やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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エンディング 裏雪ノ下陽乃編

(ラスボスがオメガ・ルガール)

 

裏陽乃「こんなもの?」

 

全員が膝を付き、荒い息を吐いている。

 

オメガ・ルガール「バカな………この私が……」

 

光り始めるオメガ・ルガール。

 

オメガ・ルガール「!?」

 

オメガ・ルガールを中心に黒く、禍々しい気が発生する。

陽乃は知らないことだが、それはかつてのKOF95の時にオロチの力が暴走し、ルガールが消滅した時と同じ現象だった。

 

オメガ・ルガール「バ、バカな………!これはあの時と同じ!これだけの力を吸収したというのに、何故オロチの力に負ける!?殺意の波動、サイコパワー、暗黒の力!そして常世の力があるというのに!」

 

裏陽乃「どうやら体の許容量が限界を超えたようね。ルガール、あなたはそれだけの力を扱うだけの器じゃなかったの。それだけの力を身に付けてしまったら、わたし達ですら暴走せずに無事にいられるか……」

 

オメガ・ルガール「ほざけ!私はただの人間じゃない!私は死を超越し、現世に蘇った究極の生物!これしきの力を制御出来ない私ではない!」

 

裏陽乃「言ったでしょ?普通のどころか、人間ではないわたし達だって、制御しきれないって。たたの常世の使者ごときに、制御出来るわけがないじゃない」

 

オメガ・ルガール「気付いていたか……」

 

裏いろは「その様子じゃ、もう何も出来ないですよね?年貢の納め時ですよ?」

 

オメガ・ルガールから様々な力が漏れ出す。

 

殺意の波動「足りぬ………」

 

オメガ・ルガール「な、何!」

 

殺意の波動「その器では足りぬ!」

 

ベガの魂「ヌハハハハ!貴様程度に我がサイコパワーを操りきれるとおもったか!」

 

ギース(本物)(放送)「ルガールよ。影と組み、この私を利用したつもりでいたようだが、逆に自分が利用されていたことに気が付かなかったようだな」

 

オメガ・ルガール「く………ベガ!ギース!貴様らはこの私を利用したというのか!この私が…貴様ら程度に!」

 

ギース「ベガよ………いずれは決着を付ける。それまで首を洗って待っているが良い」

 

ベガ「ふん……。いずれは貴様もそこの常世の傀儡のように、このベガに泳がされているだけだと知るがよいわ!ヌハハハハ!ヌハハハハハハハハハ!」

 

ギース「そこのお前達よ。目障りな影や邪魔物を消してくれたことに感謝しよう。だが、そこまでだ。機会があればまた会うこともあるだろう。……生きて帰る事が出来たならばだがな……それではさらばだ……」

 

ベガの魂は地獄門に吸収されることなく、いずこかに消え、そして本物のギースも通信を切ったのか、スピーカーが沈黙する。

 

オメガ・ルガール「おのれ……ベガめ!ギースめ!そして異世界からの異物め!せめてお前達だけでも地獄へ戻る道連れにしてやろう………地獄への案内は、この私直々にしてやる………」

 

謎のスイッチを取りだすオメガ・ルガール。

 

裏一色「は、はるさん。あれって………」

 

裏陽乃「ルガールのお家芸、自爆かな?」

 

「巻き込まれるぞ!」

 

「逃げろ!」

 

裏一色「と、とにかく逃げましょう!」

 

裏陽乃「わたし達はともかく、他のみんなは無理かな?逃げるのよォォォ!」

 

オメガ・ルガール「ハッハッハッハッハッ!」

 

ポチッ……

ドオオオオオオン!

 

 

 

(ラスボスがナイトメア・ギース)

 

片膝を突いているギース。

しかし、その表情には笑みが………。

 

ギース「なるほど……ここまでやるとはな。影はともかく、ベガやルガール、そしてクローンとは言え、豪鬼すら退けただけはある。ここは素直に負けを認めるとしよう」

 

裏陽乃「素直に敗けを認めるじゃない?大物だけはあるわね?」

 

ギース「事実だ。負け惜しみを言ったところで結果が変わるわけではない」

 

裏陽乃「素直に負けを認めたならば、観念して捕まり、罪を償うことね。このままなら、あなたは破滅よ?」

 

ギース「ふ……勘違いするな。負けを認めたからと言って、私はお前達に従うとは一言も言っていない」

 

室内の照明が消され、暗転。

バリィィィィン!バルバルバルバル!

音のした方に目を向けると………

ビルから転落していく男の姿が。しかし、それはルガールの姿………。

 

「くぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

ギースはヘリの縄梯子に掴まり、既に逃げ支度は万全に整えられていた。

 

裏一色「ルガールを落として自分は逃げるみたいですね?落ちるのはギースのお家芸なのに」

 

ギース「ワハハハハハ!貴様らに落とされる程、私の命は安くはない!」

 

ベガ「逃げるか………ギース」

 

ギース「フンッ!ベガよ………影を唆して好き放題してくれたな………この借りは必ず返すぞ………必ずだ」

 

ベガ「良いだろう………いずれはその首、かっきる…」

 

消えるベガ。

 

「く………豪鬼のクローンとルガールは倒したけが、ベガとギースが!」

 

ギース「さらばだ………二度と会うことは無いだろう。元々この世界は貴様らとは無縁の世界だ。貴様らが大人しくしていれば、こちらから手を出すことはない。フフフフフ……ハハハハハ………ハッハッハッハッハッ!」

 

「ギースが逃げるぞ!どうにかならないのか!陽乃!いろは!できるだろ!お前なら……」

 

裏いろは「お任せ下さい♪お安い……」

 

裏陽乃「待ちなさい。その必要はないわよ」

 

裏一色に札を貼る裏陽乃。

 

裏一色の脳裏にある光景が浮かぶ。

ギースタワーの最上階。ほぼ決着が付いたテリーとギースの戦い……。

 

ギース「レイジング………」

 

テリー「パワーゲイザー!」

 

悪あがきにレイジングストームを放とうとするギースにテリーがトリプルゲイザーを放つ。ゲイザーを受けたギースは柵を突き破り……

 

テリー「ギースゥゥゥ!」

 

ギースの腕を掴むテリー。しかし………

 

ギース「good-bye」

 

テリーの手を振り払うギース……。

 

ギース「ワハハハハハ!」

 

高らかに笑いながら、落下していくギース。映像はそこで途切れる。

 

裏陽乃「言ったでしょ?今のままではギースは破滅だって……彼の命は、あと数ヶ月。テリー・ボガードによって……その運命はつきるわ。この運命は変えられない」

 

裏一色「定められた死ですか………憐れですね」

 

 

 

 

(ここからは共通)

 

裏陽乃「悪人達の野望は挫いたかな?」

 

裏一色「そーみたいですね?終わり……ですかね?」

 

裏陽乃「…………まだよ。むしろここからが本番かな?」

 

裏陽乃と裏一色が空を見上げる。

空は荒れており、荒れている中心には禍々しい気を放っている穴が空いている。地獄門だ。

 

裏一色「あれ………何とかできるんですか?」

 

裏陽乃「何とかできる……じゃなくて、するのよ。あんなものを放置していたら、夢見が悪いわよ。地獄門なんて物がわたしに何とか出来る代物とも思えないけど…でも、常世(とこよ)現世(うつしよ)を隔てる地獄門が開きっぱなし……なんて事を放置を許すなんて、そんなものはノスフェラトゥの沽券に関わるじゃない?」

 

妖狐陽乃が神通力を手に集中させる。

 

裏陽乃「あんなものをどうにか出来るレベルで仙狐の術を操りきれるかは分からない…。でも、やるしかない!堕狐直伝!妖狐仙術!鬼門封じ!」

 

力を開放し、小牟から教えてもらった術を使う。

試合中に実験を兼ねて使用した鬼門封じとは訳が違う。

本来の用途で使用する鬼門封じ。

地獄門を封印する上で必ず必要になるからと伝授された仙狐の奥義だ。

 

裏陽乃「ぐぅぅぅぅぅ!やっぱり、あれを抑えるレベルでの仙狐の奥義は……今のわたしには荷が重い……」

 

裏陽乃(術そのものは成功しているけど、やっぱり地獄門を封じるには今のわたしでは力が足りていない。本物の仙狐……いえ、天狐レベルの妖狐でやっとのレベルね……このわたしが全力で神通力を放っても、地獄門を封じるどころか増大を抑えるのが精一杯なんて……)

 

片膝を付く陽乃。

 

裏陽乃(仙狐への修行をサボったつもりは無かったんだけどなぁ………)

 

陽乃の背後に立つ複数の人間の気配。

 

京「苦戦しているみてぇだな。流石のあんたでも、あれは手に負えないってか?」

 

草薙京、八神庵、神楽ちづる。

オロチ封じを専門とする三種の神器だ。

 

ちづる「三種の神器の力をあなたに託すわ。良いわね?草薙。八神」

 

京「って訳だ。テメェとのケリをつけるのはお預けだぜ?八神」

 

庵「ふん。命拾いをしたな京。貴様を殺すのは次の機会まで取っておいてやる。せいぜい首を洗って待っているんだな」

 

三種の神器の力が陽乃に集まる。

 

モリガン「小牟の力を扱うなんてね?あの娘の仲間だった者として、ここは力を貸してあげるわよ」

 

デミトリ「光栄に思え。小牟の弟子たる妖狐よ。魔界三大貴族の高貴な力を受けられるのだからな……」

 

魔界の魔王の力が陽乃に降り注ぐ。

 

リュウ「俺の波動を使え!小牟の弟子!」

 

バツ「俺の気合いもやるぜ!」

 

テリー「オーケー。俺の気の力もだ」

 

リョウ「俺には特別な力は無いが、足しになるなら俺の気も使ってくれ!」

 

K´「俺の草薙の力もだ」

 

アッシュ「僕の力も使ってよ。マドモアゼール」

 

アテナ「私のサイコパワーも使って下さい!」

 

主人公達を通じて陽乃に集められる気や封滅のパワー。

 

ナコルル「力が集まってくる………覇王丸さん!楓さん!」

 

覇王丸「俺には自分で青龍の力を使う術は知らねぇが、オメェなら俺の力を扱えるだろ?楓」

 

楓「地獄門専門の力だからね。一度封印の儀式を見ているから、出来るさ。1つに集まったみんなの力を……」

 

東の青龍、楓が陽乃に集まった力をまとめ上げ、弓矢を作り出す。

その弓矢を陽乃に託す楓。

 

裏陽乃「………まったく、誇りが傷付くわ。九尾の末裔が人間に助けられるなんてね。でも、これが……本物ってヤツかな?」

 

受け取った弓矢を構え、地獄門の中心に向ける。

 

裏陽乃「五行を司る力よ……木は火を生み、火は土を生み、土は金を生み、そして金は……水を生む!数多の力を束ね、封印の儀を為し遂げなさい!森羅万象!」

 

全ての力を解き放ち、矢が地獄門の中心へと吸い込まれる。

 

裏陽乃「火は金に克ち!金は木に克ち!木は土に克ち!土は水に克ち!そして水は火に克つ!」

 

地獄門の穴がはぜ、光がサウスタウンを覆う。

光が収まると……地獄門は消え果て、青空が澄み渡っていた。

 

裏陽乃(………まだあったわね。個人的に用事が……)

 

 

サウスタウン、旧ネスツ研究所施設

 

裏陽乃「ここね………秘密結社ネスツ……草薙京の力を移植する力。K´やその姉のセーラの記憶をも含め、八兎君なんて比べ物にならないほどの複製を作り出せる完全なクローン技術。マキシマを始めとした材木座君を凌駕するサイボーグ技術………。草薙京の力を衛星からのビーム兵器として発射する戦略兵器、ゼロキャノン。ネスツの科学技術はノスフェラトゥの20年先を行くわ」

 

裏一色「そのネスツの技術をどうするつもりなんですか?ノスフェラトゥ」

 

裏陽乃「…………さすがね。いろはちゃん……いえ、弥七ちゃんと言えば良いかしら?今更だけどひゃっはろー♪もうひとつのアーシスの世界で材木座君がお世話になったみたいだね?」

 

裏一色「本当に今更ですよ?そちらこそさすがですね。わたしの正体に気が付いていましたか……九尾の狐だけはありますね?」

 

裏陽乃「違う違う。九尾の狐の末裔よ。伝説の天狐、「玉藻の前(たまものまえ)」の別名を名乗る勇気は流石に無いから」

 

裏一色「玉藻の前……ですか。中国の九尾、妲己(だっき)と並ぶ傾国の妖狐じゃ無いですか」

 

裏陽乃「あらやだ。紀元前中国の最古の国家、殷王朝の妲己様の事まで知っているなんて、弥七ちゃんって意外と博識だったりする?ただのファンクラブの会長ってだけじゃ無いみたいね?見守る会って似たような団体があるんだけど、そっちの会長もやってみない?弥七ちゃんなら人外じゃなくてもノスフェラトゥに大歓迎。見守る会をノスフェラトゥの下部組織に仕立ててくれそうだもん?」

 

裏一色「お断りでーす♪ただでさえうちの雪ノ下家とか規格外オブ規格外とかアーシスとかに勧誘対象として目を付けられていますからノスフェラトゥやもう1つのアーシスにまで目を付けられるなんて真っ平ごめんでーす♪」

 

裏陽乃「更にこの世界でもお互いに森羅、シャドルー、怒部隊、ネスツの残党、インターポール、ハワードコネクション、R&B社、そしてキム・カッファンに目を付けられちゃったしね?」

 

裏一色「そうなんですよー。特に正義教教祖のキム・カッファンはホントにしつこくてしつこくて………ってなに話をそらそうとしてるんですか?」

 

裏陽乃「アハハ♪誤魔化せなかった?で、何だっけ?」

 

裏一色「そのネスツの技術をどうするつもりなのかを聞いているんですよ。玉藻の前はともかく、妲己は王朝を滅ぼした人類の災厄として伝わる九尾。その末裔がそれを手に入れようとしてるんです。警戒をして当然じゃないですか?」

 

裏陽乃「そうだねー。色々あるかな?例えば八兎君なんて目じゃない完全な八幡君の能力を持ったクローン軍団とか、そこまでしなくても八幡君の能力を移植したり、マキシマの技術で材木座君を強化してみたり、草薙京や八神庵の三種の神器を複製してみたり、色々と使い道はありそうかな?」

 

裏一色「…………やはりあなたを止める必要があるみたいですね?妖狐」

 

裏陽乃「なーんてね♪仙狐妖術!白虎連砲・極!」

 

陽乃が覇王翔吼拳に似た神通力の気弾を連発し、施設を瓦礫に変える。そして、USBにメモリーを接続してデータを入力。それが終わるとその端末も完全に破壊する。

 

裏陽乃「これでよし♪」

 

裏一色「何をしたんですか?」

 

裏陽乃「何をって………見ての通りよ?ネスツの技術やデータを完全に破壊したの。こんなものは、今の人類には早いもの」

 

裏一色「あー!勿体ない!使い道はそれなりにあったのにー!」

 

裏陽乃「あのね弥七ちゃん。ノスフェラトゥを何だと思っているの?ノスフェラトゥはシャドルーやネスツのような悪の秘密結社じゃないのよ?ノスフェラトゥの本当の任務はわたし達人外の保護と人間社会への融和を手助けするのが主任務。稀に豪鬼のような暴走した存在や、人外の力を利用しようとするシャドルーみたいな跳ね返りを潰したりはするけど。こんな跳ね返りが喜びそうな物を持ち帰るなんて、するわけないじゃない。アーシスのDIOならやりかねないけどね?」

 

裏一色「そうだったんですか?なーんだ。誤解しちゃってましたよー」

 

裏陽乃「わたしはむしろ、弥七ちゃんの方がこれを欲しがっていると思ってたけどねー。そっちの完全な八幡君を複製して、自分の都合の良いように記憶を作ってね」

 

裏一色「しませんよ!そんなの、限りなく本物に近いせんぱいだったとしても、それはやっぱり偽物なんですから!」

 

裏陽乃「そんなレプリカは要らない。本物と呼べる物だけで良いってヤツね?」

 

互いに笑う妖狐と弥七。

 

裏一色「まぁ、1つだけ………たった1つだけ複製しても良いかなー、なんて思うのがありましたけど」

 

裏陽乃「誰?」

 

裏一色「DIO先輩と静・ジョースター先輩です。自分のやらかしていることがどれだけ周りに迷惑か、教えてやるべきですよ。まったくあの性悪コンビは……空条先生が可哀想です」

 

裏陽乃「ああ。徐倫ちゃんの胃の為にもね?確かに言えてるかも?」

 

もう一度爆笑する二人。

 

裏陽乃「…………」

 

裏一色「…………」

 

裏陽乃「お別れね?弥七ちゃん」

 

裏一色「お別れですね。仙狐のはるさん」

 

裏陽乃「まだ仙狐じゃないけどね。アリーヴェ・デルチ」

 

裏一色「アリーヴェ・デルチです♪」

 

お互いの世界のファニー・ヴァレンタインと連絡を取り合い、元の世界に帰還する二人の英雄。

それを見守る影が………

 

白良「小牟ちゃんをけしかけて正解だったかしら?あの陽乃ちゃんなら、正しい答えを導いてくれるって信じていたわ。そっちの八幡君に関する件は、私はもう忘れる事にするわよ。良い仙狐や天狐になってね?陽乃ちゃん」

 

 

ノスフェラトゥの世界

ノスフェラトゥ日本支部・千葉支所

 

八幡『お帰りなさい。陽乃さん』

 

雪乃「姉さん。無事に帰って来たみたいで、安心したわ。大変だったようね?」

 

執務室で不在だった間に溜まっていた書類を処理している陽乃の元に、雪乃と八幡が紅茶と茶菓子を持って訪れた。

 

裏陽乃「あら。どうせならお茶と油揚げパフェが良かったわ。残虐行為手当てとして」

 

八幡『ざ、残虐行為手当て?』

 

雪乃「要らないなら下げるわよ?姉さん」

 

裏陽乃「ウソウソ。雪乃ちゃんの紅茶は美味しいから頂くわ」

 

雪乃「大体、何なのかしら?油揚げパフェって」

 

裏陽乃「あっちの世界の堕狐(だぎつね)の影響ね。修行中の食事は油揚げ尽くし。オヤツは油揚げパフェっていうエンドレス・フロンティアっていう世界で手に入れたレシピのお菓子を出されたわ……」

 

雪乃「油揚げパフェ………少し興味があるわ」

 

八幡『そういう所は、雪乃もやっぱり妖狐だな……それに陽乃さんが修行だなんて……』

 

裏陽乃「あんな自堕落で不摂生で腐った尊敬のその字にも値しないダ・フォックス(堕狐)でも750年以上も生きている仙狐だもの。力だけはわたし以上よ?あの堕狐、実力だけは本物だから。恐ろしいのは少しでも堕狐の影響を受けるとお仕置きしてくる旦那の人間だけど」

 

八幡『仙狐の旦那?』

 

裏陽乃「そ。有栖零士っていう神羅のエージェント。あの尻叩きは………危険よ。絶妙な霊力が込められていて、目覚めてはいけない趣味の扉が開くところだったわ」

 

八幡『た、大変だったんですね………残虐行為手当てと言うのは?』

 

裏陽乃「神羅で支払われるその名の通りの残虐な行為をした報酬ね。油揚げで支給されるわ。今度からノスフェラトゥで採用してみようかしら?」

 

雪乃「そんな危険行為手当みたいに……それも油揚げの現物支給なんてされても喜ぶのは私と姉さんだけだと思うのだけれど……下が暴動を起こすわよ?姉さん」

 

八幡『雪乃は喜ぶのか……油揚げパフェ、今度挑戦してみるかな……霊力を帯びた尻叩き……か』

 

雪乃「私にその趣味はないわ。そんな事をしたら、別れるわよ?八幡君」

 

八幡『い、言ってみただけだ。やらないから。変な事をした小町になら………』

 

裏陽乃「アーシスの世界のリサリサちゃん小町ちゃんじゃあるまいし。うちの小町ちゃんならそんなのが必要だとは思えないけどね?スパンキングマスター・ゴミぃちゃんの称号が欲しいなら止めないけど」

 

雪乃「スパンキングヶ谷君。あっちに行ってくれないかしら?」

 

八幡『グフッ!』

 

裏陽乃「油揚げパフェでご機嫌とるしか無いわね?お尻を叩くどころか、すっかりお尻にしかれちゃって……」

 

八幡『上手いことを言ったつもりですか?そもそも原因は変な単語を並べた陽乃さんなんですから、何とかして下さいよ』

 

裏陽乃「小姑からの洗礼だと思って諦めなさい。ウフフフフ……♪」

 

その名の通り、雪のような冷たい視線を送る雪乃のご機嫌を取る八幡を眺める陽乃。

 

陽乃(仙狐……そして天狐に必ずなってみせるわ。あの地獄門のような事が、こっちで起きないとも限らない。その時には、私だけの力で鬼門封じを成功させなければ。修行、もう少しきつくしないとね。この平和が少しでも長く続くように……)

 

新たなる目標、新たなる力を得るために決意を固める陽乃。

上には上がいる。彼女の仙狐・天狐への道はまだまだ遠い。

しかし、いつの日かたどり着く事が出来るだろう。

あの小牟、そして伝説の玉藻の前のような伝説の九尾の領域に……。

 

FIN




裏雪ノ下陽乃編のエンディングです。

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