side比企谷八幡
翌日。さすがに遊び呆けてばかりもいられないので俺達は仕事をやりつつも閣下の接待という名の格ゲー攻略をやっていた。
今日は陽乃さんがコントローラーを握っている。プレイするキャラクターは無印で「チャカ」。未来への遺産では「カーン」と「アヌビス二刀流ポルナレフ」さんをやるためであろう。
一人で3キャラはずるくね?
陽乃「じゃあ、まずはチャカから始めてみるよ?」
八幡「待った。そもそもチャカってどういう人物だったんですか?」
DIO時代の俺も知らない人物だ。敵だった承太郎達も人となりを知っている訳ではない。知っているとすれば体を乗っ取ったアヌビス神……つまりは陽乃さんだけだ。
陽乃「チャカ?うーん……どうだったっけ?」
ポルナレフ「結局はチャカは助からなかったらしい。昨日気になって調べたが……残念だ。まぁ、私が殺したようなものだが……」
始める前から重い……。じゃあ陽乃さんは故人を操っているわけか。もっとも、昨日のアヴドゥル、花京院、イギーに関しても故人なわけだが。
陽乃「まぁ、チャカは背も高くて強そうな感じに見えるけどさ。実は貧乏な農民の末っ子で、親からも兄弟からも虐待して育てられたせいで気弱な性格の子だったんだよね~」
それをアヌビス神が乗っ取ったってわけか。
陽乃「それでアヌビス神で親兄弟をバッサリと……」
結衣「うん。敵側キャラのバックボーンを掘り下げるのは止めましょう。何か色々と聞きたくない」
由比ヶ浜が陽乃さんを止めた。ナイスだ。その負の感情の矛先って結局全てDIOに降りかかる訳よ。つまり俺。昨日からいたたまれなくなる場面が多かったし。
陽乃さんはそういう反応を楽しむためにわざとそういう話をしている。ニヤニヤしてるし。
陽乃「そう?じゃあ早速始めよっか♪」
陽乃さんはコントローラーを操作する。
承太郎『オラァ!これが俺のスタンドだぁ!』
承太郎の声とはにつかない承太郎の声(CV・梁田 清之(代表キャラ SLAM DUNKの赤木、マイトガインのショーグンミフネ、ガンダムF91のザビーネ 新ゲッターロボ 武蔵坊弁慶))が響き、メニュー画面へ。アーケードモードでチャカを選び、プレイが始まる。
オープニングデモ。
刀だったアヌビス神がポツンと置かれ、ナレーションとアヌビス神のモノローグが始まる。
アヌビス『DIO様が博物館の倉庫から私をひっぱり出してくれた……。あの方はあまりに強く、俺にはかなわぬスタンド。だから俺は忠誠を誓った……』
………えー………。
八幡「それはないそれはない。5年前はいきなり襲って来たし、今だって忠誠のかけらなんてないじゃん!」
ゴスゴスゴスゴスゴスゴス!
陽乃「もう八幡くんってば~♪昔は昔、今は今♪」
陽乃さんはアヌビス神を出現させ、鞘で俺の鳩尾を何度も突っつく。あの、普通に痛いんですけど。最近は遠慮が無さすぎやしませんか?
そしてチャカがアヌビス神をてにする。
アヌビス『チャカよ、お前は私を抜いた……。お前は私の本体になるのだ。私を使い、承太郎達を殺すのだ。お前は達人だ、誰よりも強いッ!』
八幡「おーい。DIOにはかなわないとか言っておきながら誰よりも強いとか矛盾した事を言ってますよ~」
陽乃「………(ニッコリ)♪」
ゴスゴスゴスゴスゴスゴス!
だから痛いってば!止めて下さいよ!
第1話 誇り高き騎士
最初はポルナレフさん。史実通りのやり取りでドンパチ開始。
陽乃さんは難なくポルナレフさんを撃破。さすがは何でも卒なくこなす人。必殺技を一通り試し、スーパーコンボフィニッシュで2セット先取。肩慣らし程度ってところだろう。
特徴的なのはアヌビス神最大の特技である必殺技、「覚えたぞ」だ。
この技はジジイの策士の業と同様にカウンター専用の…格ゲー用語で言う「当て身」系の技なのだが、この技が決まると「覚えたぞ」といってツバメ返しで切り返す。策士の業はそこで終わるのだが、「覚えたぞ」はカウンターした時の攻撃を……例えばジャンプ強攻撃を「覚えた」状態で再びジャンプ強攻撃をガードすると、チャカが光る。光った時に攻撃ボタンを押すと、それだけでカウンターが成立するようになる。
陽乃「なるほどね~。本来のアヌビス神とは違うけど、そういう事か~♪覚えたわ」
それ、わざと言いましたよね?しかし近距離特化型のキャラクターか。材木座辺りが好みそうなキャラだよな。
そしてデモ。史実とは違い、這いつくばるポルナレフさん。
チャカ『チャリオッツの動き、パワーはしっかり取り込んだ!一度戦って勝った相手には、決して負けない!』
陽乃「これ、チャカがやられた後にカーンで言った言葉だったような気がする……」
ポルナレフ「ここで死んだことになるのか……」
次、花京院戦。第2話 戦慄の侵入者
だから9英神の時は花京院は再起不能中でしょ!
しかも「死んでもらう!」「後悔するぞ!」の掛け合いだけだし!
陽乃さんはここでも難なく花京院を撃破。
……それにしてもスーパーコンボの次元断って技、透過能力を再現したんだとは思うけど、背景をまるごと斬ってますよ?何もない背景までも。
三戦目はアブドゥル。第3話 炎の魔術師
これも本来は無かった戦いだ。
昨日三浦がアヴドゥルを操作した時は相性の悪さを語っていたが、ゲームではそういうのは関係なく、チャカはアヴドゥルを難なく撃破。
三浦「リアルファイトを仕掛けたくなってきたし」
陽乃「ダメダメ♪ゲームをリアルに持ち込むのはマナー違反だよ?」
や、俺達がマナーとかないから。法律とか常識とか普通に破るじゃん。説得力ないですから。
でも、チャカとアヴドゥルならともかく、陽乃さんと三浦ではどうなんだろうな?
次、ジジイ。第4話 戦いの年季!
………なんか掛け合いが雑なんだよな。互いに一言だけ言ってドンパチじゃん。
八幡「何かジジイのテーマってノリが良いんだが、口が辛くなるのは何でだろ?」
静「ハッチも?実は私もなんだ」
仗助「奇遇だな。俺もだ」
はて……何でだろ。
ズッダン♪ズズダン♪ズッダン♪ズズダン♪ズッダン♪ズズダン♪ズッダン♪ズズダン♪(ドラム音から始まるジョセフのテーマ『ジョセフ走る』)
ん?ズッダン♪ズッズッダン♪
………はっ!
後ろでジョルノがギャングダンスを踊り始めた。
無意識にワサビを思い出してたー!
ジョセフ『オーマイガッ!オーマイガッ!オーマイガッ!』
あ、ジジイが死んだ。つうか普通にうるせぇ!
何べんオーマイガッ!言ってるんだよ!
八幡「殲滅すべし!ギャングダンスと同じリズムのテーマを持つジジイ!」
ジョセフ「完全にとばっちりじゃあないか」
だってさ。ホントに単調としたテンポなんだもん。
陽乃さん上手いから対戦も山も谷もないし。
次、イギー 変幻自在、砂の猛獣!
ガムをクチャクチャしている可愛くないイギーにいきり立つチャカ。シュールだな。
いろは「あれ?マニッシュが出てこないですね。それにンドゥールとかも無いみたいです。出てこなくて良いですけどね」
承太郎「あれは俺達側のみのボーナスステージ扱いらしいな」
まぁ、出てこなくても良いけどさ。でもこれ、点数とかでランキングを狙っていたりしたらDIOsideはかなり不利なような気がする。腕次第だろうけど。
次、第6話 裁くのは誰だ!?
あれ?このタイトルって相手は確か。
チャカ『貴様が承太郎だな。まっぷたつにしてやるぜ』
承太郎『野郎……』
え?承太郎?この段階で!?
まだ六人目なのにもうラスボス!?
ジョセフ「若い頃のワシも六人目の影DIOで終わったからのう。そんなもんじゃあないのか?」
陽乃「まぁ、倒してみないとわからないってね♪承太郎、前世の時の仕返しだよ♪」
承太郎「好きにしろ」
本物の承太郎がヤレヤレと言う感じでソファーに座り直す。しっかり見ている辺りはシナリオが気になるのだろう。
そして決着。
チャカ『フフフフフ、俺は絶つ~~~~~対にぃ…負けなぁいッ!……ん?何か聞こえる……』
承太郎の死体の前で頭を押さえて座り込むチャカ。エンディングにしては何かおかしい。
アヌビス『お前は達人だ。お前は誰よりも強い。私を使って殺すのだ』
チャカ『ッ!?ジョセフも承太郎も死んで当然の野郎さ!誰でも良いからぶった斬ってやりたくなったぞッ!』
承太郎&ジョセフ「ほう………」
これはゲーム!ゲームだから!本物は反応すんな!
しかも俺を見んな!リアルファイト駄目!絶対!
……で、この先はどうなるのん?
DIOの館の前にチャカが(しかもアヌビス神を抜いたままで)向かう。
第7話 亜空のしょうきヴァニラ・アイス
戦うの!?ヴァニラ・アイスと戦うの!?
ヴァニラ・アイス『チャカか?』
え?何でヴァニラ・アイスはチャカの事を知ってるの?
チャカ『やつらを倒した事は聞いているな』
あ、報告でも受けたのか。そう考えれば納得。
ヴァニラ・アイス『ああ、承太郎は倒したそうだな。だがどうやら貴様……!』
チャカ『そのとおりさ!まずはお前をぶった斬ってやるぜッ!』
まさかの反逆ルートでしたぁ!まぁ、陽乃さん、空港で襲って来たし、今を知ると大した事は………あるよな!やっぱり!
ただの殺人鬼になってるぅぅぅぅ!
陽乃「これは完全に予想外だよね?あ、アーシスに歯向かう気は無いから安心しても良いよ?このメンツじゃあ死ぬしかないし」
や、本気で止めて下さい。波紋を修得して結構厄介だし。
そしてヴァニラ・アイスをも撃破して見せる陽乃さん。基本的にハイスペックな陽乃さんだけど、初めてのプレイで中ボスを倒すかなぁ……。凄いわ。
この流れだと……。
最終話 DIOの世界
チャカ『DIOッ!』
既に様が消えてる……。完全に反逆ルートですわ。
DIOは背後を向けたまま承太郎達を倒したチャカを誉める。そのDIOに向けて刀を振り下ろすチャカ。
それを瞬間移動でチャカの背後に回るDIO。ホルホース相手にこんなことをした記憶があるが、そのオマージュかな?
DIO『貴様……本気で私を斬る気か?』
や、殺意ムンムンだったろ。時を止めたなら何でこの段階でやらないんだよ。まぁ、ゲームの演出だから仕方ないだろうけどさ。
チャカ『俺は絶つ~~~~~対にぃ負けなぁい!』
DIO『フン、ならばしょうがない。死ぬしかないな、チャカッ!』
だからお前、それアヌビス神。チャカなんて俺は知らなかったから。
そしてラスボス戦。
陽乃さんには……ヴァニラ・アイスの方が苦戦した気がする。とか言われた。泣いて良い?何なら今からでも5年前のリベンジ戦やります?
承太郎「ゲームだろう……リアルに持ち込むんじゃあない」
うん。さっきまでの承太郎の気持ちがわかったよ。
そしてエンディング。
チャカ『俺は誰よりも強い!』
DIO『ハーハー……死ねぃ!チャカ!』
チャカ『死ぬのはお前だぁぁぁぁぁ!』
ザ・ワールドで殴りかかるも袈裟斬りで斬られ、史実と同じような死に方をするDIO。
DIO『バカな!このDIOが…このDIOがぁぁ!』
ナレーション『DIOとの戦いに勝ったチャカは、一人強い者を求め旅をしていた……アヌビス神がチャカに呼び掛ける』
アヌビス『チャカよ、お前は達人だ……剣の達人だ。誰よりも強い、何でも斬れる』
チャカ『誰でも良いからぶった斬ってやりたくなった。誰かいねぇか……』
人斬りチャカ刀斎、爆誕!まさかの終わり方だった!
ナレーション『その後この男を見たものはいない…。アヌビス神から逃れたかどうか知る者はいない……』
スタッフロール。
…………どうなったんだろうね?この世界。
承太郎が死んだから、仗助と出会う事も無いわけで…。そうなるとアンジェロか吉良との戦いで仗助は多分負けるだろうし……ジジイとの関係はもっと早い段階でわかるか。この段階でジジイは死んだ訳だから。
うん、杜王町の事件は解決しないし、ジョジョは野犬に襲われて死ぬだろうし……。
ジョルノは生まれているだろうからパッショーネの事件は普通に解決するだろう。……が、ポルナレフさんがこの段階で死んでるわけだから……レクイエムの謎はわからないどころか世に出ていない。ディアボロにジョルノが勝てる可能性はかなり低い。
世界の一巡も起こるな。日記はそのままだろうからプッチは読むだろう。下手をしたら杜王町の事件やパッショーネの事件の前にメイドイン・ヘブンをやるに違いない。
承太郎が死んだことにより、徐倫も生まれて来なかったわけで……。
八幡「うん。吉良、ディアボロ、プッチが全員生存する未来しか見えんわ……全部投げっぱなしで行方不明になってるじゃん!」
いろは「はるさん……」
陽乃「予想外過ぎてちょっと……」
さしもの陽乃さんもその後の事を考えると笑えない結末らしい。ちなみにだが、閣下の情報によれば『原作』ではジョルノの冒険がまだ連載中だったらしい。つまりはCAPCOMもポルナレフさんの重要性とかまだ知らなかったようで………。
この世界の杜王町とかイタリアとかどうなってるのか本当に気になるところである。
←To be continued
チャカ
自力の強さとクセはあるものの強目の必殺技やスーパーコンボでダイアグラムは高く、初心者から上級者までプレイヤーを選ばない。
カーンやアヌビス二刀流ポルナレフよりももしかしたら強いかも?
必殺技
全てスタンドモードでのみ使用可能。
覚えたぞ
アヌビス神の代名詞とも言える能力。ギース・ハワードの当て身投げ系の必殺技。SNKでは珍しくないが、CAPCOMで当て身系は珍しい。また、ただの当て身系ではなく、同じ攻撃ならば次はガードからでも反撃が出来る。アヌビス神の能力をこういう形で再現するとは。
鬼連斬
クラッカーヴォレイ同様、三回入力で追加攻撃が出来る必殺技。チャカのメインウェポンで連続技の要である。チャカを強くしている技の1つ。
ツバメ返し
対空技。素早く斜め上を斬る。何気に「覚えたぞ」の反撃にも使用している。対空技を持つキャラが少ない格ゲージョジョにおいて、ついつい忘れがちになる技。
スーパーコンボ
次元断
素早く相手の横を通りすぎ、居合い抜きを食らわせる技。月華の剣士、高嶺響というキャラがこんな技を使っていたような気がする。本体モードで使用できる(というよりは本体モード専用技)唯一のコマンド技であるため、チャカを使用している際、スタンドゲージの回復等を除いて無意味に本体モードになった時は大抵この技が飛んでくる。
血華斬
セルフ乱舞を放つ。何回かの通常技~鬼連斬~ツバメ返しでフィニッシュするスーパーコンボ。スタンドモード専用の技。
今回はここまでです。
こんなエンディングが満載のDIO側ストーリー。
無印では隠しキャラ以外は中ボスがヴァニラ・アイス、ラスボスがDIOなんですけどね?
なお、昨日は八幡の誕生日でした。
八幡、誕生日おめでとう!
それでは次回もよろしくお願いいたします。