やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までのクリスタル・クルセイダーズの冒険!

バージニア州からノースカロライナ州へと移動したクリスタル・クルセイダーズはロッキーマウントの町で一泊することになった。
その夜、ジョセフからの手紙をよんで以来、様子がおかしかった小町に刺客の手が伸びる!
女教皇のミドラー。
当初は有り余る戦闘力に物を言わせ、有利に戦いを進めていた小町だったが、足元の地面が女教皇となった口に飲まれてしまう。
半ば諦めかけていた小町に八幡が駆けつけ、小町を救出!
兄との絆により迷いが晴れた小町はミドラーを圧倒。
最後の一撃!となったところでミドラーの養子達が彼女を庇う。
何か事情があると察した八幡はミドラーから話を聞き、その事情を知る。
なんとミドラーは養子を人質に取られ、やむを得ず綾瀬絢斗に従っていたのだ!
事情を知った八幡達はミドラー一家を保護。
そして、小町の口から衝撃の事実が語られる!
メキシコ支部が管理していた旧ナチス軍秘密基地の崩壊と、そこに管理されていた柱の一族最後の一人、サンタナの強奪!
一体、綾瀬絢斗は何者なのか?そしてサンタナを使って何をするつもりなのか!?


静の涙、仗助の最大の怒り

side静・ジョースター

 

昨夜は大変だった。

マーチが気分転換に外出したのは構わない。だけど、ハッチが嫌な予感がすると言って走って行った。

このただならぬ雰囲気に全員がマーチとハッチを探しに町へと捜索に出る。

 

ハッチの嫌な予感は的中していて、マーチは敵の刺客に襲われていた。

しかも、いつもとは明らかに違うマーチは敵の攻撃によってあわやの事態に陥っていたらしい。

間一髪のところでマーチを救出したハッチ。

その後の事は私も見ていた。

ミドラーという女の人の事情も…。

 

仗助『血の繋がらない子供の為に、命を張った尊敬できる人を見捨てるほど、うちの家系は鬼じゃあ無いっすよ。それに、うちの家系ってそういうのが多いんっすよね。例えばそのエリザベス・ジョースターさん…俺から見たら祖母なんっスけど、元々は孤児だったのを曾祖母が引き取って面倒を見たらしいですし、『俺の妹もそうっス』。だからわかるんスよ。ミドラーさんの覚悟が本物かどうか。だから俺達はあなたを保護するって決めたっスよ。グレートっスよミドラーさんの覚悟』

 

兄さんがミドラーに言った言葉が私に突き刺さる。

私もジョースター家に拾われた身だ。

だから今まで頑張ってきた。そして兄さんは小さな時から私を一生懸命可愛がってくれていた。

それこそ本当の妹のように…。

それでもたまに、私は実の妹ではないという事実に引け目を感じてしまうことがある。

私はジョースター家の人間じゃあない…と。

 

そして、朝。

ホテルの小会議室を借りきってマーチは全員を集めた。

 

小町「みんな。心配をおかけしてごめんなさい。実はジョセフからの手紙の事でずっと悩んでいた事があって…それで考え事をしていたんです」

 

いろは「マチちゃん。それは解っているの。でも、私たちが知りたいのはその内容。何でマチちゃんがあれほど取り乱したのか、ジョセフさんの手紙には一体何が書かれていたのか。それが知りたいの」

 

イーハは珍しく素でマーチに話しかける」

 

マーチは頷いて封筒を取り出す。

 

小町「うん。それをこれから皆さんにお話ししようと思ってこの小会議室を借りました。

これがジョセフおじいちゃんが書いた手紙。

仗助お兄ちゃんが後で気になったから、灰から元に戻しておいてくれていました。

内容についてはプライベートを考慮して見なかったみたいだけど」

 

そう言ってマーチはプロジェクターを起動させて、その内容を壁に写し出す。

 

内容についてはメキシコ支部の機密に関わる事件と柱の一族のことだった。私も昨夜に話は(盗み聞きだが)知っている。それも私の心を不安にさせていることだった。

パパはサンタナと呼ばれる柱の一族と戦う波紋の戦士の後継者として私を育てたのではないか?

昨夜のマーチの話ではパパは私達波紋の戦士にこの事を将来的に託す予定だったと言っていたからだ。

 

小町「これが、おじいちゃんからの手紙の内容です。そして承一郎さんに確認したいことがあります」

 

マーチは真剣な目で承一郎を見る。

 

承一郎「なんだい?」

 

小町「OCC(オペレーション・クリスタル・クルセイダーズの略)が発動する以前、承一郎さんはあちらがわにも潜入していたとおっしゃってましたが、間違いありませんか?」

 

承一郎「ああ、間違いない。どちらの事も知っていなければ、対等の判断なんて出来ないからね。君達の邪魔をしていたのは申し訳なかったけど」

 

小町「それは過ぎた事ですから、もう構いません。問題はこの写真の人物に見覚えがないかを確認して欲しいのです」

 

マーチはプロジェクターをパパの手紙から同封されていた写真に替えた。

そこに写っているのは美人だが、どこか狂気に満たされている瞳が特徴の女性の写真だった。

 

承一郎「こ、こいつは…綾瀬絢斗!僕が接触していたときには既にサンタナを奪っていたのか!?」

 

承一郎は明らかに狼狽した様子で叫んだ。

 

八幡「考え得る限りの最悪の事態だな…」

 

承一郎「あの女が何を考えているのかは分からないけど、サンタナの件も含めて警戒をしないといけないな」

 

仗助「とりあえず、考えていたよりも状況は深刻化したとみていい。目的地のフロリダまではあと半分だ。敵の抵抗もより激しくなると考えて良いだろうぜ。各人はそのつもりで行動してくれ。以上、解散」

 

兄さんが締めて、ミーティングは終わった。

そしてそれぞれが出発の準備に取りかかった。

 

8時

少し集合時間よりは早いが、私はロビーでみんなを待っていた。

兄さんは髪型を整えるので少し遅れると言っている。

すると、変な髪型の男が近付いて来た。

 

?「お嬢ちゃんは一人で家族を待っているのかな?偉いねぇ」

 

何だ?この変なおじいさんは?

年甲斐もなく変なサングラスと髪の毛の先端に鈴をいくつも付けている。

ん?この男、前に資料で…

 

男の事を思い出した私は急いで男の影から逃れる。

しかし、その時には既に後手に回っていた…

 

私の体は縮んで行き、そして私の意識は…

 

静(幼少期編ver)「ふぇぇぇぇぇぇぇぇん!」

 

静は子供の時に戻っちゃった!

コマチやハチマン、イロハと出会った頃の静に!

 

アレッシー「偉いねぇ。おじさんの正体を見破ってすぐに逃げたのはいい判断だったよ?お嬢ちゃん?でも、少し遅かったねぇ。おじさんのセト神の能力は、一瞬影が交わっただけでも数歳は若返っちゃうんだよ。わかるよね、お嬢ちゃん?」

 

静「静を元に戻せ!汚いおじちゃん!」

 

アレッシー「チッ!可愛くないガキだ。まぁいい、お嬢ちゃん、子供がこんなところにいたら危ないからおじちゃんと一緒にあっちにいくよ?」

 

なんかわからないけど、最近はそんなロリコン?だったっけ?そんなおじちゃんばかりに出会ってる気がするなぁ。

 

静「くるなぁ!へんたいおやぢ!あくとん・くりすたる!」

 

またお兄ちゃんと歳がはなれちゃった。もう静のお兄ちゃんのお嫁さんになるって夢はかなわないかもしれないと思うと悲しくなる。

そんな事になっちゃったこのへんたいおやぢだけは絶対に許さないよ!

ハモン使いのハチマンには通用しなかったけど、静のあくとん・くりすたるでやっつけるんだ!

 

アレッシー「おやおや?お嬢ちゃんは小さな時からスタンドが使えたんだねぇ。偉いねぇ?でも、その妖精みたいなちっちゃいスタンドでおじさんと戦う気なのかなぁ?偉いねぇ。どうやって戦うか、見せてくれる?」

 

なめてるな?このおやぢ!

あくとんはコマチと出会った頃の、妖精さんみたいにちっちゃくなっちゃったけど、それでも承太郎おじちゃんをビックリさせた事があるくらいにはパワーがあるんだ!

それをなめてくれたね?

だったら見せてあげるよ!パパがほめてくれたやり方で!

静は静とあくとんを透明にして横にとんだ。

 

アレッシー「何だと?見えなくなっちゃった。偉いねぇお嬢ちゃん。でも子供の体で何が出来るかな?」

 

静「こうする!波紋疾走《オーバードライブ》!」

 

おやぢの顔の高さまでジャンプした静はパパがとくいな青緑波紋疾走《ターコイズブルーオーバードライブ》でチョップをやり、のけ反ったおやぢに追撃であくとんを向かわせる!

 

アクトンクリスタル「ド(怒)ララララララララ!」

 

アレッシー「ほぎゃああぁぁぁ!」

 

おやぢは子供ではありえないこうげきりょく?をくらってふっとんでいった。

 

アレッシー「偉くねぇな!子供のクセになんて攻撃力だ!まぁ良い!後でじっくり始末してやる!」

 

そう言っておやぢは静を元にもどさないで逃げて行っちゃった!

え!?戻してよぅ!ジュニアハイスクールの静に戻してよぅ!

 

静「ふぇぇぇぇぇぇぇぇん!」

 

もう、静のささやかな願いはかなわない。お兄ちゃんもパパももぅ静をみてくれなくなっちゃう!

そう思ったら、静はまた悲しくなって大声で泣いちゃった。

 

仗助「ジョジョ!どうした!何で子供の頃に戻っちまってるんだ!」

 

ちょうどやって来たお兄ちゃんが静に気付いて走りよってくれた。

でも、子供にもどっちゃった静を見られたくなかった。

見られたくなかったのに…。

 

静「うわあぁぁぁぁぁぁぁん!お兄ちゃんに子供に戻っちゃった静を見られたぁぁぁぁ!」

 

来てくれて一番嬉しいお兄ちゃんなのに、そんなお兄ちゃんに今の静を見られた悲しみがヨケーにつよくなってまた静は大声で泣いちゃった。

 

仗助「静!ダメだ!消えるな!」

 

お兄ちゃんが必死の形相で静を抱きしめてくれた。

だけど、このおっきな体…

静はこんなにちっちゃくなっちゃったんだ…

カラン…。

お兄ちゃんが抱きしめてくれたことで、もっと悲しくなっちゃった心をしめすかのように、静のあたまから宝物のカチューシャがおちちゃった…

いつもらったのか忘れちゃったけど、お兄ちゃんが静に似合うからと言ってプレゼントしてくれたカチューシャが床に…

もう、どうでも良いや…

 

side東方仗助

 

髪型がやっと決まり、自慢のリーゼントが今日もバッチリとなって上機嫌で待ち合わせのロビーへ向かう。

途中で慌てて走って来た変な髪のオヤジとすれ違う。

 

仗助(この親父、どこかで見た事が…)

 

少し疑問に思うが、そんなことはすぐに吹っ飛んだ。

 

静「ふぇぇぇぇぇぇぇぇん!」

 

俺の最愛の妹の泣き声が聞こえた来たからだ!

この数年、ジョジョの泣き声なんて聞いていなかったが、この俺が聞き間違えるはずがない!

俺は慌ててジョジョの泣き声が聞こえる方へと走って向かう。

すると、俺の目に飛び込んで来たのは8年前のジョジョの姿だった!

 

仗助「ジョジョ!どうした!何で子供の頃に戻っちまってるんだ!」

 

俺は慌ててジョジョに駆け寄る!

アクトンクリスタルもあの頃の妖精みたいな姿でフワフワと浮いている!

するとジョジョは…

 

静「うわあぁぁぁぁぁぁぁん!お兄ちゃんに子供に戻っちゃった静を見られたぁぁぁぁぁ!」

 

余計に泣き叫んだ静の姿がだんだんと薄くなる!

ヤバい!あれはアクトンベイビーの方の能力だ!

 

仗助「静!ダメだ!消えるな!」

 

今、ジョジョを見失ったら取り返しのつかないことになる!初めて静を拾い、見失ってしまったあの時以上に取り返しのつかないことに!

本能的にそれを悟った俺は、完全に消える前にジョジョを抱き締めた!

そして、抱き締めた勢いでジョジョが大事に毎日付けていた俺がプレゼントしたカチューシャが床に落ちた。

 

静「うわあぁぁぁぁぁぁぁん!お兄ちゃぁぁぁん!」

 

カチューシャが床に落ちた事で、静は余計に泣き叫ぶ!

だが、良かった…完全に消えてしまう前にジョジョをつかまえる事が出来た!

だが、誰だ…誰がこんな酷いことをしやがった!

俺の最愛の妹をこんなに泣かせやがったのは誰のしわざだ!

ぜってぇに許さねぇ!

俺が髪型をけなされる以上に嫌いなのは、こいつの悲しんでいる顔を見ることなんだよぉ!

こいつの涙を見るのが一番、俺は嫌いなんだよぉ!

それを…俺に見せたダボはどこの誰だ!

 

静「お兄ちゃん、離して!もう、ちっちゃくなっちゃった静なんていらないでしょ!血のつながってない役立たずの静なんかいらないでしょ?!もう静の事なんて放っておいて先に行ってよ!うわあぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

静っ!お前はまだ血の繋がりとかそんなちゃちな事を気にしていたのか!?

お前は血の繋がりなんかなくても、俺の最愛の妹なんだぞ!

 

静「もう静は戦えないよぉ!ぐすっ!ハモンの戦士としてもスタンド使いとしても、こんなちっちゃな静じゃあ何にもできないよぉ!ううっ…もう、放っておいてよぉお兄ちゃん!こんなミジメな静を見ないでよぉ!うわあぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

静…なんて悲しいことを言うんだ!

いつ、俺やジジイやスージーのお袋がそんな事の為にお前を家族にしたと言った!

お前は俺達の家族として頑張ってきたじゃあないか!

だが、そうか…お前は…だからこそ頑張っていたんだな…お前は血の繋がりがないから、少しでも俺達の家族としてふさわしいようにって、ワガママも言わず、気を遣って、別にジジイもその気が無かったのに、波紋の修行を自ら志願して。

なんでだ…いつも言っていたのに…俺達は本当の家族なんだって…。

 

金髪「仗助!」

若い頃のジョセフに似た男「仗助!」

黒髪の長髪の美女「仗助!」

アマ髪の美女『仗助っ!』

汐華初流乃(刀持ち)「お兄さん!」『仗助!』

億泰(高校時代?)「仗助!」

ミスタ(チンピラ時代?)「おい、そこのおっさん!」

少年「(お兄さん!)」

 

なんかよくわからない連中が俺を呼ぶが、今はそんなことを気にしてなんていられるかっ!

 

俺は無意識に静の体を抱き締める力が強くなった。

 

仗助「バカ野郎……静…」

 

ポタッ…ポタッ…

 

静「おにい…ちゃん?…泣いている…の?」

 

俺の瞳から、いつの間にか…本当にスージーのお袋が亡くなって以来、流したことの無かった悲しみの涙が…

 

 

 

 

 

 

 

頬を伝って床に落ちていた…

 

←To be continued




今回はここまでです。

常に抱いていた静の葛藤と異常なまでの仗助への依存がついに爆発しました。
そして、そんな静を目の当たりにした仗助が、祖父を失った時でさえ堪えていた涙を流し、そしてとうとう最大級の怒りを爆発させます。
アレッシーは仗助の一番触れてはならないところに触れてしまったのです。
果たして仗助は静の心を救うことが出来るのか?!

そして、仗助はスルーしましたが、何か変な集団が仗助の元に集まりました!
一体コイツらは何なんでしょうか?

続きは次回に!

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