餓狼伝説世界
千葉稲毛
ブレザーを着たアホ毛と目付きの悪い少年が、金髪を靡かせ、炎のような模様の入った白いつなぎのような胴着を来た青年と走っていた。
八幡「アンディ兄ちゃんもたまに変なことを言うよな。登校する俺と一緒にランニングしたいってさ」
少年の名前は比企谷八幡。
千葉市立総武高校2年の生徒だ。
小学校3年の時に公園で同級生からいじめにあっていた所をテリー・ボガードに助けられ、以降、テリーやその近しい者達から弟同然に可愛がられていると同時に、弟子のように鍛えられ、一人多国籍軍となっている少年だ。
アンディ「ハハハ。突然悪かったね。たまにはこういうのも良いだろう?」
金髪の青年はアンディ・ボガード。
テリーの弟で、本来は河口湖の湖畔に不知火道場を構えて定住しているのだが、たまに内縁の妻の不知火舞と、息子同然の弟子、北斗丸を伴って弟分である八幡の様子を見に千葉まで訪れ、数日宿泊して帰っていく。
この日もたまたまそんな日だった。
八幡「ま、まぁ………何て言うか………突然でビックリしたと言えばビックリしたけどさ……」
内心、突然はやめて欲しいという気持ちはあるが、大好きな兄貴分であるアンディに誘われては断れない。
アンディ「だからこそだよ八幡。常在戦場。平凡な日常の中にこそ常に何があるかわからない。こんな風にね」
八幡「っと!あぶねぇ………」
アンディが繰り出した掌底を咄嗟に受け流した八幡。
アンディは格闘家であるが、その流派は不知火流忍術をベースにした骨法。源流である不知火流忍術の教えから、スポーツ感覚の格闘というよりは、一人の忍びといった意識の方が高い。
こういうことを平気でしてくるので、アンディは油断がならない。弟分であろうと、手の抜くことはないのである。
なにせ、例え恋人相手であってもその容赦の無さは例外ではないのだから。
秦の秘伝書事件の少し前には現在の内縁である不知火舞の修行の成果が芳しくないと判断したアンディは、舞を徹底的に痛め付け、極限状態にまで追い込んだ前例がある。その結果、舞は『レオタード忍蜂』という技を身に付け、それを更に昇華した『マックス版超必殺忍蜂』を自在に操れるようになったのだが。
アンディ「いつも教えていることだろう?常日頃から気を抜くなと言うことさ」
八幡(それって案外疲れるんだよな~……)
ストイックなアンディ。そんなアンディの事は嫌いでは無いのだが、時々付いていけない。
いろは「あ、せんぱーい!」
八幡(どこの先輩だろう)
いろは「せんぱーい!無視しないで下さいよー!」
八幡(そうだぞ先輩)
アンディ「八幡。今のはいろはの声じゃ無いのか?君を呼んでいると思うのだが……」
八幡「さぁ。先輩の前に名前を付けていませんので…」
大抵の場合、一色いろはが名字を付けずに『先輩』と呼ぶのは八幡だけである。八幡もそれは重々承知しているのであるが、何分とツンデレのひねくれている男だ。
いろは「やいコラせんぱい!」
無視され続けているのに我慢が出来なくなったのか、一色いろはは強行手段に出る。
ガシッ!
??「グエッ!」
ヒキガエルが潰れたような声を出す八幡。
しかし、この八幡の声は自分では無かった。
八幡(何だ!今の波紋が失敗し、潰されたメメタァ蛙のような声を出したのは!俺じゃ無いぞ!今の爆発は人間じゃねぇ!)
まるでシアー・ハート・アタックのような発言をする八幡。案外、この男はジョジョネタ好きだ。
八幡?「!!いろは………かと思ったら、なんだ……ただの一色か………」
八幡(なんだあの俺は!ジェリド・メサネタとはあいつも中々やるな!じゃねぇ!誰だアイツは!)
自分と同じ顔、同じ目付きをした男が頭にサングラスをかけている女を伴って歩いていた。
自分と違うところと言えばゴテゴテと色々なバッチを付けている所だろう。歴代ジョジョ達が付けていそうなバッチ類である。隣の雪ノ下雪乃に匹敵する女も総武高校の制服にゴテゴテとバッチを付けている。バカップルなのだろうか?
その八幡に似た男はさもめんどくさそうに一色いろはを見ている。
いろは「なんだとは何ですか?いろはっていきなり名前で呼んでくるなんて一瞬ちょっとときめいてそのまま市役所に婚姻届けを提出して籍を入れてしまおうかと思いましたけど、せんぱいはまだ18になっていませんので無理ですごめんなさい」
八幡?「俺はもう18になっているし、心配しなくとも一色いろはとはあと2年で正式に夫婦になることは確定している。もっとも、そのいろははお前の事じゃあ無いけどな。大体お前はどこの一色いろはだ?どうやってこの世界に来た?俺のいろはがいなくなった事に何か関係あるのか?」
いろは「はぁ?何を言っているんですか?せんぱい?」
八幡?「今の俺はすこぶる機嫌が悪い。何日も徹夜をしてやっと眠れる時間ができて、暖かい布団にくるまれて安眠体勢に入ったところを、下らない理由で無理矢理起こされた時のようにな……」
噴出される殺気はまるで八神庵のようだ。
堅気の人間が出せる殺気ではない。
八幡(くっ!何者かは知らんが……一色をやらせるか!)
アンディ「あの八幡は……くっ!斬影拳!」
グラサン女「…………チッ!」
八幡とアンディはいろはを助けるべく、駆け出した。
時は少し前に遡る。
アーシス世界
千葉稲毛
静「あのさぁハッチ………」
八幡「……んだよ、ジョジョ……」
静「その不機嫌オーラ、撒き散らすのやめてくれない?マジで………」
頭にサングラスをかけ、ゴテゴテとバッチなどを付けている改造された総武高校の制服を着用し、長い髪を靡かせて軽く走る少女、総武高校3年F組、7代目ジョジョである静・ジョースター。
しかし、その軽快に走る姿とは裏腹に、その表情はどんよりとしていて重い。
八幡「…………仕方ねぇだろ……」
一方で答えたのはアホ毛と極道の方がまだましなレベルで鋭い目付きが特徴的な猫背の男。総武高校3年F組、アーシスの比企谷八幡の機嫌は最悪だった。
この男、初代ジョジョであるジョナサン・ジョースターと邪悪の化身・DIOの魂が融合し、転生したという存在なのであるが、DIOだった前世が影響してなのか、それとも彼に色々と叩き込んだジョセフ・ジョースターの影響なのか、紳士だったジョナサンよりもDIOとしての意識の方が強い。
その彼の機嫌が何故最悪なのか………。
それは昨日、彼の幼なじみであり、婚約者でもある一色いろはが目の前で神隠しにあったからだ。
場所は海浜幕張にあるSPW財団日本支部の支部本部…東方仗助の執務室である支部長室。
関東支部長と副支部長の役目を終えた八幡といろはは高校卒業…または中退までの一年間の準備期間として、実質的な休職期間を過ごしていたのだが、時折兄貴分である仗助の元を訪れては仕事を手伝っていた。
昨日もそういった1日であったのだが……。
いろは「なっ!」
八幡「いろは?」
いろはの体が一瞬、ノイズみたいな物が走ったかと思った瞬間、忽然と姿を消した。
同時に関東支部建設部門の部長、広瀬康一から連絡が入る。雪ノ下陽乃が神隠しにあったと………。
最初は新たなスタンド使いの攻撃を疑い、あらゆる手段を用いて捜索を開始したのだが、一向にいろはと陽乃の行方は掴めなかった。
八幡はいろは一筋である。
理由もなくいろはに朝会えなければその機嫌はとにかく悪くなる。この日の機嫌も当然最悪だった。
静「はぁ………こりゃ重症だね。まぁ、私もイーハ(いろは)の事が心配なのは確かだけどさ……マーチ(小町)がヤッチ(広瀬康穂。康一の娘)と捜しているから見付かるって……」
八幡「その康穂から残念なお知らせが入った。ペイズリー・パークが無反応だとよ」
静「はぁ?」
八幡「そして、ジジイの念写もだ」
完全安全なナビ能力を持つ康穂のペイズリー・パーク。そして念写能力を持つジョセフのハーミット・パープル。その二つの能力が無反応……。
静「パパ(ジョセフ)の念写がダメでも、ハッチの念写は?」
八幡「ジジイのでダメなら俺のハーミット・アメジストが通用するわけないだろ」
静「そのパターンって………」
八幡「平行世界の線が強いだろうな……」
ハーミット・パープルとペイズリー・パークでも追跡不可能………。最悪の事態でも、その2つのスタンドでは追跡可能なはずなのに、不可能な理由……それは大抵が平行世界絡みであること……。そうなると、D4Cの力を持つファニー・ヴァレンタインの出番なのだが、ヴァレンタインからの反応は芳しくなかった。
いつもなら何らかの形で平行世界に移動させられても、彼の力ならば連れ戻せるのに、今回はそれが上手くいかない。
それが更に八幡の機嫌を悪くさせていた。
八幡「くそ………何か方法は無いのか………そうだ、ザ・ジュエルならば………」
静「上手くいく確証が無いのにやめとけっつーの。レクイエムは諸刃の剣なんだから」
八幡のスタンド、ザ・ジェムストーン・レクイエム…ザ・ジュエルは諸刃の剣だ。ハーミット・パープルとザ・ワールド……2つのスタンドを一気にレクイエム化する精神的負担が大きすぎる。一度は魂が砕け、その後も使用する度に精神が衰弱しては寝込んでしまっている。
八幡「あー……もどかしい……ん?」
???「あ、せんぱーい!」
八幡(っ!?いろは?いや、違うな……いろはなら俺をハチ君と呼んでくる)
一色いろはと声がそっくりさんは意外と多い。特に平行世界関連は。
いろは「せんぱーい!無視しないで下さいよー!」
八幡(そうだぞ先輩)
八幡と静は自分は関係ないと決め込み、スタスタと歩き去ろうとする。しかし……
いろは「やいコラせんぱい」
八幡「ぐえっ!」
ワイシャツを引っ張られ、思わずメメタァ!を失敗し、蛙を潰してしまったときのような声をあげてしまった。
八幡?「!!いろは………かと思ったら、なんだ……ただの一色か………」
八幡(いや待て……何故ここにどこかの平行世界の一色がいる?こいつがいろは失踪の原因か?)
既に八幡の思考はDIOモードに移行していた。
そして、冒頭に戻る。
キングクリムゾン!(便宜上、ここからはアーシスの八幡はDIO、餓狼伝説の八幡は八幡と表記)
学校の校門前。
DIO(ちっ………こいつもまた、とんでも八幡か…)
一色を尋問しようとアクションを仕掛けようとした矢先に乱入してきた比企谷八幡。殺気を感じ、奇襲を読んで対処しようとしたが、思いの外に攻撃が鋭く、対処が出来なかった。
DIO「比企谷八幡か……」
八幡「お前は誰だ……何で俺と姿形が似ている?」
DIO「異世界同位体だからさ。別の世界のお前が俺なんだよ。まぁ、ややこしいから俺同士がいるときは便宜上、俺はDIOと名乗っているがな。いい攻撃だった。こっちもギアを上げなきゃ勝てそうにないな。コォォォォォォォ………」
ペッと血の混じった唾を吐き出し、DIOも波紋の呼吸を整える。この男がただの高校生では無いことを今の一撃で判断した。
平行世界の戦う比企谷八幡の大半がそうだ。
身体能力だけでは大抵が負ける。
八幡「そうかい。じゃあDIO。お前、一色に何をしようとした?」
DIO「平行世界の一色が現れるなんて普通じゃあ無いからな………何が目的なのか、尋問しようとしただけだ。こっちのいろはが行方不明になってるんでな」
八幡「は?何を言ってるんだ?」
DIO「だが、一色にはもう用はない。もっと良いのが現れたからな」
八幡「もっと良いの?」
DIO「お前だよ!比企谷八幡!
膝立ちの状態から一気に間合いを詰めてくる真似をしてくるとは思わなかったのだろう。
逆に不意打ちを食らった八幡がDIOの波紋入りの攻撃をまともに受ける。
八幡「ガハッ!」
ダウンを奪われる八幡。が、すぐに立ち上がる。
波紋の攻撃により、少し感電気味だが、体は動く。
八幡(ビリッときたぁ!何だコイツ!)
DIO「ここからは俺も少し本気を出すぞ……覚悟は出来ているか?」
八幡「なめるな。俺は出来ている」
DIO「………人の台詞を取るんじゃあ……ない!」
互いに間合いを詰め、そして足を踏み抜こうと動かす。
DIO「………やっぱ、ケンカ慣れしてるか……」
八幡「ジョーあんちゃんのやり口だからな。お前もやるじゃないか………」
ジョー東は格闘家としてもかなりの腕だが、その真価はケンカだ。八幡達餓狼伝説世界で、ジョー東のケンカ世界ランキングはビリー・カーン、山崎竜二と並んでかなりの上位に食い込んでいる。
そのジョーから指導を受けている八幡も、当然ジョーケンカの戦い方を教わっていた。
一方でDIOも伊達にジョセフや小町(リサリサ)、川崎(ツェペリ)から戦い方を学んではいない。敵の動きを一時的に封じるには相手の足を踏み抜く技術は有効だと知っているし、幼い頃から実戦で鍛えてきている。
つまり、近接戦闘での二人はほぼ拮抗していると言っても過言ではない。
八幡「………爆裂拳!オラオラオラ!」
DIO「………マーシャルアーツからムエタイかよ!
高速の連打戦に移行する二人。
そのまま実力が拮抗している二人のドンパチが続く。
一方で、アンディと静・ジョースターのドンパチも拮抗していた。
アンディ「君は古武術でも習っていたのかな?戦い方が何だか宿敵に似ているね」
静「パパがちょっとね♪」
当然、DIOと同等の力を持つ静もただではやられない。静もまた、養父ジョセフ・ジョースターと小町から鍛えられた波紋を駆使してアンディと戦っていた。
しかし………
静(私とここまでやりあうなんて……むしろ相手の方が一枚上手かな?)
アーシスの世界ではプロの格闘家を相手にしたってここまで苦戦する事はない。ましてや波紋を使った上では。
そしてアンディもまた、驚いていた。
ここまで自分と対等に戦える者がいるなんて……。
少し前までの草薙京や麻宮アテナを思い出す。
静&DIO(本気の本気を………)
アンディ&八幡(出すしかないかな?)
四人(一般人相手に………)
DIO「本気で行くぞ相棒!ザ・ジェムストーン!」
静「オッケー相棒!アクトン・クリスタル!」
アンディ「飛翔拳!」
八幡「パワーウェイブ!」
性悪コンビが本気を出す。スタンドを出してからが二人の本気だ。
対する師弟コンビも気の技を放つ。
DIO「なっ!ジェムストーン・ザ・ワールド!」
DIOは時を止め、予想外の攻撃から静を運んで回避する。
八幡「スタンド………だと?しかもザ・ワールド!?時を止めたの?マジもののDIO!?なにこれ!俺、スタンドが見えちゃってる!?俺、実はスタンド使いだったの!?」
アンディ「なんだあれは………半透明の幽霊……だと?」
DIO「え?スタンドが見えてる?スタンド使いじゃあ無いのに?」
静「これはますます取り押さえなくちゃ……」
混乱する四人。
いろは「えっと………本格的なバトルが始まっちゃいましたけど……大丈夫なんですか?………ん?」
生徒1「すげぇ!ストリートファイトだ!」
生徒2「しかもあれ、アンディ・ボガードじゃね?」
生徒3「でも、歳を取ってるよね?違うんじゃない?」
生徒4「それよりもスタンドだ!マジであったんだ!スタンドが!」
いろは「え?え?」
いろはは驚いていた。
ここは登校時間の学校校門前。そんなところでストリートファイトをおっ始めれば、生徒達のギャラリーが集まってきても不思議ではない。いろはが驚いていたのはそこじゃない。生徒達の制服だ。
生徒の制服が男子も女子も、かなりデザインが違っている。明らかに他校の生徒。なのに、生徒達は我が物顔で総武高校の敷地を闊歩し、普通に登校している。
いろは「総武高校……のはずですよね?」
目の前にある学校は確かに総武高校。校門から昇降口までおしゃれに二股に分かれている階段は、慣れ親しんだ総武高校の玄関口に間違いない。いや、本当にそうだろうかと思い、改めて校舎を見てみると………細部が所々違っていた。
生徒4「あれ、どこの学校の制服?」
生徒5「千葉では見かけないよね?」
いろは「ストップです!せんぱいズ!アンディさん!グラサン女先輩!何か様子が変ですよ!周りを見てください!」
八幡ズ「あん?」
静「グラサン女言うな。で、なに?イーハもどき」
四人はドンパチの手を止め、いろはに振り向く。
いろは「校門!校門の学校名を見て下さい!」
八幡ズ「学校名?」
言われて見てみると……「千葉市立総武高等学校」と書かれているはずの看板には………。
「千葉市立稲毛高等学校」
と書かれていた。
これは八幡達の基本世界における総武高校のモデルになったと言われている現実世界の学校なのだが……。
DIO「稲毛高校………だと?」
静「え?いつ私達、ドジャアァァァンされた?」
総武高校と稲毛高校が世界によっては入れ替わっている事を知っている性悪コンビが困惑する。知っている二人が混乱するのだ。他の平行世界を知らない餓狼組の二人は余計に混乱している。
DIO「………一時休戦。ここはあれだな?相棒」
静「ベネ。あれしかないよね?」
八幡「お前達が『ジョジョ』の人間ならば……やっぱりあれか?」
DIO「イエス、イエス、イエス………ジョースター家に伝わる最終奥義を使う……」
いまいち何かを理解していないアンディをザ・ジェムストーンが、いろはをアクトン・クリスタルが担ぎ上げ。
八幡「稲毛高校の皆さん……」
DIO「登校中のお忙しい中……」
静「大変お騒がせしました♪」
DIO「やるぞ、相棒。八幡。息が続くまでやるんだ!」
くる♪シュゴォォォォォ!
性悪コンビ&八幡「逃げるんだよォォォォ!どけ!野次馬どもォォォ!」
恥も外聞もかなぐり捨て、惜しみもなく逃げる。それがジョースター家に伝わる最終奥義だった。
キングクリムゾン!
DIO「そうか………お前らもいつの間にか……って感じか。俺達もいつ、平行世界を移動したのか全くわからん………」
静「お互い、平行世界を移動した者同士だったなんてね。いや、ホントに誤解してごめん!特に前髪後退気味のパツキンさん!」
アンディ「君、謝る気があるのか?」
静「それなりに?」
アンディの顔が引きつる。さっそく静はアンディを徐倫の代用にしようとしていた。弄くる相手を見付ける嗅覚は流石だと言える。
八幡「止めろよ……アンディ兄ちゃんは生え際を気にしてるんだからさ……」
アンディ「君も大概だよ……後で話があるから」
八幡「しまった……」
一方でDIOは腕だけザ・ジェムストーンを出し、それに装着されている時計のようなものに向かってブツブツと呟いている。
どういうわけなのか、この世界はスタンド使いではなくともスタンドが見えてしまう上に触れてしまっている。いつものように大っぴらにスタンドを出すわけにはいかないようだ。
スタンド使いにとってはかなりの不利な状況とも言える。
静「どう?ハッチ」
DIO「ダメだ……閣下からの応答がない。この世界は何らかの形で平行世界への通信が出来ないみたいだ。多分、いろはや陽乃さんもこの世界にいる可能性が高いな」
八幡「ダメかー………どうする?」
DIO「手懸かりが何も無いんじゃあな………」
唯一の解決法がダメだと解り、手詰まり状態に。空に何か違和感を感じてはいるのだが、それを何とかする方法も見つからない。
アンディ「いや、1つだけ気になる言葉があった」
静「ホント?後退パツキン」
アンディ「………次にそれを言ったら、怒るからね?気になったのは、見物人の中に僕を知っている人がいたことだ」
DIO「確かにいましたね……総武高校がない段階で、この世界には俺達の異世界同位体はいない可能性が高いですし…となると、手懸かりはパツキン後退………」
ゴン!
DIO「格闘家のゲンコツは中々痛いんだが?徐倫のヤツよりも効くぞ」
アンディ「だったら怒らせないでくれるかな?」
DIO「兄貴分を紹介しましょうか?ゴールド・エクスペリエンスっていう無機物から体のパーツを作る便利なスタンドがありますんで。生え際も解決しますよ?」
アンディ「要らないよ!突っ込み飛翔拳!」
ドカン!
静「突っ込みで必殺技を使うくらい気になるなら、是非ともオススメ……」
アンディ「闇浴びせ蹴り!」
ブワァ!
青い炎に包まれる静。
DIO「女子高生を燃やすなんて………ジョジョの服を燃やしてどうするんですか?ハッ!まさかアンディさんってロリ……どうしたんです?急にしゃがんだりして」
↓溜め↘️→BD(初期超烈破弾コマンド)
アンディ「ツッコミ真下溜め超烈破弾!」
DIO「ぐはぁ!」
炎を纏った餓狼3仕様のミサイルドロップキックがDIOに刺さる。
八幡「真下溜めの超烈破弾を使うくらい、実はストレスを溜めていたんだね……溜め時間分がストレスの量だったんだ………」
DIO「いやぁ、良い徐倫代わりです!ナイスですよアンディさん!」
静「これで今夜も安心して眠れるね?」
八幡「復活はや!それに空条徐倫ってそんなキャラだったか?」
DIO&静「俺達が鍛えた!」
八幡「止めてやれよ!キャラ崩壊してるじゃないか」
アンディ「………ったく。どっと疲れたよ……。とにかく、手懸かりは僕なんだ。山梨に向かうよ」
DIO「山梨?」
八幡「アンディ兄ちゃんの自宅兼道場があるのが河口湖湖畔なんだ。もしかしたら、この世界のアンディ兄ちゃんがいるかも知れないだろ?」
静「なるほど………ここでああだこうだ言っているよりかは建設的な意見かもね?でも、移動手段はどうする?」
DIO「時を止めて改札を通り抜ければ楽じゃね?」
静「もしくはアクトンで姿を消して……」
ゴン!
アンディ「さらっと犯罪に走るな!」
いろは「ホントに大丈夫なんですか?この人達」
まともな常識を持ち合わせているならば、そもそもスタンド使いになっていないのである。
キングクリムゾン!
山梨・河口湖…不知火道場
渋々運賃を払い、5人は河口湖湖畔にある不知火道場を訪れた。
若アンディ「………本当に僕がもう一人、現れるなんてね………」
事前に公衆電話を使い、連絡を入れてあったお陰か、この世界のアンディ・ボガードが外に出て待っていた。
アンディ「僕も驚いたよ………えっと、初めましてで良いのかな?僕……」
若アンディ「ええ。初めまして。別の世界の僕……」
静「はいストーップ」
二人のアンディが握手をしようとする所を静がとめる。
DIO「おっと、危ない所だった。平行世界の同一物質同士が触れ合うと、対消滅が起こるんだった。ジョジョの通信機が良いか?」
静「そうだね。多分、この世界には私はいないだろうし、後退が激しいアンディさ……」
アンディ「ツッコミ斬影流星拳!しかもマックス版!」
普段は紳士的で、フェミニストであるアンディだが、もはや静の事は女性扱いをするのを止めたらしい。
アンディよ。それで正解である。
ぶれない性悪コンビ。アンディの胃と生え際が心配であるといろはは内心思ったが、口には出さない。下手をしたら今度は自分が真下溜めの超烈破弾を貰いかねないからだ。
DIO「その時計を腕に。それがあれば対消滅は起きないんで」
八幡「危ないな………下手をしたら俺達が消滅していただろ………」
DIO「俺は常にスタンドに装着しているからな。俺以外の俺が相手の時は気を付けろよ?」
八幡「こんなことが何度も起こってたまるか」
DIO「……………」
DIO八幡にとっては意図的であるなしに関わらず、結構な頻度であったりするのだが、そこは敢えて黙っていた。
そして挨拶を済ませ、そして中へと案内される。
若アンディ「そうか……実は最近、そういった現象が僕達の間でも起きているんだ。タオという少女が、異世界から現れ、途方に暮れていたところを僕が保護し、十兵衛先生に預けていたんだ」
八幡「少女を十兵衛先生にって……大丈夫なんですか?舞姉ちゃんとか小町もよくセクハラされてるし……」
昔から自分の世界の不知火道場に出入りしていた八幡は、山田十兵衛という人物の人となりを良く知っている。そのスケベさも。
アンディ「心配には心配だけど、そこは今は重要じゃない。それで、そんな事が色々と起きている原因に心当たりはあるのかい?」
若アンディ「僕にはさっぱりだけれど……ナコルルっていう娘を知っているかい?」
アンディ「いや………」
KOF世界のアンディは以前にKOF14大会でナコルルと出会っているのでナコルルの事を知っているが、餓狼のアンディは出会っていない。
歴史そのものが違うのだろう。
DIO「サムスピのナコルルか……?何で江戸時代の人間が?いや、何故かカプエスやらバトルコロシアムにも登場していたから、何らかの時代を越える手段がナコルルにはあるのか………」
八幡「何で知ってる?DIO……」
DIO「KOFは俺達の世界ではゲームだからな。お前がスタンド使いの事を漫画で知っていたように、俺達もゲームという形でアンディさんやテリーさん達の事をある程度は知ってるんだよ。特に材木座は格ゲーが趣味で、遊戯部とトラブルを起こしたしな」
師匠である露伴を巻き込んでの大騒ぎだった。
因にだが、ゲームの腕は海老名の方が上だったりする。
格ゲーの『未来への遺産』では前世の自分、花京院を使い、身動きできなくなる技で承太郎を縛り上げ、至近距離で『レロレロ挑発』。見ようによってはディープキスとも見れなくない舐めプレイをしていた。
花京院海老名『ぐふ♪』
八幡「何だか悪寒が……で、遊戯部って?」
DIO「あれ?あの事件は千葉村以前の話だったから、てっきり知っているものだとばかり……いや、遊戯部の事件って世界によっては起きていない場合もあったか。忘れてくれ。とにかく、あんたらの事はそれなりに知っていると思ってくれて良い」
若アンディ「……何か釈然としないが、そのナコルルで間違いじゃない。彼女は様々な世界から有志を集めてこの現象をどうにかしようと考えているようだ。そしてその原因となっているのが………ギースやベガ、ルガールが主催しているKOFに酷使した格闘大会、KING OF STREET FIGHTERSらしい」
アンディ「ギース………だと?」
養父、ジェフを殺害したギース・ハワードへの恨みは何年経っても消えることはない。たとえ、今は既に死んでいたとしても………。
若アンディ「そして、ベガやギースの企みによって、妙な現象が起きているとナコルルから聞いている。確か地獄門……とか言っていたな」
DIO「今度は月華かよ……おまけにベガって、シャドルーのベガか?この世界はKOFだけじゃあないみたいだな……色んなバーサスシリーズが混ざってるんじゃあないのか?」
静「地獄門って確か………あの世とこの世を隔てる物だよね?そんなのがあるから閣下との連絡が付かないんじゃあないの?」
DIO「そもそもルガールが生きていること自体が既におかしい。奴はストーリー上、KOFの世界では既に死んでいたはず………」
若アンディはそっとあるものを取り出す。
KOSFの招待状だ。
いろは「ていうか、DIOせんぱいとジョースター先輩。格闘雑誌を読んでみたんですけど、もしかしてせんぱい達が探しているわたしって、この人じゃないですか?」
静「なぬ!偽イーハ!それ見せて!」
偽物呼ばわりされてイラッときたいろはだが、話が進まないのですぐに雑誌を見せる。
そこに掲載されていたのは出場チーム情報。
かなり小さくではあったのだが………。
新チーム登場!
『盗賊アーサー、いろは、一色いろは、雪ノ下陽乃』
招待状すら入手困難なKOSFに殴り込み!
と記載されていた。他にもいくつか見知った顔もあったが、それはスルーする。
八幡「出会った頃の若いテリー兄ちゃん、ジョーあんちゃん、舞姉ちゃんはわかるとして……俺と同い年くらいのロックやら、草薙京さんや全盛期のMr.KARATE(リョウ)までいるとか、色々とおかしくない?」
八幡がブツブツ言っているが、そこは気にしないのが一番だろう。
若アンディ「これは君達にこそ必要みたいだね」
KOSFは招待状制の大会だ。招待状が無ければどんなに実力があっても出場することが出来ない。だが、一通でもあればチーム登録が可能であり、その入手経路は問われる事がない。チームエントリーの段階で誰かが招待状を持っていれば、それで出場できるのである。
このシステムは昔からKOFの伝統的なシステムである。そうでなければKOF94のキムチーム(チョイやチャン)、そもそも格闘家ではなかったスポーツチームのブライアンやらKOF97のオロチチームは出場など出来なかった。
最終的に招待状を持つことが出来た者こそ強者とするのがKOFの慣わしなのである。
八幡「良いのか?アンディ兄ちゃん。兄ちゃんも出たいんじゃ………」
若アンディ「僕は道場の事や、北斗丸の事があるからね。元々出場は見合わせるつもりだったんだ。舞は忍者学校の要請で出ることになったけど……どのみち捨てるつもりだった招待状だ。ならば、君達が有効活用してくれればそれで良い」
八幡(全盛期のテリー兄ちゃんやMr.KARATE。舞姉ちゃんやマリー姉ちゃん……それにジョーあんちゃんにサガット……通用するのか?)
師匠やそれに匹敵する猛者達が名をあげている大会に出場する………。
正直、不安があるが………。
八幡(いや……それ以上に戦ってみたい……)
不安よりも、格闘家としての血の方が騒ぐ。
憧れの兄貴分達やそのライバルとの戦いがしたいという格闘家としてのサガか……。
DIO「なし崩し的かよ………。まぁ、いろは達を助けなきゃならんし………正直、もはや資金もないから大会で偶然会うことを願うしかないな………」
ぶっちゃけ、暗殺者としての気質が強いスタンド使いにしてみればこういう大会は出たくない。直接サウスタウンまで出向き、闇討ちするのが本来のDIO達のやり口なのだ。
しかし、着の身着のままでこの世界に来てしまった5人には、アメリカのサウスタウンどころか、国内を移動する資金すらない。
負けるまでは旅費が出る大会選手としてしか、いろは達と合流する手段も無ければ黒幕にたどり着く事すらも難しい。
静「貧乏って………罪なんだね……」
アンディ「格闘家は………貧乏。これ、常識」
八幡「ガロスペのドラマCDネタは良いから……」
いろは「あの………わたしはどうすれば?」
ポン♪
アンディ「八幡のストライカー、頼むな」
DIO「いろはは既にエリナいろはと弥七で枠が埋まってるから、ストライカーとしてしか出番なしだし」
メメタァ!
いろは「メタ禁止です!」
( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン
←To be continued
性悪コンビ&比企谷餓狼伝説チーム
DIO(アーシス比企谷八幡)
カプコンside…『ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産』
格闘スタイル…波紋+アーシス流総合格闘術+スタンド
プレイスタイル…スタンド使いスタイル
静・ジョースター(ジョジョ第4部『ダイヤモンドは砕けない』より)
カプコンside…『ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産』
格闘スタイル…波紋+アーシス流総合格闘術+スタンド
プレイスタイル…スタンド使いスタイル
比企谷八幡(餓狼伝説)
SNKside…餓狼伝説(純粋)
格闘スタイル…マーシャルアーツ+不知火流骨法+ムエタイ+八極聖拳+ジェフ流喧嘩殺法+ジョー流喧嘩術
プレイスタイル…ノーマルスタイル(KOFスタイル)
アンディ・ボガード
SNKside…餓狼伝説(純粋)
格闘スタイル…不知火流骨法+八極聖拳
プレイスタイル…ノーマルスタイル
ストライカー専用
一色いろは(餓狼伝説)(餓狼八幡をストライカーにすると変化)
SNKside…餓狼伝説(純粋)(リアルバウト~MOWの時代?)
格闘スタイル…?(高速早口お断りで相手の超必殺技ゲージを減少させる)
とうとう性悪コンビ参戦です。
そして、キャラをお貸し下さった佐世保ライダーさん、ありがとうございます。
まさか俺ガイル同士でカプコンsideとSNKsideに上手くキャラが分かれるとは思いませんでした。
ちなみに没案………
ストライカー専用(静・ジョースターをストライカーに選択する)
空条徐倫
ストライカー専用(DIOをストライカーにする)
東方仗助or比企谷小町(リサリサ)
ストライカー専用(アンディをストライカーにする)
北斗丸
さすがに止めておきました(^_^;)