やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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別の場所でイチャイチャ八色している八幡といろは。それに付き合う承太郎。

一方では……?


赤石と青石と森羅万象と紫と刀神と…

side比企谷小町

 

お兄ちゃんはお姉ちゃんと一緒に行っちゃった…。

小町にだってわかってるんだ。お兄ちゃんを本当に癒せるのはお姉ちゃんだけだって。

小町にだってある程度はお兄ちゃんを癒せる事が出来るって自信はあるけど、でもお兄ちゃんにとっては小町は守るべき妹。戦う力は小町の方が上だけど、それでも小町はお兄ちゃんの妹に過ぎないんだ。

それが小町には凄い悔しい……。

おいらん道中や(多分、お姉ちゃんはここで着物を借りたんだと思う)殺陣指南を見てまわるも小町の心はそれがずっと離れなかった。

 

結衣「うわぁ………あれ、微妙だよねぇ……」

 

池からぬっと出てくる恐竜ちゃんを見て、結衣さんが感想を漏らす。

うん。小町もそう思うよ。池から何か出てくるっぽい雰囲気を漂わせていながら、ただぬっと出てきて、ふしゅるるーと申し訳程度にスモークを吐いてまたどんどこ沈んでいくだけだもんね。

恐竜ちゃんが沈んでいくと、立ち込める微妙な空気って言ったら無かったよ…。普段は底抜けに明るいって聞く戸部さんって人も黙っちゃったしさ。

千葉村ではあまり関わらなかったからよくわかんないけど。あの時は敵だったし。

 

葉山「……次、行こっか」

 

戸部「そうだべ!次!次!」

 

笑顔の葉山さんに言われ、固まっていた戸部さんが再起動する。

 

結衣「なら、そろそろアレ、行こっか」

 

結衣さんが指差した先には史上最怖のお化け屋敷っていうものだった。どうも最初から目を付けていたみたいだね。材木座さんがいたらなお良しだったかも知れないね。

でも、小町はそれに付いていく気にはなれなくって、池のほとりで立ったままだった。

ウルフスが出てこなければ楽しい観光だったんだろうなぁ…。どうしてこうなっちゃったんだろ。

 

陽乃「こーまっちちゃん♪」

 

落ち込む小町を陽乃さんが背中から抱きついて来た。

でも、馴れ馴れしく抱きついて来た陽乃さんも、実は小町とおんなじで、少し落ち込んでいるように見える。

やっぱり陽乃さんも自分とお姉ちゃんの差を感じたんだろうね。

 

ジョセフ「らしくないぞ?小町よ」

 

陽乃さんの後ろにはジョセフ、戸塚さん、沙希さんも小町を心配そうに見ていた。

ジョジョお姉ちゃん達は結衣さん達が心配なのか、仗助お兄ちゃんやジョルノお兄ちゃん達と先に行っている。

 

小町「良いじゃんか……たまにはセンチメンタルになったってさ……」

 

小町が唇を尖らせてジョセフに言い返す。

小町だって落ち込む事はあるんだよ。あの世界でもそうだったじゃんか。システムを壊しちゃったし。

 

ジョセフ「こういう時はもう一度あれじゃな。出てこーい、恐竜ちゃんやーい!」

 

アレが出てきたって微妙になるだけじゃんか…。相変わらずジョセフはなに考えてるのかわからないなぁ。

 

ジョセフ「ぬっ!」

 

そこでさっきまでふざけ顔だったジョセフの眼光が鋭くなった。

……何かきた!?

 

沙希「池から離れな!新手の敵のスタンド使いかも知れない!」

 

ガバァ!

池から出てきたのはさっきのぬっと現れた恐竜ちゃんとは似付かない、大きな龍……それも三首の!

ウルフス!?

 

ヒュドラ「望み通り、出てきましたよ?私はヒュドラ……辰のヒュドラ…」

 

ヒュドラと名乗る辰のウルフスは大きく息を吸い込む。

小町達はそのままヒュドラの口の中に吸い込まれてしまった。

ボーッとしてたよ……。こんなところでウルフスが現れるなんて……。

小町達を飲み込んだヒュドラは池の中に再び戻った。

中で小町達をじっくり始末する気だね……。

 

ーヒュドラ体内ー

 

ヒュウウウゥゥゥゥ……ドシン!

ここはヒュドラの体内?

もう少し生物的な口の中をイメージしたけど、ヒュドラの中はプラスチックの中みたいに硬い空洞の中だった。

 

小町「いたたた………やられたね。生物の中みたいなイメージだったけど、なんだろ?ここ」

 

ジョセフ「どうやら、元の恐竜ちゃんに取り付いて変化したような感じじゃな。イメージ的には運命の車輪にミスター・ブレシデントみたいな能力が合わさったようなものじゃあないかのぅ。起動!」

 

みるみる若返るジョセフ。

しまったなぁ…こんなにウルフスと連続で戦うなんて想像してなかったから、小町は今回は持ってきてないよ。

アレがあると身体能力が更に上がるから便利なんだけどね?

 

ジョセフ「おい、みんな無事か?」

 

口調がジジイ口調じゃあないジョセフって…。今となっては違和感しかないよ。

 

沙希「ああ。無事だよ」

 

戸塚「完全にやられたね。いたたたた……」

 

陽乃「いきなり胃袋の中じゃあ無かっただけましだよねぇ」

 

みんな怪我とか無いみたい。このメンツで唯一波紋が使えない戸塚さんだけが落下のダメージを消せていないみたいだけど、どこも異常が無いみたいだね。

 

小町「取り敢えず、あの口みたいな場所を攻撃してみるかな?」

 

ジョセフ「そんな単純にはみえんのぅ……いや、見えないぜ?」

 

口調、意識的に若返らせてたんだ…。芸が細かくない?

取り敢えず……

 

小町「サンシャイン・ルビー!」

 

小町はサンシャイン・ルビーを出して指先を入り口であろう歯が並んでいる場所に指先で狙いを付ける。ものは試しって言うしね。

 

小町「超久々のぉ!ルビーレーザー!」

 

ピカッ!シュウゥゥゥゥ……

攻撃は確かに命中した場所を溶かしたよ?

反射して跳ね返ってきた小町の足元に………。

コワッ!反射コワッ!

後数ミルずれてたら小町に当たってたよ!

 

ジョセフ「相変わらずノーコンだなぁ?リサリサ先生よぉ」

 

小町「外してないよ!たかが数メートルの距離を外すほどやわな訓練をしてないよ!大体上を狙ったのに足元に命中するわけ無いじゃんか!跳ね返されたんだよ!何らかの力で!」

 

自分のルビーレーザーがどれだけノーコンだったか小町は知っている。だから子供の頃から少しでも直そうと、小町は訓練を重ねてきた。

だから指先のルビーレーザーは百発百中にまで命中精度を上げている。あの技術のお陰で更に命中率を上げて今じゃあ2キロ先の針の穴だって通せるよ!

……針の方が熱に耐えられないからわからないけど。

 

ジョセフ「ハーミット・パープル!」

 

ジョセフはハーミット・パープルで小町が狙った所に向けて茨を伸ばす。けど、やっぱり同じように何かに阻まれて牙を巻き取る事が出来なかった。

っていうか、若返っても使えるんだね。スタンド。

ジョセフは65歳の時にスタンドに目覚めたと言っていた。だからロックマウントで襲ってきた若返りの能力を持つアレッシーのセト神のような能力で若返ったのならばジョセフもスタンドは使えない。

でも、あの技術で更に増強された波紋で若返ったのならば、別に本当に時間を遡った訳じゃあないからスタンドが使えるんだ。

というか、それ、やっぱりズルい。

……とか考えてる場合じゃあないよね?なんかバリアみたいなので阻まれて牙が掴めない。

 

戸塚「困ったな……ここじゃあ狭くて無限の回転エネルギーを使えないし……ルビーレーザーが跳ね返されるんじゃあ黄金の回転エネルギーでも無駄だよね?」

 

陽乃「ならば透過能力!」

 

陽乃さんが一気にジャンプしてアヌビス神を引き抜く。

だけど………

 

陽乃「くっ!」

 

透過能力でもバリアは貫けないみたいで陽乃さんは弾かれて落ちてきた。

 

陽乃「透過能力を透過させないなんてあり!?」

 

思わず愚痴る陽乃さん。これだとサンシャイン・ルビーのゴミゴミラッシュでも無駄無駄無駄無駄だね。

ううっ……こういう時こそザ・ジュエルなんだけどなぁ…。バリアを消滅させれば簡単に出られるのに。

 

沙希「ならば敵を低血糖で弱らせる!サマーハプノ・サファイア!」

 

S・S「パパウパウパウパウパウ!」

 

沙希さんが今度は内側から敵を倒そうとスタンドラッシュをやってみるけど………。

まったく効果があるようには見えない。

 

ジョセフ「マジでホイール・オブ・フォーチュンみたいに取り付いているみたいだぜ。あれも車を破壊しても本体には影響が無かった感じだったしな」

 

ホイール・オブ・フォーチュンか……。あの世界ではもう一人の小町、陽乃さん、二人の戸塚さんが倒したみたいだけど……。

 

ジョセフ「しゃくだが、進むしかないようだぜ。完全なる無敵なんてのは存在しねぇ。必ずどこかに弱点は存在するはずだ」

 

沙希「闇雲に進むんじゃあないよ。ここは敵の体内。どこから攻撃が来るか分からないよ」

 

そうだよね。むしろ、これで攻撃が終わるなんて今までのウルフスの戦いからではあり得ないよね?

いや、こういうタイプの場合って取り込んでから攻撃してくるタイプのスタンドが多かったかな?

ストレングスとか。

そんな事を考えていたからかな?壁のプラスチックが尖ってきたと思ったら、小町達の方向へ飛んできた。

それも何本も!

 

S・R「ゴミゴミゴミゴミゴミゴミぃ!」

 

結構早い!サンシャイン・ルビーなら余裕で対処出来るけど、他の人じゃあ……

と、思って見てみたら…

 

ジョセフ「へっ!甘いぜ!」

 

沙希「パパウパウパウパウパウ!」

 

ジョセフと沙希さんは弾く波紋でデコピンをするように何本かのニードルを弾くと、それが連鎖反応して次々と弾く。

そして陽乃さんは1本を弾くと……。

 

陽乃「その速さと威力、覚えたわよ♪」

 

その速度と弾く威力を覚えて………

 

陽乃「更に波紋もプラスして………。うりゃりゃりゃりゃりゃりゃぁ!」

 

サンシャイン・ルビー並のスピードで対処を始めたよ……。

この速度に反応しきれないのは戸塚さん。

でも、流石はジョセフ達だよ。小町の位置を基点として戸塚さんを中心に戸塚さんを守るようにしてゾーンを組んだ。

 

戸塚「あ、ありがとう。みんな……でも、僕だって!ホール・シンクス!」

 

戸塚さんのホール・シンクスが何個かの鉄球を吐き出す。

 

戸塚「回転エネルギーを……みんなの波紋に上乗せする!」

 

戸塚さんは回転させた鉄球を小町達の腰に押し当てると、不思議な事に波紋の力で強化した小町達の体が更に強化された。

この力は………

 

沙希「これは……下の弟の力と同じ……」

 

戸塚「そうだよ。閣下に教えて貰ったんだ。一巡した世界のツェペリの人が使っていた技術……回転エネルギーの更なる応用を!ジャイロさんの技術で僕はみんなを強化する!」

 

沙希「ジャイロ・ツェペリ……ね。まさか下の弟は本来なら一巡した世界で生まれるはずだったジャイロ・ツェペリかも知れないね…

 

沙希さんがボソリと言ったのを小町は聞き逃さなかった。そういう存在を小町も知っているから。

康穂ちゃんの事を……。

 

小町「っと、危ない危ない。ゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミ!」

 

沙希「集中力を切らすんじゃあないよ。比企谷小町。無駄な動きが多すぎる」

 

くっ!ウィルさんの転生の沙希さんは何かと小町に技術的な指導を加えてくる。

やっぱりこの人は天才だよ。ジョセフに匹敵するくらいに天才だ。

 

沙希「比企谷小町!あんたの波紋の総量は…パワーとスピードはあたしらの中でもずば抜けて高いんだ!後は技術さえ伴えばあんたに並ぶ波紋の戦士は未来永劫に並び立つ者はいなくなるんだよ!それだけの才能があるんだ!」

 

絶え間なく襲ってくる針を弾きながら、沙希さんは言ってくる。小町にだってわかってるよ。承太郎おじさんからはよく工夫が足りないって言われてるからね。

この人達は本当にすごい。足りない力を工夫や技術で補っている。小町には足りない工夫が……それが悔しい。

 

ジョセフ「小町!落ち込むのは後だぜ!」

 

小町「ジョセフ……」

 

ジョセフ「俺達は勝たなくちゃならねぇんだ!引き分けは無いんだろ?これはリサリサ先生が……小町の前世が言ってた事だぜ?ここで負けちまったらよぉ、八幡がどうとか考える事もできなくなるんだぜ?」

 

そうだよね……小町達は勝たなくちゃならないんだ。引き分けはない。相手は柱の一族以上の相手……。ウルフスがいなければ、百五十年以上前から続く因縁も、2000年以上昔からある悲劇もなかったんだ……。そして、ウルフスを倒さなくちゃあの悲劇は繰り返される。

 

小町「ピンチはチャンス……良く言われるけど、ウルフスが目覚めた今は人類にとっては最大のピンチかも知れない……でも、それは同時にチャンスなんだ……」

 

今、ジョースター家は因縁が始まって以来、最大の戦力が揃っている。今が一番、ウルフスを倒せるチャンスなんだよね。

 

小町「そうだったね、ジョセフ。目が覚めたよ」

 

ジョセフ「へ!目付きが変わったじゃあねぇのよ!リサリサ先生の時のような目に変わったぜ?ここのところ、ふ抜けているように見えたからよ。気を抜いてるんじゃあねぇぜ!リサリサ先生!」

 

言ってくれるじゃんか、ジョセフ。まさか前世の息子で弟子だったジョセフに言われるなんてね。しかも、全盛期の姿で……柱の一族と戦った時の姿で言われると、余計にムカムカしてくるよ。

 

小町「サティポロジアビートルのマフラー!」

 

リサリサの形見の1つとしてジョセフから返された物はいくつかある。ジョジョお姉ちゃんにあげたサングラス、喫煙の習慣があったリサリサのジッポライター、そしてこのサティポロジアビートルの腸で編まれたマフラー。

 

小町「このマフラーはただのマフラーじゃあない!サティポロジアビートルの腸で編まれたこのマフラーは、百パーセント波紋を伝える!小町が持てば剣となり、鞭となり、槍となる!」

 

小町はマフラーの真ん中を持っておお回しをする。

それが巨大な盾のようにニードルを弾き飛ばし、壁や床、天井へと刺さる。

 

小町「無駄だよ!姿を現せ!ウルフス!こんなもの、小町達には通用しない!」

 

小町が叫ぶと、ニードルの攻撃は止んだ。

そして、床に変化が起こるのを察知する。空気の乱れを感じたからね。

 

小町「無駄だと言ったよ!」

 

小町はマフラーを床に刺す。ミドラーさんのハイエプリエステスが小町にやった攻撃……突然落とし穴を作って落とす攻撃だと思う。

 

ヒュドラ「やりますね。ジョセフ・ジョースターとエリザベス・ジョースター」

 

ぬっと床から現れるスーツ姿の男……。格好つけなのか、インテリ眼鏡みたいなものを掛け、髪の毛をオールバックに整えている。これまでのウルフスの中でもインテリ風を吹かせている感じだね。

こいつがヒュドラ……。

 

ヒュドラ「先程の攻撃にしても、今の攻撃にしても、並の者ならばなす術なくやられていた攻撃です。それを無傷で切り抜けるとは……なかなかの物です。正直、感服しましたよ」

 

パチパチパチパチと拍手をするヒュドラ。

丁寧な物腰で小町達を誉めているけど、こいつは全然誉めていない。目が小町達を見下しているし、まだまだ余裕が見れる。

辰のウルフス。

古今東西、世界のあらゆる伝説の中でもドラゴンの伝説は異常……。多分、こいつがウルフスの中でも最強の一角のはず……。

昨日倒した孫悟空と同じかそれ以上の……。

 

それに、この落ち着いた感じの性格。

これまでのウルフスとは明らかに格が違う……。

多分、こいつが……。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

原作でちょこっと触れている恐竜ちゃん。それが第7のウルフスとして登場しました。

今回はここのところ出番が少なかったジョセフ、小町、戸塚、沙希、陽乃をメインに戦わせてみようと思います。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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