やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までのクリスタル・クルセイダーズの冒険

小町から明かされた秘密。
それはかつてジョセフ・ジョースターがやり残した柱の一族の最後の一人、サンタナに関係することだった!
綾瀬絢斗によって奪われたサンタナ。
それに戦慄するCCのメンバー!
その一方で、静・ジョースターの胸中にはいつもの悩みが頭をよぎる。
そんな静の元に、またしても20年前からの刺客が襲いかかる!
影と交わらせることで対象を若返らせる能力を持つスタンド使い、セト神のアレッシー。
弱者となった子供をいたぶる趣味を持つこの男の攻撃によって、静は幼少期時代の姿と精神に戻ってしまった!
ジョースター家と血の繋がりがないことを常に気にしていた静は、子供に戻ってしまったことで更に情緒不安定となる!
そこにやって来た仗助に泣きながら胸のうちを吐き出す静。
最愛の妹を泣かされ、仗助の瞳から涙がこぼれ落ちた。
そんな仗助の元に懐かしい姿の親友と、見慣れない姿の面々が!
一体、何が起きているのか!


その血の宿命とその血の記憶

仗助が涙をこぼした時より少し遡る

 

side比企谷八幡

 

朝のミーティングで微妙な雰囲気になっている俺達CCのメンバーだったが、今はGDstのあるフロリダに向かわなければならない。

飛行機がフロリダからニューヨークへ降り立ったり、それ以外でも様々な敵襲により、本来の日程よりも5日も遅れが出ている。

20年前の承太郎の戦いでは50日近くもロスが出たことを思えば、まだ順調なのだが、それでも計画に遅れが出ているのはよろしい事ではない。

サンタナの件も気になるが、今は承太郎や徐倫の救出を優先しなければならないのは変わりがない。

もし現れたのならば、全力で対処するまでだ。

 

そんな事を考えていると、廊下で立ってみんなを待っていた俺の所にちらほらとCCのメンバーが集まってきた。

 

いろは「ハチ君。待っててくれたの?」

 

陽乃「比企谷君、そんなにお姉さんに早く会いたかったのかな?」

 

まずは同じ部屋に泊まっていたいろはと茅ヶ崎さんがやって来た。

 

いろは「ムムッ」

陽乃「ンフフフ…」

 

バチバチバチバチ…

 

何か二人がにらみ合いを始め、その視線の間には見えない火花が飛び散っている。

なんなのん?

 

億泰「うおっ!何かここの雰囲気がイヤな感じだなぁ」

 

ミスタ「あんまり関わんなよ、こういうのは遠巻きに楽しむのが良いんだ」

 

おい護衛組。

 

小町「お兄ちゃん、お待たせっ!ってあれ?どったの?みんな?あっ!ムフフフフ」

 

小町が出て来て一目で何かを察し、嫌らしい笑いを浮かべる。

あなた、昨日吹っ切れてから、元に戻りましたね?

 

アレッシー「ハァハァ…」

 

ん?変なオッサンがこっちに走って来てるが…

 

億泰「おい、オッサン?どうかしたのか?」

 

アレッシー「っ!いえ、何か向こうの方で一昔前の日本の不良?みたいな方と、カチューシャを付けたお嬢ちゃんが騒いでおりまして、ただならぬ雰囲気に慌てて逃げてきたんですよ!」

 

ん?仗助とジョジョの事か?

また何か騒ぎを起こしたのか?それとも刺客?

あれ?そう言えばこの男…

 

承一郎「皆さん逃げて!こいつは…」

 

アレッシー「もう遅いんだよ!」

 

承一郎が叫び、俺もやっとこいつの正体を思い出したが…時は動き出す…では無かった、時は既に遅かった。

しまった!こいつは!

何秒こいつと影を重ねた?

飛び退こうとしたが、俺の意識はそこでプッツリと途絶えた…

またこのパターンか…

 

sideジョルノ・ジョバーナ

 

最近、やたらと敵の罠に嵌まる事が多い。

今回も敵にしてやられた。

かつてポルナレフさんが煮え湯を飲まされたセト神の暗示を持つこの男はアレッシー。

そいつにやられ、影を重ねてしまった全員が姿を変えた。

一瞬だけ影を交えたミスタと億泰さんは高校生くらいにまで若返っただけで済んだが、ガッツリ影を交えた学生組は僕と一緒にいた承一郎を除いては、そこに姿が無かった。

 

アレッシー「偉いねぇ。気付いた奴は上手く避けたのにねぇ。さて、DIO様の生まれ変わりだけを拐って、逃げますかねぇ」

 

アレッシーは僕たちに銃口を向けて笑っていた。

既に八幡がやられたか…

さて、どうやって助けるか…。

 

???「ほぅ…誰が誰を拐うだと?貴様も偉くなったものだなぁ?アレッシーよ…」

 

いや、何か変な声が聞こえる。

胎児レベルにまで若返らせられたであろう八幡の方へと目を向けると…

 

DIO「よもや再びこの姿になる日が来ようとは夢にも思わなかったぞ?アレッシー…」

 

アレッシー「ディ、ディ、DIO様っ!」

 

僕の目の前には八幡の前世であり、僕と承一郎の父の姿があった!

前世にまで若返ってしまったのか!?

こんなことが起こるなんて…

 

sideDIO

 

ふはははははは!

やっとこの時が来たかっ!

このDIOが復活する日が三度訪れたのだ!

私はザ・ワールドを出した。

ふん、この能力も変わらない。

ザ・ジェムストーンでは無いのが少々残念ではあるが、まぁいい。

ハーミットパープルと共に訓練すれば、いずれは進化するだろう!

 

不死身!不老不死!スタンドパワー!

 

このDIOは復活したことで、さらなるフューチャーを手に出来るのだ!

さぁ、人間共よ、支配してやるぞ!」

 

???「ねぇディオ。八幡の癖が出ているから。究極生物的な変な笑いから全部声に出てるから。エリザベスがマフラー構えて波紋のエネルギー出してるから控えようね?」

 

ああ、わかっていたさ、ジョジョ。

こうして私が復活したと言うことは、お前も甦った事くらいはお見通しさ。

私は錆び付いた鉄のようにギシギシと振り返ると…

 

ジョナサン「やぁディオ。現世では久し振りだね?新婚旅行以来かな?」

 

ジョジョが波紋をバチバチやりながら(しかも何故かハーミットパープルを出して)構えていた。

額には青筋を浮かべてニッコリと。

 

リサリサ「なるほど。兄のアホは貴方の影響でしたか。それならば貴方を消せば、ゴミいちゃんはゴミいちゃんでは無くなるのですか?」

 

エリザベス・ジョースターは若々しい姿でマフラーを構える。

前世に戻った事で、波紋そのものという蛙の小便にも劣るクソッタレスタンドは出せないようだ。

……出せないよな?

いや、何でもアリの小町の前世ならもしかしたら…。

 

エリナ「試してみますか?ディオ」

 

いなか娘のエリナ・ペンドルトンが若い頃の姿でこのDIOに言ってきた。

 

リサリサ「………」

 

エリザベスがこのDIOに向かって指先を向ける。

 

DIO「いや済まなかった。久々にこの姿になって、少しハイテンションになってしまった。歌でも1つ歌いたくなってしまうくらいには」

 

私はダラダラとみっともない汗をかいてしまった。

いくら私でも光速で飛んでくるレーザーなんて避ける手段はない。

それに、無言で指先をこちらに向けて来るのはやめろ!

本当に出来そうだから始末に負えん!

クソッ!八幡め…長い共同生活で貴様のアホさが移ってしまったではないか!

 

アレッシー「あわ、あわわわわ」

 

おっとアレッシー…貴様がいたなぁ。

 

ジョナサン「そうだ。運命共同体のディオよりも、今はこっちの方をどうにかしないとね」

 

ジョジョは腰を抜かしているアレッシーの胸ぐらを掴んで宙吊りにした。

 

エリナ「この事態は予想外でしたが、良い方向に収まって良かったです」

 

承一郎「父達は記憶があるのですか?」

 

DIO「本来なら、若返らせられた者達は、その年齢の頃まで記憶を無くすのだが、転生前の者には例外らしい。我々が八幡達の中で眠っていた時の記憶もしっかり残っているぞ。なぁ、JOJO?」

 

忘れてはおらんぞ!ワシントンDCでの記憶を!

 

ロビーの方角『ふぇぇぇぇぇぇぇぇん!』

 

この声は老いぼれジョセフの養子の娘!

 

DIO「貴様ぁ!静・ジョースターに何をしたぁ!」

 

このDIOにとっても娘のように可愛がっている静・ジョースターを泣かせただと!

 

ジョナサン「ディオじゃあない…こんな親バカはディオじゃあない」

 

うるさいぞジョジョォォ!

驚いてアレッシーをはなすんじゃあない!

 

アレッシー「今だ!」

 

ほれみろ!アレッシーが逃げたじゃあないか!

だがなぁ!

 

DIO「貧弱貧弱ぅ!逃げても無駄無駄無駄無駄ぁ!WRYYYYYY!このDIOからそのヨタヨタ足で逃げられると思っているのかぁ!この間抜けがぁ!」

 

私がアレッシーを追おうとして走り出すと…

 

ジョルノ「父さん!気を付けて!今は昼間ですよ!」

 

DIO「だにぃぃぃ!」

 

急ブレーキをかけてキキィッ!と止まると、足に太陽の光が当たる。

 

シュウウウウ…

 

あ、足が灰にぃっ!う、動けん!

しまった!今は吸血鬼に戻っているのを忘れていた!

 

アレッシー「DIO様が間抜けになったおかげで助かった。こんな間抜けの下で働いていたんじゃあ20年前も失敗したのも頷けるってものだ。あばよっ!」

 

オノレェ、アレッシーめぇ!

 

リサリサ「DIO。貴方の迂闊さには驚かされます。よくぞこの緊急時に間抜けになれると感心します」

 

承一郎「はぁ…クリスタル・ボーン!」

 

む?承一郎のスタンドで例のスカルズという屍生人のプロテクターがこのDIOを覆う。

 

承一郎「貴方を助けるのは不本意ですが、今は仕方ありません。これである程度は太陽を克服できるはずです」

 

DIO「おのれこのDIOが情けをかけられるなど…このDIOが、このDIOがぁぁぁぁ!だが、太陽さえ克服してしまえばこのDIOに弱点はないぃぃぃぃ!」

 

一同『良いから早く足を再生させて追うんだよ!このスカタン!』

 

DIO「…………はい」

 

アヌビス神『待ってくれぇぇぇ!私も連れてってくれぇぇぇぇ!』

 

承一郎「あんたも刀に戻っていたのか、アヌビス」

 

 

side汐華初流乃(ジョルノ・ジョバーナ)

 

父がアホをやっている間に奴に逃げられてしまった。

さて、どこから追うか…承一郎と探していると…

 

アレッシー「もらった!」

 

僕と承一郎も一瞬だけ影に捕まれた。

 

承一郎「しまった!」

 

初流乃「やられた!」

 

僕の髪が黒にもどってしまった。隣の彼も小学生くらいにまで若返ってしまう。

 

アレッシー「お前達はじわじわやらせてもらうぜ!俺って偉いねぇ」

 

初流乃「くっ!ゴールドエクスペリエンス!」

 

承一郎「ブラッディシャドウ!」

 

し~ん……

 

しまった!僕のスタンドは髪が金色に変わってから使えるようになったんだ!

隣の彼(名前は忘れてはしまった)も小さな頃は使えなかったのだろう。

 

初流乃「君も小さな頃は使えなかったんだね?」

 

承一郎「はい。多分、あなたは僕の兄さん…ですよね?」

 

初流乃「ああ」

 

アヌビス『間抜けめ。この俺の本体になれ。そうすればスタンドがみえるだろう』

 

承一郎「兄さんが使って下さい。僕なら波紋がありますから、スタンドが無くても戦えます」

 

アレッシー「おや?お前はアヌビス神か?裏切ったのか」

 

アヌビス『違うな。今も俺はDIO様の下僕だ。裏切りは貴様の方よ、セト神』

 

アレッシー「あんなアホに今でも忠誠を誓うなんざ、偉いねぇ」

 

初流乃「勝ち誇るな!」

 

スパァァン!

僕とアヌビスの攻撃がアレッシーのサングラスを切断する!

 

承一郎「山吹色の波紋疾走《サンライトイエロー・オーバードライブ!》」

 

バコオォォォン!

 

弟の波紋の拳がオッサンを横殴りに殴り飛ばす!

 

アレッシー「うぎゃぁぁぁ!」

 

アレッシーとか言うオッサンは再び逃げ始める。

方向はロビーの方だ!

 

DIO「遅くなった!追うぞ!ジョルノ・ジョバーナ」

 

初流乃「いえ、今の僕は汐華初流乃(しおばなはるの)です」

 

ジョナサン「そんなことはどうでも良いから、追うよ!仗助達が危ない!」

 

そうだった。そのジョースケという人も元の僕には大切な人だった。

僕たちは二人の父達を追ってロビーの方へと走った。

そこでショッキングな物を見てしまった…

多分、僕達が見たくなかった兄妹の涙を…

 

sideDIO

 

ずいぶん、私も比企谷八幡にほだされてしまったようだな…

 

「お兄ちゃん、離して!もう、ちっちゃくなっちゃった静なんていらないでしょ!血のつながってない役立たずの静なんかいらないでしょ?!もう静の事なんて放っておいて先に行ってよ!うわあぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

静・ジョースターの泣きわめく姿は、人の心などとっくに捨て去ったこのDIOにも堪えるものがあった。

八幡の事を笑えんな。

 

静「もう静は戦えないよぉ!ぐすっ!ハモンの戦士としてもスタンド使いとしても、こんなちっちゃな静じゃあ何にもできないよぉ!ううっ…もう、放っておいてよぉお兄ちゃん!こんなミジメな静を見ないでよぉ!うわあぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

東方仗助の目から、誇り高いジョースターの血統から見たくは無かった涙が見える。

誇りが傷つけられたのだ。

このDIOの誇りも!

 

DIO「仗助!」

ジョナサン「仗助!」

リサリサ「仗助!」

エリナ『仗助っ!』

汐華初流乃(刀持ち)「お兄さん!」『仗助!』

億泰「仗助!」

ミスタ「おい、そこのおっさん!」

承一郎「お兄さん!」

 

クリスタル・クルセイダーズの皆が東方仗助を呼ぶ。

 

東方仗助はより強く、恐らくは透明になっている静・ジョースターの体を抱き締めた。

 

仗助「バカ野郎……静…」

 

ポタッ…ポタッ…

 

静「おにい…ちゃん?…泣いている…の?」

 

とうとう、仗助の目からあふれでた涙が…

 

 

 

 

 

 

 

頬を伝って床に落ちていた…

 

 

 

 

この時、こともあろうにこのDIOの頭の中でプツンと何かがキレた音がした。

 

DIO「なぁ、ジョジョ」

 

ジョナサン「なんだい?ディオ」

 

DIO「このDIOは甘くなってしまったのか?こんなのを見せられて、頭に来ないわけがないと思ってしまうのは、この私が比企谷八幡にほだされてしまったせいなのか?」

 

ジョナサン「そうかも知れないね。でも、今のディオのことは嫌いじゃあないよ?君も、僕たちの仲間、『クリスタル・クルセイダーズ』さ。それに、僕達の可愛い曾孫と、仲間の誇りが傷つけられた。頭に来るのは当然なんじゃあないかな?」

 

DIO「ふん。ならば、その可愛い曾孫の為に一肌脱ぐのが我々曾祖父の役目と言うことだな」

 

私が一歩踏み出すと、ジョジョも一緒に踏み出す。

 

DIO「まさか貴様とこうして並び立つ日が来ようとはな、ジョジョ」

 

ジョナサン「そうだね。君とは色々あったけど、こうして共に自分の意思で歩む日が来るとは思わなかった。本当に奇妙な友情すら感じるよ。ディオ」

 

私達は背後から仗助達を襲おうとしているアレッシーに向かって走り出す。

 

DIO「行くぞジョジョ!」

 

ジョナサン「ああっ!共に戦おう!ディオ!」

 

←To be continued




今回はここまでです。

ここにきてまさかの前世組の復活!
そしてくつわを並べるDIOとジョナサンの夢の共演!
傷つけられたプライドを取り戻せ!その血の宿命を超えて!
次回、夢の共演と怒れる仗助の力がアレッシーに牙を剥く!

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