やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

488 / 731
エンディング 雪ノ下陽乃編

陽乃「やったの!?」

 

全員が膝を付き、荒い息を吐いている。

 

オメガ・ルガール「バカな………この私が……」

 

光り始めるオメガ・ルガール。

 

オメガ・ルガール「!?」

 

オメガ・ルガールを中心に黒く、禍々しい気が発生する。

それはかつてのKOF95の時にオロチの力が暴走し、ルガールが消滅した時と同じ現象だった。

それを雪ノ下陽乃が知るよしもない。

 

オメガ・ルガール「バ、バカな………!これはあの時と同じ!これだけの力を吸収したというのに、何故オロチの力に負ける!?殺意の波動、サイコパワー、暗黒の力!そして常世の力があるというのに!」

 

陽乃「あのさ……お酒を飲んだ時でもそうだけど、それだけチャンポンしたら悪酔いするのも当たり前じゃない?しかもチャンポンしたあとに運動までしたんだったら、酔いが回るのも早くなるのは当然でしょ?」

 

オメガ・ルガール「ほざけ!私はただの人間じゃない!私は死を超越し、現世に蘇った究極の生物!これしきの力を制御出来ない私ではない!」

 

陽乃「そう、ルガール。あなたはただの人間じゃあ無いわよね。あなたは、地獄門の力で蘇った死人でしょ?」

 

オメガ・ルガール「気がついて……いたのか」

 

陽乃「そりゃあね?少し調べれば気が付くわよ」

 

オメガ・ルガールから様々な力が漏れ出す。

 

殺意の波動「足りぬ………」

 

オメガ・ルガール「な、何!」

 

殺意の波動「その器では足りぬ!」

 

ベガの魂「ヌハハハハ!貴様程度に我がサイコパワーを操りきれるとおもったか!」

 

ギース(本物)(放送)「ルガールよ。影を組み、この私を利用したつもりでいたようだが、逆に自分が利用されていたことに気が付かなかったようだな」

 

オメガ・ルガール「く………ベガ!ギース!貴様らはこの私を利用したというのか!この私が…貴様ら程度に!」

 

ギース「ベガよ………いずれは決着を付ける。それまで首を洗って待っているが良い」

 

ベガ「ふん……。いずれは貴様もそこの常世の傀儡のように、このベガに泳がされているだけだと知るがよいわ!ヌハハハハ!ヌハハハハハハハハハ!」

 

ギース「そこのお前達よ。目障りな影や邪魔物を消してくれたことに感謝しよう。だが、そこまでだ。お前達は所詮、この世界の人間ではない。私が寛容であるうちに、さっさと自分の世界に帰ることだ……帰れればだがな……それではさらばだ……」

 

ベガの魂は地獄門に吸収されることなく、いずこかに消え、そして本物のギースも通信を切ったのか、スピーカーが沈黙する。

 

オメガ・ルガール「おのれ……ベガめ!ギースめ!そして異世界からの異物め!せめてお前達だけでも地獄へ戻る道連れにしてやろう………地獄への案内は、この私直々にしてやる………」

 

謎のスイッチを取りだすオメガ・ルガール。

 

陽乃「ま、まさかあれは!」

 

アーサー「お、お約束のあれですか!?」

 

いろは「悪足掻きでしょうか?」

 

一色「エメラルド・ヒーリング!逃げるんですよォォォォォォ!」

 

オメガ・ルガール「ハッハッハッハッハッ!」

 

ポチッ……

ドオオオオオオン!

 

一方………外では………。

 

京達三種の神器を中心に、KOSFに参加した様々な格闘家達が気や不思議な力を集め、楓にエネルギーを送る。

楓はエネルギーを弓矢にし、それを地獄門へと向ける。

 

楓「姉さん。今度こそ、本当にさようなら……」

 

楓が地獄門へ向け、矢を放つ。封印の儀だ。

中心に矢を打ち込まれた地獄門は、激しく光を放ち、それが収まると……地獄門により禍々しかった空は、まるで最初から何事も無かったかのように雲1つない、青空が広がっていた。

 

リュウ「これで……全てが終わったんだな……」

 

ドオオオオオオン!

 

京「あっちも終わったみたいだぜ。とりあえずは……だがな」

 

リュウ「今回は………あいつらに救われたな」

 

京「そうだな。いつになく、ヤバい大会だったぜ…」

 

 

…………

 

陽乃「………みんな、生きてる?」

 

一色「何とか………いつもの墜落とかに比べたらましなレベルですよ……慣れたくありませんでしたけど」

 

瓦礫の中から顔を出すメンバー達。

 

アーサー「あーあ………結局は何一つお宝は手に入りませんでしたし、骨折り損のくたびれ儲けですよね?」

 

いろは「地獄門も、いつの間にか解決したようです」

 

陽乃「イマイチすっきりしない終わり方よね?結局、黒幕のベガもギースも倒せなかったし、優勝賞金も貰えなかったし……」

 

いろは「せめて美味しいご飯だけでもいただきたかったです………」

 

アーサー「大会優勝者という称号も、私達異世界の人間からしてみれば何の意味もないですもんね?あーあ、本当に疲れました。早く元の世界に帰って、お風呂に入って眠りたい気分ですよ」

 

一色「同感ですね。今なら閣下とも連絡が付けられると思いますし………」

 

四人が地面に倒れ込み、愚痴を口にする。

 

??「あのぉ………帰られるんですか?」

 

彼女達の元に、アイヌの民族衣装を着込んだ手のひらサイズの女の子が現れた。

精霊の姿に……本来の姿に戻ったナコルルだ。

 

陽乃「あら、ナコちゃん。ひゃっはろー。そのコロボックルみたいな姿が、本当のナコちゃんの姿なんだね?そっちの姿の方がかわいいわよ?」

 

ナコルル「ええ。本当の私は大自然に捧げられた精霊のようなものですから………それよりも、本当にもう帰られるのですか?皆さんとも挨拶もされずに………」

 

陽乃「さすがにもう疲れたわ。この世界には、もう何も用事がないしね?後の事はそっちで好きにしてよ。私達には待っててくれている人達がいるの。少しでも早く、みんなに会いたいかな」

 

一色「ええ。それに、この世界に留まっていたら、変なことに巻き込まれるのは目に見えてますからね」

 

アーサー「私達は普通の人とは違いますから」

 

いろは「帰るべき場所に、愛する人の元で………」

 

四人がキッパリと言うと、ナコルルは残念そうに目を伏せる。

 

ナコルル「では、せめて私が元の世界にお送りします。それくらいは………」

 

陽乃「それも大丈夫。私達の上司は寛大な人だから、異世界に迷いこんだ時は、必ず迎えに来てくれる事になっているのよ。アーサーちゃんやいろはちゃん、それにいっぱい連れ込んだ異世界の人達を元の世界に帰してあげてよ」

 

一色「そうですね。でしたら最後に1つだけ。みんなで最後に写真を撮りませんか?記念にみんなで。ナコルルさんも一緒に………」

 

陽乃の肩に乗ったナコルルを含め、チームの全員で最後の集合写真を撮る。

 

キング・クリムゾン!

ドジャァァァァン!

 

雪ノ下陽乃と一色いろはが元の世界に帰った数日後

千葉・雪ノ下姉妹が生活するマンション

リビングのソファーで雪乃が淹れた紅茶を飲んでいる陽乃。部屋の棚の上にはいくつかの写真立てが飾られており、ナコルル達と撮影した最後の写真が承一◯達との写真の隣に飾られている。

部屋には同じようにジョルノとトリッシュが寛いでいた。一色いろはと共に謎の失踪をした連絡を受けたジョルノ夫妻は、心配してイタリアから飛んできたようだ。

 

ジョルノ「病院での検査の結果は?」

 

陽乃「全て異常なしよ。異世界に行ってたって言っても、同じ地球だったわけだし、エリナちゃんも一緒だったんだから、大丈夫よ。エメラルド・ヒーリングはこういう時、万能だから」

 

ジョルノ「エリナちゃん?」

 

ジョルノの言葉に、陽乃は手を口に当てる。

 

陽乃「……あ、元の世界に戻って来たんだからいろはちゃんでいっか。しばらく別のいろはちゃんと一緒に行動してたから、区別を付ける為にエリナちゃんと呼ぶのが当たり前になってたからなぁ…今回は珍しく、別の一色いろはがいたわけじゃあなかったのに」

 

??「実はいたんですけどね……はるさんも一緒に」

 

陽乃&ジョルノ&トリッシュ「???」

 

こっそりとベランダに忍者衣装を来た二人の姿が…。

気のせいだと思うことにした陽乃達。

写真立てがアップになる。

 

トリッシュ「あの写真の不思議なメイド服を来た子よね。いろはとは似ても似付かないけど」

 

陽乃「エリナちゃんと似ていたのは、どっちかと言うとアーサーちゃんの方だったかな?声も喋り方とかも本当にそっくり。声がそっくりだったのはナコちゃんの方だったかな?ほら、このコロボックルみたいな子」

 

ジョルノ「僕にはスタンドのようにしか見えないけどね。僕も会ってみたかったかな?妹分が二人、お世話になったからね」

 

陽乃「多分、会う機会はよっぽどの事がなければ無いと思うわよ。お互い、別々の時間や世界から集まったんだから、閣下のお力であの世界に行っても、あの世界の人達じゃあないもの。まさか江戸時代の人と会うことになるなんてねー。田沼意次とか松平定信の寛政の改革とかの時代の人よ?信じられる?」

 

ジョルノ「僕に日本の中世時代の事を言われてもわからないよ」

 

トリッシュ「あたし達からしたら、他国の政治の歴史だからね」

 

陽乃「それもそうね?」

 

リビングのアングルに戻り、再び談笑を続ける三人。

そこに雪乃が新しい紅茶の入ったポットと、何やら小包大の、妙に古めかしい木箱を持って入ってくる。

 

雪乃「姉さん。部屋の前にこんな物が置いてあったのだけれども………」

 

木箱をテーブルに置き、マジマジと眺める。

 

ジョルノ「爆発物とかじゃあ無さそうだ……」

 

ゴールドエクスペリエンスを使って中身を確かめる。

 

陽乃「そういうことを真っ先に疑うあたり、わたし達の日常に戻ってきたって実感できるわよね……でも、妙な箱よね?」

 

木箱にはただ毛筆で、しかも直に「雪ノ下陽乃様」と書かれているだけで、住所も何も書かれていないければ、宅配の伝票も貼られていない。

箱の封も少し立派な紐で縛られている程度だ。どう考えても普通の郵送手段で送られて来たものではない。

 

陽乃「………何かしら?」

 

陽乃は充分に警戒をしながら紐を解き、箱の蓋を開ける。

中にはPS4のソフトと、これまた書状と言うべきヤクザ映画にでも出てきそうな古い包装の仕方をされた封書があった。

 

陽乃「なに?この漢字とカタカナで書かれた読みにくい手紙は………まるで明治時代とか、江戸時代の手紙だよね?しかもこっちも毛筆………江戸時代?まさか!」

 

陽乃は書状の最後に書かれている名前を確認する。

そこには代筆者である「橘右京」(しかも短歌付き)の名前と「ナコルル」という名前が………。

 

陽乃「ナコちゃん…」

 

雪乃「姉さん。私の目が確かならば、橘右京という名前の他に、枯樺院(こかいん)とか比企谷白良とか書かれているように見えるのだけれども……」

 

陽乃「それは見なかった事にした方が良いの。何だかとてつもなく嫌な予感がするから。具体的にはエリナちゃんやわたしがキャラクター選択画面でスタートボタンを押した状態で選択された時のIFの話ね。キャラクター名が赤く染まった裏性能の事は、今は関係ないの。弥七ちゃんとか、九尾の末裔の雪ノ下陽乃は関係ないの」

 

天の声「ちなみに『枯樺院』というのは寺の名前である。覇王丸とその師匠の住居であり、花諷院和狆(かふういん・にこちん)和尚が住職をしている」

 

陽乃「じゃあ、このプレステ4のソフトは……」

 

陽乃がプレステ4をセットして起動させると……

「THE KING OF STREET FIGHTERS if ultimate much」

あの世界の出来事が格ゲーされた物だった。

 

陽乃「なるほどね……比企谷白良の名前が記されているはずだわ………彼女の旦那さん、確かスマブラとかも改造したって話だものね……KOFを元にしたゲームを作れなくはないわ。もしかして……この会話も………」

 

外のベランダには、もう誰もいなかった。

 

陽乃「まさか………ね」

陽乃(お礼を兼ねて、ずっと忘れないでって意味かな?今頃は一色家や比企谷家は大騒ぎかな?ジョルノ兄さんや雪乃ちゃんも大騒ぎだけど。ナコちゃん、こんなものまで用意するなんて……)

 

陽乃は写真に目を移し、そして珍しく優しげな表情を見せる。

アップされる写真立て。

 

陽乃「忘れないよ……ナコちゃん。アーサーちゃん。いろはちゃん。きっと………いつまでも………」

 

FIN……




はい、陽乃編のエンディングです。

そして、裏一色いろはと裏雪ノ下陽乃が出てきました。
はい、います。特に裏雪ノ下陽乃は杜王町編に登場した残念イケメンこと材木座?の世界線からの登場です。
新しいコラボ相手です。

KOF98UMや2002UMをプレイした方以外は「キャラクター文字が赤く染まる」の意味がわからないと思いますのでここで説明を。

社やシェルミー、クリスの項目でも語りましたが、スタートボタンを押しながら特定のキャラクターを選択すると、必殺技等がガラリと変化する、所謂裏性能のキャラクターを使用する事が出来るようになります。
長い歴史を誇るKOF。特に古参キャラクターはシリーズを重ねる内に、技が増えたり減ったり、同じ技でも性能が昔とは全く違う必殺技の性能になってしまったキャラクターが何人もいます。
そういった過去作品性能のキャラクターを裏キャラとして出していました。
それを想像してストーリーを再構築したのが裏一色いろはと裏雪ノ下陽乃です。
盗賊アーサー編といろは(サムスピ)編のエンディングの後に、裏性能版のストーリーを投稿しようと思います。

よろしくお願いいたします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。