をするんじゃな?じゃったら、凍らせればどうなるかのう?」
冷凍庫でアクア・ネックレスを凍らせるジョセフ。
アンジェロ「や、やめろぉぉぉぉ!凍らされたら俺まで凍ってしまう!や、やめろぉぉぉぉ!……あ」
片桐安重郎…
こういう風にジョセフお得意の人を食ったような戦法を駆使し、仗助と承太郎、花京院と協力しながらシゲチーや辻彩、虹村形兆など、本来は助からなかった者達を救い、静を拾って解決していく。
徐倫「グランパ凄い頑張った!あたし、グランパもパパも仗助も大好き!ね?静!」
静「キャッキャッ!」
花京院「良かったですね?大好きみたいですよ?承太郎」
承太郎「ジジイと同列なのが気に食わねぇけどな…」
ジョセフ「ハリウッド俳優並にカッコいいじゃと?ワハハハハハ!」
承太郎「おだてると調子に乗るところは、あのカブキにそっくりだな。ヤレヤレだ……」
ジョセフ(守って見せるぞ。動ける限り、誰も死なせはせんわい。次はジョルノ………そして徐倫。ワシの意志を継ぐ黄金の精神は………必ず守って見せるからな)
戦いの年季、ジョセフ・ジョースター。
彼の戦いは終わらない。祖父から続くその黄金の精神は、決して途切れはしない。
それがジョジョという精神なのだから……。
FIN
※三島平八
鉄拳の中心的人物。中の人の二代目は3部以降のジョセフと同様、石塚運昇さん。
鉄拳8ではギースがSNKとのコラボで参戦している。また、平八はナムクロでも登場しているのでベガとも何度か戦っている。
※菊五郎、ハマグリ姫、吹雪御前
いずれも根の一族の大将として登場したキャラだが、菊五郎はそもそも死んでおらず(天外魔境2の出雲大社で天外魔境シリーズ恒例である連続復活ボスとの戦いにおいて、菊五郎だけは出てこなかったが、実はちゃっかり生きていたという公式設定がある)、ハマグリ姫と吹雪御前に関しては2のエンディングでマリの力で復活している。ハマグリ姫はまだわかるとして、吹雪御前は何故に?
はい、ジョセフ編のエンディングです。
次回は天外側のエンディングとなります。
それでは次回もよろしくお願いいたします。