やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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ヒュドラの脅威

sideジョセフ・ジョースター(全盛期バージョン)

 

参った。前々から八幡達に言われていたけどよ、若返ると勘が鈍るのよ。

若返って気持ちも肉体に引っ張られるのか、それともテンションがあがっちまうのか、とにかく勘が鈍る。

本当だったら普段の俺のままで……ジジイの時の方が冷静でいられるんだけどよ。

いや、若い頃の時でももうちょっとマシだったかも知れねぇな。

だけど、今、敵の襲撃が来ている以上、全盛期の力が必要なんだよ。普段の小町と同じくらいに肉体が強化されるからな。

 

ジョセフ「なるほど、ヒュドラ。オメェがウルフスの親玉ってところかぁ?」

 

ヒュドラ「いえ、違いますよ?ジョセフ・ジョースターさん。そもそも我々にはそういう概念がありませんので」

 

リーダーとかそういうのは無いって事か……。

 

小町「だけど、他のウルフスとは違って、あなたは格が明らかに違う」

 

ヒュドラ「性格の問題でしょうね。私やオロチと違って他の者は本能で動いているような物です。それがエリザベス・ジョースターさんがそう感じられる理由だと思いますよ?ああ、確かに孫悟空も他の者に比べたら多少は理性的でしたか?あくまでも多少は……ですが」

 

小町「結局は自分以外は認めて無いんじゃん…」

 

その通りだぜ?小町。

慇懃な態度を取っちゃいるけどよ、結局はこいつは何もかもが上から目線で語ってやがる。

もっとも、こいつはやっぱり格がちげぇけどな。

小町はコイツらの事をウルフスと言った。ウルフスの連中が嫌うその名前を、小町はヒュドラの野郎に対して言ったのにも関わらず、ヒュドラは特に反応を示さなかった。

理性的ってぇのも、あながち嘘じゃあなさそうだな。

 

ヒュドラ「ふむ……言われてみれば案外そうかも知れませんねぇ?我々はお互い同士を見下し合っているかも知れません。まぁ、知的生命体を嫌いながらも我々自身が既に知的生命体のように知性を持ち、行使してますから知的生命体と何ら変わらない。なるほどなるほど」

 

沙希「なんだこいつ……戦いの最中に考え込んでる」

 

陽乃「それが却って不気味だよね。それだけ余裕があるって事なんだと思うけど」

 

小町「舐められてるよね」

 

戸塚「……でも、それを裏つける能力はあると思う。龍のウルフス……これまでの普通の動物の能力だって危険極まりなかったんだ………ドラゴンなんて……」

 

ドラゴン………か。こいつはヤバすぎるぜ。

どんな伝説だってドラゴンはヤバイ。ゲームにおいてだってそうだ。

ドラゴンが付く物は、どれだってボスかボスに準ずる能力を持った強敵だ。

 

ジョセフ「既に俺達の仲間が聞いてるんだけどよぉ、質問して良いか?」

 

ヒュドラ「ええ。構いませんよ?どのようなご質問ですか?」

 

ジョセフ「互いに知的生命体……ってことで認識したとしてよぉ。ここいらで話し合いのテーブルに付くことって不可能なのか?」

 

それで終われば万々歳だけどな。他のとは違って、こいつには理性がある。それならば、多少は可能性を模索した見ても構わんのかも知れねぇ。

 

ヒュドラ「それは不可能ですね。あなた方人間の歴史がそれを物語っているではありませんか」

 

そうなるだろうな……やっぱり。

 

ヒュドラ「いまだに終わらない民族紛争。いまだに終わらない人類の国取り合戦。共存を求めているあなた達自身だとて、経済という扮装の真っ最中です。私達から見たら同じ種族である人間同士ですらこれです。共存など出来るわけが無いじゃあないですか。そもそも我々は知的生命体のそういうところが嫌いなのですよ」

 

やはりな。同じ人間ですらそうだ。

俺達だって、同じ人間同士で争っている。吉良やディアボロ、プッチと………。

人間全てがそうだとは言わねぇ。けれど、他の生物の視点から見てみれば。……ヒュドラのような視点から見てみれば、それが人間という生物の習性なんだろう。

後は個性の問題だ。戦うしかねぇのか。今回はしんどそうだから、これで終われば楽できたってのによ。

 

ヒュドラ「ふ……ジョセフ・ジョースターさん。次にあなたはどうやって騙すか、どうやって死中に活路を見いだすか考えてますね?」

 

ジョセフ「そいつぁどうだろうな?お前という存在に、本気でビビっちまってるとは考えないのかよ?」

 

ヒュドラ「いいえ?本当にそうならば、そこのスピードワゴンさんのように顔中から滝のように冷や汗をかいて目を見開いています。他の方々も動揺が顔に出ている。それに対して、あなたは……あなただけはそれがない。やはり、私はあなたを第1の目標として選んで正解でしたよ。ジョセフ・ジョースターさん」

 

俺が………だと?

正直、ビックリした。これまでの敵はストレイツォやワムウ以外で俺をターゲットにする奴はいなかったからだ。

これまでは……DIOも含めた俺の敵は、偶然俺が自分からはまりにいったようなものだった。

ネーナやマライアの時のようにな。

だが、こいつは違った。

 

ジョセフ「俺を?八幡や静、承太郎、ジョルノじゃあ無くてか?」

 

ヒュドラ「いや、あなただ。ジョセフ・ジョースター。あなたがいなければ、カーズ達は失敗していないし、空条承太郎さん達は道半ばにしてカイロに着くことは無かったはずです。飄々としていて一番危険な存在…それがジョセフ・ジョースターさんだと私は見ています」

 

ジョセフ「へっ!買いかぶってくれるじゃあねぇの」

 

ヒュドラ「買いかぶりではありませんよ。DIO…いえ、ジョナサン・ジョースターや空条承太郎、東方仗助、ジョルノ・ジョバァーナ、空条徐倫、静・ジョースター……ジョジョと呼ばれた存在はいずれも危険ですが、ジョセフ・ジョースターは輪をかけて危険と私は見ています」

 

参ったぜ。仗助と徐倫までも危険と判断しやがったか。

承太郎やジョルノ、八幡は頷ける。それだけの実績を持っているからな。

けど、仗助と徐倫は俺のある意味では切り札だったんだがよ。

 

ヒュドラ「特に……東方仗助。彼は危険ですね。その性格や勝負勘のよさ、幸運までも。あなたは既に、彼のレクイエムに関しては目星を付けている。違いますか?」

 

!?

ここまで見破るか……このヒュドラめ。

言われたとおり、俺は仗助のレクイエムに目星を付けている。もし俺の予想通りなら、森羅万象全てを覆す能力になってしまう。

 

ヒュドラ「ここで初めて動揺を見せましたね?ジョセフ・ジョースターさん。私は他の者とは違う。DIOを守る、本当の危険分子を1つずつ、確実に消します」

 

奴の体がふっと……消える。

次の瞬間には……。

 

ヒュドラ「シュッ!」

 

目の前に現れ、その拳を俺の腹部に入れてきた。

 

ジョセフ「ぐおっ!」

 

腹を貫かれ、数メートル高く飛ばされた俺は、例のバリアにぶつかってしまう。

 

ジョセフ「ウワァァァァァァァァァ!」

 

一気に例の力が無くなり、ワシ(・・)は落下してしまった。バカな……あの肉体をこうもアッサリと…。

強い……このウルフスは確実に強い!

 

ジョセフ「危ないところじゃった。本当のワシの体じゃったら一発で終わっておったところじゃ」

 

ヒュドラ「本当の姿に戻って、やっと普通の口調に戻りましたね?」

 

そう、今のでワシの体は元に戻されてしまっておった。

 

ジョセフ「く………あの体が一撃でやられてしまうとはのう」

 

小町「ジョセフ!このウルフス!」

 

S・R「ゴミゴミゴミゴミぃ!」

 

ヒュドラ「む?ぐはぁ!」

 

流石は波紋を極めた小町のスタンドじゃ。

あのヒュドラのトンデモパワーとスピードについていけておる!

この場において……いや、基本スペックだけならアーシス最強の小町とサンシャイン・ルビーのスペックじゃな。

 

side比企谷小町

 

ヒュドラ「やれやれ……エリザベス・ジョースターさん。あなたも中々侮れませんね」

 

小町がぶっ飛ばした先で、ヒュドラはヨロヨロと立ち上がる。昨日現れた孫悟空のように分身を使ったトカゲの尻尾切りは使えないみたいだね。

でも、サンシャイン・ルビーのフルパワー攻撃を受けてもなお、立ち上がるなんて……

 

ヒュドラ「偶然とはいえ、ジョセフ・ジョースターさんとあなた、危険分子を二人まとめてこの場に誘き寄せたのは幸運でした。このパワー……このスピード……私以外では対処するのは難しいものでしょう」

 

小町「はぁ?」

 

ヒュドラ「こう言うことですよ」

 

ヒュドラが腕をあげると、また壁から棘の攻撃が飛んできた。この状況でまたこれ!?

いや、ジョセフが実質再起不能である以上、一人分の欠員が出ている!戸塚さんの守りが!

 

S・R「ゴミゴミゴミゴミィ!」

 

小町「ゴミゴミゴミゴミィ!」

 

ジョセフを戸塚さんの輪の中に入れ、そのフォローをサンシャイン・ルビーと小町本体で補う。

小町は近距離パワー型のスタンドと同じくらいの基本スペックがあるからね。だけど、それに釘付けにさせるのが敵の目的だった。

 

沙希「比企谷小町!目の前の攻撃ばかりに気を取られないで!」

 

ヒュドラ「その通りですね」

 

しまっ…!

 

陽乃「小町ちゃん!危ない!」

 

陽乃さんが小町とヒュドラの間に割り込んでヒュドラの攻撃を受ける。

 

陽乃「ぐっ!」

 

ジョセフが一撃でやられた攻撃を受けたんじゃあ、陽乃さんでは耐えられない!

そう思ったけど……

 

陽乃「耐えられるレベルにまで強化しておいて良かった…その力、覚えたわ」

 

陽乃さんは覚えた力に更に波紋の強化を施してヒュドラに迫る!このチャンスに乗るんだ!

 

陽乃「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」

小町「ゴミゴミゴミゴミゴミゴミぃ!」

 

ここで確実に仕留めるつもりで攻撃をした。なのに…ヒュドラは小町と陽乃さんの同時攻撃を簡単に回避する。

そして、微かに聞こえるこの音……

 

ヒュドラ「コオォォォォォ………」

 

この音は…波紋!?

何でヒュドラが波紋を使ってるの!?

 

ヒュドラ「やれやれですね。呼吸から生まれる力、波紋法が、あなた方人間だけの専売特許だと、誰が決めたのですか?我々は柱の一族でも、吸血鬼でも、屍生人でもありません。波紋が使えるのは人間だけ……。そう思っていることが、人間の傲慢なのですよ」

 

そうか!ジョセフが言っていた!太陽を克服したカーズは波紋を使っていたって!人間に寄生しているウルフスが、波紋を使えない道理は無いんだ!

だったら……

 

小町「ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ!」

 

S・R「ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ!」

 

サンシャイン・ルビーと二人がかりでヒュドラと戦えばいい!スタンドだけで戦うルールは無いんだから!

 

ヒュドラ「考えましたね!はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ガシガシガシガシ!

ぶつかり合うヒュドラの拳と小町&サンシャイン・ルビーのぶつかり合い。

でも、二人がかりの攻撃で、やっとヒュドラのラッシュと対等に渡り合える。

自信を失うなぁ……基本スペックだけなら最強と呼ばれたサンシャイン・ルビー。その全力の攻撃と小町の自身の攻撃の2つがかりでヒュドラ本体のラッシュをやっと相殺出来るんだから。

 

陽乃「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」

 

沙希「パパウパウパウパウパウ!」

 

小町のラッシュに陽乃さんと沙希さんが加勢に入ってくれる。

 

ヒュドラ「むむ?これはいけませんね」

 

ヒュドラは刺を量産してラッシュの射程から退却する。

 

陽乃「これ以上の強化は無理……わたし自身の体が強化に耐えられない!」

 

沙希「く……サマーハプノじゃあ近距離パワー型のスピードに付いていけない!ヒュドラ……強すぎる……比企谷小町がいてやっと均衡が保てるなんて……」

 

小町「小町だってそうそうもたないよ……」

 

陽乃&沙希「え?」

 

ポタッポタッ………。

小町の拳から血が滴り落ちる。そしてサンシャイン・ルビーを見せる。

ヒュドラの力はサンシャイン・ルビー以上。

さっきのラッシュの打ち合いで拳に皹が入っていた。

サンシャイン・ルビーが打ち負ける……。

ヒュドラのスペックに波紋………。反則だよね。

 

陽乃「サンシャイン・ルビーがパワーで負けた……」

 

戸塚「それも……僕の力で強化していた小町ちゃんのサンシャイン・ルビーが…」

 

絶望感がみんなを襲う。

そうなんだ……。小町もこの場では支えだったんだ。

小町のサンシャイン・ルビーの基本スペックは誰にも負けないって……それがみんなの心の支えになっていたんだね……。

 

小町「コオォォォォォ………」

 

小町が波紋で拳の皹を自己治療する。

 

ヒュドラ「大した物ですよ。サンシャイン・ルビーは。まさか力押しで私と競り合う力を持っているとは…」

 

ポタッ………ポタッ………

ヒュドラの拳からも血が滴り落ちていた。だけど。

 

ヒュドラ「波紋法で回復できるのは私も同じです。勝負はイーブン」

 

そう、いくら拳を砕こうともヒュドラも波紋で拳を治す事ができる。しかも、あの棘の攻撃までやられたら…。

 

ジョセフ「ならば、搦め手を使えば良いだけの事じゃ!」

 

ヒュドラ「ぬっ!」

 

いつの間にジョセフのハーミット・パープルがヒュドラに絡み付いていた。幻影の波紋!そうか、ジョセフはやられたふりしてラッシュの打ち合いの間にハーミット・パープルを幻影の波紋で見えなくして絡み付かせていたんだ!

 

ヒュドラ「く……考えましたね。やはりあなたが一番危険ですか!ジョセフ・ジョースターさん!ですが、私に波紋は通用しませんよ!」

 

ジョセフ「小町の波紋と互角では、ワシの波紋では太刀打ちできんのう?ならば、これならどうじゃ!」

 

ジョセフはハーミット・パープルに左腕を添える。

 

ジョセフ「ワシの左腕は義手じゃ。しかも、平行世界の仲間がくれた特別仕様のな!スタンアーム!」

 

バリバリバリバリバリバリ!

ジョセフの義手に仕込まれていたスタンアームの電流がヒュドラを襲う!波紋に加えてスタンアームの電流!

 

ヒュドラ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ジョセフ「今じゃ!小町!」

 

流石だよ……流石は戦いの年季のジョセフだよ。

小町は両手の指先をヒュドラに向ける……。

 

小町「ルビーレーザー!」

 

ピカッ!

シュウウウウ…………。

 

ヒュドラ「く……咄嗟に防げたのは急所だけですか…」

 

例のバリア……。

ヒュドラは咄嗟にバリアで防ぎ、致命傷だけを避けていた……。

ルビーレーザーまで防ぐなんてね……。

でも、両足と両手は溶かした。これでこいつは…-。

 

ヒュドラ「ふ……遊びが過ぎましたね……ここは退却させてもらいますか」

 

しまった!

ヒュドラは足元に穴を作ってそこに落ちる。今ので確実に当てられる指先のルビーレーザーを使ってしまった!

ルビーレーザーの弱点は、発射したエイジャの赤石が再びレーザーを射てるようになるまでには一分間のクールタイムが必要な事!

逃げ込むヒュドラを精密に撃ち抜くエイジャの赤石はもうない!

逃げられた!

 

ヒュドラ「お忘れですか?ここは私のスタンドの能力の中!あなた達はここから脱出することは叶わない!例え無限の回転エネルギーをもってしても、脱出は出来ないのですよ!せいぜい足掻くことです!フハハハハ!」

 

伊勢崎黄金(ヒュドラ)…撤退

 

小町達はいまだに敵の術中にいる!

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

スペックで最強を誇っていた小町すらも押し負ける辰のウルフス、ヒュドラ!
果たして小町達は無事に恐竜ちゃんから脱出出来るのか!?

それでは次回もよろしくお願いいたします!

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